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好き好き大好き超愛してる。



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好き好き大好き超愛してる。の評価: 4.18/5点 レビュー 71件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.18pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全71件 41~60 3/4ページ
No.31:
(4pt)

甘さ控えめ、でも恋愛は祈り

『好き好き大好き超愛してる。』です。
内容は、セカチューへのオマージュであると同時にアンチテーゼでもあり、小説を書くことに対する作者自身のスタンスの代弁、ともいえます。

「タイトルが気に入らない」みたいに言われて芥川賞落ちたらしいですが、確かにタイトルはもっとマジメっぽいのでもよかったかと思います。
舞城らしい勢いとスピード感のある文体。ページの文字組が独特で、本としては読みやすいとは言い難いのですが、文章はタイトル同様に超口語で読み易いです。
愛は祈りだ、というフレーズから始まる、病気だとか何とかいうのをぶっちぎった愛。ただ愛だけを書いたなら、セカチューに対する一部の批判や反発と同じものを感じたかもしれませんが、愛していることについて、作中人物が小説として描く、ということを通じて上手くフィルターをかけて客観化できたのかな、と思いました。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.30:
(5pt)

泣けるwww

舞城王太郎の本で泣くとは思わなかった。
これ程、内容とタイトルが沿った本もないだろ。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.29:
(5pt)

極彩色

なんといっていいか、分からないけれど、宇宙の果てくらい、ぶっとんだ感じの小説。
この星の、日本という国の言葉で書かれているけれど、実際はどの具体的な場所の物語でもなく、何かに属す言葉で書かれてもいない。だからって、ファンタジー要素たっぷりでSFばりばりの近未来って感じでもない。確かにその物語は、私たちの近くにあって、私たち(おそらく特に若者)の心に通じて、きちんと響く。細かい状況描写なんてされなくても、改行が少なく流れる言葉がダダ流しでも、全く想像もつかない未知の生物がでてきても、神との戦いなんていうぶっとんだ設定がでてきても、なぜか、物語は私たちの心に、決して離れない。

最初はなんじゃこりゃ、と思った。ページを閉じようかと思った。読み進めるのがしんどい、とも思った。正直、今でも少しそういう気持ちはあるけれど、ぶっとんだ世界に繰り広げられた、死と隣り合わせの、刹那的な恋愛が、きれいで、惹かれて、結局何度も読んでしまう。気が狂いそうになる小説だけれど、同時に私の中の本能的ななにかがこの小説の言葉を欲する。

すごいなあ。
一番目の話とニオモの話が特に好きです。なんて美しい。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.28:
(5pt)

舞城世界炸裂

芥川賞候補作品だったことをレビューを見て知ったが
別にこれは芥川賞とらなくてよかったと思う。
そもそもあの賞は最近、何だこれは?という問いかけじみたものが多いし
受賞者に若い人が話が多いのも特徴的だけれど(話題性?
当てはまっているようで、なんか違う。なんとなくだけれど、
舞城は、こういう賞をとるような作家ではない気がする。
この人の話しは、一応文章としては最後に「?」をつける、問いかけ型だけど
こちら側の思考能力を突破してるところがある上に、その問いかけには8割くらい舞城の答えができあがっていて
読者が考える余地がかなり少ない。
だけれど舞城の作る世界は堅牢にして柔軟。みっちりしているクセに外見スカスカに見える。軽い文体に読んで見てダマサレター と思いつつ楽しめる。
そんな魅力。舞城の世界に入り込みたい人が読む話だから
大衆向けの名前の大きい賞は似合わないと思う。というか、つりあわない。
だけれどこの本、愛をくどいくらいうたっているタイトルに負けず劣らず。
愛ってなんだ?と思った時、読んで見ると面白いと思う。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.27:
(4pt)

愛は祈りだ

愛なんて幻想よ。たしかにそれは受動的な立場にたってみたら、夢に終わるだけかもしれない。だからあえて手をあわせる。形のないものへ手を合わせる。アグレッシブに叫んでみてもかまわない。「愛は祈りだ。僕は祈る。」の冒頭部を声にだして何度も反芻している。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.26:
(4pt)

関係のメタ化を突き抜けて

物語序盤で、中学生の慶喜くんがいう「メタ化された友達」という言葉が印象的だ。メタ化された関係は、実質ではなく、形式を重視する。
その関係においては、振る舞い、ポーズが優先され、気持ちは後回しにされる。本来、気持ちが生じて、結果行為へと続いていくはずなのに。
そんなふうに感情と行為の順番が逆転してしまった世界を、もう一度反転させようというのがこの小説のねらいだろうか。

けれども相手に対する気持ちは、どうやったら真っ直ぐに届くのだろうか? 
行為の形式へ当てはめなければそれは不可能ではないのか?
感情から行為への連結は、思う以上に難しい。
自分で自分の感情を偽ることもあるからだ。

関係のメタ化を突き抜けて、愛する人を愛することは困難を極めている。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.25:
(4pt)

愛することとは?

