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ホテル・アイリス



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【この小説が収録されている参考書籍】
ホテル・アイリス
ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)

ホテル・アイリスの評価: 3.91/5点 レビュー 32件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.91pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全32件 21~32 2/2ページ
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No.12:
(4pt)

現実世界から解離する快感を得たい人に

小川洋子さんの既刊を全て読みました。

『博士の愛した数式』だけが、この作家には珍しく、

誰にでも受け入れやすい内容だったのだ…と思わされました。

その他の作品は、どこか現実世界から離れた幻想的な設定が多く、

いかにも芥川賞と泉鏡花文学賞を取った作家さんという印象を受けました。

美しい言葉を選ぶセンス、文章のテクニックは、流石です。

しかし読後は、船酔いをしたような気分になり、気が滅入りました。

「純文学」とは、「分かる人にしか分からないものだ」と思ったりしました。

でも、もし私が、少女の頃のあの鋭敏な感性を、今でも持ち続けていたら、

酔いしれるような感動を得られただろうにと思います。
ホテル・アイリスAmazon書評・レビュー:ホテル・アイリスより
4054007740
No.11:
(5pt)

透明な夏

真夏の海辺で初老の男の「くすんだ皮膚や、貧弱な肉付きや、たるんだ脂肪」を見て、少女はそれが自分ひとりのものでないことに焦れる。彼女は17歳にして老成していた。鄙びたホテルを母娘で切り盛りしている彼女は多くのことをあきらめている。その最たるは、太陽なのかもしれない。ロシア語翻訳を生業とする男もまた太陽から身を隠すように生きている。年齢のせいだけではない。不幸すぎる事故で妻をなくした過去が彼を陰に追いやる。少女と男が営まれるのはいわゆるSM的行為だが、肉体を縛る縄のあいだから少女は何かを差し出し、男も命令をくだすことで少女に何かを与えている。あきらめを共有しあう儀式のような性愛は、彼らを透明にしていくようだ。強い陽差しにかざすと透けてみえるものも、陽がかげればその輪郭が見えてくる。夏が終わり、少女と老人の関係も終わる。美しい髪を切られて少女は輪郭を露にした。きっともう透明な存在には戻れないのだろう。
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No.10:
(4pt)

小川洋子ならでは。

ここまで緻密な文章で以上ともいえる性愛を表現できるのは小川洋子だからでしょう。

森茉莉とか好きな人にはいいかも。

あたしは好きでした。
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No.9:
(5pt)

閉鎖した世界で繰り広げられる少女と老人の狂気の世界。冷たく静かに、けれど確実に深みに嵌っていく二人の世界の行き着く先は・・・
 小川洋子の世界観が好きか否かの踏み絵といえる作品だろう。これが嫌な方は「博士の愛した数式」を除く他の彼女の作品は避けたほうが良いかもしれない・・・
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No.8:
(5pt)

夏のひととき

今まで読んだどの作品も大好きですが、この作品は薬指の標本に引き続き特にお気に入りの一冊になりました。ソーダ水のはじけるようなみずみずしい感覚が好きです。
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No.7:
(1pt)

本との相性が・・・

相性の合う合わないはあると思いますが、僕は合いませんでした。
最初に気になったのは主人公の少女が「美少女」であることを強調するくだり。いかに自分を美しい少女であるか(を母親の言動を通じて)描きながら、「わたしは自分をきれいだと思ったことは、一瞬たりともない。」というのはわざとらしすぎて興ざめしました。
登場人物の設定やセリフも昼メロ・少女マンガによくあるような古めかしい調子で現実味が乏しく、主人公が老人に惹かれていく過程も今ひとつしっくり来ない。
なんだか「老人と美少女の性愛」という、悪く言えば俗受けしそうなお題に基づいて作者のテクニックのみで仕上げた作品に思えました。その他のすべてがこのお題のための飾りのようで……。
本作が好きな人には申し訳ないですが、こんな意見もあります。
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No.6:
(4pt)

ロリータ・コンプレックスとファザー・コンプレックスの混在。

娼婦としての隠微さの象徴であるロリータ・コンプレックス
を感じさせるような視点。
離れ小島に住むロシア語翻訳家の老人の純愛?
の変則的な両視点で描いた純文学。
中級者以上の純文学愛好家には良いが、
芥川系読者でないヒトには余りにも純文学過ぎる。
テクニカルな秀作。
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No.5:
(5pt)

夢と希望と現実と幻滅

主人公の少女は海水浴場のさびれたホテルで家族と働いている。彼女は夢見る年頃に、死にゆく祖父の世話やホテルの雑用をしながらひっそりと暮らしている。ひどく暑い夏で、海がきらきらしている隣で、少女は人生を取るに足らないものだと思っている。 そんな少女が、老人と特殊な関係を築く。老人は彼女の非日常であり、彼女はその非日常の穴に落ちてしまう。しかし、最後には現実的な現実が待っている。少女はその現実を受け入れる。 ひとりの少女の、目に映らないほどの些細な夢や失望が克明に書かれている。エロティックな描写も品があり、そこで勝負する作家たちと一線を画している。
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No.4:
(5pt)

不思議な世界

エロティックで切なくて、まるで映画を観ている様に映像が浮かんでくる文章です。生温かい空気のなかに漂っている感覚。日常から離れたい方にお薦め。
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No.3:
(5pt)

静かで、どろどろ・・・

何故か昔から、老人のあの乾燥した手に触れられることに淡い願望を抱いている。
何がきっかけなのか覚えていないけれど、高校生の頃からそんな思いを抱き始めた。
そんなある日、学校のそばの本屋さんでこの本に出会った。帰宅のバスの中で読み始め、帰宅後、制服を脱ぐ事ももどかしく、
夢中で読んでしまった。あぁ、これだな。って思った。
少女が老人の命令で、彼女の口で彼に靴下を履かせたりする場面は
本当にエロティックで、ぞくぞくした。あれから、何度も読み返すけれど、やっぱり好きなお話。物語は、音楽も無く、シンと静まりかえっているけれど、
老人の狂気がどくどくと音を立てて迫り来る様で、
どろどろ好きの方には、是非お勧めしたい一冊。
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No.2:
(2pt)

そこに愛はあるのか?

ちょっとSMチックでエッチな内容のお話でした。しかもうら若き、17歳乙女が、おやじに命令されまくりです。どきどき。
「命令される相手は、醜ければ醜いほどいいの。その方が自分がとことん惨めになるから。」
というようなことを乙女は思っています。乙女とおやじ、きっと二人の間に愛はあるのでしょうが、性的趣味がぴったり合ったために生まれるただの発情?のようにも思えます。ちなみにどちらかというと、サド?寄りの私は、痛めつけられる乙女を見ていると悲しくなります。もっと、このデブでハゲの命令おやじが苛められればいいのに!!と感じましたが、立派なサドになるためには、縛ったりするのが上手じゃないとダメみたいです。
卓球のコート用ネットを張るだけで四苦八苦している私は、立派なサドにはなれそうにありません
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No.1:
(5pt)

自意識に悩む男性にお薦め

男と女の「どうしようもなさ」を自意識の外側から綴る長い長い一篇の詩。
自意識に閉じこもる男と自意識の希薄な女の出会い。
その果てにあるのは女の奔放さが招く男の自意識の崩壊。
それは一見不幸なようで、幸せなことだと思う。
何も言い切らずに終わるしかありえない。SM描写の稚拙さが男の稚拙さと重なり痛々しい。小川洋子にはめずらしくエロティックな作品。
相変わらず言葉のひとつひとつがキラキラ輝いています。
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