贋作『坊っちゃん』殺人事件



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贋作『坊っちゃん』殺人事件 (集英社文庫)

2005年03月17日 贋作『坊っちゃん』殺人事件 (集英社文庫)

「坊っちゃん」の裏に浮かぶもう一つの物語。 東京に帰った「坊っちゃん」は、山嵐に赤シャツの自殺を知らされ、再び松山へ。そしてもう一つの物語が明らかになる。漱石の作品世界を再構築した物語。第12回朝日新人文学賞受賞作。(解説・三浦雅士) (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.33pt

贋作『坊っちゃん』殺人事件の総合評価:8.61/10点レビュー 23件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(7pt)

夏目漱石の『坊っちゃん』を読み返せば2倍楽しめる?

日本の文豪、夏目漱石の書いた超有名作である『坊っちゃん』の世界観と登場人物をそのままに、あの親譲りの無鉄砲でいつも損ばかりしている「坊っちゃん」が探偵役となり、殺人事件を解決するというユニークな作品。

まずなんと言っても感心するのは、夏目漱石の『坊っちゃん』の文体をそのまま再現していること、そして主役の坊っちゃんをはじめ、登場人物の言動も完全に再現されており、まるで『坊っちゃん』の続編のようで、まさにこれは”贋作”なのだと感じました。

また20世紀初頭という時代背景を上手く実際に『坊っちゃん』の作中で起きた事件とも絡め、作中で新たに起こる殺人事件に絡めて行く手法も見事で、社会派ミステリとしての側面も持っています。(その反面肝心の殺人事件に関するトリックや犯人当てには少し物足りなさや、強引さを感じましたが)

またこの作品を読んで改めて感じたのは、夏目漱石の作品の中でも特に『坊っちゃん』という作品が大衆受けしたのは、この「坊っちゃん」の無鉄砲で喧嘩っぱやく、しかし一本気なキャラクターが非常に主人公的な魅力に溢れ、好まれるからだと言う事です。
『坊っちゃん』が発表されてから、日本は二つの世界大戦を経て、世の中の多くの価値観が大きく変動したにも関わらず、大衆に好かれるキャラクターというのは平成も終わろうとしている今日においても変わらないというのが面白いと思いました。

こんなふうに言いながら私はこの作品を読む前に元ネタの『坊っちゃん』がどんな話だったかは殆ど忘れていたのですが、思い出しながら、あるいは完全に未読でも楽しめる。あるいはこちらを読み終えてから改めて『坊っちゃん』を読み直しても楽しめる。もちろん、事前に『坊っちゃん』をしっかり読んでいても楽しめる。いずれにせよ夏目漱石の『坊っちゃん』を読めば2倍(2回)楽しめる作品ということです。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:
(7pt)

贋作『坊っちゃん』殺人事件の感想

先日「坊ちゃん」を読んだので、内容忘れないうちに本作を続けて読了。前半は文章といい、登場人物の行動といい、まんま続編を読んでいるかの様に楽しめました。中盤から後半はミステリー色が濃くなりますが、段々つじつま合わせが苦しくなったかな?。しかしながら、本家をかなり気に入った私としては、あの世界にもう一度帰れた気分だけで、かなり満足しました。ただミステリーとしては、ラストはあまり好みじゃ無いねぇ。途中の伏線も、回収仕切ったかどうか微妙だし。いっその事ミステリーにせず、作者には「続坊ちゃん」書いて欲しいなぁ。