第131回(2004年下半期)の芥川龍之介賞候補作となったんだけども、石原慎太郎に「タイトルを見ただけでうんざりした」と批判された作品。

ちなみに池澤夏樹・山田詠美などは強く推したらしい。
やるね、この二人。

さらにちなみに、この時芥川賞受賞したのが阿部和重『グランドフィナーレ』。

石原慎太郎が『好き好き大好き超愛してる。』を「タイトル見ただけでうんざりした」とか言うなら、『グランドフィナーレ』は、「ストーリーにうんざりした」って言えよとか思いながらも、今回は舞城のレビューなのでこの辺でやめとく。

芥川賞取ったら芥川賞を見直していたかもしれないけど、芥川賞とるタイプの作品じゃないって感じ。

セカチューに対するアンチテーゼ的な作品であって、タイトルにもあるように、とにかく「愛する」ということを真っ直ぐに描く。

「愛する」ってどういう事なんだろう。

昨今小説で表現される愛って言うのはどうも、「死」と結び付けなきゃ気がすまないみたいだ。

そんな表現以外にも、もちろん「愛」はあるんだぜ!

と舞城は叫ぶ。石原には届かないが。

僕は単純にこの小説を評価する。
恋愛小説大嫌いだけど、この小説を評価する。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.24:
(4pt)

転調で愛をさけぶ

死にそうな彼女、死んでしまった彼女、死んだばかりの彼女。ボクが彼女を失うストーリーが少しづつ転調しながら展開されていく。
「世界の中心で、愛をさけぶ」に対抗して書かれたというのは有名らしい。愛する人を失う物語は本来このように美しく書けるのだということを見せつけているようだ。
特にイブの肋骨を操縦して神と戦う、ニオモとボクの話はとてつもなく美しい。少女イブが神と戦うというのはエヴァンゲリオンをバックグラウンドにしているのだろう。
この話のイブ「ニオモ」は「超無駄だよ返してよ私の胸の骨」という風に喋る。形而上的な物語を世俗的な会話スタイルで見事に造形してしまう、そのテクニックは超絶的です。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.23:
(5pt)

芥川賞選考委員は何を読んでたの?

石原慎太郎の読めなさには愕然。
若い人の感性がわからないんだったら選考委員やめればいいし、それは石原だけでなく、宮本輝や高樹のぶ子にもいえる。新しい文学をそんなに否定したいの? 中原昌也にしてもそうだが。

『世界の中心で、愛をさけぶ』のアンチテーゼであるこの作品は、恋人が死ぬという現実を、ただ「悲しい」だけで片付けない。
なぜ、自分は恋人に死んでほしくないのか、どうして悲しいのか。
それを問うて、かつ小説について問うた作品。
合間あいまに挿まれる短編も素晴らしい。
泣けはしない。
しかし、感銘をうけた。そして感動した。
紛れもない「新しい文学」です。
芥川賞は選考委員を全員変えてください。山田詠美と池澤夏樹以外は。
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4061824945
No.22:
(4pt)

舞城氏の本音。

舞城氏の作品は全て読んでます。ぶっ飛んだ世界の中で放たれるコトバの数々、メチャクチャな暴力、性ばかりのストーリー支離滅裂な小説を書いている様で実はこの人が描いているのはもの凄くオーソドックスな愛を持つ世界。それがこの本の表題作、「好き好き〜」を読むとよく分かる。冒頭でイキナリ「愛は祈りだ。僕は祈る」なんて文で始まるのだけれど、これは舞城氏の本音ではないのだろうか。作中で、病気で死んでしまった彼女を想い小説家の主人公が「死」を小説の中で書くということについて自身に言及している場面がある。ここでも、安易に死を扱った小説(*セカチュウ)を意識しているであろう舞城氏自身の本音であるかのようなコトバが幾つもある。恋人が死んで嗚呼忘れられないなんてオキレイな純愛きどりの本がベストセラーになってしまう世の中に、自分なりのメッセージを送ったのだろうか、と思いました。まぁ物語としては少し物足りない感はあった。オムニバス形式で書かれていて、おもしろい話もあったけど、奈津川家サーガなどの作者の持味である勢いがなく、物語としては収録作「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」の方が完成されていたと思う。ただ、文壇も黙殺していたセカチュウのような純愛B級小説に対するアンチテーゼ、自分なりのメッセージを込めた舞城氏の意気込みは認めたいですね。※恋愛小説として読みたいのなら、短篇の「ピコーン!」(別本ですが…)のが私的にお薦め☆
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No.21:
(5pt)

伝えられなかった愛と、残されたたくさんの愛

『世界の中心で愛を叫ぶ』は感動したし、映画も見た。泣いた。

隣の席に座ってるおねえちゃんにドン引きされた。

結局のところ、作者は何を書きたかったのだろうか?

