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ラスト・ワルツ
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ラスト・ワルツの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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一番目の「ワルキューレ」は1939年9月第二次大戦開戦直後のベルリンで日独合作映画製作と新築の駐独日本大使館の防諜工作を巡る二重三重四重のトリック。これはこれで良いのだが、帝国海軍派遣の工作員雪村を脱出を助ける帝国陸軍諜報機関“D機関”に属する潜入潜伏スパイとは!? 創作上はありえても雪村の帰国に使うとされる“伊号潜水艦”と同様にあまりにもリアリティを欠き興ざめである。 二番目の「舞踏会の夜」は本書全体のタイトル「ラスト・ワルツ」の由来であろうが、女主人公の造形に失敗。「駄作」としか言えない。 三番目書き下ろしの「パンドラ」は英国ロンドンの殺人事件の背後にかすかに登場する「若い男」がD機関員との想定だが、関係性が不透明。 最後の「アジア・エキスプレス」は満鉄特急<あじあ>を舞台としてソ連秘密諜報機関スメルシュとの息をのむような対抗と抗争。ラストシーンの設定は見事。 かくして☆は二つにせざるを得ない。 | ||||
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物語の舞台や主要な人物を含め、『映画』というキーワードのもと話が進みます。 映画『ジョーカー・ゲーム』のために書き下ろされたものでしょう。 今までこの『ジョーカー・ゲーム』シリーズを読んできた身としては、最初からその物語はその人の活躍を描いているものと思い込んで読み進めていたために、最後のどんでん返しはやられた!と思いましたね。(笑) 話はガラリと変わりますが、この物語の中で 本物のスパイは…とスパイとはどういう存在なのかというのを語り、 『目立たない人物が、目立たない行動をしている様子を映画化しても仕方ない。』とあります。加え、だから映画で描くスパイは華があるというようなニュアンスなことを語っています。 これは実際映画『ジョーカー・ゲーム』を観る客に対してなのかなと思ってしまいました。原作に忠実に再現するのでは面白味もない。ということなのでしょうかね。 だから映画は映画で楽しんでほしいと。 さらには、『スパイは魅力的であってほしいと望む』 ということ。 これは世間一般の人だけでなく、映画の製作者に対して?と思っちゃいますよね。 誰もがスパイ=007のイメージを思い浮かべてしまうように。 | ||||
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シリーズ4作目の文庫化です。今回読み直しましたが、まだまだ面白いですよ。 確かに1作目のインパクトが強烈で、2、3作目と続いての本作なので(しかも短編集なので)ややもすれば刺激は弱まっている印象かもしれませんが、それでも表題作や文庫のみ収録の”パンドラ”はかなりとよく出来ていると感心させられます。(話の設定に派手さや緊迫感が薄いため地味な印象ですが) ぜひ今後も続いていって欲しいシリーズです。文庫なのでお値段も手軽、お薦めです。 | ||||
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シリーズ第4弾。期待していたのだが、前作までの緊張感が感じられず、全体としてイマイチの作品だった。あの悪魔のような結城中佐が殆ど登場しないことが一因だろうか 『ワルキューレ』、『舞踏会の夜』、『パンドラ』、『アジア・エクスプレス』の4編の短編を収録。『パンドラ』は書き下ろし。 | ||||
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「完璧に『コピー』しろ」 で、違和感。 概念の説明部分なら時代に合わない表現してても気にならないが、口語の文に時代的に合わない表現使われると白ける感じ? 究極の頭脳戦…と、いうよりどちらかというと学芸会みたいな印象でした。 | ||||
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映画に影響されたのか、これまでの面白さが少し失われている気がする。 ただ一つ、最後の「ワルキューレ」では、映画がとても話に関わっているのですが… 映画のような爆発オチ、D機関ではないスパイの、見栄えの良さ。作中の「映画にかぶれた」と言うセリフ。…もしかしてもしかするとですが、映画「ジョーカー・ゲーム」のあまりにも原作と違うところを作者の柳さんが皮肉っているのかもしれませんね(笑) | ||||
