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養鶏場の殺人/火口箱
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養鶏場の殺人/火口箱の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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とても綺麗な状態で届きました。 ありがとうございます。 | ||||
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実際にあった事件を扱ったこの本は、読む再現ドラマ、といえます。事件もふたつ取り上げているのですが、それぞれにふたつのことを考えさせられます。ひとつは、裁判の公正さにおいて、現在の証拠能力がどれほど高まっているか。もうひとつは、加害者に同情すべき殺人が起こったとき、私達はどうとらえるか。ミネットの文章でリアルに読めました。 | ||||
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2013年に翻訳された「遮断地区」が好評を得て新しい世代の読者の人気を獲得した現代英国ミステリーの女王ウォルターズの秀作中編2作を収録する時期的に旬な好作品集です。本書を読んで最初の作品「養鶏場の殺人」はノンフィクションですが、次の「火口箱」から著者が気の合わない人間同士の対立や種族間の軋轢等々の問題に対してその暗い運命を嘆いて諦めるのではなく目を背けずに前向きに立ち向かう攻めの人なのだと強く実感しましたね。そのせいで読後感は決して悪くはなく寧ろ晴れやかで希望を感じさせてくれますので暗い物語が苦手な方にもぜひ読まれる事をお奨めしたいと思いますね。 『養鶏場の殺人』1920年の冬にエルシーが四歳年下のノーマン青年に声を掛け二人が知り合って恋人になる所から物語は始まる。しかしエルシーが失業中のノーマンに養鶏場の仕事を始める事を奨めてから一転して二人の行く手に不吉な気配が漂うのだった。著者は事実に忠実に二人の心理や行動についても平等に書いておりまして本当には解っていない部分については曖昧なままにして一旦物語の幕を閉じた上で最後に自らの推理した見解を述べられています。私も基本的には著者の説が正しいと思いますが、とっくの昔に死刑に処されたノーマンに同情の念が全く起きないのは、やはり理由はどうであれ人にあるまじき死者を冒涜する様な悪しき行いを為したからですね。 『火口箱』イギリスの村でアイルランド人の男が看護婦の殺害容疑で逮捕され、やがて肩身の狭い彼の両親が村人達から迫害される様になって遂には二人の住む家が火事になってしまう。自身もアイルランド出身の女性シヴォーンは二人の身を案じてどうにも堪らなくなり警察に訴えかけるのだが・・・・。本作の推理は事件の真相が見かけとは大違いのとんでもない物だったと判明して一瞬あ然となり見事にしてやられたと驚かされる小粒ながらもピリリと辛いミステリーならではの仕掛けの面白さを味わわせてくれます。でも私が感心したのはそれとは別の部分で、ヒロインのシヴォーンが近所の仲が悪いイギリス人夫婦とのつき合いの中で幸いにも「アイリッシュとイングリッシュは互いにほんの少しずつ誤解しあっているだけで相手の事をわかろうと努力すれば自然に道は開ける」という真実に到達できた事と、アイルランド人の決して逆境に負けない時には笑える程のしぶといしたたかさですね。最近のニュースでアイルランドがイギリスからの独立投票に多数決でNOと言う答を出したホットな話題がありましたが、本作を読むと著者は種族間の問題が明るい方向に進んで欲しいと願う気持ちであるのがわかりますし、私としても著者と同じくこの先もいろいろあっても結局は大丈夫だろうと思いたいですね。 あとがきによりますと著者の最新作はノンフィクションの2作目だったとの事で、すぐに復活かというとそう確かだとは言い切れませんが、とにかく書き始める事は良いきっかけにはなる事でしょうから明るい兆しと考えて、日本で未訳長編3作が紹介される間に著者がまた新作長編の執筆を再開される事を切に祈りたいと思います。 | ||||