『世界の中心で愛を叫ぶ』の逆サイド作だとも取れるし、

けれど、『世界の中心で愛を叫ぶ』の小説中で“はしょられた”

「恋人の死」から「大人となってそれを乗り越えたあと」

その中間部分を繋ぐような作品にも思える。

ただ、『世界の中心で愛を叫ぶ』が「愛と喪失による悲しみ」を描いていたことを考えると、

当書が、その「愛と喪失」だけをテーマにしているようには少し思えなかった。

愛をテーマとしている割には、現実的な物語でありすぎるし、

もう一歩踏み込んだ、ある意味、問題提議的な作品に思えてならない。

ここで書かれているのは、どう生きるか、じゃないのか。

死の果てにあるのは喪失による悲しみだけじゃない。

残された人たちは、残されただけのリアルな時間を、それでも生きるべきなのだ。

歩み、進み続けるべきなのだ。

不器用だって良い。後悔だらけだって良い。

なぜって、“生きていることこそが素晴らしい”のだから。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.20:
(4pt)

愛してるということ

世界の中心で愛を叫ぶのアンチテーゼだと聞いて読んだ。

私が思うに、世界の中心〜は病気で死んでしまう悲しさとか

恋人を失う悲しさだとか、そういうのが前面に押し出されていると思うが

この本が伝えたいことは、ただただ愛してるということで

それは、病気だからだとか、死によって離されてしまうから

時間が惜しい、一緒にいたい愛してると思うそういうことじゃなく

それはつらいとか寂しくて悲しいとか、独りよがりな感情じゃなくて

ただ、今言葉では言い尽くせないほど愛していて

好きで好きで大好きで

愛しているから傍にいる。

環境とか、状況とかそういうんじゃないんだと強く訴えかける

愛にはいろいろな形があるだろうし、たとえ独りよがりだろうと愛は愛なんだろう

でもこんなふうな愛が本物であり、またあってほしいと思う。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.19:
(5pt)

鋭く芯がある本

感情的な題名に惹かれて読んでみると、いがいと淡々としてて面白かった。
世界観が章ごとに急に変わったりするところもあり、
主人公の分析的な感情描写に共感できない人は混乱するかもしれないが、
言いたいことは一貫してるので、サクサク読んでいけば感覚でわかってくると思う。
世界の〜よりもっとサッパリしてて、感傷的じゃない。
冷静に客観視しつつも、ずっと深く愛し過ぎてる。そんな感じ。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.18:
(4pt)

何がイイって、題名が最高

阿部和重に匹敵するかなりの作家。

とりあえず日本作家(小説家、漫画家、映画監督、アニメ監督等)としては、最高クラスに属する作家であることは間違いない。

「好き好き大好き超愛してる」って素晴らしい題名からはじまる短編集はその題名に負けないポップでキュートでディープな作品郡だ。

人は人を愛する、人は死ぬ、そして人は生きる。その単純で根本的なことをあふれる才能で書き切った珠玉な作品郡。

私は面白い、しかしこれを面白いといわない人もいるだろう。だが、これだけの作品を現在書ける作家はそうはいないだろう。

日本人は必読の作家、作品である。
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No.17:
(4pt)

やはり作者は凡人ではありません

表題作は、恋人への愛と死を描いた作品。

非常に現実的な描写からSFまであり、

所謂、恋愛小説とは全く異なるテイストに新鮮さを感じさせます。

次世代恋愛小説とでも言うのでしょうか、さすが舞城王太郎ですね。

「ドリルホール」は沢山の人が死ぬ描写や

頭にドライバーが刺さる描写が痛々しいですが、

やはりテーマは愛。

「好き好き」よりもぶっ飛び具合は上をいっています。

飛んでる内容の中にある普通の愛は際立って見えるのか、

私には心に響く物がありました。

相変わらず挿絵(今回はカラー!)がうまい。

文章を読んでからイラストを見ると、グッときます。

舞城作品のイラスト集とかあったら見てみたいものです。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.16:
(4pt)

