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女王国の城
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女王国の城の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
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からくも城を脱出した織田とマリア、そして望月。しかし健闘むなくし織田と望月はつかまる。ひとり逃げ続けながらも打開策をさぐり、闘い続けることを決意するマリア。 一方城の中でも江神たちの真相を追う闘いが繰り広げられる。捨て身かつ起死回生を期した行動に出た江神とアリス。 城のうちそとに分かれ闘いつづけた彼ら3人が、想像もしないところで再会する。 江神先輩のことば、アリスの握手に思わず涙。。。 | ||||
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前作「双頭の悪魔」から15年ぶりの江神二郎シリーズ。 私は前作を読んだのは5年くらい前ですが、其れでもなお魅力的な登場人物に魅せられ、文庫化を非常に待ち焦がれていた。 待ち焦がれているうちに、江神さんより私の方が先に大学を卒業してしまった(滅)。 先ず、最初に注目するのはこの本の分厚さである。物凄い力の入れようであり、文庫化して上下巻に分かれても凄い分厚さを誇る。。 そしてその長大な全編の中に、一つのパズルの如く「真実」へのピースが方々にちりばめられており、その一つ一つを拾いながら、推論を重ねて行く事によって唯一人の真犯人へと辿り着く事が出来る構成になっている。その為、パズラー系ミステリ小説の一つの極致ともいえる作品とも言えるだろう。 本書は、犯人に辿り着くまでの推論過程に目立った理論の飛躍は無く、間違いなくフェアネスに則った作品であるが、その話の長大さに比例して導き出される「真実」への壁は厚くその道のりは辛く険しい。「読者への挑戦状」を受け真摯に推理しようと思ったら、おそらく普通の読者は出口も見えずにこの知の迷宮に永遠に閉じ込めらるだろう。 その為、推理部分に関しては、良くも悪くも、エラリー・クイーンを愛する著者が、著者と同じ志を持つ自身の往年のファン向け(即ち偏執的な……否、変態的なパズラー向け)に創られた作品だと感じた。 その為、この部分に関して本書は決して万人向けの小説では無く、好みは分かれるかも知れない。 シリーズを通した物語面では、著者は後書きとして、残りは短編となる過去編を挟み、(何時なるか分からないし、確約できないが)最終作となる長編をあと一作描き上げるそうです。 また今回、本編で江神部長が何故大学に残り続けるかが明らかになり、その結果凄まじい「死亡フラグ」を立ててしまったので、早々に最終巻が気になってしまった(汗)。 | ||||
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3作目から実に15年7ヶ月ぶりに書かれた本作。 そして待望の文庫化。 とても面白く読むことが出来ました。 しかし、問題は作品が長編のあまり文庫化では2巻になってしまったこと。 なぜなら、1巻目は比較的ゆっくりと話(時間)が過ぎて行くからです。 なので1巻で読むのを止められてしまう可能性もあるかも? まあ、ファンならそんなことはないか! とにかく、2巻続けて一気読みしてください。 物語のラストに垣間見れる○○(あえて伏せます。)が良い。 次回作への伏線?と勘ぐってしまうぐらいです。 ちなみに、次回作が長編では最終巻になる予定だそうです。 待った甲斐があった。 個人的には星5つです。 | ||||
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江神シリーズの最高傑作。 過去同じ村で起こった事件と現在の事件が並行して 描かれていく。 ネタバレになるので詳しく書けないが、それらが解決 されたときに事件の構図が明らかになり、 同時に犯人限定につながっていくプロットは 本当にスリリングで見事としか言いようがない。 私はすれっからしのミステリ読者だが久しぶりに少し身震いした。 その構図の妙は全3作をはるかに凌いでいる。 新本格を引っ張ってきた著者の底力を感じる大傑作。 | ||||
