■スポンサードリンク
(短編集)
初恋温泉
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
初恋温泉の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
短編集なので気楽に読める。 高校生のカップルが温泉旅行に行く話が良かった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それぞれの物語が、過去の自分の思いと重なるところがあり、或る意味懐かしさすらおぼえる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いずれも温泉場を舞台とした5つの短編が集められていますが、文章の点からも、その描写と構成の面からも最初の一編である「初恋温泉」が群を抜いています。又、この一作を書いただけで作者は小説家としての存在意義があったと言えるのではないのでしょうか? 惚れぬいた初恋の相手と結婚し、それなりの成功を成し遂げたのに妻から別れの提案をされてしまう。 湯の中で腰と突出し自分の性器を見ながら、小さな生き物の死骸のようでグロテスクだと感じながら、若い頃の出会いを思い出し感慨にふける。その場面は誠に秀逸です。特に「自分が一番幸せな瞬間を見せたい女」ということを述べる場面とセリフはこの短編を見事に引き締めています。残念ながら他の四編はこの作ほどの凄みはありませんが、この一作を読めただけで十分です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いろんな背景を持った人たちが温泉へ向かいます。 温泉は彼らを救うのか。 温泉は同性どうしでゆっくり入る方がむいているように思います。 あ”-とか言いながら。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
我が家では、元旦に家族が揃って、祖母、父、母、私、妹の順で、その年の抱負を発表するのが、父の定めたルールでした。現在も、屠蘇、雑煮の後、お節をつまみながら、前年の反省点と、新たな年の目標を女房と語り合うのが習わしとなっています。 閑話休題、小説を読む利点はいろいろありますが、自分以外のもう一つの人生を体験できることも大きな魅力です。 この意味で、温泉を訪れた男女の人生のそれぞれを、5つの短篇で味わうことができる『初恋温泉』(吉田修一著、集英社文庫)は、私を満足させてくれました。 「初恋温泉」では、初恋を実らせたというのに、突然、妻から別れを切り出された夫の気持ちを体感することができます。「白雪温泉」では、妻と訪れた鄙びた温泉宿で、ミステリアスな男女と襖を隔てた隣に泊まり合わせた経験を。「ためらいの湯」では、浮気一泊旅行に出かけた男女の機微を。「風来温泉」では、夫の仕事中毒を厭う妻から予約済みの旅行への同行を拒否された夫が、宿泊先の高級ホテルで高そうな革のコートを着た一人旅の女性を見かけるのです。。「純情温泉」は、それぞれの親に嘘をついて一泊の温泉旅行に出かけた男女高校生の甘酸っぱい香りが漂ってくる物語です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
吉田修一さんの『初恋温泉』は、実在する温泉宿で繰り広げられる、5組のカップルの物語である。湯煙の中に人生の機微が透けて見えるような作品集になっている。ホンワカあり、ほろ苦ありで、身体の芯までじわーんとなるのが、”吉田”温泉の効能なのだ。 ■初恋温泉 事業で成功をおさめた夫と、その夫に突然、離婚を切り出した妻との一時。高校時代の初恋の女性と結ばれた男性の、いつのまにかすれ違ってしまった思いが描かれている。妻との出会いから、彼女のために仕事で奮起してきた過去を振り返っていく。男の僕からすると、なんともせつない物語だ。 ■白雪温泉 雪の中の一軒宿へ投宿した結婚目前のカップルの一夜。照明がランプという風情のある温泉宿が舞台だ。おしゃべりな似たもの同志の二人は、襖一枚隔てた隣室の、無言のカップルの様子が気になってしかたがない。ランプのように温かみのある素敵なお話し。 ■ためらいの湯 ダブル不倫の男女の温泉旅行を描いている。出張と妻を欺き、不倫相手との逢瀬に向かう、男のあせりが情けなさをさそう。こういう馬鹿さ加減は、ステレオタイプではあるかな。