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女王国の城
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女王国の城の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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信仰団体「人類協会」の敷地内で起きた3つの連続殺人事件。その11年前に同じ村で起きた密室殺人事件、容疑者失踪事件との関連性。協会が警察の介入を拒む理由、江神が協会を訪れた理由などの謎もあり、拘束された推理小説研究会メンバーの脱走劇もあって、なかなかの力作である。しかし、ミステリーの内容の割には、長すぎるというのが正直な感想。 ロジックを売り物にしている作者だが、本作品での江神の真相説明は仮説にすぎず、必然性がなくて説得力に乏しい。特に11年前の密室の真相は拍子抜けもいいところ。記述内容だけでは、真相通りにできたのかどうか、読者には判断できず、推理できない。 拳銃を協会敷地内に持ち込んだ方法も、あまりにも偶然的要素が強く、何だかなあと感じた。 動機も理解しがたく、こんなことをする必要があったのかと疑問に感じる。 (ネタバレ) ・犯人は花火の打ち上げ時刻に合わせて、拳銃を発射して、犯行時刻の偽装をしているが、花火の打ち上げに合わせて拳銃を発射することは極めて難しいと思う。 ・拳銃を協会敷地内に持ち込んだ方法は、「聖洞」の特性をうまく使っていて面白いが、江神が指摘した以外の方法も考えられる。土肥の前に聖洞を監視していた丸尾であれば、聖洞の入口から投げ込んだ拳銃を取りに行く時間は十分にあるし、その様子を録画されているテープを除去するだけの十分な理由を持っている。丸尾は子母沢殺しに関してアリバイを持っているので、丸尾が土肥を殺したのであれば共犯になるが。そもそも、江神の推理は、共犯の可能性について、一切考えられていない。 | ||||
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有栖川氏の火村シリーズと並ぶ代表シリーズの江神二郎シリーズの長編で、このシリーズは読者への挑戦状付き正統派本格推理かつかなりの長編というのがお約束だが、本作も出版時はハードカバー2段組で500ページという凄まじい長さを誇る作品。 トリック自体は発想は凄いが、やはりこの事件背景にしては読んでいてどうにも長すぎる印象。半分の長さでも十分ではと思うほど、新興宗教絡みのサブエピソードが盛り込まれている。 正直コンパクトに内容がまとまっている火村シリーズと比べるとこの江神二郎シリーズはどれも有栖川氏の作品としてはイマイチな出来のものが多い。 | ||||
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なーるほど!そうだったのか!やられた〜!という場面なし。 散々引っ張った女王様に会えない理由って・・・え?そんな理由?と思ったし。 11年前の迷宮入り?した事件の真相も、そりゃ無茶だろっていう内容。 有栖川さんの本はこれが初めてだったけど、ちょっと期待はずれに終わりました。 量が多かったから読むのに時間がかかったが、報われなかった。残念。 | ||||
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有栖川を代表する江神シリーズと火村シリーズ。共に読者の人気を二分するシリーズだが、私は俄然、江神シリーズを推す。孤高の部長、少し毒舌なワトソン、漫才コンビ、そして、紅一点。このシュールなサークルが何といっても好きで堪らないのだ。 ミステリ本来の面白さに加えて、知的な文体ながらも、アリスに皮肉交じりに語らせるというのも、本シリーズの魅力の一つ(火村シリーズでもそれは同様だが、こちらの方が、キャラクターが若い分、より顕著なのだ)。 本作は前作「双頭の悪魔」より実に15年振りとなった、有栖川ファン一同、待ちに待ち焦がれた一作である。同じクローズドサークルでも、舞台が剣呑な宗教団体という、これまでにないシチュエーションになっている為、スリルも倍増。 協会内で相次ぐ殺人、何故か警察の介入を阻んでEMCを「城」に軟禁する協会といったきな臭さといい、EMCの掛け合いのコミカルさといい、シリーズの持ち味は相変わらずで、全く歳月の間断を感じさせない。それどころか、むしろ、過去作よりも格段にグレードアップを遂げている。 作中での一人称をアリスとマリアとの輪番にした構成もよい。マリアの「城」からの出奔劇の際の、アリスサイド、マリアサイド双方の心模様を余さず熟読玩味することができた。 冒険小説としては誠に快作。犯人の人物造形や動機の説得力にページがもっと割かれていれば、純然たるミステリとしても一級だった。これだけが悔やまれる点だ。 本格ファンでも、とりわけ、トリックよりはキャラクターとの一体感を味わいたいという人。本作はまさに、そんな読者にこそお誂え向きだろう。 | ||||
