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養鶏場の殺人/火口箱
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養鶏場の殺人/火口箱の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
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「養鶏場の殺人」 女は女に厳しいというが、被害者の女性を描く作者の筆はなかなかに辛辣だ。 いいぞ、いいぞ。小説の醍醐味。 が、作者は実際の事件で処刑された男は冤罪だったと言っている。 こうなると、また別の読み方もできる。 「何の落ち度もない被害者」というのは被害者を称賛するフレーズではなく、情状酌量の理由となるような言動はないと言っているだけだ。すべてについて落ち度が全くない人間はいない。 被害者の落ち度を見落として冤罪になったというのであれば、捜査のどこにどんな間違いがあったのかを解明する作業が欠かせない。 しかし作品ではその検証過程が示されず、せいぜい「こういう可能性もありかも」ということを示すにとどまっている(英国では様々な情報が出ているという前提なのかもしれないが)。 「こういうこともあるだろう」という見込みによる捜査が冤罪を生む要因とされている。認知がゆがめられると証拠の取り扱いを誤るからだ。 想像力でものを言っている本作品、少し皮肉な目で読んだ。 「火口箱」 どんでん返しも面白くないことはないのだが、パズル的な謎解き推理小説ではないので、スッキリ感は得られない。 どう意外でしょと言われてるみたいで、むしろ脱力してしまう。ジェームズ・サーバー「マクベス殺人事件」(『傍迷惑な人々: サーバー短編集』 所収)じゃないけど、意外な結末ならいくらでも書けるらしい(^_^;) アイリッシュとイングリッシュの文化摩擦が生活に根付いている様子が描かれている。しかし同時に、反発心を暴力ではなく言語のレベルで表現する人間関係も描かれている。互いにお前とは違うんだということが決定的にまずあって、その上で成り立つタイプの人間関係。“応酬力”みたいなものが不可欠になる。 「宙にカギカッコで強調して」(p290)というボディーランゲージは『遮断地区』 (p88)にも出てくるし、外国映画でも見受ける。これなんかも互いにやり合うときの作戦の一つだろう。 日本でこれをやられた日には、グーから指を立てていく数え方の動作以上に目障りかも(^_^;) ジェネレーションギャップを表わすとき「異星人」と言ったりする。そこには“同じであってほしい”という甘っちょろい幻想が混ざり込んでいるだろう。 主人公の女は「養鶏場の殺人」の女と比べると作者によって“飼いならされている感”は否めない。でもまあ、作り話なんだからそれで悪いというわけもない。 女性の描かれ方が対照的で、面白い取り合わせとなっている。 | ||||
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