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11年前の事件で使われた拳銃を媒介に、過去 と現在が鮮やかに結びつく趣向が美しい本作。 不明だった犯行時刻を絞り込むことで、容疑者のアリバイを崩すのではなく、 凶器の入手経路を特定するというロジックの展開の強度と切れ味は抜群です。 また、犯人が死体にほどこした偽装が、アリバイ工作のためではなく、 切実ながら歪な動機に基づくものであったところなども見逃せません。 真相究明後、〈人類協会〉が事件を警察に通報しなかった理由 や江神が〈城〉を訪れた目的などもきちんと明かされ、大団円へ。 個人的には大満足でしたが、次作の発表が何年後になるのかだけが気がかりですねw | ||||
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待ちに待った、というよりは半ばあきらめていたシリーズ4作目です。 15年ぶりということで、その間に流れた時間を作中では流れていないことにするための記述がちょっと不自然に感じられてしまいました。 あちこちで「これは15年前の設定ですよ」と念押しされているようで…。 あとは、UFOや宇宙人の話が私には多すぎました。大脱走とかくれんぼも長いような。 このあたり、筆がのりすぎているように思いました。 トリックに関してはいろいろ指摘もありそうですが、容疑者を並べて犯人をあぶりだすシーンはシリーズ初で(月光ゲームとは探偵のスタンスが違います)、どきどきしながら楽しめました。 また、クローズドサークルになった理由がかなり新しくて驚かされました。異論もありましょうが、「理由」としてはすっきりと気持ちいいほど直球だと思います。 | ||||
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「月光ゲーム」、「孤島パズル」、そして「双頭の悪魔」に続く江上シリーズ長編である。なんと前作から15年ぶりとのこと。 UFOを信じる新興宗教団体の本部が舞台ということで、読み始める前はちょっと嫌な感じもしていた。宗教団体が反社会的な陰謀を企てていて、なんていう、ありがちなストーリじゃないだろうなっていう。 しかし、それは杞憂だった。 11年前に同じ村で発生した拳銃自殺事件と‘現在’の新興宗教の本部で連続殺人、事件を警察に連絡せず、あまつさえ江上たちを軟禁する教団の意図は…? クライマックスでは本格推理小説の顰にならった読者への挑戦の後、数々の謎が名探偵江上二郎の推理によって合理的に解明されていく。著者らしい精緻なロジックの組み立てにより生み出される「カオス」が「秩序」へと収束していくカタルシス…。そういうものを十分に感じることが出来た。 全ての謎が明らかになると、宗教団体の本部が舞台ということさえも作者の周到な計算であったことが納得できる。 後書きによると、江上シリーズは後1本長編を発表する予定との事。楽しみだが、また15年待つのは勘弁して欲しい、いや、ホントに。 | ||||
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大学に姿を見せない江神の後を追って「神倉」にやってきたアリス、麻里亜、織田、望月の英都大学推理小説研究会の面々。そこは、宇宙人との邂逅を信じる新興宗教「人類協会」の本拠地であり、苦労の末、4人は江神と協会総本部で再会を果たす。ところが、そこで思いがけず殺人事件に遭遇。しかし、なぜか協会は警察への連絡を拒否、江神らを半ば幽閉してしまう。決死の脱出と真相解明を試みる5人だが、続いて第2、第3の殺人が…。 推理の中心は一種のアリバイ崩しなのだが、ポイントはむしろ犯行手段のそれにあり、作者がこの作品を書くまでに前作から15年の歳月が経過したことは無意味ではなかったと思わせるもの。ただし、この「トリック」以外は、本格ずれした人たちには平凡若しくは無理があると映るかもしれない。 さらに、教団が自らをクローズドサークル化した理由も別の謎解きとなっているが、その種明かしと結末にはややご都合主義の感も否めない。 学生アリスシリーズ特徴の青春小説的味わいについては、作者がなんら違和感なく登場人物を造形したそうだが、前作「双頭の悪魔」と比べても、一層現実感が薄まってしまったような気がする。青春の孤独や、社会に出ることへの不安らしきものを描こうという意欲はわかるのだが、文章の巧みさや用語の難解さが増した分、作者の感性がそろそろアリス達のそれから遠ざかってきている感じがしなくもない。 しかし、この小説の白眉は何といっても、帯にも引用されている読者への挑戦のこの科白、 「本格ミステリとは〈最善を尽くした探偵〉の記録だ。江神二郎の推理こそ、この物語を完結させる唯一の解答である。……論理の糸の一端は読者の眼前にあり、それを手繰った先に、犯人は独りで立っている。作者が求める解答は、その名前と推理の過程だ。」 これにはしびれた。 | ||||