そうは問屋が・・・ という可笑しさが良い。 ■風来温泉 妻と喧嘩し、ひとり温泉宿にやってきた男を描いている。男は、仕事の成績を上げることのみに情熱を傾けてきた人生を振り返っていく。ふと立ち止まったがゆえに、迷いの中に入ってしまう。『初恋温泉』と同様、幸福のかたちを問う作品だ。 ■純情温泉 温泉旅行を計画した高校生の男女カップルを描いている。こずかいをはたいて、親に内緒の初めての温泉旅行だ。彼らは、二人だけの世界しか想像できないと公言する。そんな幻想は早々になくなってしまうだろうが、この年代の初々しさが羨ましくもあるなぁ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
吉田修一「初恋温泉」を読了。男女二人でいく温泉がどの短編にも共通しているシチュエーション。なぜ男女は温泉に行くのでしょうか。温泉は男女の繋がりまでも強力にしてくれるのでしょうか。様々な男女が温泉に訪れます。離婚・夫婦げんか・不倫・高校生カップル。すべてを語らない作家なので、その後の展開を様々推測してしまいます。奥行きが広がります。重くなく、想像力の助走をつけてくれるので、一息入れたいときに読むのはいかがでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
温泉に来るカップルの話が載せられています。 それぞれ、カップル間の意識や考え方の行き違いがあるのですが それが温泉で癒されるのかどうか? というところで話が終わります。 でも、その話の終わらせ方が、実に絶妙なタイミングだと思います。 2話目の「白雪温泉」は、雪の中のランプの宿の描写がきれいで ぜひ冬に訪ねてみたくなりました。 それよりも、このカップルが泊まった隣の部屋の人たちが静かな理由が 話の終盤で明らかにされるのですが、その過程での隣部屋の人との 温泉での無言のコミュニケーションの描き方が素晴らしいと思いました。 そして、部屋に戻った主人公が、妻の布団に入って すぐに話が終わるのですが、ここでの終わり方が 実にもう、くすぐったくなるような絶妙さです。 5話ある、どの話もいいなあ、と思いますが 「ためらいの湯」は、もう少し話の結末が知りたいと思いました。 「えっ、これで終わり?」 と、やや欲求不満が残る終わり方でした。 その先は、読者の自由意志にまかせる、というのが 作者の計算された心づかいなのかもしれませんが この1作はフラストレーションが残ってしまったため 総合評価は星4つとしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
温泉宿に泊まる男女がテーマ。 だけれども、基本的には 男女の暗部を描く作品が 若干多いのでお世辞にも 読後感はいいとはいえません。 特に後味が悪いのは 「ためらいの湯」かな。 これは扱っている題材ゆえに 必然的に暗さがただよいます。 そして最後は…何かありそう… 逆にああ…と 思わせてくれるのは 「純情温泉」ですね。 若き時代の恋を 思い起こさせてくれるお話です。 そこで起こるある事件なんかは 人によっては体験済みなのでは? そんな思い出も懐かしくなる作品です。 でも暗いから星は1つ分マイナスです。 なんと言うか表現がよすぎて きつく感じるのね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初の章の熱海では、読みながら自分が以前宿泊した旅館を 浮かべていたところ、舞台はまさしくその旅館で驚きました。 吉田修一さんも宿泊されていたのか〜と不思議な気持ちに なりました。 主人公の妻が波の音を表現する部分に、波の音がよみがえって くるようです。 最終章の高校生の話は可愛らしくもあり、昭和にタイムスリップ したような懐かしい感じがして好きです。 きわどい性描写が多いように思える著者ですが、そういう作品 ばかりではないのだと新鮮な気持ちで読み終えました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