なおひろ
R1UV05YV
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

贋作『坊っちゃん』殺人事件の感想

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
性根が真っ直ぐで血気盛んな根っからの江戸っ子、坊ちゃん。
彼は東京の物理学校卒業後、四国は松山に新任教師として赴任することとなる。
田舎社会の閉塞感、学校教員間の人間関係、生徒による悪戯。
坊ちゃんは単純に惑わされたり、辟易したりしつつ、持ち前の気質で真正面から不器用に向き合う。
最後は山嵐と共に卑怯な赤シャツと野太鼓を天誅よろしく撲り、教師を辞して東京へ戻る。
その後、坊ちゃんは東京で街鉄の技師となる。
それから三年。
社会は日露講和条約について対立論争したり、身近では自身を可愛がってくれた下女の清が亡くなったり。
周りの変化はあったが、坊ちゃん自身は自分を変えることなく働いていた。
そんな中、炭坑で働いていたらしい山嵐が訪ねてくる。
何と赤シャツが自殺したという。
赤シャツは卑怯で悪びれない輩で、到底自殺するタイプとは思えない。
赤シャツは誰かに殺されたのではないか。
真相を探るため、二人は四国松山へ赴く。
しかし、真相を探るうち、ある疑問が生じる。
三年前の様々な出来事の、自身の認識と事実は異なるのではないか。
赤シャツの死の真相は。
坊ちゃんと四国松山の地でいったい何が起きていたのか―・・・
という展開です。

原作の雰囲気、文体、登場人物の特性をよく掴んでいます。
まるで原作の続編のようで、違和感がありません。
坊ちゃんの心境や登場人物の言い回しなど、「そうそうこんな感じ!」と思いました。
真相を探る過程で度々三年前の出来事が関わってきます。
原作でもひとつの騒動として大きく取り上げているものもあれば、原作ではサラッと読み飛ばすような些細な箇所もあます。
「あぁ、こんなのあった!」「おぉ、こう繋げるか!」と感心しました。
原作の別解釈、そして思いもよらぬ世界観の広がり。
「坊ちゃん」をこう読めるとはという驚きと新鮮さがありました。
また、柳広司氏が夏目漱石も「坊ちゃん」という作品も好きで、原作を読み込み敬意を示しながら執筆したのだろうなと感じました。

解説では原作未読でも楽しめる一冊と書かれています。
しかし、私的には既読向けだと思いました。
確かに登場人物や三年前の出来事の説明はありますが、短編ですし、説明くさくならないようサラッと最低限に留められている気がしました。
そのため、原作を読んでいないと、どうしてそう名付けたか、どうしてそう思ったのかといった空気や流れまではわかりにくいです。
原作既読だからこそ楽しめる箇所が多く感じました。
原作では些細な箇所を取り上げている際などは、既読の場合「こんな処をこう取り上げるか!」と楽しめますが、未読の場合サラッと流してしまうのではないでしょうか。
文体も原作らしさを十二分に残しているため、古めかしいとも言えます。
坊ちゃんの江戸っ子気質や当時の田舎への偏見も好みがあると思います。
既読の場合その辺りは承知の上で楽しめるでしょうが、未読で更にミステリを求めている人には読みにくい上とっつきにくいかもしれません。
勿論、原作未読で本作を読んだ訳ではないので一概には言えないのですが。

また、ミステリとしては後半少し急展開で駆け足気味だと思いました。
ネタバレになってしまうのであまり書けませんが、田舎松山から大きく広げた風呂敷のたたみ方が急で、「えっ、それでその後は」といった感じでした。
トリックもないわけではないですが、メインは原作のオマージュや世界観の新解釈にあると思います。
既読の場合、既読故に犯人の予想がついてしまいますし、未読でミステリを求めた人にはニーズに合いにくいかもしれません。

ミステリを楽しんだというより、「坊ちゃん」の別の見方を楽しんだ一冊でした。
既読だからこそ高評価ですが、未読だったら普通評価かもしれません。
解説にある通り、未読だからこそ楽しめる箇所もあるのかもしれませんが、既読だからこそ、「ここがこう繋がるのか」の連続で面白かったです。
あと、四国松山を田舎と称していますが、原作準拠ということで、申し訳ありません。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.20:
(4pt)

面白かった

名作坊ちゃんの隣の推理小説。
名作の読み方を教わったような。
新しい世界を体験させてもらったような。

かつ、史実にも寄り添っているので、
リアルさが増しているとも思いました。

いいと思います
贋作『坊っちゃん』殺人事件Amazon書評・レビュー:贋作『坊っちゃん』殺人事件より
4022576707
No.19:
(3pt)