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15年ぶりに書かれた江神シリーズの4作目。 サークルのメンバーに何も言わずに新興宗教「人類協会」の聖地である神倉に行ってしまった江神を案じたアリスたちは神倉を訪れるが、そこで発生した殺人事件で人類協会の「城」に閉じ込められてしまう。 警察への連絡も、外界との接触も閉ざされてしまうアリス達。人類協会はどうして「犯罪の露見」を恐れるのか? まずは、火村シリーズよりも江神シリーズの方が好きなので、この新作は本当に嬉しかったです。宗教都市と、その本部である城をつかった閉鎖空間という舞台設定は魅力的で、どうして「警察への連絡を拒むのか」という謎の中で起こった殺人事件を論理的に解決していきます。 その大きな謎は最後に解決するのですが、ちょっとあっさりと書かれていてもったいないなぁと思ってしまいました。この仕組みは結構好きなんですけどね。 江神さんがどうして神倉を訪れたのかといった小さな謎まできちんと解決して、甘酸っぱいマリアとの恋も描かれており、やっぱり魅力的なシリーズです。 | ||||
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故あって発売からしばらく未読でしたが、やっと読むことができました。 警察力の介入を拒むクローズドサークルを成立させた理由や、学生アリスシリーズに共通した『パズルのピースが組み合わさる爽快さ』には楽しませてもらいました。 アリスとは偶然同い年なのですが、無茶や馬鹿ばかりやっていた学生時代が懐かしく思い出され、青春小説としても一級品でした。 ただ、銃器に関する初歩的なミスが散見されましたので、その辺りは文庫化の際にでも直していただきたいですね。 | ||||
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前作より15年ぶりの江神シリーズ。 うれしくて、でももったいなくて、なめるようにして読みました。 相変わらず面白かった! 大学に姿を見せない江神部長の身を案じて、捜索に乗り出す推理小説研究会御一行。 どうやら江神は、急成長のしている宗教団体<人類協会>の聖地、神倉に向かったらしい。 <城>と呼ばれる総本部に江神がいることは確認できたものの、なかなか彼に会うことができないアリスたち。 だが一度城にはいってしまうと、今度は… 殺人事件とその真相自体は「そんなんありか!」といった感じだったのですが、急成長している新興宗教とアリスたちとのやり合いや、途中の脱走劇なんかがスリリングでおもしろかったです。 随所に入る、アリスやマリアのUFO談議やミステリ談義なんかも、懐かしさに頬がゆるんでしまいます。 本命の事件だけではなく、江神さんが神倉に赴いた理由、人類協会が警察を呼ばなかった理由、など、小さな謎がきちっと解明されるところが、本当に気持ちいい。 長い小説ですが、表現のひとつひとつがパズルのようでした。 大好きな作家です。 | ||||
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江上シリーズ第4長編。 英都大学推理小説研究会の部長、江上は急成長中の新興宗教、人類協会の聖地のある神倉へと向かう痕跡を残し、部員達の前から姿を消す。 部長の身を案じる部員達は、その姿を追い、神倉、そして人類協会の施設へと入る。 無事、部長と再開を果たすのも束の間、殺人事件に巻き込まれていく。 今回は、新興宗教の施設内が舞台。クローズドサークルの設定にも余念がなく、謎も丁寧に解かれていっております。 前回の「双頭の悪魔」の時は読んでいる途中、暗い雰囲気を感じていたが(でも傑作)、今回は殺人事件を扱いながらもそれほど暗い雰囲気を感じませんでした。 施設から脱出をはかるところなど、楽しく読めました。 | ||||
