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静かなる炎
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静かなる炎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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反骨の一匹狼で、窮地に立たされても減らず口は忘れず、美人にだけは優しく女にモテまくる、典型的なハードボイルドの主人公。 若い頃ならこんな男に憧れたかもしれないが、ある程度歳を重ねた今、さすがに現実離れしていてあまり感情移入はできない。 自分の娘といってもいい歳の美人が、向こうから告白して来たりする恋愛要素も、おじさんの願望まる出しで興ざめ。 ナチスが戦後70年経っても、未だに外国の娯楽小説に悪役として登場させられてしまうのは、実情を考えたら仕方がないが、さすがに食傷ぎみで新鮮さはない。 中盤まで、1950年のブエノスアイレスと、1932年のベルリンの事件が交互に描かれる。 この構成が難物で、それぞれがほぼ独立した別の話なので、二冊のミステリを同時に読まされているのと変わらず、さらに、耳慣れないドイツの人名がこれでもかと大量に出て来るので、かなりの忍耐力が必要になる。 そのわりには、過去の事件は現在の事件とあまり関係がない上に、結末も拍子抜け。 ベルリン三部作から雰囲気は大きく変わっていないのだろうと思うし、当時のそれぞれの国の政情や、実在の有名人を巧みにストーリーに絡ませる手腕、筆力はベテランのなせる技で、並大抵ではない労力をしのばせる。 でも、恐らくそれらの書きたい事を全部詰め込んでしまったため大著になり、全体として焦点がぼやけてしまい、まとまり感があまりない。 「運に任せる独特のやりかた」(p.645)と著者自身が認めてしまっているように、この主人公の捜査の成果は偶然によるところも大きく、ミステリの醍醐味に欠ける。 結局、事件らしい事件は起こっていないし、決着もすっきりせず、政治の陰謀に彼が振り回されたまま終わってしまったという印象が強い。 そういう意味では、ミステリというよりは、ひとりの男の遍歴をたどった物語として読むべき作品なのかもしれない。 | ||||
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