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雑草群落



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雑草群落の評価: 4.38/5点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

松本清張の長編小説の中では最低レベル

「週刊朝日」で長年連載されてきた「黒」のシリーズ(「黒い画集」「黒の様式」「黒の図説」)が、「黒の挨拶」第1話『告訴せず』で終了した1973年11月以降、さすがの松本清張の筆力にも衰えが見え始め、新作の連載本数が少なくなっていった。
時には連載が途切れて、そのままになってしまう作品まで出るようになった。
しかし、読者の側の需要は高い。
そこで各出版社は、1970年代後半に入ると、1960年代に発表されたが作者の意に染まず書籍化されないままになっていた、言わば失敗作に眼をつけ、若干の加筆修正を加え、時には改題もし、いかにも新作のように見せかけて出版させるという手段に出た。
そんな商法に乗る方も乗る方だが、読者の需要があると言われたら、作家としては断る気にならないだろう。
かくして、長らく放置されていた作品が陸続と刊行された。
1975年『混声の森』(新聞連載は1967年8月〜翌年9月)
1976年『ガラスの城』『象徴の設計』(いずれも雑誌連載は1962年から翌年にかけて)
1977年『棲息分布』(雑誌連載は1966年から翌年にかけて) 『屈折回路』(雑誌連載は1963年3月〜1965年2月)
1978年『風紋』(原題「流れの結象」、雑誌連載は1967年から翌年にかけて)
そして1979年に刊行されたのが、この『雑草群落』(原題「風圧」、新聞連載は1965年6月〜翌年7月)だった。
(この旧作刊行の流れは、下に作品名のみ列挙するが、1980年代になっても続く)
当たり前のことだが、連載が評判を呼んでいれば、終了から時を経ずして、書籍化される。
その方が売れるからだ。
それが、なされていなかったのは、失敗作だから、つまらないからに他ならない。
じっさい、『棲息分布』や『雑草群落』は、松本清張の長編では最低レベルの、つまらなさだ。
(『ガラスの城』も、海外の超有名作品と同じネタを使っているので、そちらを先に読んでいると、凡作としか感じない)
この『雑草群落』上巻の途中で、登場人物は東京から大阪へ行き、堺市内を訪問する。
何と、「和歌山行の近鉄電車」に乗って。
近鉄南大阪線ではない。
「堺駅」で下車し、駅前でタクシーに乗って東に向かい、仁徳天皇陵を横目に見ながら目的地へ向かう。
ならば当然、「和歌山行の南海本線」でなければならない。
このケアレスミスが、1979年のカッパノベルズでの刊行以来、今日の文庫版でも放置されている。
連載後10数年間も忘れられ、ケアレスミスすら放置される程度の「加筆修正」しかされなかった作品なのだ。
いかに内容がつまらないか、想像が付くと思う。
本当に、つまらない。
松本清張の全長編を読破したいという熱心なファン以外は、手出し無用の駄作。
その他、松本清張作品にも『地の指』『殺人行おくのほそ道』『湖底の光芒』『翳った旋舞』『塗られた本』『網』『美しき闘争』『紅い白描』等々、連載から長らく放置されていた作品が多くある(中には推理小説ではなく単なるラヴ・サスペンスでしかない作品もある)ことは、ご留意いただきたい。
雑草群落 (上) (文春文庫 (106‐64))Amazon書評・レビュー:雑草群落 (上) (文春文庫 (106‐64))より
4167106647

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