静かなる炎
評判
静かなる炎の評価:
4.71/5点 レビュー 7件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1〜7 1/1ページ
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静かなる炎の評価:
4.71/5点 レビュー 7件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
先月、積読になっていた(しかもなぜか2冊もw)第6作目の『死者は語らずとも』を読んで、「これはすごい!」と思って過去の5冊分を全部買って読んでみたのである。
当初は、このグンター・シリーズは3部作として書かれ、日本では1990年代に新潮文庫から出ていたが、すでに絶版。
古本で手に入れた。
後半の3作はPHP文芸文庫で今も新品で手に入る。
それはさておき、このグンター・シリーズの初期3部作は、フィリップ・マーロウをワイマール末期からナチス支配下のドイツに置いたような作品である。
作者本人も、そのことを意図しているのだが、シチュエーションとしては見事に嵌っている。
何しろ皮肉一つ言うにも命とりになりかねない時代である。
そこで様々な事件にぶち当たり、解決していく(あるいは解決できないでいく)のだが、実在の人物が多数登場して、説得力は相当なものである。
2作目では、ハイドリッヒの下で、やむなく事件を解決する役回りとなり、3作目では戦後のドイツ・オーストリアでスパイものの展開となる。
4作目では、人体実験のナチスの医者に入れ替わる陰謀にはまることによってイスラエルのモサドの前身のような機関に命を付け狙われる。
その結果、後期の5作目は舞台をアルゼンチンに移す。
そこでペロンやエビータもからむ醜聞と事件に巻き込まれる。
第6作目では、戦前のドイツと革命前夜のキューバが舞台である。
5作目と6作目は、戦前のドイツと1950年代のブエノスアイレスやハバナを往還する叙述スタイルが取られているが、まあとにかく、仕掛けの大きさには舌を巻く。
大がかりなどんでん返しがこれでもか、これでもかと続くのである。
もちろん、そこにはご都合主義的な展開も含まれているのだが、その壮大さに免じて、という気持ちにさせられた。
もう1つ、この6作に共通しているのは、主人公のグンターが何度も絶体絶命の状況に追い込まれることだ。
本当に、どうやってこの窮地を脱するのだろうと思って読み進めると、都合よく(笑)助かる。
ここいらもご都合主義なのであるが、以前読んだスティーブン・キングか誰かの「ミステリーの書き方」といような題名の本には、読者を惹きつけるこつは主人公がもうどうやっても助かるとは思えないような絶体絶命のピンチを描くことだというようなことを書いていた。
フィリップ・カーがこの本を読んで倣ったとは思えないが、確かにこの手法はミステリーの王道なのだと実感はしたのであった。
作者のフィリップ・カーはすでに亡くなっており、続編が書かれることはないが、まだ本邦未訳のグンター・シリーズが2冊あるようである。
これが翻訳されるのを楽しみに待ちたい。