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饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件
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饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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内容が難しい | ||||
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2001年に原書房から出た単行本の文庫化。 ソクラテスを名探偵役に据えた長編ミステリである。アテネで起こる連続殺人を鮮やかに解決するというすごい設定の物語だが、ちゃんとしたミステリに仕上がっており、満足できる。 また、古代ギリシャにまつわる小ネタが散りばめられているのも楽しい。 ギリシャ語を使った暗号とか……。 古代ギリシャに詳しい読者ほど楽しめる。 | ||||
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歴史上の人物や文学作品を題材にした作者のシリーズの中でも白眉と言って良い傑作。題名が示す通り、プラトン「饗宴」を下敷きにした上で、探偵役にソクラテス、ワトソン役にクリトンを配するという豪華な演出で読む者をたちまちにしてアテナイの世界へと誘う。これに、ピュタゴラス教団(その神秘的色彩のため、本作ではアテナイに対する脅威として描かれる)の黒い影、ホムンクルスといった異形のガジェットが加わり、物語を一層密度の濃いものとしている。 物語がソクラテスを含む出席者から成る「饗宴」から始まる所はプラトン「饗宴」と同じ。そこでピュタゴラス教団の話が出る所からが作者の創意で、出席者及びその関係者が次々と変死するという構成はまさに堂々としたミステリ。「真実を見る眼」を持つソクラテスを探偵役に据えた作者の着眼点は素晴らしく、事件の謎・解決の妙と共に、当時の衰退しつつあったアテナイの様子が見て来た様に活写されている。作者の事前取材の丹念さ・豊富さにはいつも感心させられるが、本作ではそれがひときわ際立っている。 また、本作は作家としての冒険・賭けを織り込んだ野心作でもある。作家であれば、誰しも「物語が読者を救う事がある」と思う筈だ。そこを敢えて本作では、「物語が持つ力」とソクラテスの「真実を見る眼」とを対比させて描いて、終盤に圧倒的迫力を持たせている。一方、クサンティッペが後世"悪妻"として伝えられた理由をサラッと書く等、随所に遊び心も忘れない。更に、本作は様々な愛の形を描いたエロスの物語(プラトン「饗宴」の如く)ともなっている。原典への忠実度と作者のオリジナリティとのバランスが非常に優れている。本シリーズの魅力を凝縮した傑作と言って良いのではないか。 | ||||
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人心の荒廃が進んでいたアテナイでは、ホムンクルスの復活を目論んでいる という、謎の組織〈ピュタゴラス教団〉の噂が、まことしやかに囁かれていた。 在留外国人の老医師エリュクシマコスの押しかけ弟子で、名門貴族の四男坊の ポロスは、ピュタゴラスに関係した人を知っているとパーティの場で自慢していた。 そんなポロスが、パーティの翌朝、衆人環視の市場を、両手に大量 の林檎を抱えて歩いていた際、何の前触れもなく倒れ、死んでしまう。 さらにその後、アクロポリスではバラバラに引き ちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見される。 果たして、〈ピュタゴラス教団〉の仕業なのか? 衆人環視下における殺人のハウダニットは、当時のアテナイの慣習 を利用した、非常に巧妙なもの。“六千枚の銅貨の運搬方法”という 仄めかしの伏線も、よく考えられています。 一方、バラバラ殺人のほうは、トリック云々よりも、実際に殺人が行われた際 の光景を想像すると戦慄を禁じえない、何とも凄絶な真相が用意されています。 それにしても、物語の背景となる閉塞感漂うアテナイの世相は、 現代日本と重なり合う点が多く、作者の明確な戦略を感じます。 そんな状況の中で、論理(ロゴス)だけを武器に、終始理性的に混沌に立ち向かった ソクラテスの姿は、まぎれもなく〈名探偵〉のそれですが、最後に彼を見舞う理不尽な 悲劇もまた、〈名探偵〉が甘受しなければならない不可避の運命といえると思います。 | ||||
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人心の荒廃が進んでいたアテナイでは、ホムンクルスの復活を目論んでいる という、謎の組織〈ピュタゴラス教団〉の噂が、まことしやかに囁かれていた。 在留外国人の老医師エリュクシマコスの押しかけ弟子で、名門貴族の四男坊の ポロスは、ピュタゴラスに関係した人を知っているとパーティの場で自慢していた。 そんなポロスが、パーティの翌朝、衆人環視の市場を、両手に大量 の林檎を抱えて歩いていた際、何の前触れもなく倒れ、死んでしまう。 さらにその後、アクロポリスではバラバラに引き ちぎられた異邦の青年の惨殺死体が発見される。 果たして、〈ピュタゴラス教団〉の仕業なのか? 衆人環視下における殺人のハウダニットは、当時のアテナイの慣習 を利用した、非常に巧妙なもの。“六千枚の銅貨の運搬方法”という 仄めかしの伏線も、よく考えられています。 一方、バラバラ殺人のほうは、トリック云々よりも、実際に殺人が行われた際 の光景を想像すると戦慄を禁じえない、何とも凄絶な真相が用意されています。 それにしても、物語の背景となる閉塞感漂うアテナイの世相は、 現代日本と重なり合う点が多く、作者の明確な戦略を感じます。 そんな状況の中で、論理(ロゴス)だけを武器に、終始理性的に混沌に立ち向かった ソクラテスの姿は、まぎれもなく〈名探偵〉のそれですが、最後に彼を見舞う理不尽な 悲劇もまた、〈名探偵〉が甘受しなければならない不可避の運命といえると思います。 | ||||
