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木曜の男
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木曜の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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書庫整理のため再読. 創元「推理」文庫の一冊ではあるが,推理小説というよりサスペンス小説. 逆説が物語の基盤となっているという点では,『新ナポレオン奇譚』の系譜に連なるといえるかも. ▼ 以下,特に興味深かった箇所; ・「われわれは教育がないものが一番危険な犯罪者だという,上品ぶった英国人の考え方を否定します. 我々はローマの皇帝たちや,人を毒殺するのが得意だったルネッサンス時代の偉大な君主たちのことを忘れていなくて,最も危険な犯罪者は教育がある人間であることを主張します. そして今日最も危険な犯罪者は,法というものをいっさい無視する現代の哲学者だと言います. それに比べれば,強盗や重婚者は本質的には極めて道徳的な人たちなので,私はそういう人たちがかわいそうでたまらないんです. そういう人たちは,人間というものの根本的な概念は認めているんで,ただその求め方が間違っているに過ぎません. 泥棒は財産というものを尊重していて,ただそれを完全に尊重するために,自分のものにしたいだけなんです. しかし哲学者は財産の観念そのものを嫌って,私有財産などというものをいっさい無くしたがっているんです. 重婚者は結婚というものを尊重しています. でなければ,重婚するためのきわめて儀礼的で,そして宗教的でさえある手続きをとるはずがありません. しかし哲学者は,結婚を結婚というものとして軽蔑しています. 人殺しは,人間の命を尊重しています. ただ,自分自身の命をもっと充実させたくて,人殺しには自分ほどの価値がないと思える他人の命を犠牲にするだけなんです. ところが,哲学者は他人のだけでなくて,自分の命まで軽蔑します」(p.56-57) ・「貧乏な人間は反抗はしたことはあるが,無政府主義者だったことは一度もないんだ. 誰よりも貧乏な人間は,秩序というものに関心を持っている. 貧乏な人間は本当に国のことを思わずにはいられないので,金持ちはそんなことはない. いつだってヨットでニューギニアまで逃げていける. 貧乏なものは時には悪政に反対したことがあるが,金持ちは政治そのものに反対なんだ. 貴族がやったいくつもの戦争でも分かる通り,貴族は昔から無政府主義者だったんだ」(p.162) 本書に登場するロジックは,多かれ少なかれだいたいこんな感じ. ▼ ありきたりの小説に満足できなくなった人向け. | ||||
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ブラウン神父ものを読んでいるので、チャスタトンの少し変わった作風は、昔から感じていたところである。 さて、本書についてであるが、諧謔と逆説をふんだんに盛り込んだ、サスペンスファンタジーという感じの作品である。 物語の出だしは情景描写が細かすぎて、読みながら適当なイメージを浮かべながら何とか読み進めていくと、中盤から少しサスペンスを感じさせる展開に。 後半からファンタジー映画さながらの活劇風な流れになって、クライマックスの展開を期待させるが、最後の落ちはやや想像できる範囲だったので、少し残念。 物語全体として、作者が主張したかった事があったと思うが、小生にはいささか読解力不足。優れた作品なんだろうなぁ、と感じたが、小生の評価は並。 | ||||
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ミステリー小説好きなので一気読みできる作品です。 緊張感とサスペンスならではのワクワク感が味わえます。 ただしラストが韓国ドラマみたいな感じの終わり方に納得がいきませんでした。 | ||||
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夢落ち | ||||
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ヨーロッパ無政府主義中央会議へ乗り込む詩人サイムの奇怪なミステリである。日曜、月曜、--、土曜といった不思議な名前を持つ会議のメンバーとの対決でサスペンスが盛り上がるが後半からはメンバーの個性も薄まり強引な展開のためかあまり興味を持続できなかった。 随所に哲学的な表現があるが、これらは恐らく何かのパロディや比喩なのであろうが知識不足のためか楽しむことはできなかった。このような表現上の飾りを除くと実質的な内容はどれほどのものなのであろうか。強いて挙げれば最終章「告発者」で主人公サイムが「からだじゅう震えながら立ち上がっ」て叫ぶセリフ(p231)にありそうである。つまり世の中の急進的な改革を目指す無政府主義への哲学的な反論といったものと思われるが、もしそうだとすれば内容的には表面的なものにとどまっておりインテリ層の単なる弁解にしか聞こえなかった。もしかしたらそれらも含めて人間の矮小さを茶化しているかもしれないが、そうであればもう少し気のきいた風刺や喜劇的な要素が欲しいところである。 | ||||
