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ホテル・アイリス
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ホテル・アイリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 1~20 1/2ページ
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小川洋子氏の大ファンの私にとって、初めて失望した小説。いつもは静謐なファンタジックな物語に没入できるのだが、これはまったく異質な小説。「映画化」されるとの帯につられて購入してしまったが、がっかりした。少女が老人によって性(しかもエロ黒)に目覚めさせられる様子が延々と続きうんざりした。こういう物語は小川洋子には書いてほしくなかった。 | ||||
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〇 この作者には珍しく官能描写(それもSMかつロリータ)が豊富だ。作者はすこし遠慮がちにそれでも精一杯念入りに描いているように思う。 〇 この本の紹介文は「SM愛」をずいぶん強調するが、これに騙されてはいけない。作者が描きたかったのは心の闇に潜む非日常の世界で、そこにたまたま官能の世界があったということのように思う。 〇 この小説の着想はこうではなかったか。まず、他から隔絶された老人と少女だけの世界を描こうと思い、それに相応しい舞台として小さな島の一軒家がうかんだ。そこで演じられるのは常軌を逸したエロス。それを必然とするためには、それぞれが心に深い空洞を抱えていなくてはならず、少女は父を喪失し(かつ厭わしい母の存在に苦しめられ)、老人は悲劇的な妻の死に立ち会っていた、という設定とした。パートのおばさんと甥は、物語の進行のために配置された狂言回しだ。 〇 別の文庫本の解説で、川上弘美が「小川洋子がこれまでに書いた長編小説のなかではホテル・アイリスが一番好きだ」と書いていた。たしかに、そうだろうな。 | ||||
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母の言う通り忠実に仕事をし、変わらない日常を過ごす娘。過去を抱えて下町の海にやって来た老人。 二人は心の埋められないパズルを二人で存在することでやっと埋められた気がした。 それが人とは違うエロスの世界でも、二人にはそれが必要だったのに。 そんな夢のような二人の世界は儚く終る。その現実感が切なすぎて、しばし呆然としてしまった。 | ||||
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「痴人の愛」を読み終えた余波だったのだろうか。 老人の恋愛小説を読みたくなった。 そこで「老人、恋愛、小説」のキーワードで検索した結果、 この本が抽出された次第。 「博士の愛した数式」は映画で観たものの小川さんの作品は 実は初めて読んだ。 あまり調べもせずのさっさとダウンロードして、読み始めたのだが まさかSMとは・・・。 私としては老人のささやかで、そこはかとない恋心を求めていたのだが。 全体的な基調は知的で冷静で静謐。 しかしSM描写に留まらず、女性と老人の登場場面はなにか痛々しく、 読み手である私自身が徐々に精神的な緊縛を覚えた。 老人は私とほぼ同い年なので若い女性への性愛欲望は十分に理 解できるのだが、 17歳の若い女性が、そこへのめり込む心理とは一体何なのか? ~母が毎日、きっちりと髪を結い上げる。彼女はホテルのフロントに座る。 母の言うとおりに生きる~ ホテルでのこの生活が彼女に「M」を受け入れる素地を培ったのだろうか? たしかに泉鏡花の「高野聖」を読んだあとと似たような感覚におそわれたが、 後味はあまりよいものではなかった。 | ||||
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おもしろかったですが、相手が老人なので、私は少女に感情移入できず、興奮もできませんでした。 でも少女と老人の愛は純粋で2人にしかわからないものなのだろうと思います。 SとMの話ですが、少女が髪を切られたりするのは、痛々しく、それでも愛を感じるのかなと疑問に思いましたが、そこはぶっ飛んだ2人の愛の世界なのでしょう。 | ||||
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主人公マリ、登場人物、町の様子、自然風景が良く表現されており、小説の世界へのめり込んでしまいます、まだ途中ですが結末がどうなるのか、私の中で空想の世界が広がって行きます。 | ||||
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いつもの通り 心にしみてくる素敵な文章なのですが、あまりしっくりこないテーマに☆みっつ。 でも小川洋子ワールドに浸りたい人は 読んでみる価値があると思います。 | ||||
