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(短編集)
冬のフロスト
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冬のフロストの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 21~40 2/3ページ
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毎回同じような悲惨な事件が頻発し、ワーカホリックな我らが最低下品ジョーク連発親父のフロストが右往左往、東奔西走、粉骨砕身しながらぜいぜいはあはあと事件を追いかける話がどうしてこんなにおもしろいのか? 言うまでもなくそれはひとえにフロスト警部のバイタリティあふれた最強のメンタルにささえられたアグレッシブかつポジティブな直情的行動力と、行き当たりばったりな直感にささえられたまるで根拠のない捜査方法と、逆境をものともしない悪あがきを上塗りした厚顔無恥ともいうべき不敵さがまねくカオス的なデントン署の悪夢の日々が目がまわるほどの忙しさでフルスロットル加速していくからで、一度ページをひらけば誰もが瞬く間に物語の中に入りこんでしまい、抜けだすことはかなわない面白さだからだ。 ふう。一気呵成に書いちゃった。シリーズも5作目ともなれば、けっこうマンネリ感が漂っていたりして、ある意味惰性で読んでるってこともあるが、このフロスト警部シリーズにかぎっては決してそんな罰当たりな態度にはならないのである。 今回も幼児性愛、連続娼婦虐殺、怪盗枕カヴァー、何十年も前の白骨死体、それにくわえてショットガン強盗に泥酔フーリガン御一行様とまるで節操のない事件のオンパレード。それぞれが行きつもどりつしながら上下巻を縦横無尽に埋めつくす。 たまらないね。これだからフロストシリーズはやめられない。フロストを取りまく人間関係も相変わらず充実していて、保身と体面の権化である小言眼鏡猿のマレット署長や、やることなすことすべていい加減で失敗ばかりの『芋にいちゃん』モーガン刑事、美人ながらなによりも昇進を優先する『張り切り嬢ちゃん』リズ・モード警部代行にデントン署の顔である受付のビル・ウェルズ巡査部長などなど個性的な脇役には事欠かない。 モジュラー型の警察小説としての構造もいつも通りの安定感で、どっしりと落ちついたプロットは揺ぎもしない。これだけのボリュームを一瞬もダレることなく読み切らせてしまう手腕には脱帽だ。 毎回思うことだが、本シリーズは至福の読書を提供してくれる。ほんと最高におもしろい最強の警察小説なのだ。 残念なのは、これがあと一作を残すのみとなってしまったこと。ああ、はやく読みたいけど、読んでしまうのが惜しい気もする。ま、でもあと5年くらいは翻訳が出ないだろうけどね。 | ||||
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シリーズ第一弾の「クリスマスのフロスト」が邦訳されたのが1994年なので、20年も前の事になる。評価は高かったが、表紙絵に違和感が有ったのと、その頃はユーモアミステリを理解出来なかったので、なかなか手を出さなかった。 重い腰を上げたのは3年後に出た「フロスト日和」も高い評価だったので、さすがに、どんなものか読んでみようかなと思った。一読驚愕、呆然唖然、直ぐに痺れてしまった。 次の「夜のフロスト」が4年後、「フロスト気質」がそれから7年後(これが、長かった)、そして本書がその5年後の2013年となる。直ぐに買ったのだが、もったいないので読むのを先延ばしにしていた。 一月の肌を刺す寒風が、錆の浮いた《閉店》の看板に頭突きをくれ、その勢いで廃業したガソリンスタンドの出入口に渡された、看板の鎖も大きく揺れた。第一章の冒頭の文章である。心憎い訳だ。直ぐにフロストの世界に引き込まれた。 例によって複数の事件が錯綜し、本当にフロストの頭脳のキレが良いのか悪いのか判らなくなってしまう。ただこの饒舌さが、我々読者の推理のキレを悪くさせているのかも知れない。煙にまかれてしまうのだ。乱雑な流れのように見えるが、練りに練られたプロットだ。 内容もさる事ながら、キャラクターに参ってしまうし、それを造形した翻訳のキレのよさにも参ってしまう。このシリーズが、あと残り一作だと思うと寂しいかぎりだが、5年は待つから、じっくりと翻訳作業にかかって下さい。 | ||||
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近年かなり読み応えのある本でした。なかなか犯人が見つからない中で面白い展開がつぎつぎに。 | ||||
