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ホテル・アイリス
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ホテル・アイリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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〇 この作者には珍しく官能描写(それもSMかつロリータ)が豊富だ。作者はすこし遠慮がちにそれでも精一杯念入りに描いているように思う。 〇 この本の紹介文は「SM愛」をずいぶん強調するが、これに騙されてはいけない。作者が描きたかったのは心の闇に潜む非日常の世界で、そこにたまたま官能の世界があったということのように思う。 〇 この小説の着想はこうではなかったか。まず、他から隔絶された老人と少女だけの世界を描こうと思い、それに相応しい舞台として小さな島の一軒家がうかんだ。そこで演じられるのは常軌を逸したエロス。それを必然とするためには、それぞれが心に深い空洞を抱えていなくてはならず、少女は父を喪失し(かつ厭わしい母の存在に苦しめられ)、老人は悲劇的な妻の死に立ち会っていた、という設定とした。パートのおばさんと甥は、物語の進行のために配置された狂言回しだ。 〇 別の文庫本の解説で、川上弘美が「小川洋子がこれまでに書いた長編小説のなかではホテル・アイリスが一番好きだ」と書いていた。たしかに、そうだろうな。 | ||||
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母の言う通り忠実に仕事をし、変わらない日常を過ごす娘。過去を抱えて下町の海にやって来た老人。 二人は心の埋められないパズルを二人で存在することでやっと埋められた気がした。 それが人とは違うエロスの世界でも、二人にはそれが必要だったのに。 そんな夢のような二人の世界は儚く終る。その現実感が切なすぎて、しばし呆然としてしまった。 | ||||
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おもしろかったですが、相手が老人なので、私は少女に感情移入できず、興奮もできませんでした。 でも少女と老人の愛は純粋で2人にしかわからないものなのだろうと思います。 SとMの話ですが、少女が髪を切られたりするのは、痛々しく、それでも愛を感じるのかなと疑問に思いましたが、そこはぶっ飛んだ2人の愛の世界なのでしょう。 | ||||
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主人公マリ、登場人物、町の様子、自然風景が良く表現されており、小説の世界へのめり込んでしまいます、まだ途中ですが結末がどうなるのか、私の中で空想の世界が広がって行きます。 | ||||
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いつもの通り 心にしみてくる素敵な文章なのですが、あまりしっくりこないテーマに☆みっつ。 でも小川洋子ワールドに浸りたい人は 読んでみる価値があると思います。 | ||||
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何だか日本とは思えない、北フランスノルマンディー海岸みたいな、場末感ただようリゾートの小ホテル。主人公の彼女の閉ざされた生活に、突然侵入してきた怪しい中年男。ストーリーはやや奇をてらった感がありますが、一部書評にあるようなエッチ感は薄く、ひと夏のお話なのに、暑さや湿気を感じない、何だか北ヨーロッパのような乾燥したクールなお話でした。スカーフと死は、南フランスのイサドラ・ダンカンさんの事件がありますね。これも、お話全体の舞台をヨーロッパのような感覚にしたのだと思います。小川先生の文章はさすがですね。端々まで、神経が行き通っているというか、パリッとした感じです。たまに、ぬるっとした文章を書く人がいらっしゃいますが、すごく知的で端正です。抑圧されることの喜びを知ってしまった彼女、このまま無事に生きていけるのでしょうか。拒絶感を覚える方もいらっしゃると思います。 | ||||