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何だか日本とは思えない、北フランスノルマンディー海岸みたいな、場末感ただようリゾートの小ホテル。主人公の彼女の閉ざされた生活に、突然侵入してきた怪しい中年男。ストーリーはやや奇をてらった感がありますが、一部書評にあるようなエッチ感は薄く、ひと夏のお話なのに、暑さや湿気を感じない、何だか北ヨーロッパのような乾燥したクールなお話でした。スカーフと死は、南フランスのイサドラ・ダンカンさんの事件がありますね。これも、お話全体の舞台をヨーロッパのような感覚にしたのだと思います。小川先生の文章はさすがですね。端々まで、神経が行き通っているというか、パリッとした感じです。たまに、ぬるっとした文章を書く人がいらっしゃいますが、すごく知的で端正です。抑圧されることの喜びを知ってしまった彼女、このまま無事に生きていけるのでしょうか。拒絶感を覚える方もいらっしゃると思います。 | ||||
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コンディション: 中古品 - 非常に良い とありましたが、シミが着いているわ 折れ目はあるわ で非常に悪い状態でした。正直に書いてほしい物です。 | ||||
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小川洋子さんの作品の世界はどこか独特である。 あっと驚く展開があったり、得も言われぬ後味が残ったり、 思わず目を覆いたくなうような描写があったり。 これは暗い過去があり特殊な性癖を持つ老人(初老?)と、 10代の娘が関係を持っていくというストーリーである。 裏表紙のや帯のキャッチコピーほど内容は過激ではないが、 男が女をいたぶる描写は、時にはかなり執拗で、読むのが苦しくなる。 (まぁ、俗な言い方をすればSMが繰り広げられるわけだけど・・) この作品を読んで「グロテスク」という言葉を思い出す。 愛し合うふたりの愛が純粋であればあるほど、 世間の鏡に映すと、そのふたりは「グロテスク」に映るのではないか、と。 そのコントラスはかなりはっきりと描き出されている。 ただ、描写がかなり痛々しいので、もちろんそれは作家の狙い通りなのだろうが、 読み進めるのにちょっと苦労したので星は少な目。 | ||||
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50くらい年の差のある男女の愛のお話。 老人と少女の愛のお話。 少女にとって初めての人を愛する感情 老人にとっては最後になるであろう人を愛する感情 だからこそ2人とも真剣だ。 彼らの愛情の表現は縛り、縛られる、 命令し服従する「SM」の世界なんだけれど いかに老人が少女を痛々しく縛り、傷つけ屈服させていようとも 私には少女のほうが老人を屈服させ弄んでいるように思えてならなかった。 もちろん、少女はそんなことは無意識で、気づいてもいないだろうけれど。 生と死 始まりと終わり そんなことさえ思い巡らされる。 「始まり」とか「生」。は力強い。勢いがある。無知であるからこそのパワーがある。 そして、 「終わり」とか「死」には静かで穏やかな諦め、優しさ、悲しみ。そんなものが まとわりついて、そのものが力になっている。 老人と少女の愛は同じようなパワーでぶつかりながらも まったく種類の違う力であり、 残酷で残忍なのはやはり、生の力をもつ少女なんじゃないだろうか。 どんなに老人が少女をひざまずかせ、身体を身動きできないように 縛り、肌に傷つけても、 いたぶられてる少女こそが 老人の心をザクザクときりつけてるようにも思える。 と、色々思うことありますが、 とっても素敵ないやらしさでとことん魅了されました。 | ||||
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長い間、この本を買うのをためらっていました。 解説の”少女と老人のエロス”というような説明から受ける印象が、私が抱いている小川作品全般に流れる繊細さと相容れなかったからです。 購読後、数頁読んでみて、ああ、間違いなく小川作品だ…とまずは安堵。 読み進めて、島でのエロスな描写が始まって、尚深みを増す、繊細さ。 人が哀しみから抜け出そうとする、凶暴さを、繊細な描写が浮かび上がらせている。 そして何故、タイトルがホテル・アイリスなのか。 作中の一番ストレートにインパクトのあるシーンはホテル外で行われている。 ホテルは主人公の後ろもしくは、中にある。 読み進めながら途中からその微妙な違和感が付きまとっていた。 小川作品のタイトルは、それ自体が読み解きを含む場合が多い。 物語を二重三重に漉したあと残ったエッセンスをタイトルにするのではなく、 漉し紙に残った滲みがタイトルになっているような、漠然とした手触りをいつも感じる。 タイトルがそうであるなら、やはり徹底的にこの話の主人公は少女なのだろう。 哀しみは老人も少女も共通の不可避なものであっても、 残酷さは老人にとってどうすることもできないもの、逃れることができないものだとしても、少女にとってはもうすこし脈動的なものである感じがする。 この作品の中で、少女の残酷さ、それだけが生をもって息づいている。 そんな印象が残りました。 小川作品の系譜で外せない作品だと思いますが、 『密やかな結晶』『やさしい訴え』がいままで読んだ中で一番好きな作品なので それらと比べて好みという点で星三つでレビューさせていただきます。 | ||||