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えぐい事件ばかりにも関わらず、相変わらずなユーモアたっぷりの描写と、ワイルドな捜査で事件を解決。独特の爽快感に引き込まれる。 | ||||
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えぐい事件ばかりにも関わらず、相変わらずなユーモアたっぷりの描写と、ワイルドな捜査で事件を解決。独特の爽快感に引き込まれる。 | ||||
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やっぱり期待通り面白かったです。もう一回読み直します。あらたな面白さを発見するかもしれませんね。 | ||||
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やっぱり期待通り面白かったです。もう一回読み直します。あらたな面白さを発見するかもしれませんね。 | ||||
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久々のフロスト面白かった。彼は模範的な警部ではなく、失敗も多々しながら、するどい感をもって上司にいろいろゆわれてもめげずに進んでいくところがいい。思わず声を出して笑ってしまうような会話が随所にみられ悲惨な事件なんだけどすくわれる。失敗ばっかしするモーガンにも叱責することなくなぜかやさしすぎるような気が。若いころの自分をみてるのかな。 | ||||
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大好きなフロストシリーズも当作品を含んであと2作。読むのが勿体ないとこれほど思わせるシリーズは稀だと思います。とは言うものの、ずっと待っていたので、手元で寝かせることなくページを開きました。レギュラーの登場人物の名前が出るたびに「また会えたね」とうれしい気分になりますが、今作では「芋にいちゃん」とフロストのコンビが本当に素晴らしい。芋にいちゃんのドジの連発は、捜査上で重大な支障を来しかねないものですが、捜査指揮者であるフロストはこの若者のどこかに自分を見るのか、フォローしていく姿がとてもいい。更にどこにでもいるイヤな上司である署長マレットとフロストのやり取りは相変わらずで、いかにマレットの舌鋒をかわすかが読みどころのひとつですが、今回も笑わされます。相変わらず次々と起こる事件とこんがらがった捜査、今回は特に人手が足りない中、中核をなす事件は最後の最後まで縺れます。 それにしても、芹澤氏の訳は文句なく素晴らしい。フロスト一流の下ネタも下品な言動も見事に形にしていることに感激します。この手の翻訳は調子に乗ると全く言葉が浮き上がってしまい、且つ下品極まりないものになるのだろうと思いますが、芹澤氏の訳にかかると、全体にとても快いものとなっています。如何に冷静に、しかし興を削がない言葉を選んでいるかということに思い至ります。作者ウイングフィールドと芹澤氏のコンビは、フロストと芋にいちゃんのコンビとは全くタイプが違うのでしょうがどちらも絶妙のツープラトン。読者に与えるインパクトのレベルが違います。 | ||||
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フロストシリーズは全て読んでいますが、良くも悪くも似た印象を受ける作品が多いです。凍える寒さ、効かないヒーター、ごわごわしたマフラー、凄惨な殺人とそれに対する行き当たりばったりな捜査との絡み合い、そして品のない台詞……それらの既視感を憶える作品の展開に嫌な印象を受けない理由は、訳者・芹澤恵氏の名訳はもちろんですが、人の暗い部分から目をそらさずに書きしるす力と、生き生きとした登場人物の魅力とに拠るように思います。 どれも同じような展開で、何から読んでもさほど困惑しないと思いますが、登場人物の境遇や身の上は少しずつ明かされ、また変化もしているので、同シリーズの初期作品を未読の方はそちらから手に取ってみてください。 一度夏の暑さにまいるフロスト警部(語義矛盾?)を見てみたかったような気もするのですが、作者が亡くなられたのはとても残念です。あと一作未訳の作品が残っているようですので、首を長くして完訳を待ちたいと思います。 | ||||