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50くらい年の差のある男女の愛のお話。 老人と少女の愛のお話。 少女にとって初めての人を愛する感情 老人にとっては最後になるであろう人を愛する感情 だからこそ2人とも真剣だ。 彼らの愛情の表現は縛り、縛られる、 命令し服従する「SM」の世界なんだけれど いかに老人が少女を痛々しく縛り、傷つけ屈服させていようとも 私には少女のほうが老人を屈服させ弄んでいるように思えてならなかった。 もちろん、少女はそんなことは無意識で、気づいてもいないだろうけれど。 生と死 始まりと終わり そんなことさえ思い巡らされる。 「始まり」とか「生」。は力強い。勢いがある。無知であるからこそのパワーがある。 そして、 「終わり」とか「死」には静かで穏やかな諦め、優しさ、悲しみ。そんなものが まとわりついて、そのものが力になっている。 老人と少女の愛は同じようなパワーでぶつかりながらも まったく種類の違う力であり、 残酷で残忍なのはやはり、生の力をもつ少女なんじゃないだろうか。 どんなに老人が少女をひざまずかせ、身体を身動きできないように 縛り、肌に傷つけても、 いたぶられてる少女こそが 老人の心をザクザクときりつけてるようにも思える。 と、色々思うことありますが、 とっても素敵ないやらしさでとことん魅了されました。 | ||||
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読み終わった直後の感想としては、グリム童話のような陰気でジメジメしている雰囲気が後味として強く残った。しかしながら、老人と少女の妖しい関係が深まっていけばいくほど、私はストーリーにのめり込んでしまい、早く次の展開が知りたいという欲求により、3時間ぶっ通しで読み終えてしまった。 特に難解な表現などもなく、登場人物も少ないため、容易にストーリーをイメージしながら読めるのが良かった。 ただ、究極のエロティシズム!などと文庫裏に書かれているが、そこまでエロくない。どちらかというと少女を弄ぶ究極の変態じじい!をジメジメと巧みに描いた作品だ。 | ||||
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著者の小川洋子さんの小説は、いくつか読んで(「博士の愛した数式」とか)、冷静で静謐に描かれる特異な状況やその中における心情のゆらぎ、といったことをくみとっているところが、とても好きで、その流れでこの小説も読みました。 「偶然の祝福」の文庫版後書きで川上弘美氏が、一番好きなのが「ホテルアイリス」と書いていたこともありました。 しかし、通勤の電車の中で読むにはあまりにSM.すぐ閉じました。 といって、いわゆるエロな印象ともちがって、やはり冷静で静謐だからでしょうか、それ以上に感じるものがあります。 特に、主人公の少女は、「M」なのですが、その内面はむしろ残酷。 たまに会う若い恋人がいる人には、つらく感じられるところもあるかもしれないと思いました。 また、主人公の母に対する気持ちも、残酷とえば残酷。 大人になりきらない女の脱皮する瞬間を視た気がしました。 | ||||
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母が毎日、きっちりと髪を結い上げる。私はホテルのフロントに座る。母の言うとおりに生きる。 そんな母娘は壊れる時が来る。壊れないと娘は一生、娘のまま。 これは面白いと思った。この世界はわかると思った。小川洋子が書いているというのだけ以外だった。 | ||||
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まるで美しい絵画に迷い込んでしまったかのように、非・日常へと引きずり込まれる。 この本の表紙を見たせいだろうか、からっとした気候の、白とブルーの対比が美しい街。 ひなびたホテルと、色の白い美しい少女。 年老いた悪意と、そこだけ妙に生々しい性の部分と。 老いと若さ、男と女、品の良い手紙と下劣なまでに荒々しい肉体の交わりと。 羊皮紙のように薄く壊れやすく年月に脆い交流(これを愛と呼べるのかわからない)、 小川洋子だから輝かせられる世界観。 歪な関係が最後に老人の自殺によって、あまりに短く壊れたとき、なぜかひどく、安心してしまった。 乾いた熱と、ひそやかな悪意。 小川洋子さんって、どんなひとなんだろう。 | ||||
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純文学作家の書いた官能小説。露骨な表現は一切無いが、書かれている内容は紛れも無いSMプレイ。抑えた描写で淡々と書かれているところが、逆にエロティックだ。 M女の心の微妙な機微が丹念に描かれている。とても勉強になった。 | ||||
