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(短編集)
ブラジル蝶の謎
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ブラジル蝶の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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ベテラン・ミステリ作家の有栖川氏ですが、実は最近ファンになったばかりです。読んだのは6冊目、各国シリーズは3冊目です。有栖川氏の作品はトリック重視で、どちらかと言えば本格派に属するそうですが、自分はパズルを解くようなタイプのミステリはどうも現実感に欠ける気がして、それよりも人間ドラマや深みのある話の方が好きです。それにもかかわらず、なぜ有栖川氏を好きになったかといえば、主役である火村とアリスの2人、そしてその会話のかけあいがおもしろいこと、これは大阪人である作者独特の感性でしょう。そして自分が関西在住のため、もろに日常の生活圏である京都から大阪、神戸にかけてが舞台になっていることが多いので親しみがわくことです。これらは、トリック重視タイプの作家さんを楽しむ方法としては邪道だと思うのですが、それでも読んでいて楽しいことに変わりありません。 よかったのは最後の2つ「人喰いの滝」と「蝶々がはばたく」です。「人喰い」の方は、あとがきで有栖川氏本人が書かれていたように、ラストが「北村薫氏にほめていただいた。”エルンストのシュールな絵のよう”なんだそうだ。」ということで、その場面を画像として頭に浮かべようとしてみたら、ありありと不思議な情景が目に見えてきて、なるほどと共感できました。雪の上にずらーっと・・・ここはネタばれするのであまり詳しく書けませんが。 そして「蝶々がはばたく」。たまには北陸の温泉に一泊してゆっくりカニでも食うか、ということで向かう列車の中、アリスが隣に乗り合わせた男性から聞いた話。事件と言うほどでもない不思議な過去の出来事の真相を火村が解きます。雪国の旅情と、熟年男性が過ごした大学時代、学園紛争と友情の甘酸っぱい青春の香り、その最中に起きた出来事、それらが1995年の阪神大震災と繋がる、その最後の締め方の見事さ。そして読み終わった後はすぐに、必ず有栖川氏自身が書かれたあとがきを読んでほしいです。震災当日「私のマンションのバルコニーからは、大阪湾を隔てた西宮あたりで何本も黒煙が上がっているのが見えていた。」というリアルな実経験が描かれていて、心に迫るものがあります。今回は小粒の短編が多いと感じましたが、有栖川氏が全体の構成をどう意図してこの短編集を作ったのか、そしてラスト、このあたりが見事だと思いました。 | ||||
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今回の場合は国名シリーズの1・2作品目と比べれば 作品の深さ、という点では控えめかもしれませんね。 それと、たてつく犯人が結構います。 表題作はたてつく犯人の典例でしょう。 あることをしてしまったがために 白を切るつもりだった人間は、ことごとく 崩壊してしまったのです。 で、最後に無駄にほえるわけです。 それでも火村の圧倒的な言動に 引き下がっていきますが… この表題作は一応謎が謎を 呼ぶ感じとなっていますが これから刊行される作品で 何らかの補完はなされるのでしょうか… オカマが出てくる作品である 「彼女か彼か」は火村が抱いた疑問から 意外な展開を見せます。 基本あっさりなので 期待すると肩透かしを食らっちゃうかも。 | ||||
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作家アリスシリーズの第6作。(国名シリーズ第3作) 【ブラジル蝶の謎】 二週間前にサラ金社長が病死し、遺産相続の件で集まった、社長の弟・朋芳が鈍器で撲殺された。部屋の天井には亡き社長のコレクションであるカラフルなブラジルの蝶が多数、留められていた。 ブラジル蝶でなくてもよかったかなと思ったけど、最後に犯人が火村にいうセリフとリンクさせていてうまいなと思いました。 【妄想日記】 庭で娘婿が焼身自殺をしたと思われたが頭部の傷から殺人だと分かる。三年前に自身の運転事故で愛息を亡くしてから言葉を失い、一年後に妻が自殺してからは鬱病にかかっていた。 燃やした理由にびっくり。 【彼女か彼か】 女装趣味のある男が自宅で殺された。元々美しく手術をしていなくても女性そのものに見えた。