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ウィングフィールド著、芹澤恵訳『冬のフロスト』(創元推理文庫、2013年)はフロスト警部を主人公としたイギリスの警察小説シリーズの一作である。だらしないロートル刑事が、行き当たりばったりの捜査で事件を解決する。『冬のフロスト』でもフロスト警部のハッタリで真犯人が自供してしまうケースが複数ある。 このために推理小説としては面白みに欠ける。フロスト警部は一般的な推理小説の主人公と比べるとヘボ刑事の部類に入るが、擁護できる点があるとすれば捜査しなければならない事件が同時多発的に発生し、並行して処理しなければならないことである。一般的な推理小説では探偵は一つの話で一つの事件に専念している。フロスト警部よりも恵まれた環境にある。一般的な推理小説の探偵よりもフロスト警部の方がリアリティはある。 | ||||
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『冬のフロスト』は警察の負の面も描いている。経費の不正請求や警察官の犯罪もみ消し、不当逮捕など警察の腐敗を描いた映画『ポチの告白』も顔負けの世界である。警察官の飲酒運転をもみ消す際に「おれが同じようなやばい立場に立たされたら、同僚諸君には徹頭徹尾、嘘をつきまくってかばってくれることを期待する」と発言している(上巻328頁)。 何よりもフロスト警部の手口は被疑者の人権尊重の点で問題がある。逮捕者を負傷させながら、本人が勝手に転んで怪我をしたと責任逃れをする始末である。フロスト警部は誤認逮捕もしており、決して褒められたものではない。以下の暴言まで口にする。「犯人なんか適当に見つくろえばいいけど、そいつを証明するとなると、くそがつくほど面倒くさくて、くそがつくほど難儀だもんな」(下巻167頁)。 一方で日本の警察の救い難さを描いた『ポチの告白』と異なり、イギリスの警察には警察犯罪を抑制する仕組みがある。取り調べは全て録音されている。「取り調べの際のやりとりが逐一、録音されている」(上巻336頁)。被疑者には弁護士を呼ぶ権利が保証されている。また、フロストの強引な取り調べを同僚警官が注意するなど、健全な人権感覚がある。 さらに『冬のフロスト』と『ポチの告白』を分かつものはフロスト警部が上司のマレット署長に反抗的なところである。媚びへつらうだけのヒラメばかりの日本の警官を描いた『ポチの告白』とは異なる。フロスト警部はマレット署長の陰口を叩くだけでなく、署長の面前でも反抗的である。これは清々しい。 | ||||
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とにかく事件が山積みなのはシリーズ通り。それでも、フロスト警部の決死の奮闘は目頭が熱くなります。 場当たり的な推理といわれていますが、捜査会議で見せる、他の警察官の意見をまとめて、それを上回る対策をいつもピンと立てられるのはフロストならではです。十分、切れ者刑事ですよ!(マレット署長は認めてないけど) 今回も難事件が起こりまくるので、後手に回ってしまう警部…。でも、とにかく眠らず、休憩も取らず、捜査をしまくるその姿に感涙を禁じ得ません。実際、フロスト警部がやっと休もうとしたところでまた事件が起こるシーンで、本を閉じずずっと読んでいてたら、朦朧としてしまいました。ただ本を読んでいるだけの私がこうなんだから、実際動き回っている警部の気力たるやいかほどなのか…!尊敬します。 決定的な証拠を掴んだ!と思いきや思い過ごしだった!というシーンでははらはらしましたが、ちゃんとチャンスの女神が微笑んだので心底ほっとしました。 シリーズで初めて、マレット署長が超過勤務がかさみまくる問題で悩んでいる姿に、ちょっと同情しました。上に立つ者も大変だなあ…。 数年に一度の楽しみです、面白いです、フロスト警部!まだこのシリーズを読んでいない人が、心底羨ましいです。 | ||||
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お約束の展開、幾つも幾つも降りかかった事件たちがどう解決するのかが疑問でした。 前作読み返してないのであやふやですが、もうちょっと「あれとこれがこう絡んで、だからこっちもこうなるんだね!」ってトコロもあった気がしましたが・・・今回はなんだかアッサリと終わりましたね。 モーガン刑事も、一つくらいはやってくれるのではないか?と思ったら、徹頭徹尾ダメで(ああ、やっぱりフロスト警部のダメっぷりが負けている!)、最後は決定的なミスのせいでリズが大変なことに。上巻の展開と言い、今回リズが一番気の毒。 それでもまあ、今度こそは「頭の先まで柔らかくてばっちいモノに」てハメになるのか?と思いきや、やはり終章では一筋の光が…ニヤッとさせてもらえました。 あと1作なんですね。寂しい限りです。 | ||||
