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ホテル・アイリス
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ホテル・アイリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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「痴人の愛」を読み終えた余波だったのだろうか。 老人の恋愛小説を読みたくなった。 そこで「老人、恋愛、小説」のキーワードで検索した結果、 この本が抽出された次第。 「博士の愛した数式」は映画で観たものの小川さんの作品は 実は初めて読んだ。 あまり調べもせずのさっさとダウンロードして、読み始めたのだが まさかSMとは・・・。 私としては老人のささやかで、そこはかとない恋心を求めていたのだが。 全体的な基調は知的で冷静で静謐。 しかしSM描写に留まらず、女性と老人の登場場面はなにか痛々しく、 読み手である私自身が徐々に精神的な緊縛を覚えた。 老人は私とほぼ同い年なので若い女性への性愛欲望は十分に理 解できるのだが、 17歳の若い女性が、そこへのめり込む心理とは一体何なのか? ~母が毎日、きっちりと髪を結い上げる。彼女はホテルのフロントに座る。 母の言うとおりに生きる~ ホテルでのこの生活が彼女に「M」を受け入れる素地を培ったのだろうか? たしかに泉鏡花の「高野聖」を読んだあとと似たような感覚におそわれたが、 後味はあまりよいものではなかった。 | ||||
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小川洋子さんの作品の世界はどこか独特である。 あっと驚く展開があったり、得も言われぬ後味が残ったり、 思わず目を覆いたくなうような描写があったり。 これは暗い過去があり特殊な性癖を持つ老人(初老?)と、 10代の娘が関係を持っていくというストーリーである。 裏表紙のや帯のキャッチコピーほど内容は過激ではないが、 男が女をいたぶる描写は、時にはかなり執拗で、読むのが苦しくなる。 (まぁ、俗な言い方をすればSMが繰り広げられるわけだけど・・) この作品を読んで「グロテスク」という言葉を思い出す。 愛し合うふたりの愛が純粋であればあるほど、 世間の鏡に映すと、そのふたりは「グロテスク」に映るのではないか、と。 そのコントラスはかなりはっきりと描き出されている。 ただ、描写がかなり痛々しいので、もちろんそれは作家の狙い通りなのだろうが、 読み進めるのにちょっと苦労したので星は少な目。 | ||||
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長い間、この本を買うのをためらっていました。 解説の”少女と老人のエロス”というような説明から受ける印象が、私が抱いている小川作品全般に流れる繊細さと相容れなかったからです。 購読後、数頁読んでみて、ああ、間違いなく小川作品だ…とまずは安堵。 読み進めて、島でのエロスな描写が始まって、尚深みを増す、繊細さ。 人が哀しみから抜け出そうとする、凶暴さを、繊細な描写が浮かび上がらせている。 そして何故、タイトルがホテル・アイリスなのか。 作中の一番ストレートにインパクトのあるシーンはホテル外で行われている。 ホテルは主人公の後ろもしくは、中にある。 読み進めながら途中からその微妙な違和感が付きまとっていた。 小川作品のタイトルは、それ自体が読み解きを含む場合が多い。 物語を二重三重に漉したあと残ったエッセンスをタイトルにするのではなく、 漉し紙に残った滲みがタイトルになっているような、漠然とした手触りをいつも感じる。 タイトルがそうであるなら、やはり徹底的にこの話の主人公は少女なのだろう。 哀しみは老人も少女も共通の不可避なものであっても、 残酷さは老人にとってどうすることもできないもの、逃れることができないものだとしても、少女にとってはもうすこし脈動的なものである感じがする。 この作品の中で、少女の残酷さ、それだけが生をもって息づいている。 そんな印象が残りました。 小川作品の系譜で外せない作品だと思いますが、 『密やかな結晶』『やさしい訴え』がいままで読んだ中で一番好きな作品なので それらと比べて好みという点で星三つでレビューさせていただきます。 | ||||
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この物語が純愛という言葉で語られるのなら 純愛とはなんとも危険な言葉だ。 ピュアという言葉は響きは美しいが やはりどこかにひずみがでるものなのかもしれない 社会生活は常にせめぎあいで けしてピュアではいられないことを改めて認識させられる。 さすが小川洋子。強烈な世界観だ。 しかし、「まぶた」と読み比べると切れ味で劣る。 小川洋子さんも短編でより才能を見せつけることのできる人のような気がする。 | ||||
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母親の経営する寂れたホテル「ホテル・アイリス」で働く私。ある日泊まった初老の客が気になって仕方が無い。偶然再会した二人は逢瀬を重ねていく。私は、彼の命令するときの声が好きだった。私は男の命令を全て受け入れる。男は行為のとき、何の恐れも無いように命令するのに、普段はやたらおどおどしていた。そんな男との逢瀬も、嵐で最後を迎える。 所謂SM行為に耽る若い少女と初老の翻訳家の男。このモチーフだけだとロリータを髣髴とさせるかもしれない。しかし彼女はロリータではない。ただ彼の声を、命令を求めているだけなのだ。彼も何故自分が少女をそのように扱うか自分自身理解しかねている印象を受けた。 なんとなくデジャヴを感じたが、設定、モチーフがまぶたに似ていたからだと思う。 | ||||
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