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コインロッカー・ベイビーズ



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コインロッカー・ベイビーズの評価: 4.11/5点 レビュー 177件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全177件 121~140 7/9ページ
No.57:
(2pt)

自閉と崩壊

自閉と崩壊をテーマとした小説。
蓮実重彦が「双子の冒険」のひとつとして総括した作品。
日本社会、日本文学の自閉構造を内破する形で、三島以降の高度資本主義化した日本社会を打った作品なのだと思います。冒頭の誕生の描写とイメージは今なお、今こそ鮮烈といえるかもしれません。後半の展開は漫画的です。村上龍の作品です。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.56:
(5pt)

熱狂の世界

最初の方だけ読むと、「これは松本大洋の「鉄コン筋クリート」だ!」なんて思ったりします。兄弟にも似た二人の男の子、海、宗教といったキーワードがピタリとはまっているからです。「鉄コン」の方では、二人は成長せずにハッピーエンドを迎えますが、本作はさにあらず。ある時は華麗、ある時は醜悪、ある時は凶暴な世界に囲まれ、この二人、それにアネモネなどは激しい闘争をくりひろげます。
 構成も実にメリハリがあると同時に用意周到。音楽、薬物、刑務所、航海技術などの取材もよくなされているようです。その上で、文章の熱狂というものを忘れない。本作の激しさは、石川淳の土壌に吉増剛造の文の花が咲いたというような感じがします。
 こういう激越でグロテスクな表現には人の好きずきというものがあるでしょう。読みたくなければ読まなくてもいい。でも私は少なくとも面白いと思いました。もう30年近く前に発表されたのに古い感じがしないのは、作者の奮闘のせいか、作品に予言性があるからか、それとも今の日本が30年前と大して変わっていないからでしょうか。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.55:
(4pt)

ぐいぐいと読者を引っぱっていく上巻の圧倒的な迫力

20代の時に読んだ橋本治の「桃尻娘」(高校生編)と本作には衝撃をうけました。特に本作の上下巻を読み終えたあとの3日間ぐらいは熱にうかされたような気分になったことを今でも覚えています。
 これでもかと読者を村上龍の小説世界に、まるで投げ込まれリアリティを持った小説世界から、一気に読ませてしまう力がありました。それは残念ながら上巻だけで、下巻からはその迫力が失われていきます。けれど、下巻のラストで、ハシが口にするセリフにはリアリティがありました。
 蜷川幸雄がRCサクセションの単行本「愛しあってるかい?」に記事が抜粋されていて、蜷川氏は、まだ20代後半の新生RCになってからの忌野清志郎にハシを演じさせたいとの文章が掲載されていました。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.54:
(3pt)

好きな人は好きだろう

これが好きという人の気持ちは何となく分かる。
浮かんでくる映像の彩度が高く、溢れ出すエネルギーとスピードを感じる。太陽のギラギラがまぶしい感じもする。

しかし、なんかくどい。とってつけたような、鼻につくような言い回し。MEは後期の村上龍作品は読んだことないけれど、なんか若い作品なのだなというのがヒシヒシと伝わって来て、その若さから力づくの勢いで書き上げた、という感じ。しかし、この長編、構成力、世界観、センスを感じないわけにはいかない。センス。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.53:
(3pt)

気持良い小説じゃないが、衝撃的な何かがある。

村上龍の代表作の一つ。
無差別殺人や若者が麻薬がらみで逮捕される事件が頻発すると、コインロッカー・ベイビーズを思い出す。

コインロッカー・ベイビーズは中学生の頃に図書室で読みトラウマ級の衝撃を受けた。
コインロッカーに産み落とされた主人公達は満たされない大人になった。
生誕にまつわる負のベクトルが心に穴をあけ、それは漠然と破壊の衝動へとつながっていく。
この世界の発する禍々しさを感じながら読んでみたら良いのでは。

二人はある意味、格差社会の申し子のような存在である。
今読み直しても「コインロッカー・ベイビーズ」はやっぱ強烈。
反面教師的に、「要は心の持ちようだ」と実感できる小説かもしれない。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.52:
(4pt)

Engaging look at the effects of adoption, even in Japan

I first heard of this book when Michael Wong, of Ideagist, visited my Japanese Literature Challenge 2 blog and asked me if I had a copy. I told him I'd buy him one, which I did, but when it arrived from amazon.com I had to see what it was about. After reading a few pages, I ordered him another, and sat down to immerse myself in this story.

Like so much Japanese literature I've read, there's a quality of fantasy that's hard to put one's finger on. Is it the author's imagination run wild? Or, as in a John Irving novel, is the bizarre not so bizarre after all? Somehow, after the first hundred or so pages, the reader doesn't even mind if strange creatures come into the characters' lives, or absurd thoughts present themselves to the characters' stream of consciousness. It all seems perfectly natural, somehow, in a piece of well written literature.

