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闇に香る嘘
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闇に香る嘘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全50件 41~50 3/3ページ
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前回、前々回の乱歩賞作品について厳しい評価を書きましたが、 今回の受賞作は面白く読めました。 暴風雨に翻弄されるコンテナ船から降ろされた怪しげなコンテナ、 そこから出てきたのは……という冒頭のつかみ。 一転して、主人公が孫娘に腎臓移植をするため検査を受け、 移植できないと分かり、 岩手の実家を訪れ「兄」に検査を頼むが断られ、 それがきっかけとなって、「兄」に疑問をいだくようになり……という展開。 その「兄」にまつわる疑問解明を進める中で、主人公は何度も危機的な目に会うが、 そこに冒頭のコンテナ船の話がクロスしてくるという構成。 主人公宛に点字で記された14句俳句が送られてくるが、 それは何を意味するのかという謎。 これらに引っ張られて読み進むうちに、いくつかの疑問が湧いてきます。 それらについては、主人公の推理を通して一応の説明がなされるのですが、 何となく釈然としないものが残ります。 それが積み重なっていくうちに、終盤、思わず「あっそうか!」と言ってしまうような真相が明らかになります。 その瞬間、複数の疑問点にきれいに説明がつくという、ミステリー小説ならではの快感を味わえます。 盲目の主人公が語る構成もあって、全体的に緊張感のある記述が続き、 飽きさせることがありません。 多くの方が言うように、近年低迷が続いている乱歩賞作品とは水準が違う、優れた作品です。 ただ、「パクリ」だという指摘があります。 盲目の主人公と兄がからむところに共通点があるようですが、どこまで類似しているのか、 当レビュー子は指摘されている作品を未読なので、判断できません。 ここでは☆は下げませんが、本当に「パクリ」ならば、評価は大幅に下がります。 また、文章がやや大仰、途中の満州からの引き揚げに関する記述がやや冗長、 主人公を始めとする登場人物に感情移入できない、といった欠点があり、 手放しで持ち上げる訳にはいかないという面もあります。これらをまとめて☆一つ下げます。 総じて、「面白いから読んでみたら」と多くの人に勧められる水準の小説です。 | ||||
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サスペンス、伏線…どれも☆五つ以上です。久々に時のたつのも忘れて夢中になりました。才能豊かな方と思います。嫉妬まじりの誹謗。中傷など気にせずどんどん名作を書き続けてください。 | ||||
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第60回江戸川乱歩賞受賞作みたいですね! 受賞作といえども、面白くないものは面白くないという私ですが、本書はしっかりした作りで、受賞作にふさわしいものでした。 孫が腎臓に疾患があり、臓器移植しかない状況の中で、祖父である全盲の主人公が、数年前中国残留孤児として帰国した実兄に臓器提供をお願いしたところ、兄から拒否された! もしかして兄は偽物? という出足から、ストーリーがどんどん膨らんでいく。 このパターンはこうだ!と思った通り、一つ目のフェイクは見破ったのだが、二つ目は見抜けなかったです。 著者は丁寧な取材を心がけて、作品を重厚なものに仕上げています。 満足のいく作品ですね! | ||||
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選評と過去に5回も最終選考に残ってきたという経歴に惹かれて購読。 なるほど、たしかにこれは新人離れしている!! 描写が丁寧で、全盲という難しい設定にもかかわらず主人公が置かれている状況がきちんとつかめる。 取材、勉強したのだろう知識もふんだんに織り込まれているが、それが物語の邪魔をせずに説得力になっているのも素晴らしい。 どんでん返しも決まっているし、読後感もいい。 次作も楽しみな作家さん! | ||||
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電子書籍版を購入。直ぐに読める素早さに感激。iPadでは寝転んで読むのに重いが、miniなら丁度ピタリのサイズと重量。通院待合ではiPhoneでも読めたし、miniに戻っても読みかけページを教えてくれるありがたさ。いやー、画面が明るいので、スタンド照明なしで読める快適さがGOOD。さて肝腎の本の中身は、最初からグイグイ引き込まれて真相が全く分からない展開。うーむ、そう言うことだったのか……。予想不可能な解決。お見事。ただ一つだけケチをつけるなら、盲人の方の臭覚が描かれてない。見えない代わりに、体臭や口臭や香水類に敏感なはず……。ま、それを言っちゃ~小説になりませんね。それにしても青空文庫だけが電子書籍じゃない。初めての購入で正解でした。 | ||||
