饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件
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内容が難しい | ||||
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2001年に原書房から出た単行本の文庫化。 ソクラテスを名探偵役に据えた長編ミステリである。アテネで起こる連続殺人を鮮やかに解決するというすごい設定の物語だが、ちゃんとしたミステリに仕上がっており、満足できる。 また、古代ギリシャにまつわる小ネタが散りばめられているのも楽しい。 ギリシャ語を使った暗号とか……。 古代ギリシャに詳しい読者ほど楽しめる。 | ||||
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歴史上の人物や文学作品を題材にした作者のシリーズの中でも白眉と言って良い傑作。題名が示す通り、プラトン「饗宴」を下敷きにした上で、探偵役にソクラテス、ワトソン役にクリトンを配するという豪華な演出で読む者をたちまちにしてアテナイの世界へと誘う。これに、ピュタゴラス教団(その神秘的色彩のため、本作ではアテナイに対する脅威として描かれる)の黒い影、ホムンクルスといった異形のガジェットが加わり、物語を一層密度の濃いものとしている。 物語がソクラテスを含む出席者から成る「饗宴」から始まる所はプラトン「饗宴」と同じ。そこでピュタゴラス教団の話が出る所からが作者の創意で、出席者及びその関係者が次々と変死するという構成はまさに堂々としたミステリ。「真実を見る眼」を持つソクラテスを探偵役に据えた作者の着眼点は素晴らしく、事件の謎・解決の妙と共に、当時の衰退しつつあったアテナイの様子が見て来た様に活写されている。作者の事前取材の丹念さ・豊富さにはいつも感心させられるが、本作ではそれがひときわ際立っている。 また、本作は作家としての冒険・賭けを織り込んだ野心作でもある。作家であれば、誰しも「物語が読者を救う事がある」と思う筈だ。そこを敢えて本作では、「物語が持つ力」とソクラテスの「真実を見る眼」とを対比させて描いて、終盤に圧倒的迫力を持たせている。一方、クサンティッペが後世"悪妻"として伝えられた理由をサラッと書く等、随所に遊び心も忘れない。更に、本作は様々な愛の形を描いたエロスの物語(プラトン「饗宴」の如く)ともなっている。原典への忠実度と作者のオリジナリティとのバランスが非常に優れている。本シリーズの魅力を凝縮した傑作と言って良いのではないか。 | ||||
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人心の荒廃が進んでいたアテナイでは、ホムンクルスの復活を目論んでいる という、謎の組織〈ピュタゴラス教団〉の噂が、まことしやかに囁かれていた。 在留外国人の老医師エリュクシマコスの押しかけ弟子で、名門貴族の四男坊の ポロスは、ピュタゴラスに関係した人を知っているとパーティの場で自慢していた。 そんなポロスが、パーティの翌朝、衆人環視の市場を、両手に大量 の林檎を抱えて歩いていた際、何の前触れもなく倒れ、死んでしまう。 さらにその後、アクロポリスではバラバラに引き ちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見される。 果たして、〈ピュタゴラス教団〉の仕業なのか? 衆人環視下における殺人のハウダニットは、当時のアテナイの慣習 を利用した、非常に巧妙なもの。“六千枚の銅貨の運搬方法”という 仄めかしの伏線も、よく考えられています。 一方、バラバラ殺人のほうは、トリック云々よりも、実際に殺人が行われた際 の光景を想像すると戦慄を禁じえない、何とも凄絶な真相が用意されています。 それにしても、物語の背景となる閉塞感漂うアテナイの世相は、 現代日本と重なり合う点が多く、作者の明確な戦略を感じます。 そんな状況の中で、論理(ロゴス)だけを武器に、終始理性的に混沌に立ち向かった ソクラテスの姿は、まぎれもなく〈名探偵〉のそれですが、最後に彼を見舞う理不尽な 悲劇もまた、〈名探偵〉が甘受しなければならない不可避の運命といえると思います。 | ||||
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人心の荒廃が進んでいたアテナイでは、ホムンクルスの復活を目論んでいる という、謎の組織〈ピュタゴラス教団〉の噂が、まことしやかに囁かれていた。 在留外国人の老医師エリュクシマコスの押しかけ弟子で、名門貴族の四男坊の ポロスは、ピュタゴラスに関係した人を知っているとパーティの場で自慢していた。 そんなポロスが、パーティの翌朝、衆人環視の市場を、両手に大量 の林檎を抱えて歩いていた際、何の前触れもなく倒れ、死んでしまう。 さらにその後、アクロポリスではバラバラに引き ちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見される。 果たして、〈ピュタゴラス教団〉の仕業なのか? 衆人環視下における殺人のハウダニットは、当時のアテナイの慣習 を利用した、非常に巧妙なもの。“六千枚の銅貨の運搬方法”という 仄めかしの伏線も、よく考えられています。 一方、バラバラ殺人のほうは、トリック云々よりも、実際に殺人が行われた際 の光景を想像すると戦慄を禁じえない、何とも凄絶な真相が用意されています。 それにしても、物語の背景となる閉塞感漂うアテナイの世相は、 現代日本と重なり合う点が多く、作者の明確な戦略を感じます。 そんな状況の中で、論理(ロゴス)だけを武器に、終始理性的に混沌に立ち向かった ソクラテスの姿は、まぎれもなく〈名探偵〉のそれですが、最後に彼を見舞う理不尽な 悲劇もまた、〈名探偵〉が甘受しなければならない不可避の運命といえると思います。 | ||||
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