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江神シリーズは本当に久しぶり。楽しみにしていました。本の厚さに少しビビりました。それでも、タイトルに興味津々だったので、とにかく読んでみようと思った。なかなか読み進めなかったため、途中の『読者への挑戦』もどうでもよくなり、早く犯人を知ってすっきりしたいと思った。だが、犯人を知っても驚くこともなく、警察に知らせなかった理由がわかっても、そうだったのかと思うだけ。そこにたどり着く道程が長かったわりに、意外性は低い感じがした。待った甲斐があった、と言えないのが淋しい。前作が大好きだったから余計にそう思うのだろうか? | ||||
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上下二段組で500ページもある。さすがに長さに辟易して本を閉じるなんてことはなか ったが、それにしても副次的な事柄に割かれるページが多く散見され、これは意図的なのかハイレベルのミスリードなのかと裏読みしたりして正直疲れた。ミステリの結構についていえば、これはこのシリーズの特色なのだろうが、今回もクローズド・サークル物である。このシリーズを読んだ人ならもうおわかりだろうが、すべての作品がこのクローズド・サークルで成り立っている。今回は新興宗教団体の総本部である奇妙な『城』が舞台となっている。ここに我らが江神一行がまたまた閉じ込められ、連続殺人事件に巻き込まれてしまう。 クローズド・サークルは、名探偵のためにある舞台だ。警察の介入もなく科学的な捜査が入らない現場での犯行の特定には純粋な推理でしか太刀打ちできない。ゆえに、このシチュエーションは本格物では王道なのだ。今回も江神の推理は冴えわたる。これは個人的な意見なのだが、もともとぼくは犯行時刻における各人のアリバイなんていうものがあまり好きではない。物語中に挿入されるタイムテーブルなんて大嫌いなのだ。だから自然注目してしまうのは、どうしてそうなってしまったのか、なんていう消去法に基く推理や、みんなの目に映っていたものには実はこういう意味が隠されていたなんていうミスディレクション絡みのトリックなのである。今回この部分ではおおいに満足した。しかし、メインの部分でのトリックの根幹に少々不満が残った。ことさら作者はその部分を強調して描いているが、それでもやはりこの部分 には弱みが残る。未読の方もおられるだろうからあまり詳しくは書けないが、この部分は警察の介入があれば名探偵などいなくても事件は自然と解決していただろうと思わせる弱さがあるのだ。しかし、それをいってしまえばクローズド・サークル自体の構想が崩れ去ってしまうから、そこまで要求するのは作者にたいしても失礼なのかもしれない。だが、ロジックの構築において例え警察が介入していたとしても、おいそれと解明されないほどの完成度を要求したいのが、いちミステリファンとして切なる要望でもあるのだ。 とまあ結構好き勝手に書いてきたのだが、それでもやはりこのシリーズには愛着を感じる。次の第五作でこのシリーズは閉幕となるわけなのだが、いったいこの愛すべき面々にどんな運命が待ちうけているのかはやく知りたくもあり、知るのがこわいなんていう変なジレンマに陥っている。何年後になるのかわからないが、気長に待とうではないか。おそらく、作者が還暦を迎えるまでにはお目にかかれるだろうとは思っているのだが。 というわけで本書は概ね満足したが、少々不満も残った。読んだ人なら、みなわかってくれると思う。でもシリーズ自体が好きなので、読めたことはとてもうれしい。みんな、多分こういう感想なのではないだろうか。 | ||||
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