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著者の作品を初めて読ませていただいたが、 表現の豊かさ、ストーリーの構成には驚かされた。 この手の話は、読む人によって賛否両論分かれると思われるが、 少なくとも、ビジネス書ばかりを読んでいる私にとっては、 とても刺激的で、おもしろかった。 | ||||
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小川洋子さんの既刊を全て読みました。 『博士の愛した数式』だけが、この作家には珍しく、 誰にでも受け入れやすい内容だったのだ…と思わされました。 その他の作品は、どこか現実世界から離れた幻想的な設定が多く、 いかにも芥川賞と泉鏡花文学賞を取った作家さんという印象を受けました。 美しい言葉を選ぶセンス、文章のテクニックは、流石です。 しかし読後は、船酔いをしたような気分になり、気が滅入りました。 「純文学」とは、「分かる人にしか分からないものだ」と思ったりしました。 でも、もし私が、少女の頃のあの鋭敏な感性を、今でも持ち続けていたら、 酔いしれるような感動を得られただろうにと思います。 | ||||
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真夏の海辺で初老の男の「くすんだ皮膚や、貧弱な肉付きや、たるんだ脂肪」を見て、少女はそれが自分ひとりのものでないことに焦れる。彼女は17歳にして老成していた。鄙びたホテルを母娘で切り盛りしている彼女は多くのことをあきらめている。その最たるは、太陽なのかもしれない。ロシア語翻訳を生業とする男もまた太陽から身を隠すように生きている。年齢のせいだけではない。不幸すぎる事故で妻をなくした過去が彼を陰に追いやる。少女と男が営まれるのはいわゆるSM的行為だが、肉体を縛る縄のあいだから少女は何かを差し出し、男も命令をくだすことで少女に何かを与えている。あきらめを共有しあう儀式のような性愛は、彼らを透明にしていくようだ。強い陽差しにかざすと透けてみえるものも、陽がかげればその輪郭が見えてくる。夏が終わり、少女と老人の関係も終わる。美しい髪を切られて少女は輪郭を露にした。きっともう透明な存在には戻れないのだろう。 | ||||
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ここまで緻密な文章で以上ともいえる性愛を表現できるのは小川洋子だからでしょう。 森茉莉とか好きな人にはいいかも。 あたしは好きでした。 | ||||
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閉鎖した世界で繰り広げられる少女と老人の狂気の世界。冷たく静かに、けれど確実に深みに嵌っていく二人の世界の行き着く先は・・・ 小川洋子の世界観が好きか否かの踏み絵といえる作品だろう。これが嫌な方は「博士の愛した数式」を除く他の彼女の作品は避けたほうが良いかもしれない・・・ | ||||
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今まで読んだどの作品も大好きですが、この作品は薬指の標本に引き続き特にお気に入りの一冊になりました。ソーダ水のはじけるようなみずみずしい感覚が好きです。 | ||||
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娼婦としての隠微さの象徴であるロリータ・コンプレックス を感じさせるような視点。 離れ小島に住むロシア語翻訳家の老人の純愛? の変則的な両視点で描いた純文学。 中級者以上の純文学愛好家には良いが、 芥川系読者でないヒトには余りにも純文学過ぎる。 テクニカルな秀作。 | ||||
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主人公の少女は海水浴場のさびれたホテルで家族と働いている。彼女は夢見る年頃に、死にゆく祖父の世話やホテルの雑用をしながらひっそりと暮らしている。ひどく暑い夏で、海がきらきらしている隣で、少女は人生を取るに足らないものだと思っている。 そんな少女が、老人と特殊な関係を築く。老人は彼女の非日常であり、彼女はその非日常の穴に落ちてしまう。しかし、最後には現実的な現実が待っている。少女はその現実を受け入れる。 ひとりの少女の、目に映らないほどの些細な夢や失望が克明に書かれている。エロティックな描写も品があり、そこで勝負する作家たちと一線を画している。 | ||||
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