羊頭狗肉の坊っちゃん...でも面白いヨ

震災復興をでっち上げ、ぼったくり男爵とあだなされる会長に乗って、日本政府も東京
オリンピックを強行。1年経って、汚職まみれで紛糾続きの国。

その東京オリンピックの街を脱出して、関西のK市に猫を連れて移住した、正義漢感の著者。
そのままでずっと居られたら好かったけれど、k市も地方国家。読みが甘かったかもね。

なるほど、現代のぼっちゃん。やることは漱石の『坊ちゃん』と似ている。改めて喝采。

しかし猫好きのくせに、猫の心知らず。猫が可哀そうだな。でも猫も現代の坊っちゃんを
とうに見抜いているか。
贋作『坊っちゃん』殺人事件Amazon書評・レビュー:贋作『坊っちゃん』殺人事件より
4022576707
No.18:
(4pt)

凝っている!

夏目漱石『坊ちゃん』のその後を描いた、何と!ミステリ。オマージュと言っても良いたろう。

本作品を読んで、慌てて『坊ちゃん』を読み返した次第。それ程、巧に本家の世界観をなぞっているのである。本家を再読したくなるくらいに優れている。

教職を辞し東京に戻ったおれが、赤シャツの死の真相を探るべく山嵐とともに再び四国へ。冒頭から、ぐっとくるではないか!

坊ちゃんが名探偵さながらに、赤シャツ事件の謎を解くという展開。本作品は、本家のエピソードに違う意味を与え、真相を解明していく。う~ん、凝っている。
贋作『坊っちゃん』殺人事件Amazon書評・レビュー:贋作『坊っちゃん』殺人事件より
4022576707
No.17:
(5pt)

『坊っちゃん』の青春の終わり、切ない読後感

文豪夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の驚きの真相(?)を解き明かす、裏・『坊っちゃん』であります。
原典の年代設定を発表前年に置いて、作中の出来事を、日露戦争、自由民権運動、社会主義者の弾圧等々、当時の世相をもとに再解釈を試みる発想が凄い。他のどの作品にもまして、この作者、天才なのか、アタマがおかしいのかと驚嘆させられること請け合いです。
ユーモアたっぷりに描かれる坊っちゃんの迷探偵ぶりが、後半になると一転、重量級の社会派歴史推理の趣きに。原典から全てがひっくり返された物語の中で、ただ一つ、坊っちゃんという破天荒のキャラクターだけは揺るがない。
原典が新人教師の青春の一幕とするなら、こちらは青春の終わりといった印象で切ない読後感が残ります。
贋作『坊っちゃん』殺人事件Amazon書評・レビュー:贋作『坊っちゃん』殺人事件より
4022576707
No.16:
(2pt)

形態模写としては良くできているが

ジョーカーゲーム、トーキョープリズン、新世界に続いての購読です。
読後の感想として、形態模写としてはよく出来ているが、ストーリー、思想、推理小説としての完成度は低いと感じました。
まず、ストーリーに関してですが、物語中盤にご存知の人物たちの思いがけない過去や元祖坊っちゃんでの真相が明らかになるわけですが、
辻褄合わせとして矛盾がないものの、元祖で確立した各人物象が深まるどころか薄れてゆき、小説としての面白みがないように感じました。
また、他の作品でも散見する天皇制、共産主義の不備、熱狂的に戦争に突入していく国民性に対しての批判と警告は深みがなく、
物語のスパイスになるどころか、余剰効果とさえ感じます。
大詰めでは、思いも掛けない人物が真犯人として登場し、一部謎解きされるものの唸るほどのトリックでもなく、
物語としては突然、半ば強引に幕を閉じるかたちになり、読後、作者がこの作品に託したメッセージを感じ取ることができませんでした。
本作を作者の傑作と耳にすることがありますが、私の感想としては、本作はあくまで初期の作品であり、冒頭で示した作品の逆順で執筆、
作家として成長してゆき、ジョーカーゲームでようやく小説としての完成度が得られたのではないかと思います。
なので、ジョーカーゲームを読まれた方にとっては、他の作品で、それ以上の読後感を得るのは難しいと思います。
贋作『坊っちゃん』殺人事件Amazon書評・レビュー:贋作『坊っちゃん』殺人事件より
4022576707



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