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この物語が純愛という言葉で語られるのなら 純愛とはなんとも危険な言葉だ。 ピュアという言葉は響きは美しいが やはりどこかにひずみがでるものなのかもしれない 社会生活は常にせめぎあいで けしてピュアではいられないことを改めて認識させられる。 さすが小川洋子。強烈な世界観だ。 しかし、「まぶた」と読み比べると切れ味で劣る。 小川洋子さんも短編でより才能を見せつけることのできる人のような気がする。 | ||||
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読み終わった直後の感想としては、グリム童話のような陰気でジメジメしている雰囲気が後味として強く残った。しかしながら、老人と少女の妖しい関係が深まっていけばいくほど、私はストーリーにのめり込んでしまい、早く次の展開が知りたいという欲求により、3時間ぶっ通しで読み終えてしまった。 特に難解な表現などもなく、登場人物も少ないため、容易にストーリーをイメージしながら読めるのが良かった。 ただ、究極のエロティシズム!などと文庫裏に書かれているが、そこまでエロくない。どちらかというと少女を弄ぶ究極の変態じじい!をジメジメと巧みに描いた作品だ。 | ||||
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著者の小川洋子さんの小説は、いくつか読んで(「博士の愛した数式」とか)、冷静で静謐に描かれる特異な状況やその中における心情のゆらぎ、といったことをくみとっているところが、とても好きで、その流れでこの小説も読みました。 「偶然の祝福」の文庫版後書きで川上弘美氏が、一番好きなのが「ホテルアイリス」と書いていたこともありました。 しかし、通勤の電車の中で読むにはあまりにSM.すぐ閉じました。 といって、いわゆるエロな印象ともちがって、やはり冷静で静謐だからでしょうか、それ以上に感じるものがあります。 特に、主人公の少女は、「M」なのですが、その内面はむしろ残酷。 たまに会う若い恋人がいる人には、つらく感じられるところもあるかもしれないと思いました。 また、主人公の母に対する気持ちも、残酷とえば残酷。 大人になりきらない女の脱皮する瞬間を視た気がしました。 | ||||
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母が毎日、きっちりと髪を結い上げる。私はホテルのフロントに座る。母の言うとおりに生きる。 そんな母娘は壊れる時が来る。壊れないと娘は一生、娘のまま。 これは面白いと思った。この世界はわかると思った。小川洋子が書いているというのだけ以外だった。 | ||||
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まるで美しい絵画に迷い込んでしまったかのように、非・日常へと引きずり込まれる。 この本の表紙を見たせいだろうか、からっとした気候の、白とブルーの対比が美しい街。 ひなびたホテルと、色の白い美しい少女。 年老いた悪意と、そこだけ妙に生々しい性の部分と。 老いと若さ、男と女、品の良い手紙と下劣なまでに荒々しい肉体の交わりと。 羊皮紙のように薄く壊れやすく年月に脆い交流(これを愛と呼べるのかわからない)、 小川洋子だから輝かせられる世界観。 歪な関係が最後に老人の自殺によって、あまりに短く壊れたとき、なぜかひどく、安心してしまった。 乾いた熱と、ひそやかな悪意。 小川洋子さんって、どんなひとなんだろう。 | ||||
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純文学作家の書いた官能小説。露骨な表現は一切無いが、書かれている内容は紛れも無いSMプレイ。抑えた描写で淡々と書かれているところが、逆にエロティックだ。 M女の心の微妙な機微が丹念に描かれている。とても勉強になった。 | ||||
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母親の経営する寂れたホテル「ホテル・アイリス」で働く私。ある日泊まった初老の客が気になって仕方が無い。偶然再会した二人は逢瀬を重ねていく。私は、彼の命令するときの声が好きだった。私は男の命令を全て受け入れる。男は行為のとき、何の恐れも無いように命令するのに、普段はやたらおどおどしていた。そんな男との逢瀬も、嵐で最後を迎える。 所謂SM行為に耽る若い少女と初老の翻訳家の男。このモチーフだけだとロリータを髣髴とさせるかもしれない。しかし彼女はロリータではない。ただ彼の声を、命令を求めているだけなのだ。彼も何故自分が少女をそのように扱うか自分自身理解しかねている印象を受けた。 なんとなくデジャヴを感じたが、設定、モチーフがまぶたに似ていたからだと思う。 | ||||
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著者の作品を初めて読ませていただいたが、 表現の豊かさ、ストーリーの構成には驚かされた。 この手の話は、読む人によって賛否両論分かれると思われるが、 少なくとも、ビジネス書ばかりを読んでいる私にとっては、 とても刺激的で、おもしろかった。 | ||||
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