■スポンサードリンク
仏果を得ず
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
仏果を得ずの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.49pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いつの時代も不朽の名作というものがあります。 若手大夫の健は名作舞台の筋の解釈で悩み、恋に煩悶しながら成長していきます。全体的にコミカルですが、物語に込められる人情の普遍性が丁寧に書かれています。特に最後の舞台では健の語りと兎一郎の三味線が文章を通して、空気を震わせ、読み手の耳まで伝わってくるようでした。『仏果を得ず』、良い題名だと思います。 読んだらきっと劇場へ文楽を見に行きたくなります。我ながらわかりやすい反応だとは思いますが、早速、予約しようかと考えています。しかし健と銀大夫の都々逸は面白いなー。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
笑いました。面白かった! そして、文楽かっこいい! 人間と人間とのつながりってほんとに 面白いし、すばらしい。 しかも、何かを目指して筋を通して 生きようとしている人はとてもステキですね、やっぱり。 何かを極めるということ 誰かを好きになること 自分だけではどうにもならないからすばらしいんですね。 主人公の友人がつぶやく 「恋愛で駄目にならん秘訣」には参りました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「恋愛や家族よりも、まず芸(仕事)ありき。」主人公の健が、恋人に対して、芸の精進が恋よりも何よりも優先することを告げる場面があるが、文楽の大夫として大成するには、恐らく朝昼晩もなく、芸の道に励まなくてはならない。そして、同じことは歌舞伎など他の伝統芸能だけでなく、陶芸や漆器といった伝統工芸や、長くて辛い訓練を必要とする全ての伝統的な職人の技に共通する問題でもある。(ちなみに、学者として大成するためにも、同じような長い訓練が必要だ。) こうした芸や技といった「一生の仕事」に魅せられてしまった男(及び女)にとっての職業観とはどんなものかを、さらりと、青春小説の形を借りて作者は語っている。今やこうした職業観(及び人生観)は絶滅に瀕しているように思え、かつてはありふれた光景だった師弟関係や、しきたりや、稽古や厳しい訓練といったものが日本から消えつつあればこそ、本書で描かれる文楽の世界がとても魅力的に思える。 文楽の入門書として読むのも面白いけれど、男の思考回路がどうなっているのか、といった見方で読んでも楽しいと思う。何故彼氏または彼女がデートよりも残業を優先するのか理解したい人(「私と仕事とどっちが大事なの?」が口癖の人)には特にお勧め。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
えーっ“文楽”?ナニソレ。しかも人形浄瑠璃の人形の方じゃなくって、義太夫節?あの、おじいさんが唸ってるようなヤツ?どうしちゃったの、しをんさん。あ、彼女の趣味だったのね。 ところが読んでびっくり、あれよあれよと引き込まれる。素敵なユーモア青春小説じゃないの。しかも、文楽に関する基本知識が抵抗なくスルスルと理解できちゃう。 これぞ読書の効用。またも新しい世界をのぞかせてもらいました。感謝、感謝。今度NHKで文楽中継があったら録画してみようっと。 ど素人をそんな風に感化してしまう、凄い力を持った作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者の作品はこちらが初めてです。 文楽をたまに見る程度の知識ですが、 表紙の不可思議さに惹かれて手に取りました。 出てくる演目は歌舞伎でも著名なもの(元々のオリジナルは文楽だし) なので、戸惑うことなく入り込めます。 文楽というと、つい人形方に目が行きますが、 伝統芸能の中で世襲制を取らない組織の中、 その人形方も、大夫も、どのような背景で、 どのような人間関係で構築されているのか、 一般のポピュラーな芸能と比べて、ブラックボックスの ような印象が今までありました。 それを堅苦しくなく、 ぐいぐい読ませるテンポ、鮮やかな人物像で、 気持ちの良い読後感を味わえて、かなり楽しめました。 逆に軽すぎて拍子抜けしてしまったほど。 すべて読み終えた後に、表紙の絵を見ると、 また違った感慨があります。 なんだか今すぐにでも文楽が観たい!という 気持ちにかられます(笑)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろい。でも文楽を見たことがない。なんという人生の不覚。表紙のかわいらしさで手にとってしまった。文楽の演目は聞いたことがあるけど内容まではわからない。でも若い太夫の日常と演目が重なってとてもおもしろかった。伝統芸能がすごく身近なものに感じられた | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「風が強く吹いている」の、しをんさんの新作ということで手に取りました。 「文楽」と聞いてもピンと来ず、「女殺油地獄」が出てきた所でやっと、江戸時 代でいう「浄瑠璃」のことだと気付いた次第でございます(笑)。 恥ずかしながら、私、卒論は近松門左衛門でした…。 「女殺油地獄」や「心中天網島」は、人形浄瑠璃の戯曲として書かれたものです が、「文学」として専攻していたので、俄かには結び付きませんでした。 