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前作「双頭の悪魔」から15年7ヶ月!待望の江神シリーズ第4長編は期待を裏切らないおもしろさでした。 読者の挑戦までの440ページは殺人事件がおこる舞台としては比較的ゆるやかな展開。 ライトな宗教団体の閉鎖された村と城から脱出を試みる登場人物達も子供の鬼ごっこやかくれんぼのようで差し迫った緊迫感は少ないです。 マリアやアリスの青春小説としての切なさも随所にちりばめられ一気に読んでしまいます。 しかしラスト60ページの解決で小説のテンションは一気に上昇。このゆるやかな流れから終盤加速する構成が見事。 それまでのほのぼのとしたムードを一変させる変転と、まさに混沌に秩序をもたらす名探偵江神の見事なロジック、気づかされる閉鎖空間を覆う大きな謎。 実に切れ味ある解決になっています。 あとがきを読むとこのシリーズはあと1冊の長編と1〜2冊の短編で完結のようです。 愛着のある5人の最後の活躍も早く読めればと思います。 | ||||
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有栖川氏の学生シリーズには「読者への挑戦」が挿入されている。 これをただ形式的にだけとらえ先を読み進めてしまった人々には、 氏の小説の面白みは半減しているかもしれない。 だが、「読者への挑戦」を真に受けて、もしくはそれ以前のどこかにおいて、 本を閉じてバカ正直にも謎を解こうと挑戦した人間ならば、 この小説がいかに解けそうで解けない微妙なラインに構成された物語なのかが分かり慄然とするだろう。 手が届きそうで届かない。解けそうで解けない謎に身悶える。 学校のテストに例えるなら、これは本当に『いい問題』なのだ。 女王国の城では特にそれが顕著であった。 この本を読んだ何千何万という人間の果たして何人がこの真相に肉薄できただろうか。 そう考えると筆者のさじ加減のうまさには舌を巻くばかりだ。 トリックありきで宗教都市を舞台に設定した手法は綾辻的ともいえるが 内容は有栖川氏らしいロジカルな魅力にあふれていた。 江神やアリスや望月等のキャラクターに何の興味を持たない人でも十分に楽しめる。 彼の作品の妙味は青春活劇でなくやはりそのプロットにあるからだ。 学生シリーズ以外には駄作が多いがこれは太鼓判をおせる一冊だった。 | ||||
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こういう人多いと思いますが、私としては英都大学推理小説研究会の面々(部長・信長・モチさん・アリス・マリア)の大ファンなので彼らが活躍する話ってだけでもう大変面白く読み進める事ができました! 推理小説って物を読みなれない私が新刊発売の嬉しさ(またEMCのメンバーに会える)のあまり、厚い本をヴァーーっと読んでしまったため正直細かいところがよくわからずもう一度、落ち着いて読み返す必要がありますが、やはり彼らとともに過ごした時間はとっても充実した楽しい時間でした! 一読しただけで申し訳ないのですがEMC以外の人々の個性がちょっと薄いような感じがしました。双頭のキャラ(木更村の面々)が濃かった為、そう感じてしまったのかな?とも思えますがどうなのでしょう。 長編5作で完結!!と書いているので今から次回作を楽しみに待ちたいと思います。やはりどうしても気になってしまうのはアリスとマリアの関係なんですけれども!! | ||||
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何年ぶりでしょうか。 有栖川有栖のEMCシリーズ。 第4弾。 待望の、というか、 もう続きは出ないものかと思ってました しかしながら、 待たされた時間の分だけ、 その価値があったように思います。 たくさんの“謎”をちりばめ、 最後の、最後まで、 その謎を徹底的に回答してくれました。 読みながら、 「あれはどうなった?」 って気になることが、 きちんと解消されていく。 動機に弱さを感じましたので、 星を一つ減らした感じ。 それと、 今回はドラマよりも、 “謎”に心血が注がれた感じ。 まさに本格ミステリーの王道。 連続殺人、 密室殺人、 陸の孤島、 などなど、ミステリーには欠かせない、 あらゆる要素を含んだ作品でした。 謎の失踪をした部長を追いかけて、 信州の山深い新興宗教が支配する村を訪れるEMC。 半ば閉鎖された村で、 思いがけない事態に遭遇。 独立した作品としても楽しめるし、 前3作を読んでいれば、 かなり楽しめます。 | ||||