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久しぶりのフロスト、じっくり楽しませてもらった。相変わらず次々と舞い込む事件に翻弄されるも、根拠のない勘、行き当たりばったりの捜査、幸運な偶然、そしてほんの少しの論理的な閃きにより、最終的にはすべて解決するところが、ユーモアたっぷりの手品のよう。今回は全体的に女性が目立っていた。 | ||||
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フロスト警部の途方もない面白さに頭のてっぺんから例のモノの先まで漬かって何年になるだろう…。何度も何度もシリーズ全作を読み返し、待ってました!最新刊!!と飛びつきました。 今までのシリーズのように、ウルトラハッピーエンドとは行かないのは上巻で察しました。幼児誘拐犯人も娼婦連続殺人犯も野放しです。しかし、マレット署長(今回はさすがに可哀想)の掲げる厳しい制約(超過勤務の制限)の中で、とにかく最善を尽くそうとするフロスト警部と、デントン署の皆さん。「もうどうにでもなれ!」などと決して諦めず放り出さず、最後の最後まで希望を捨てず、犯人を追う、そして被害者を救おうとする姿に、ページを追う目が涙が滲む。フロスト警部、あんたやっぱり最高だよ…! どんなときもユーモアと捜査への真剣さを忘れないフロスト警部とデントン署の皆さんに、頑張れ頑張れとエールを送りました。やっぱりフロスト警部シリーズは輝いています。本当に面白い! 部下がどうしようもない、とんでもないミスをしても、きっぱり全責任を負おうとするフロスト警部。マレット署長と正反対だなあ…。だからセクハラ親父なのにこんなに格好いいんだな。 そして…ついに…次回作で完結なの!?うわあ、楽しみのような寂しいような…。とにかく、待ってます! | ||||
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相変わらずのフロスト警部。決してカッコ良くはないが、思わず応援したくなる男。過酷な状況、悲惨な事件の中、彼がひり出す下品で皮肉なジョークに救われる思いがする。直属の上司としては厳しいが、隣の係なら嬉しいかな。 | ||||
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ほとんとのページで、フロスト警部のウイットに富んだ、そして皮肉の効いた会話を楽しめることが出来ます。 例えば、犯罪統計資料を所長の命令で突貫でしあげようとした部下に、フロスト警部はこんなことを言います。 「正確さ?そんなもん、統計用の資料に誰が求める?」 本作は上下巻をあわせて1,000ページ近い大作ですが、このユーモアと、また、翻訳の上手さもあり、読みづかれせず楽しめました。フロスト警部や他の捜査メンバーの個性溢れる振る舞いや、ユーモア溢れる会話は本当に魅力的で、会話の返し方は、ある意味、勉強にもなります。 ストーリの本筋ですが、これは、非常にドタバタした展開です。 幼女連続誘拐殺人事件、娼婦連続殺人事件、連続窃盗事件、白骨死体の発見と、難事件が次々とフロスト警部にふりかかります。 警察小説やサスペンスの王道としては、屈強かつ頭脳明晰な主人公が困難に打ち勝ちながらも鮮やかに事件を解決、複数の事件の関連性も見事に解明して大団円を迎える、といったところですが、フロスト警部は王道的な活躍はほとんどみせません。 やることなすこと、ほとんどが上手くいかず、直感だよりの捜査がことごとく裏目にでて、どんどんとピンチを招きます。官僚的な上司、マレット署長からは捜査予算の使いすぎと捜査の停滞に日々叱責を受け、それにもめげずに、あいかわらず独断で捜査を続け、と、王道的な探偵役とは真逆となるキャラクタです。 フロスト警部に共感を覚えるのが、この逆境の連続にも決して負けない姿です。強さや根性ではなく、くよくよしてもしょうがない、という淡々と割り切りっている姿勢、そして、どんな時にもジョークを欠かさないところが良いですね。 ジョークや皮肉な会話の合間に時折みえる、部下を庇い、事件の被害者を思いやり、犯罪に怒りを覚えるという、フロスト警部の人間味も印象的です。 事件の結末や真実よりも、ここまで逆境に陥ったフロスト警部がどうなってしまうのか、これに一番ドキドキしながら読み進めました。 未訳の作品の国内出版を楽しみにしてます。 そして、できたら、フロスト警部の「ユーモア会話集」が出版されることを願います! | ||||