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普段、本など殆んど読まない人間だが某ラジオ番組の絶賛を受けて購読。 光を失った人間の苦悩や、日々工夫して生きる様を見事に表現していたと思います。 点字が謎を解く重要なキーを担っていますが、盲目の方の多くが点字を読むことが出来ない事実を始めて知りました。 多くの伏線が序盤から張られいるが、破綻なく最後に回収するストーリーは見事です。 委員の方々はタイトルが内容を語り過ぎているという評価なのですが、この程度のヒントがあっても全く問題ないと思います。 私は、古典のまだらの紐のみ推理出来た人でしたから… 読後に清々しい気分になれました。 星5つ。 | ||||
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主人公の「私」が兄を疑って(ほんとうの兄ではないのではないか)実家の岩手を訪れる場面では、退屈になって二三日読むのを休んだ。 「私」は70歳になろうとする老人で、題材は「中国残留孤児」―なんだか古色蒼然としているなあと思ったものだ。また、軍国日本に関わる話は、一部の人からは反感を買うかもしれないと心配にもなった。 しかし、気を取り直して読み進めていくうちに、引き込まれた。 最後は涙なしでは読めなかった。 読み終わったとき、「まいった! さすが第60回江戸川乱歩賞だ」と思った。 | ||||
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近年の乱歩賞ではおもしろいですが、この作者は次の小説がポイントになると思います。 | ||||
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第60回江戸川乱歩賞受賞作。作者の下村氏は、なんと5回目の最終候補で、ついに 栄冠を射止めたという。乱歩賞受賞作は毎年必ず購読しているが、「これが受賞作?」 と疑問を抱くような作品も多々ある。なので、あまり期待せずに読み始めたが、良い意 味で裏切られた。 視覚障害者を主人公に、中国残留孤児、生体腎移植、不法入国などの問題も絡め た意欲作だ。冒頭で殺人事件が起きるような一般的なミステリーではない。緻密に 計算された構成により、最初から最後まで謎がわき続け、最終的にそれがきれいに すべて回収される。これほど良くできたミステリーは、60年にわたる江戸川乱歩賞 の受賞作の中でも、めったに無いのではないか。 ミステリーというトリックが肝心だが、この作品は基本的にひとつのトリックだけ を基本として書かれていると思う。だが、それにまつわる環境やエピソードを綿密に 構築している。なにより「人間を描く」、「視覚障害者の心理面を描く」ことにより、 奥深く、血の通った作品になっている。 過去、「猿丸幻視行」「テロリストのパラソル」など、偉大な作品を産んできた乱 歩賞ではあるが、それらを凌駕すると言っても過言ではない。ぜひお勧めしたい一冊だ。 | ||||
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近年の乱歩賞受賞作品に大いなる不満を感じていただけに、今回の受賞作はみごと。さすが。あっぱれ。プロットもトリックもガジェットもよくできていて、しかも社会性・時代性や家族の“血と絆”をめぐる精神性も物語のスケルトンとしてきちんと機能している。したがって、読み終わってからの余韻も嫋々たるものがある。ただ単に「なるほどそうだったのか!」だけに終わらない深みは凡百のミステリーを凌駕している。実際に視覚障碍者に取材したのだろうか、途中失明した生活者の“四感”をここまでリアリティを持って表現するのは手だれの領域だ。ただし、著者はプロフィールによると32歳もしくは33歳の由、69歳の主人公の行動や内面にイマジネーションを駆使するには無理がたたったのだろうか、読者としてすんなり同化できないもどかしさを感じた。頻繁に出てくる大仰な比喩表現と感情表現とを併せて、あえて星ひとつ減にせざるを得なかった所以だ。「タイトルは本作品のコンセプトを語り過ぎている」(桐野夏生氏評)「タイトルで内容を説明する必要はない」(今野敏氏評)と選評でも一様に不評だったタイトルは、応募時のものを簡略化しただけで、これだけの作品なのにもったいないなぁと思った。 | ||||
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