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前作から15年余りもの年月を経て上梓された待望の学生アリスシリーズ最新作。 アクション活劇の要素もあり、なかなか楽しく読む事ができました。 物語の主軸となる新興宗教や、その拠点となる舞台の説明に当てられた序盤はやや退屈ですが、一旦事件が起こると、グイグイと引き込まれてしまいます。 待っただけの甲斐はありました。 | ||||
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学生アリスの新作が出た、と聞いて「マジ!?」と思った人なら、買うべきです。500ページ2段組のボリュームも過不足なく、素直に面白い、といえます。 ちょっとスマートで、センチメンタルで、ペダンティックで、かなりロジカルな本格ミステリが好きならば是非お読みください。 気になったのは、ふりがなの基準が不明なこと。読める漢字にはふりがながしてあって、読めない漢字にはふりがながしてありません!「当然これくらいの漢字は読めるでしょう」という読者への挑戦なのでしょうか?どういう意図があるのかわかりませんが、リーダビリティが低下している要因と感じました。バブル云々の記述が不自然かつ不要なこととあわせて私には星1つ分マイナス要因となりました。(漢字は得意なほうです。念のため。) しかし、こういう端正な本格ミステリの新刊が出ると本当に嬉しいものです。贅沢な読後感を頂戴しました。 | ||||
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“’90年代を代表する本格ミステリー”といわれた傑作『双頭の悪魔』から15年7ヵ月、待ちに待った有栖川有栖の正統派本格ミステリー<江神二郎・学生アリス>シリーズの新作である。 「鎖国」された新興宗教の総本山、その中に迷い込んだアリスたち、そしてそのクローズドサークルの中で起こる連続殺人事件、まったくのアウェイで不利な立場・条件の下で推理を余儀なくされる江神部長、そして関係者全員を集めての推理の披露と真犯人の指摘。本格ミステリーのお約束(コード)をふんだんに取り入れて構築されたストーリーは、マニアには応えられないものに出来上がっている。とりわけ「城」を「鎖国」しなければならなかった教団のシチュエーションは良くできている。時代設定もバブルがはじける直前の1990年としているが、作者と同年代の私は違和感なく入り込むことができた。 「あとがき」によると、このシリーズは、長編は次の5作目でフィナーレを迎えるとのことだが、ファンとしては江神・学生アリスたちの冒険譚をもっともっと読み続けてゆきたいところである。 | ||||
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本格ミステリのレビューですので本来理論的に構築されているべきなのでしょうが、それは他の方にお任せします。作中では前作の事件からまだわずかに一年しか経っていません。望月織田コンビは就活の時期に入って彼等なりに焦っています。アリスとマリアは推理研究会の中堅となって後輩をバリバリとしごいて…とはいかずどうやらその後入部した人はいないようです。江神は除籍か卒業かの瀬戸際にふいといなくなってしまいます。作者と読者の私の上には十五年という決して短くはない年月が流れました。そこに起きたさまざまな事が頭と心に降り積もっています。作者はさり気なく書き込んではいますが、当時であれば書く必要はなかったのではと思われる記述もあります。そのわずかな気遣いが、時代とは無縁に思われたこのシリーズに微かな違和感を残しているように思うのです。研究会のメンバーは今回も大活躍の大暴れですが、少し格好良すぎてしまう気もしました。それでも再会には感動せずにはいられませんでした。さあ事件の開幕です。眠れない夜をお過ごしください。 | ||||
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