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上下通しての感想としては、どうも下巻になって事件の顛末が少し慌ただしく思われる。 「怪盗枕カバー」の件しかり、娼婦連続殺人事件の顛末しかり。 もっとも、フロストものは事件解決のプロセスそのものを楽しむ部分も大きいと考えているので おもしろくはあるんだけど、ちょっと薄味かな。 また、マレットとの超過予算を巡る攻防はちょっとしつこく鼻についてしまったように思う。 一番気になるのは、ラスト近くでモーガンが犯したミスとその結果引き起こされた 出来事が消化不良でもやもやしてしまうこと。リズ・モードの身に起こったことと 引き合わせて考えると、いかにもその後があっさりしすぎているし、過去の作品では 「大きなヘマをやらかした」「全く見込み違いをやっちまった」などと言うフロストも 実際には大きな判断ミスで誰かがひどい目に会うというようなことはなかったように思うが 今回の件は・・・、ちょっと引っかかってしまった。 それでも上下巻一気読みしてしまうおもしろさは格別であることは変わらないし 一つ一つのやりとりのおもしろさも健在なので質の高さは保証できる。 原書で読んでいたときラストのフロストの台詞、ニュアンスはわかるけど どう訳されるのだろう、と思っていたらまさかあんな訳になるとは! うならされました。 | ||||
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評者は、過去に翻訳出版されていたフロスト警部ものを全巻読んでいますが、翻訳している芹澤恵さんのウイットとユーモアー&読者へのサービス精神溢れる翻訳技によって、このシリーズを面白くしているのは確かだと断じたい。 例えば、フロストがマレット署長に悪態をついている場面(原書P342)で、「The lying foureyed bastard」、とたった4ワードですが、私は「この嘘つきのメガネ野郎!」などと訳していました。 ところが訳者の芹澤さんは、「この眼鏡猿目媚びへつらい科大嘘つき属のこんこんちき!」と訳しているから、エッ!こんな手あり、とその翻訳の冴えに唸ってしまったのです。 苦労して読んだ『Winter Frost』の413ページに、下記のようなフロストとモーガンのやりとりがあり、訳者の芹澤さんがどのように訳すだろうと、Amazonブックレビューで早く読んで見たいと投稿したのですが、二年も待っていた甲斐があり、ようやく読むことができたから下記に引用したい。 <R・D・ウィングフィールドの原文> ‘What turns me on is the thought of making love to a girl who wears glasses. She strips to the buff, but keeps her glasses on.'‘Then you can breathe on the lens and she can't see how small your dick is,' said Frost. <芹澤恵さんの訳文> 「自分がいちばん興奮するのは、眼鏡をかけてる子と愛しあってるところを、あれこれ想像することなんです。着ているものは全部脱いじまって素っ裸なのに、眼鏡だけはずっとかけているんです。最初から最後まで。 「で、おまえさんが鼻息荒くして、おねえちゃんの眼鏡のレンズを曇らせて目隠しにするんだろう?芋にいちゃんのお芋はあまりでかくないってことがばれないように」とフロストは言った。 ま〜、英語で読めば意味は理解できたのですが、さすがの訳文だと、同じ内容ながら二度も楽しめてしまいました。 そんな芹澤さんでも、翻訳に悩み寝つきが悪くなることもある、と彼女のブログで読んだことがありますが、真実のところは定かではありません。 評者が英国人に訊いて確かめたこともないから、独断と偏見だと思うのですが、ひょっとすると原作より面白く、このフロスト警部ものを芹澤さんが読ませてくれているかも知れないと思ってしまったのです。 かって評者もフロスト警部のTV放送版を、DVDで観たことがありますが、フロスト警部もの原作のイメージをぶち壊しにしているので二度と観たくないと思ってしまいました。 二年前に原書で読んですでに知っている相変わらずマンネリなストーリーではありますが、芹澤翻訳版『冬のフロスト』下巻を、かって日野啓三さんが、なだ・いなださんに語ったように、“なんというのかなあ、深いんだよなあ”と評者も呟きながら楽しくエンドロール(トイレット・ペーパーの)まで読ませていただきました。 東京創元社さん!「なだ・いなだ」さんの例もあるから、最後の一冊になった『A Killing Frost』も早く刊行してくださいよ!! | ||||
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