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一作目・二作目までは夢中になって読める傑作だったのですが、三作目のパラダイス・ロストでは何となく歯切れの悪い内容に思えて、 「このシリーズも、これで終わりだろう」と考えていたら、やはり映画化に合わせて新作が出ましたね。 薄々予想はしていたのですが、一作目・二作目には全く及ばない、凡作という印象です。 短編ならではの展開の早さ、D機関員の人物像への魅力、予想し得ない結末、そういったものが全て失われてしまっている、というのが個人的な感想です。 邪推ですが、映画化に合わせて「書かされた」のではないかとさえ思わされます。 D機関シリーズではない新たな作品に期待いたします。 | ||||
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「ジョーカー・ゲーム」シリーズの最新作となる本作 ”魔王”結城中佐が作り上げた異能の諜報機関、通称D機関 スパイとは冷酷非情であり、目的の遂行を至上命題とする そして、その死は敗北を意味する 帝国陸軍にあって異端とされるスパイ達の活躍を描く完成度の高さは本作でも健在です 映画やドラマでよく謳われるような非現実的なスパイはこの小説の中には存在しない 彼らが徹するのは派手なアクションでも大規模な陰謀でもなく 大衆の中にあって暗躍する究極の頭脳戦です 大戦中という特殊状況において発揮される彼らの技術は 決して露見されることなく、情報を武器として自国に有利な状況を作りだしていきます 誰が、どのタイミングで何を仕掛けたのか 狙った獲物と真意を悟らせない構成力の高さはミステリー小説の中でも突出しています そして一遍的な報道や感情論に流されている現在の日本を省みる機会を与えてくれる 良書だと思います | ||||
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映画が本当に゛D機関゛のスパイ映画としてはありえないシナリオだったので、この新刊を読んで本当に溜飲が下がりました。 やはり底知れぬスパイたちの暗躍が魅力です。 前作パラダイスロストでは、最後にやらかしてしまった結末にビックリでした。 これから日本は敗北に向かいますが、出来れば終戦までのD機関が読みたいです!! | ||||
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ジョーカーゲームとダブルジョーカーも読みましたがラストワルツもなかなかの出来です。 短編2編と中編1編の構成ですが短編2編のほうが本来のD機関の凄さがよく出ていました。 ジョーカーゲームから順に読んでいけば結城中佐の作り上げた組織の深遠が垣間見え、陸軍中野学校(旧大映の作品)のモノクロの世界に一気に踏み込んだ気分になります。 ただこれでシリーズが終わりになるのは惜しい。 もっとストーリーを練り上げれば更に上級のストーリーができると思います。 自作も期待!! | ||||
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シリーズ4冊目には、3作が収録。雑誌掲載時期また本書発行時期をみれば、映画版「ジョーカー・ゲーム」公開に合わせたわけです。 出来で云えば、いつもながらのウェルメイドですが、映画化に合わせて読み始めた方を多分に意識していて、D機関の成り立ちや特徴を丁寧に紹介したり、戦前の歴史を素人レベルで書いているのは、珍しいこと。(日本とドイツは”世界大戦”で敵味方だったって、書いてあっても、そもそも、ドイツと日本が同盟国なの?敵は誰なの?なんて人がいっぱいいるわけですから) 「アジア・エクスプレス」は満鉄自慢でのちの新幹線のプロトタイプでもある特急「アジア」を舞台にしたスパイ同士の対決に全編を費やしているのだけど、派手な対決ではないので、これは元々のジョーカー・ゲームに一番近い作品です。1冊目あたりと比べて長めなので、主人公の心理描写や成長がしっかり描かれているのがいいです。 標題ともなっている「ラスト・ワルツ」は、結城中佐の意外なエピソードになっているのだけど、ラストのオチがですね・・・主人公の女性がD機関の仕掛けを読み解いちゃっているわけで・・・それってすごくない?とちょっと驚かされました。全編が彼女の一人称描写なので、致し方ないとはいえねぇ・・・ で「ワルキューレ」。冒頭から、日独スパイが派手なバトルをやらかして、挙句にD機関でご法度の「仲間を救うために自爆特攻」という描写があって唖然とさせられますが、これは映画のお話ですよと描写してから面白い一言があります。映画のスパイは現実と違って格好良いと言って「それは、観客の皆様がそうあってほしいと望むからです。