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(短編集)
秋の牢獄
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秋の牢獄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 61~68 4/4ページ
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恒川の作品は、閉じたファンタジーの世界を、徐々に現実に向けて解放してきている。物語展開のうまさが主な魅力だった一作目から、テーマの蠢きを感じるようになった。特に「秋の牢獄」は、深読みを許す作品だ。 何でも好きなことをできる人生を想像してみたことはあるだろうか。食べたいものを食べ、見たいものを見、身につけたいものを身につける。暴力的な衝動や不道徳な欲求を満たすこともできる。健康を損なうことはない。だが、そこに満足したとき、私たちの魂は充足するのだろうか。何をしようと世界に対して全く影響を与えることはないのだとしたら。 私たちの多くにとって、欲求を満たすだけで一生かかっててしまう。だからこの境地に達しない。北風伯爵を待つ藍の心は、老女の心に似ている。 「神家の没落」では、猟奇的な連続殺人者が登場するが、舞台はファンタジーなのに現実の事件とリンクするようで生々しい。 | ||||
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恒川光太郎さんの作品を読むたびに感じるこの落ち着かない気持ち。 ありえない話を読みながら、知らぬ間にその世界に引きこまれ みぞおちの辺りがすうっと冷える感じ。 「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の三篇とも抗いがたい 圧倒的ななにかの力によって囚われてしまった人の内面をていねいに 描いていく。 時間・空間・幻術を使う力と人間のエゴ。 静かな語り口なのに、絡めとられた人の心が疲弊し、虚無ともよべる ほどの諦念に襲われるそのさまが、私の気持ちを縛りつける。 この世のものではない異界に身を置く彼らの孤独が胸にしみる。 幻想的で余韻ある物語ながら、人の醜さも描ききり、 人間臭さを漂わせた作品だ。 | ||||
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SF風味の加わった三作目。 この著者特有のいわく口で説明しがたい物語性や透明感はそのままに、作風の幅を広げてきたように感じた。 三篇とも「牢獄」をテーマにしているのだが、読み終えるたびに深い余韻に浸れる。 また、次作も必ず読みたいと思わせる作家だ。 | ||||
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何気なく読んだ夜市がとてもよかったので 雷の〜を読み、 次も、と手を伸ばしました 3つあるお話のうち、 幻は夜に成長する、という話が大変好きです 主人公が不思議な力を研ぎ澄ます過程が書かれた話です 恒川さんの書かれる不思議な世界観はある種ごった煮で なんでもありな雰囲気がありますが それが生かされてるお話だと思います 最後の幾行かを読むまで、 お話の行く末が読めなかったので(読める方もいると思います) そういうことかとうなりました 最後の感想「わーかっけえ!すげえ!そりゃそうなるわな」 でした 全体的に藤子F不二夫のSF短編集がお好きな人は好きな感じかと 物語を色んな角度から楽しめるところがポイントです 久々にスルメです(何回も読める) これからに期待をこめて星4つ | ||||
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著者のこれまでの作品と比較してみる。 「夜市」は素晴らしい幻想と、意外きわまりない結末を堪能出来た。 「雷の季節の終わりに」は、風わいわいなどの造語が、違和感がなく、飾り気の無い幻想性が素晴らしかった。 ただ、雷の季節の終わりには、長編だったので、全体のまとまりに、少々違和感を感じた。 本書「秋の牢獄」はどうか? 内容そのものは、ケン・グリムウッド著の名作「リプレイ」に似ているので、インパクトは少し少ない。 ただ「リプレイ」は数十年というスパンでリプレイするのに対し、本書ではわずか1日だ。 また、本書は「リプレイ」の様な、人生そのものの検証を行う事はしない。 それよりも、短いスパンでの人間模様が面白い。 本書では、風わいわい的な存在として、北風伯爵が登場するのは、大変ファンタジックで、面白い。 また、本書の神髄は、結末ではなく、その少し前にある。 著者が構築したリプレイは、こんな形で成り立っているのか? この発想そのもののインパクトは強烈で、「夜市」と同列の完成度の高さを呈する。 幻想性を、十二分に楽しめる。 | ||||
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普段通りの日常生活を送っていたはずの主人公たち。 しかし、自分でも知らないうちに異国の扉を開けてしまっていて・・・。 ある日を境に「閉じ込められてしまった」人たちを描きます。 逃げられない人々ははじめは絶望するものの、やがては順応していく。 その変化の様子が淡々と淡白に描かれていくので余計に怖いです。 特に表題作の「秋の牢獄」では 何度も同じ日を繰り返す主人公が 「この日が体調の悪い日や、肉親の葬式のある悲しい日でなくてよかった」と 感謝すら感じるようになります。 違和感、恐怖、絶望・・・その先に残された感情。 ≪いろいろあったが悪い日ではなかった。≫という ラストの一文はゾッとするほど強烈でした。 恒川さんは読者をここではない世界に連れて行ってくれる。 妖艶で、とぎすまされ、まるで大人のための童話のよう。 もしかしたら私達の生きている空間のすぐ裏側には こんな世界が存在しているのかも・・・と思えないでもないような不思議な感覚。 読者はこの圧倒的な世界観に飲み込まれ、どっぷりとこの世界に浸れます。 | ||||
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恒川さんの3冊目、待ってました!と言う感じです。 前・2作も良かったですが、この一冊、何とも言えない余韻が残りました。 3編の中編からなる作品集ですが、 どの主人公も、ふと気づくと違う世界に迷い込んでしまいます。 こう言葉にしてしまうと何となくわざとらしく感じてしまうかもしれませんが、 違うんです、本当に自然にその世界に入り込んでしまうんです。 扉を開けると全く違う世界が確かに存在している、 私にもそれが感じられました。 誰もが行けそうな場所に思えてくるのです。 ちょっと怖そうだけど行ってみたい。 この感じは実際に読んでみないとわかってもらえないでしょうね。 全体に漂っているノスタルジックな雰囲気と、 謎を解くミステリー要素、ありそうでなさそうな不思議な世界。 この三つがこんなにうまくかみ合っている作品を書く作家には、 いままで出会ったことがないです。 希有な作家だと思います。 たくさんの人に読んで欲しい一冊です。 | ||||
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垣根さんの新作です。 『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』の短編3話から成り立ったいます。 *『秋の牢獄』 ★11月7日水曜日が、何度も繰り返されるお話。 秋のたった1日が、ある特定の人物達に繰り返されるっていう内容なのだが…。これがなんでもない1日でも同じ日が自分達だけに繰り返されるなんてブルーなのに…。人によっては様々な1日な訳なんです…。たった1日に閉じこめられてしまう怖いです。 *『神家没落』 神家と呼ばれるとある家に捕われてしまうお話。 ★何よりも怖いのは、最初は「神家」から捕われて出られないのが当然イヤなのだが…。いざ捕われの身から解放されてみると戻りたくなる主人公の気持ちの変化が怖い。人間の心の中の怖さが、伝わって来るお話です | ||||
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