父の遺産と保険金が入る予定だったが、父親の隠し子と、父の面倒を見ていた従妹が取り分を要求しもめていた。恋敵とももめていたが前夜に和解し、親しげに飲んでいる姿が目撃されている。 証言矛盾の理由になるほど!男性ならではの視点ですね。 【鍵】 伊豆の別荘地で男が殺される。別荘の持ち主である社長の妻と姉、秘書、隣家の家族と前日にパーティをしていた。その夜、秘書が庭で撲殺され、そばには鍵が落ちていた。 なんの鍵かわかって、嫌な後味。 【人喰いの滝】 山奥の集落に住む老人が落ちて亡くなった。雪の上には老人の足跡のみ。東京から映画を撮りに来たロケ隊が泊まっていて、半年前に女優の一人が川に落ちて流されて人食いの滝と呼ばれる滝に飲まれて、遺体は上がっていない。 足跡をつけたトリックに無理があるような…。 この作品はシリーズのはじめの作品「46番目の密室」の次の作品。だからか少し読みにくさはあった。短編は時系列に並ぶわけではないらしく、蝶の話でサンドしたくて、初めと最後に蝶ものをもってきたらしい。 【蝶々がはばたく】 下宿のおばちゃんが肺炎で山梨に入院。おみまいの帰りに火村が蟹を食べたいと言い出し、アリスはバタフライ効果だとからかう。北陸に越前ガニを食べに行く計画を立てるが、火村が乗り遅れ、隣にいた男性から、35年前の男女蒸発事件の話を聞く。 地震をからめたが、地震と関係なく思いついたトリックなのに、阪神淡路大震災の一か月後に発表しタイミングが最悪だったらしい。 大地震が繰り返される日本。非運の中から蝶々がはばたく事を祈ります。 | ||||
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すぐに読みました、期待した通りの本でした、これ以上書くことはありません。 | ||||
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全編を通しての感想は、主人公の火村と有栖川のコンビネーションが絶妙で、(時として、漫才師のボケとツッコミのような?)二人の会話だけでも十分楽しめます。また、事件を淡々と描写していることや、事件後の捜査に重点が置かれているからでしょうか、殺人事件を扱っているのに、血なまぐさい感じは受けませんでした。トリックは、どれも実現可能なもので、(現実的かどうかは別にして)それは無理だろと心の中でつぶやく心配もありません。以下、各感想 ブラジル蝶の謎 死体が発見された部屋の天井に、コレクションの蝶がはりつけられていたという謎。犯人が使ったトリックの原型は、先例がありますが、それを現代風にアレンジしてます。途中で出てくる蝶についてのうんちくをもっと事件解明に活かしてほしかったです。 妄想日記 人間が燃えているのを目撃するという始まり方が興味をそそります。暗号ものと思わせつつ、実は…という作品。火村の解説を聞くと、被害者の生前の奇妙な行動が、なるほどと納得できます。 彼女か彼か オネエ系の人々が出てくるからでしょうか、独特の雰囲気が、かもしだされています。 鍵 殺された男の近くに落ちていた鍵。そんなものに鍵があったのか。 人食いの滝 雪の上に残る足跡もの。滝の近くという環境をうまくトリックに織り込んでいます。また火村の推理も、六編中もっとも冴えていると感じました。 蝶々がはばたく 人間消失もの。トリックが巨大な割には、真相を知った後のスッキリ感がイマイチでした。(火村が似たような可能性を否定していたからかな); | ||||
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有栖川有栖の国名シリーズはもちろんエラリー・クイーンの真似なんだが、有栖川の方がよい、と思う。 火村の過去の殺人願望が安物ぽくていやだけど。 最終話『蝶々がはばたく』では、思いがけず阪神淡路大震災に話がオチてて泣けてしまった。 何もなくなっても希望は残る。希望を残すのだ。 有栖川の作品に読後の明るさを感じるから好きなのだと、やっと気がついた。 | ||||
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有栖川有栖の国名シリーズはもちろんエラリー・クイーンの真似なんだが、有栖川の方がよい、と思う。 火村の過去の殺人願望が安物ぽくていやだけど。 最終話『蝶々がはばたく』では、思いがけず阪神淡路大震災に話がオチてて泣けてしまった。 何もなくなっても希望は残る。希望を残すのだ。 有栖川の作品に読後の明るさを感じるから好きなのだと、やっと気がついた。 | ||||