舞台となる5つの宿はどうやらすべて実在するようです 何気に検索してみたら、5つの旅館ともきちんとHPが存在してました。 しかも全部いい旅館・・・! 吉田修一さん・・・たぶん取材で訪れたんでしょうね。 いいな〜、羨ましいな〜。 温泉というと「非日常を求めて」行くというイメージがあるけど、 彼らは温泉で日常の問題に向き合う。 離婚、夫婦けんか、不倫・・・。 しかしそれらの難しい問題にも、 温泉は柔軟な考えと答えを導きだしてくれるようだ。 心のリフレシッュ?ってやつかな。 リウマチや婦人病に効くのはもちろんだけど、 温泉の目に見えない効能・・・それは「心に効く」ことなのかもしれない。 よく温泉の入り口に効能を書いた看板のようなものがあるけれど、 あれに書いてもいいくらい立派な効能じゃないですかね?? どのお話も明確な結論がなく、 行く末は読者の想像に任せるようなかんじで締められている。 お風呂からあがっても体のほてりがすぐには消えないのと似たような余韻が残ります。 この本を読んで、温泉がますます好きになりました(笑) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めて彼の作品を読みました。5組のカップルの話。恋愛と温泉ておもしろいなと思いました。古風なようで古くない、恋愛の親密さが出ていてこういう恋愛もいいかなと思いました。のんびり、ほのぼのが好きな人にはいいかもしれません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最後の息子・パークライフとう日常生活の断面に一寸だけ分け入ってみると得体の知れぬ何かが、という作者の手法がよく生かされている短編集でした。一見、作者の描く舞台としては異質な感のある温泉ではあります。勿論それぞれの話が「温泉」でなくてもいいんだろうけれど、やっぱり「温泉」でなけりゃなぁとも思えてくる、そのバランス感覚がこの小説のミソなのでしょう。ひとつだけ作品を挙げてみると最後の「純情温泉」。可愛らしいストーリーにほほえんでしまった方も多いでしょう。私もそうでした。けれど読み返して3回目、全く別の容貌が現れたのです。それは30歳ほどの一人の男の姿です。「この気持ちがいつかなくなるなんて、いくら考えても想像できなかった。」、高校生の彼にはできなかった。けれど年を取って「想像」てきちゃうのがわかったんです。悲しいことにわかったんです。「純情」は美しくとも、喪失の痛みと背中合わせなのです。万華鏡のように角度によって変わる世界、作者らしいですね。なくしたものを、私も一人、指折り数えてしまいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恋愛感情と人を好きという気持ちは違う。 離婚寸前の夫婦。別れ話がでたからといって、1か0で終わってしまう仲ではない。 多くのことを一緒に経験してきたのに、最後に気になってしまうことは限られている。 かける言葉が別の言葉だったら結果は変わっていたのだろうか。 もしそうだとしたら、きっと相手を好きなのではなく、 そんな言葉をかけられる自分が好きなのではないかと疑ってしまう。 例え結婚したとしても恋愛感情は永遠ではない。 相手を好きな気持ちが欠けた部分を補っているだけ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
吉田修一さんはどうも終わりに余韻を残し、「だっ、だからどうなんだー!」ってとこで終わる作品が多い気がする。それはそれで、読者それぞれ、自らの経験に思いをはせたり、自分だったらこうするな、とか、うーん、そういうものかなど、「幅」を作れていいんじゃないかと思う。私も、この本ずーっと、「うーん、そういうものかあ」と思って読んでいて(男性側からの心理描写は特に)、最後の「純情温泉」はもう単純にかわいくてピュアで、久々にほのぼの、よい気分にさせられました♪ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それぞれ実在の5つの温泉を舞台にした短編集。不倫カップルや離婚直前のカップルが、温泉宿という秘密めいた空間を舞台に、微妙に陰影のある愛憎劇を繰り広げる。題名が、象徴的だったり皮肉だったりして、作品の一部になっている。 最後の最後に「純情温泉」でういういしい高校生カップルを登場させるところがニクい。高校生の真っ直ぐな思いが描かれるたびに、読者が「今の君はそう思っていても、人生イロイロあるんだよ」とツッコミを入れてしまう仕掛けだ。この前の4作で、さんざんそんな感情の変質を描ききっているだけに。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