私と同じく、「へえ、文楽が題材なんて面白そう」というよりは、「風が〜」の しをんさんの新作だから、と手にされる方がほとんどだと思います。 そんな方でも大丈夫! 心配いりません! 「女殺油地獄」の「与兵衛」とはどんな人間なんだ?、と必死に模索する健とと もに、300年前から語り継がれてきた「文楽」の世界に、一気に引きずり込ま れること間違いなしです。 もしかしたら、「風が〜」があまりに傑作だったので、この本を読むのを躊躇し ている方もいらっしゃるかも知れません。 ですが、私は、江戸期における「文学」としても捉えられている「文楽」という 題材の方が、活字で表現するのに向いていると思います。 「風が〜」の、そのまま映画やドラマになりそうな、デフォルメされきったキャ ラの書き込みはやや抑え目で、その分、各演目の内容が掘り下げられているので、 マンガチックな小説はちょっと…という方も、きっと読み応えを感じられると思 います。 とは言え、健の師匠の銀太夫さんが、ちゃんと、しをんさんらしい面白さも醸し 出してくれていますよ(笑)。 個人的なことですが、実際に戯曲を読んだことのある、「女殺油地獄」や「心中 天網島」が出てきたことや、社員旅行で実際に内部を見学したことのある「内子 座」が登場してきたことなどから、この本に出会えたことに、「不思議な縁」を 感じています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書の書名にある「仏果」とは、仏教用語で、修業を積むことによって得られる悟りのことを意味します。本書は、主人公として描かれる健が、文楽の修行を通じて悩みながらも、成長していく物語です。とても人間くさい登場人物の性格が、うまく生き生きと表現されています。ちなみに文楽とは、義太夫節・三味線と人形劇から成る人形浄瑠璃のことです。伝統芸能の世界には馴染みがありませんので、その世界で繰り広げられる様々な事件の中で、登場人物が悩んだり恋をしたり人間関係で衝突したり・・・という内容になっています。章ごとに読みきりの独立した内容になっていますので、文楽の名作を毎回うまく紹介してくれながら、人間ドラマを描く本書の内容は、久しぶりに読みごたえのある小説に出会う興奮をもたらしてくれました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
改めて言うことではないし、皆様ご存知の通りかもしれないが、三浦しをんは文章を書く能力が非常に高い。具体的にいうと、読者を物語の中に引きずり込んで、あっという間に読まさせてしまう力がすごくある。文章の構成が良いのか、リズムが良いのか、語句のチョイスが良いのか、多分全部兼ね備えているからこんなにも夢中にさせてしまうのだと思う。そのことを今回の作品を読んでまざまざと再認識させられた。文楽という自分にとっては全く興味のない分野で、知りたいとも思わない題材だったのだが、読んで行く内にどんどんと惹き付けられて、一気に読んでしまった。本当に読者に読ませるのが上手い作家だなとしみじみと思ってしまった。やっぱり三浦しをんの作品は面白い。表紙のイラストも良い感じで、本の装丁も特徴的で面白いです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
三浦しをんさんの新作。「文楽」がテーマということで知識が全くない私でも楽しめるのかとちょっと不安でしたが、これ面白かったです。 所謂、青春小説の部類です。 大夫の世界に身を置く健が一人前に成長して行く姿。そして、亡き大夫の相方を忘れることが出来ない三味線弾きの相方。そこに恋の問題ともりだくさんです。 「文楽」という世界に身を置き一途に芸を磨く主人公が、時にはつまずきそして更なる精進を遂げる姿がすがすがしく好感が持てます。しをんさんならではの世界です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青春小説といって一般に思い浮かべられるものといえば、 スポーツか、バンドか、それともひたすら恋愛、とか そのへんだと思うのですが、今回、三浦しをんが描いたのは 文楽(人形浄瑠璃)にかける青春だ。 主人公の健は、30才ちょっと、青春モノの主人公にしては トウが立っている気もするけれど伝統芸能の世界ではまだまだ これからの若手。三味線と人形の動きにあわせて物語を語り、 演じる太夫という役割を舞台ではになう。大先輩のもとでの 修行と公演の日々を送る健。頑固な三味線奏者と組むように 師匠に言われて困惑しつつも、自分なりの役作りや作品の 理解につとめ(心中だの仇討ちだのという古典的な文楽の テーマやキャラクターを、現代の日常生活におけるトラブルや 自分の恋愛から学ぶ、というパターンがユニークである。 文楽の有名な演目のストーリーにも興味を持てるし)、 精進する健のすがすがしさ、未来への不安など、誰もが 通る青春という季節の危うさ、力強さを感じられて、 大抵の人には遠いはずの文楽の世界に生きる彼がすごく 身近に思えてしまう。三浦しをんが大の文楽愛好家で、更に すばらしい文章力と描写力を持つ作家だからなしえた 奇跡の様なすばらしい小説である。 最初の章は、文楽についての概要をある程度説明する描写が 多いので、少しテンポがゆったりめ?と思うかもしれないけれど すぐに入り込めるのでご安心あれ。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!