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推理小説としてもきちんと楽しめますが、ギリシアの政治、哲学に若干でも興味があったほうがずっと楽しめます。 私は古代ギリシアについては、各分野の本をつまみ読みしている程度できちんとした体形だった勉強をしているわけではないですが、この本は単なる舞台として利用しているだけでなく、なぜ古代ギリシアにあのような民主政治、悲喜劇、哲学が生じたのかというつながりがすっと腹に落ちます。 | ||||
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推理小説としてもきちんと楽しめますが、ギリシアの政治、哲学に若干でも興味があったほうがずっと楽しめます。 私は古代ギリシアについては、各分野の本をつまみ読みしている程度できちんとした体形だった勉強をしているわけではないですが、この本は単なる舞台として利用しているだけでなく、なぜ古代ギリシアにあのような民主政治、悲喜劇、哲学が生じたのかというつながりがすっと腹に落ちます。 | ||||
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なんというミステリー。 知り合いに紹介され、山月記を題材にした虎と月 (ミステリーYA!)を読んで興味を持った。この著者の本は2冊目である。「虎と月」は10代向けだったが、こちらは大人向けだ。ギリシャを舞台にソクラテスとクリトンが奇妙な殺人事件を追いかける。 ロゴスにより世界を探求するソクラテスと、一般の読者と同様の反応と行動をするクリトンの2人は、まさにホームズとワトソン博士のパロディだ。 ソクラテスの語るアキレスと亀のパラドクスに無限の夢を仕込ませる小憎らしさ。ウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」を思わせる不思議な教団と数の神秘。塩野七生の3都市物語のように実在の物語にフィクションを差し込む手際の良さ。そして、それほど困難を伴わずにギリシャ時代のアテナイに入り込ませ、謎解きに熱中させる手腕が光る。 そしてこの謎解きの結果として、ソクラテスは我々が伝え聞くソクラテスになり、「汝自身を知れ」とアテナイ中の演説家を論破し自ら毒を仰ぐ。ソクラテスの弁明さえもこの謎解きの後日談になる、不思議な世界へようこそ。 | ||||
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すごく、面白かった。今まで読んだ彼の作品の中でも一番面白かった。 ミステリーとしても面白かったが、それ以上に、哲学、思想史の話としてもすごく読ませる本だ。 もちろん、ソクラテスを主人公としたフィクションではあるけど、当時のアテナイが現代の日本やアメリカ(いわゆる民主主義国家)とダブってきて、ラストでソクラテスがアテナイに対して鳴らした警鐘が、そのまま、私たちに突き付けられているような気がした。 デモクラシーって、きっと昔から変わっていないんだろうなぁ。人類の叡智が生み出したものなんだろうけど、維持することってすごく難しい。それは、ギリシア時代も今も変わらない。 作中の 「世界はただそれを認識するだけで事足りるのではない。それは子供でもできることだ。われわれギリシア民族に今必要なのは、むしろそこから抜け出すことなのだ・・・」 というソクラテスのことばは、深い。 | ||||
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アテナイで起こった連続殺人を含む怪事件の真相を、哲学者ソクラテスが解くという歴史推理物。 古代ギリシアの社会、風俗、思想などが丁寧に織り込まれ、ピュタゴラス、アリストパネス、プラトンなどおなじみの名前も登場します。 ただし、本格推理というよりは話を楽しむという本ですね。 | ||||
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アテナイで起こった連続殺人を含む怪事件の真相を、哲学者ソクラテスが解くという歴史推理物。 古代ギリシアの社会、風俗、思想などが丁寧に織り込まれ、ピュタゴラス、アリストパネス、プラトンなどおなじみの名前も登場します。 ただし、本格推理というよりは話を楽しむという本ですね。 | ||||
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作者の希望通り、本書と『パルテノン』を併せ呼んだ。現在出版されている当著者の本はこれで全部読んだことになる。全6冊の中ではこの2冊が最も印象に残った。ソクラテスは、高校の授業で習うように議論で相手を打ち負かし、それで市民の反感を買って死刑になるわけだが、そうなるまでの彼の心理の動きなどがよく描かれており、また当時のギリシャの民主主義(=直接民主主義)の雰囲気、問題点などが実に巧みに描かれている。 私は現在の日本で見られるさまざまな間接民主主義の弊害ともいえる族議員の存在などを知るにつけ、インターネットのインフラが整いつつある現在、インターネットを利用した直接民主主義を採択するのも我々の選択肢の一つとしてよいのではないだろうかと考えていたが、本書、および『パルテノン』を読んで、その考えを改めた。 | ||||
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作者の希望通り、本書と『パルテノン』を併せ呼んだ。現在出版されている当著者の本はこれで全部読んだことになる。全6冊の中ではこの2冊が最も印象に残った。ソクラテスは、高校の授業で習うように議論で相手を打ち負かし、それで市民の反感を買って死刑になるわけだが、そうなるまでの彼の心理の動きなどがよく描かれており、また当時のギリシャの民主主義(=直接民主主義)の雰囲気、問題点などが実に巧みに描かれている。 私は現在の日本で見られるさまざまな間接民主主義の弊害ともいえる族議員の存在などを知るにつけ、インターネットのインフラが整いつつある現在、インターネットを利用した直接民主主義を採択するのも我々の選択肢の一つとしてよいのではないだろうかと考えていたが、本書、および『パルテノン』を読んで、その考えを改めた。 | ||||
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