当たり前だけど、“自らの体験を言語化できて他者にちゃんと伝えることができる”ってのが文筆業の基本だと思う。吉田修一はそこの能力が高い。独身男だったら「どうせアパートへ帰っても、返し忘れたアダルトビデオをもう一度早送りして見るような毎日」なんて表現にきっと唸ってしまうだろう。 この短編集は「温泉とカップル(しかも子供のいない)」しばりの連作なんだけど、いきなりどアタマの作品の舞台が熱海「蓬莱」で、おまえは田中康夫か秋元康か小山薫堂かってバブリー感もある。そうした田舎者、成金批判もちゃんと想定内って気もするけど。 「たとえばさ、自分が一番幸福な瞬間を見せたいって思うような男、お前にはいる?別に付き合ってなくてもいいんだよ。遠くでその瞬間を喜んでくれるだけでもいいんだけど」って言葉が出てくる。片思いや遠距離恋愛は、離れているからこそ「幸福」が保たれるのかもしれない。「幸福」って独りよがりな“気持ち”であって、二人の“関係”ではないのかもしれない。でも、人は独りでは生きていけないから二人の関係、状態に幸福を見出そうとする。難しいんだよなぁ“気持ち”と“関係”はリンクしないから。そして“気持ち”も“関係”も持続しないから。最後に収められている短編「純情温泉」の高校生カップルが5年後、いや3年後、1年後に今の“気持ち”と“関係”を保っているとは思えない。 5つの短編は男女の“気持ち”と“関係”のズレを巧妙に描いている。 主題とはズレるけど「ほら、基本的に主人公って鈍感な人間じゃない」「鈍感だから、事件に巻き込まれたり、不倫したり、されたりするわけでしょ?」っていう小説論は結構鋭い。あと、いつもながらの観察眼。新幹線の電光掲示板ニュースとかね。今回はそれと、「風が見えた」だったり、逆に無音状態だったり、山のにおい、波の音だったり...といった5編に通底した自然に対する観察、表現もうまいなぁと思った。軽く読めるけど、結構深い短編集である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
温泉を舞台にするせいか、短編5作品とも男女の話だ。 夫婦3組、不倫1組、17才の高校生1組。 表題の『初恋温泉』は以外にも高校生ではなく夫婦の話で、 個人的には一番胸にグッときた。 守りたい高校生の頃から好きだった女を妻にした夫が がむしゃらに働いてきたのに、二人の間がいつの間にか変化し 元通りにする方法さえ思いつかないくらいすれ違ってしまった。 仕事や世間を理由に逃げられない温泉宿で、喪った現実を受け入れるしかない男。 男女の艶を、温泉を舞台に、吉田修一の文才が光る。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
温泉を舞台とする短編集です。 しかも実在する温泉で話が展開するので、「どんな温泉なんだろう、いつかいきたいなぁ。」と思いながら読みました。 逆に、いつか訪れることになったら、湯に浸かりながらあんな物語の舞台だったなぁ、なんて思い出すんだろうなと、楽しくなってきました。 でも、お話は湯のように温かくほんわかするものばかりでなく、ちょっと心冷えてしまうような男女関係も描かれています。 おすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
緑がきれいな表紙にフォーク・ミュージックみたいなレトロなタイトル、今年またまたな吉田修一の新作です。文章表現はもちろん、少しもレトロではなく新鮮ですが。というか、このレトロなタイトルのレトロさがなぜか新鮮なんですが。男女のいつもの心の行き違いや、ごくたまにある気持ちの重なりが、憎らしいまでにセンスゆたかに表現されています。今のところ、著者ベストの恋愛小説ではないでしょうか(異論歓迎)。 それぞれの事情を抱えたカップルたちが、温泉でディープな会話や沈黙の対話を繰り広げていきます。温泉宿をとりかこむ美しい自然が五感を楽しませながら思索を深まらせ、温泉の骨身にしみる熱さが登場人物たちの感情や思いを嫌でも高まらせていきます。彼らの恋の始まりの記憶が呼び起こされるのも、そんな温泉ワールドの非日常さ(高校生の女の子がいうように、ちょっとエッチな)のなせるわざでしょう。本当の主人公は温泉たちなのかも…。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!