そう、映画はあなたたちの物なのです。みなさん、ありがとうございました」と言ってしまうわけで、作中では「あなたたち」は映画の観客で、それに対して主演俳優が云うセリフですが、これを作者が映画製作者に向けていると読むとクスリと笑えます。なにせ、この作品は、舞台や小道具に映画が多数用いられ、ゲストにゲベルスやリーフェンシュタールが登場したり、フリッツ・ラングのネタがあったりと、ジョーカー・ゲームらしからぬ趣向が多いのは、本作が一種のセルフパロディだからだろう。ただ、出来自体は悪くない。(ちなみに、本作に盛り込まれた歴史や映画のネタは、分からなくてもストーリーには影響がないようになっている。ただ一つ言えば、ゲベルスはゲシュタポを動かせないはず。それは別の組織だから) ちなみにというか、「ワルキューレ」で登場する日本大使って、別の話ではもっと茶化されていた気が・・・ドイツフェチでいいようにナチスドイツに利用されてた大島浩閣下のバカぶりは軍人が政治・外交に口出した最悪の事例であって、著者は軍人のバカっぷりを何度か揶揄してもいる。 それと、逸見は、田宮二郎がモデルでしょうね。ばたくさい二枚目で多数の浮名と金にルーズ、なにより役名がゼンで本名が五郎。これも珍しいネタふりだったなぁ。 | ||||
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大戦への戦雲が垂れ込める中、日本陸軍の結城中佐が作り上げた諜報組織「D機関」の諜報員が暗躍を描くスパイ・ストーリです。シリーズ3作目となりますが、「ラスト・ワルツ」と、まるでシリーズの終焉を示唆するかのようなタイトルですが、この作品シリーズがまだまだずっと続くことを願っています。 本書は短編2話、中編1話で作られています。 それぞれの作品について、D機関の諜報員の暗躍を描きながらも、作品舞台、プロットの組み方、また、キャラクター設定が多彩であり、どのストーリもとても堪能することができました。 一話目「アジア・エクスプレス」 疾走する大陸鉄道の車中という、閉ざされた場所での、D機関の諜報員・瀬戸とソ連の暗殺者との一対一の肉弾戦。襲うか、襲われるかの緊迫感。D機関では、相手への攻撃は最終手段にせよと訓戒されているものの、車中でD機関の協力者が暗殺され、諜報員・瀬戸も追い詰められていく、非常に緊迫感に満ちた展開です。一撃必殺の反撃が繰り出せるかどうか、読んでいて息苦しくなってくるほどの緊張感に包まれます。 二話目「舞踏会の夜」 本書のタイトル「ラスト・ワルツ」は本作にちなんだものと思います。 本作の舞台は東京。この作品には、結城中佐自身が登場します。そして、ほんのわずかばかりの言葉を発します。心憎いのは「結城中佐」という文字が作品中では用いられず、この人物が結城中佐であることを間接的に表現することで、結城中佐の存在に巧みにベールをかけています。 物語は、華族出の貴婦人で、陸軍幹部を夫にもつ加賀美顕子の観点で展開します。かつて、顕子のピンチを救った男性への思慕と、組織間の内部紛争ともいえる諜報戦の絡ませ方が絶妙です。 また、昭和初期の開戦前の日本の状況の記述は大変趣き深かったと思います。 三話目「ワルキューレ」 日独防共協定を締結したにも関わらず、その直後には、日本にとっての不測の、独ソ不可侵条約の締結。日本とナチスドイツが協定を結びつつも、猜疑に満ちた不穏な関係であった時代のベルリンが舞台です。この当時のナチスドイツの扇動的な広報面、文化面での政策と、そして、ナチスドイツ支配下におけるドイツ国内の映画の製作現場とが、作品の背景として、リアルに描かれています。 スパイ映画のプロローグのような、冒頭のアクションシーンからグっと引き込まれました。 主な登場人物は、映画制作に情熱を傾けつつも、浮つき、派手に振舞う日本人映画スター・逸見。狡猾で横暴なナチス高官のゲッペル。そして、存在感を消しながら隠密裏、沈着に活動するD機関の諜報員・雪村。この3者が三すくみの状態でストーリーが展開していきますが、クライマックスに向かっての、諜報員・雪村の出し抜きぶりが痛快です。また、情報交換のためのスパイ同士の隠密ルールや、秘密道具の使い方がリアルに記されており、スパイにとって情報の入手がいかに巧妙、緻密に行われているか、スリリングに伝わってきます。 本作の最後に明かされる事実は驚愕の一言です。中編ならではの急展開として堪能できたような、あるいは、この背景をもっと詳細に書き込んで、長編として読んでみたいような、さらには続編を期待したいような、多様な思いをもちながらも、大きな満足感をもって読み終えました。 このシリーズの一作目「ジョーカー・ゲーム」が今年の5月に映画化されるとのことで、これもまた、大変楽しみです。 | ||||
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