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偽善者が、みずからの偽善がバレないように、その偽善を徹頭徹尾演じつづけるならば、その偽善は、善と見わけがつかなくなる、そんな逆説を、「偽善のすすめ」というエッセーでかつて説いていた有名なフランス文学者がいました。 それと同じように、アナキストが、みずからがアナキストだとバレないようにするためには、人前でつねにアナキストであることを公言し、アナキストを演じることだ、とそんな逆説を地で行く登場人物がまずあらわれます。 そのあと、ひっきりなしにこうした真と偽が相互に入れかわるような逆説的ドンデンがえしでもって物語が進行してゆきます。このあたりがこの小説でいちばんおもしろいところだといえます。 そしてあえて推しはかれば、かくなる真と偽が反転可能な、所詮相対的なものでしかない世界に生きる人間にとって、では、けっして偽にウラがえることのない、真に真なるもの、そういう絶対的なものはあるのかというのがこの小説の発する窮極の問いなのかもしれません。 ところで、じつはこのチェスタトンの小説(1908年)が書かれる少し前の1890年代、ヨーロッパ、とりわけフランスでアナキストたちによる爆弾テロが頻発しました。開催中のフランス議会に爆弾が投げこまれたり、フランスの大統領(サディ・カルノ)も刺殺されたりしました。 この小説はしたがって、けっして荒唐無稽な話ではなく、こうした世情不安が現実としてあった時代を背景に書かれています。 ただそれにしても、現在では、テロリストが、みずからがテロリストだとバレないようにするために、人前でつねにテロリストであることを公言し、テロリストふうを演じれば、ただちに不審人物として拘束されるでしょうね。 | ||||
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これは推理小説でも幻想小説でもない。 しいて言うならリアリズム小説。 なにがリアリズムかというと「その世界」の 特有の論理や文法、明晰さの質感といったものを ハイヴィジョンのように表現しえているところ。 視覚だけの話ではないでけど… これはチェスタトン、吉田健一どちらの力量による ところが大きいのかはわかないですが。 最初の方でサイムとグレゴリーが取り交わす秘密厳守の 約束のくだりあたりでその奇妙で不自然な質感を感じ始 めると思います。 同型の物語はあまたあるやもしれぬが、その世界を とってつけたような紋切型の幻想性や不合理性に たよることなく、その世界の論理や明晰性といった クリアな質感を忠実表現しえた(ように思える)。 そういう作品はあっただろうか? 文章をただおう快感に浸れる本。 | ||||
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日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが集う秘密結社の一員になった、詩人の男。その男の正体は警官であった。彼は、無政府主義者の集団・七曜の秘密結社の内情を調査するために、木曜日の男となって、侵入するが…… かなり昔の小説なので、冒険譚といいつつも、大した話ではない。映画化しても、ほとんど映えないだろう。気球にのっている男を追いかけるとか、なんと間延びした光景だろうか。 ただ、この小説としての面白さは、日曜日の男の存在である。なんとも不可思議、その正体は一体誰なのか。そのがミステリ?的な要素もあるし、物語を引っ張る部分でもある。 | ||||
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日曜日からの七曜を名乗る無政府主義者を名乗る男達の物語。 帯の「探偵小説にして黙示録!」に惹かれ読みましたが、 100年前のロンドンの時代背景やチェスタトンの思想的な背景も 不勉強なため物語の展開を追う読み方しかできませんでした。 無政府主義最高評議会メンバー間のかけひきや逃走場面など楽しめました。 終わり方が不思議です。 | ||||
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