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【この小説が収録されている参考書籍】
氷 (1985年) (サンリオSF文庫)
氷
氷 (ちくま文庫)

の評価: 3.95/5点 レビュー 20件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.95pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

分類なんか蹴散らす作品

カフカが引き合いに出されることが多い作家なので気になっていましたが、
この作品を読んだ限りでは、似ているとは思いませんでした。
既存の型に当てはまるようなものではなく、著者独特の世界が精緻に描かれていました。

肝心の内容は、文体には品があり、技巧を凝らしていて、描写もすごいと思えるのに
どうにも展開が退屈で、おもしろいと思えませんでした。
設定や表現には鋭いえぐさがあるものの、端々にメルヘンチックな雰囲気を感じてしまいます。
残酷さや暴力も混在する少女漫画でも読んでいるみたいな、むず痒い気分になってしまいました。

すごいと思うんだけど、おもしろかったとは言えないような、不思議な感覚でした。
氷 (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.1:
(3pt)

おしまいの物語

作品の出来不出来に関わらず、期待していたものとあまりに違っているので、どうしても「気に入った」と言う☆四つ以上の評価はできないものがあって、この作品はその一つになりそうだ。
だって、「気に入って」ないもの!
そもそも、私はこの作品に終末の世界の侘しさや切なさを期待していたのだが、そんなものは欠片も感じなかった。
と言うのもここで描かれる世界は既に終わっているからだ。
守られるべき人間的な温かさと言うものが、この世界、と言うか物語に完全に欠落しているので、「終わっちゃえばいいんじゃないの。」と言う投げやりな感想が出てしまう。
この世界の何処を見ても略奪と凌辱ばかりで、愛など一つも見当たらない。
唯一主人公は、愛によって突き動かされているが、その愛があまりに偏執的で身勝手であるため全く感情移入できない。
主人公とアルビノの「少女」の間に何があったかは他のレビューでも意見が分かれる所らしいが、これ単に「僕が守ってあげるよ」とか言って近づいて性的暴行加えたんだろう。最後まで至ったかは知らないが。
純粋な思いで少女を追いかけてる人が「彼女を殺して良いのは私だけ」なんて言う訳ないし。
正直終末の世界そのものよりも主人公の方がよほどおぞましい。
そんな主人公から少女が逃げるのは当たり前だし、彼女を追いかける主人公に対して「会えると良いね!」などと思う人はまあ、おるまい。
作者はカフカの不条理文学に強く影響を受けたらしい。
確かにまあそんな感じだが、カフカは理解できた私も、これは駄目だった。
異常性愛者が世界の終末そっちのけで自分がかつて暴行した少女を追い求める話など、共感しろと言う方が無茶だ。
この世界を覆って行く氷に関して、科学的な説明が一切なされてないが、それは恐らく氷が我々の未来の先にある、確実な破滅を意味しているからなのだろう。温暖化問題とかあまり一般的な時代ではなかったそうだし、文字通りの科学的な意味での氷ではない、と言うのはあまりに露骨なのでメタファーと呼ぶのも躊躇われる。
ただ、文句ばかり書き連ねたが、終盤の壮絶なる終末のヴィジョンは、大変美しく見事であった。凍えるような寒さと切なさと絶望が伝わって来て、こればっかりは小説と言う媒体でしか体験できないものだ。
その点決して駄作ではないと言う事は分かるのだが、如何せん主人公がな・・。ちょっと怖すぎ。
もっと純粋な意味で少女を助けようとしていたら、あるいはそう私が解釈出来ていたら、作品の評価は180度変わっていたかもしれない。しかし、「愛情をこめて腕を折るのはこの私でなければならない」なんておぞましい台詞吐く主人公を好意的には解釈できない。
氷 (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:氷 (ちくま文庫)より
4480432507

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