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『ブラジル蝶の謎』『妄想日記』『彼女か彼か』『鍵』『人喰いの滝』『蝶々がはばたく』の6編からなる短編集です。短編だとどうしてもひとつのトリックの解明だけが主眼となるので小説としての満足度はあまり高くありませんが、タイトル作『ブラジル蝶の謎』における、なぜ犯人は天井一面に被害者のコレクションである蝶の標本を貼り付けたという謎などは、シンプルなだけに説得力が高いと感じました。 『彼女か彼か』は被害者がゲイといういかにも現代ならではの設定が魅力的で、ユーモラスな趣きも持っています。比較的ページ数の多い『人喰いの滝』はもうちょっと頑張って長編に膨らませて欲しかったと思うほど充実した作品。ラストの『蝶々がはばたく』には珍しく殺人事件が出てこず、火村と有栖川の休暇旅行を舞台にしているところが興味深いです。 | ||||
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タイトルになっている「ブラジル蝶の謎」も面白いのですが、本書の別の短編が面白いです。特に、「妄想日記」は、精神障害者と、その医師との間の確執…悲しいことです。他にも「彼女か彼か」なんかは、今までとは少し異なったキャラが出てきて面白いです。相変わらず、推理作家有栖川&火村教授コンビ絶好調です。 | ||||
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国名シリーズ第3弾。6つの短編の内5つはボクにとっては「新たな有栖川」という感じで楽しめた。 ボクが小説に求めるのはドラマであり、推理小説であってもそれは同じで謎解き中心の(いわゆる)本格派が体に馴染まないのも説明が付く。それでも、謎解きを楽しみたい時には、国名シリーズはうってつけ。同じ短編でも、ポワロよりとっつき安いのは、ただ単に舞台が日本かイギリスかの違いだろうとは思うのだけど。 「妄想日記」は何となく背景が見えたし、「彼女か彼か」は謎解きの糸口は見えていた。解決章の前で少し時間を置いて整理して考えてみるという訓練をすれば、「謎解き」にも今以上に興味を持てるかもしれないな。 「人食いの滝」が奇想過ぎてアレだったかなーという点を除けば、大満足。惜しい。 | ||||
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実は、私が始めて読んだ有栖川作品。これまでは氏の関連書籍(『作家の犯行現場』メディアファクトリー)や、対談、ガイドブックなどは読んでいたのだが肝心の小説がまだだった。まずは試しにと、この短編集から読み始めた。氏が書いた最初のシリーズ、推理作家の有栖川(「私」)と江神コンビに続く第二シリーズ、有栖川&犯罪学者火村英生コンビの第二短編集。 正直言って、これは嬉しい驚きだった。面白い。文章も、勝手に抱いていたイメージ(日本の推理作家の文章は何故かよみにくい)に反して、読みやすい。そして、デビュー当時からの「本格推理の旗手」という評はまさしくその通りだった。カー、クイーンなどに代表される純粋なロジック、パズラーの楽しみを存分に味わえる。この本の表題作にみられるような(犯罪現場の天井一面の蝶の標本!)特異な舞台設定もそうだ。とかくリアリズム、社会性重視に偏り勝ちな昨今の推理小説界の中でも貴重な、「いい薫り」のする推理小説。 | ||||
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実は、私が始めて読んだ有栖川作品。これまでは氏の関連書籍(『作家の犯行現場』メディアファクトリー)や、対談、ガイドブックなどは読んでいたのだが肝心の小説がまだだった。まずは試しにと、この短編集から読み始めた。氏が書いた最初のシリーズ、推理作家の有栖川(「私」)と江神コンビに続く第二シリーズ、有栖川&犯罪学者火村英生コンビの第二短編集。正直言って、これは嬉しい驚きだった。面白い。文章も、勝手に抱いていたイメージ(日本の推理作家の文章は何故かよみにくい)に反して、読みやすい。そして、デビュー当時からの「本格推理の旗手」という評はまさしくその通りだった。カー、クイーンなどに代表される純粋なロジック、パズラーの楽しみを存分に味わえる。この本の表題作にみられるような(犯罪現場の天井一面の蝶の標本!)特異な舞台設定もそうだ。とかくリアリズム、社会性重視に偏り勝ちな昨今の推理小説界の中でも貴重な、「いい薫り」のする推理小説。 | ||||
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