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普段、本を読まない人向けに、書いたミステリーらしい。なので、二作とも、短く、 平易な言葉である。 養鶏場の殺人のほうは、今の捜査であれば、殺人については、冤罪だったかもしれない。 その時代の、証拠で、裁判をするのだろうけれど、 人をさばく怖さを感じたし、ウオルターズらしい、正義感、義憤を感じた。 火口箱も、これも、殺人事件。 起承転結がしっかりしていて、テンポもよくて、面白かった。 画像や、人物描写もわかりやすくて、 これは、なにか、映画か、御芝居をになりそうな感じ。 テーマは、人種や、少し異なった人達に、対しての、強い偏見。 これは、ウオルターズの作品には、よくでてくるテーマ。 | ||||
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遮断地区でミネット・ウォルターズを知りこの作品で二冊目となります。 養鶏場の殺人も良かったですがやはり火口箱。 このイングリッシュとアイリッシュの「お互いを知らない故の偏見や差別」が引き起こす悲劇、 は遮断地区ではもう少し掘り下げられて描かれています。 先に遮断地区を読んでしまったが為、長さの面でも物語の深みとしても少し物足りなさはありましたが やっぱりこの作家さんの作品は驚くほどその世界に引き込まれてしまいます。 面白かった! | ||||
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社会派ミステリーそのもの。大変面白く読みました。 心の揺れが丁寧に描かれています。 | ||||
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「養鶏場の殺人」 女は女に厳しいというが、被害者の女性を描く作者の筆はなかなかに辛辣だ。 いいぞ、いいぞ。小説の醍醐味。 が、作者は実際の事件で処刑された男は冤罪だったと言っている。 こうなると、また別の読み方もできる。 「何の落ち度もない被害者」というのは被害者を称賛するフレーズではなく、情状酌量の理由となるような言動はないと言っているだけだ。すべてについて落ち度が全くない人間はいない。 被害者の落ち度を見落として冤罪になったというのであれば、捜査のどこにどんな間違いがあったのかを解明する作業が欠かせない。 しかし作品ではその検証過程が示されず、せいぜい「こういう可能性もありかも」ということを示すにとどまっている(英国では様々な情報が出ているという前提なのかもしれないが)。 「こういうこともあるだろう」という見込みによる捜査が冤罪を生む要因とされている。認知がゆがめられると証拠の取り扱いを誤るからだ。 想像力でものを言っている本作品、少し皮肉な目で読んだ。 「火口箱」 どんでん返しも面白くないことはないのだが、パズル的な謎解き推理小説ではないので、スッキリ感は得られない。 どう意外でしょと言われてるみたいで、むしろ脱力してしまう。ジェームズ・サーバー「マクベス殺人事件」(『傍迷惑な人々: サーバー短編集』 所収)じゃないけど、意外な結末ならいくらでも書けるらしい(^_^;) アイリッシュとイングリッシュの文化摩擦が生活に根付いている様子が描かれている。しかし同時に、反発心を暴力ではなく言語のレベルで表現する人間関係も描かれている。互いにお前とは違うんだということが決定的にまずあって、その上で成り立つタイプの人間関係。“応酬力”みたいなものが不可欠になる。 「宙にカギカッコで強調して」(p290)というボディーランゲージは『遮断地区』 (p88)にも出てくるし、外国映画でも見受ける。これなんかも互いにやり合うときの作戦の一つだろう。 日本でこれをやられた日には、グーから指を立てていく数え方の動作以上に目障りかも(^_^;) ジェネレーションギャップを表わすとき「異星人」と言ったりする。そこには“同じであってほしい”という甘っちょろい幻想が混ざり込んでいるだろう。 主人公の女は「養鶏場の殺人」の女と比べると作者によって“飼いならされている感”は否めない。でもまあ、作り話なんだからそれで悪いというわけもない。 女性の描かれ方が対照的で、面白い取り合わせとなっている。 | ||||
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養鶏場読了。短いし、掲載誌の都合で平易な表現でサクサク読める。けどウォルターズのエッセンス炸裂! 火口箱も読了!素晴らしい舞台を見たあとと同じ幸福感。凝り固まった脳みその角質を一枚一枚剥がされていくかのような快感でございました。 | ||||
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