新境地への第一歩

タイトル作と、中篇「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」が収められている。

「好き好き」は、『世界の中心で、愛をさけぶ』を換骨奪胎している、というか、ぶつ切りにして、煮て焼いてゆでて蒸して、舞城風に味付けをしている訳だけれども、古典的ラブストーリーを21世紀的文体、テンションで書き直すとこうなるんだろうな、と思う。政治・経済をめぐる言論では、もはや「創造的破壊」というと用語は眉に唾をつけずに聞くことは出来ないだろうが、文学−言葉の芸術−においては、破壊するところから始める、という方法はまだ有効だと思うし、それでおもしろいものがたくさん作られている。音楽もそうだ。視覚芸術はよく分からない。

「ドリルホール」の方は、殺人鬼にドライバーを頭に突っ込まれた富山の主人公が、調布の中学生となぜか一心同体となって世界を救う全能のヒーローになる、という話。意味も無く人がばたばた傷つけられる・死ぬというのが舞城王太郎の小説では多かったが、この新しい作品集では、そういった傷・死に対し、ちょっとずつ意味が付与されているのが興味深いところである。

カバーが派手で電車とかで目立つのも、(好き嫌いがあると思うけど)よいと思う。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.15:
(4pt)

すげぇイキオイ!!

上手いな!!

イキオイいいな!!

アンタすげえな!!

そういう感じです。

『世界の中心で愛を叫ぶ』へのアンチテーゼらしいですが、

他と比べるまでもなく、これ一本で成立しています。

独特な文体にビックリする人もたくさんいるでしょうし、

その突拍子もない世界観にくらくらする人もいるでしょう。

(まぁ、大概の人はくらくらすると思います…)

それでもその突拍子のなさをものともせず、

読者をひっぱり、ひっぱりまわし、頭をぶん殴るような衝撃を与えてくれます。

強烈で印象的なこの作品に相応しい、作者自身の挿絵にも注目です。

ともに収録されているのは、

『ザ・ドリルホール・インマイブレイン』
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.14:
(5pt)

この作品を「超愛して」ます

第131回芥川賞候補になり評価が真っ二つに割れた「愛は祈りだ。僕は祈る。」から始まる文学界の問題児・舞城王太郎渾身の(SF要素入りまくりな)純愛小説。饒舌な文体で正面から愛を語る。文句無しの5つ星。買うのちょっと恥ずかしかったけど買ってよかった。
セカチュー批判(批判というよりはパロディ?)も籠み。僕らは大切な人の死というメタ化された設定によってつい泣かされがちですが、本作はそんなメタ化された設定を超えて紡がれる物語。いや、これは文学だ。さらりとフラットに書かれているせいで涙は出ず。けどそれよりも深いところを衝いてくる何かがある。是非一読下さい。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945
No.13:
(3pt)

考える考える考える

表題作。相変わらずクライマックスで主人公の思索の流れをそのままに文章化しているが、そこに芸術性はあるのだろうか。分析上手論理展開上手、頭がいいんだなー、とは感じさせるが。
 そして主人公の思索がそのまま物語の中心になっている以上、物語自体というよりは主人公の発するメッセージに共感できるかどうかが、この作品の評価へと繋がるのではないか、と思う。 「世界の中心で・・・」のパロディだと言われているようだが、別にそうも思わなかった。恋人が不治の病で、なんてのは別に「世界の・・・」の専売特許でもない。
 筆者の「今どきの若者の口語」を組み込んだ文体は、明らかに強みだろう。村上春樹のように、会話に現実感がない、というより、どうも日本人の話とは思えない会話文も味だし、著者のリアルな会話文も味だ。
  ザ・ドリルホール・インマイブレイン。ジャンルづけはしにくいが、これはかなり遊んでいる。遊びとしてかなりおもしろかった。
 しかし表題作とまとめて一冊にするべきだったかどうかは疑問だ。 イラスト、うまいなー。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
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No.12:
(5pt)

正統派

突然変異種のような扱いをされることが多いような気がする舞城王太郎ですが、まっとうに文学の本流を受け継いでいるように思います。言葉遣いの面白さは確かに個性的ですが、考えてみれば優れた作家の言葉遣いというのは皆個性的なものです。
いくつかのエピソードを並列させるこの作品の手法は、それぞれの繋がりが希薄な感はありますが、別に密接に関わっている方が良い、という理由もないわけで、非常に面白い試み。特に、神との戦いという荘厳なテーマを、ライトノヴェル的な道具立てで表現した、SF仕立ての章は、それだけで短編として成立し得るほどの密度を持っています。
ただ『世界の中心で~』のパロディと言われるこの作品、「愛」をテーマにしているのか、それとも「愛」を口実に、何か他のものを描こうとしているのかが分からず、どこかはぐらかされているような印象があったのも事実。しかし、村上春樹や高橋源一郎の跡を継ぎ得る、日本文学の大きな可能性であることは間違いない。
余分なことですが、この作品を受賞作に選べなかった芥川賞はその価値を一段下げたと思います。
好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)より
4061824945

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