Coin Locker Babies is about two babies who are abandoned by their mothers in train station coin lockers. "Two troubled boys spend their youth in an orphanage and with foster parents on a semi-deserted island before finally setting off for the city to find and destroy the women who first rejected them. Both are drawn to an area of freaks and hustlers called Toxitown. One becomes a bisexual rock singer, star of this exotic demi-monde, while the other, a pole vaulter, seeks his revenge in the company of his girlfriend, Anemone, a model who has converted her condominium into a tropical swamp for her pet crocodile. Together and apart, their journey from a hot metal box to a stunning, savage climax is a brutal funhouse ride through the eerie landscape of late-twentieth-century Japan." (front cover flap)

The theme of abandonment, and the pain that causes, runs throughout this novel. Regardless of culture, or life style choices, the distress which comes from knowing that their mother has left them becomes almost unbearable for these two young men. We see their choices, most of them which are self-destructive, in their pursuit for self-acceptance. Secondary, to me, was the plot line which in itself is enthralling; I chose to dwell on their emotional aspects first rather than the physical ones.

This novel looks at what it means to be a child and an abandoned one at that. It is heartbreaking and insightful, especially to those readers who may have been adopted themselves. Regardless of culture, regardless of age, regardless of reason, being adopted is painful. Yet there is comfort in exploring the issue, in knowing that other adoptees have similar feelings.

I found this an incredibly profound work, as well as a fascinating look into the Japanese world.
コインロッカー・ベイビーズ (JAPAN’S MODERN WRITERS)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ (JAPAN’S MODERN WRITERS)より
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No.51:
(2pt)

期待はずれ

期待して読んだのだが、正直期待はずれ、
村上龍はパターンが決まってしまってはっきり言って
同じパターンの文中繰り返しが気になった。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.50:
(5pt)

理屈抜きの破壊衝動のみを叩き付けた作品

殆どSFといっていい舞台設定の下、破壊衝動のみを叩き付けた作品。作者の最近の作品のように、政治経済のお勉強の跡が透けて見えない分、個人的にはオススメ。

 確かに、ロックが特権的なモノのように語られている点は、今の時代に読むと古臭い。また、父権や母性に関係ないコインロッカー・ベイビーズであるハズの主人公達が、産みの母と想像上の一体化を血みどろの中で得ていくモチーフを見ると、故郷や母性についてはその喪失を語ろうとしているようで、どこかで回帰の叫びを主人公達が上げているように思える。こういったものへの作者のアンビバレンツな心情が見えるような印象を僕は受けた。不徹底と言えば言えなくもないだろう。(そもそも、この禍々しい暴力と父権・母性批判との関係が、実はあんまりピンとこない。)

 しかし、以上のような些細な難癖をつけたとしても、この作品のもつ暴走するスピード感は全く失われない。何しろエグい作品だが、殆ど「もの自体」(カント)としての暴力がむき出しで書かれたこの小説世界は当時において確かに新しかったのだろうと思うし、未だにここまで暴力的なドライブ感を書いた作家は残念ながら日本に登場していません。その点で、この作家はまだ偉そうにしている権利があるのだろうと思う。

 なお、主人公の一人(ハシ)が後半で自問自答する様はエヴァのシンジ君みたいなのだが、こっちの小説の主人公の方が遥かにキレてますね。シンジ君のひ弱さの方が現代的なのでしょう。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.49:
(5pt)

鮮烈なストーリーはあの「AKIRA」に・・

コインロッカーに捨てられた二人の男の子、キクとハシの物語。
リアルで乾いた近未来の「凋落した日本」を彷彿させる、鮮烈なストーリー。
幼少期を一緒に過ごし、相反する少年期を送り、目覚め、再会し、疾走し…
その後、世界を席巻した、大友克弘氏のあの「AKIRA」に通ずる世界観とストーリー。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.48:
(5pt)

個人的に村上龍小説の中ではベスト3に入る小説

この小説が出版されたのが1984年。
そして、現在2007年になって、数ヶ月前、ある病院だったかで「コウノトリのゆりかご」という、別名赤ちゃんポストが設置された。
僕は村上龍の小説を読んでから、考えるようになったのだが、日本は本当にある一部の人々に「都合の良い」言葉を作るのが得意だと思う。

小説に登場するキクとハシは真夏のコインロッカーに遺棄された。
爆発的な暑さで息を吹き返し、泣き叫び、運よく発見された。
キクとハシは、親に捨てられたのだ。
そして、成長するにつれて親に対する憎悪が目覚めていく。

小説ではなく、コインロッカーにもし本当に自分の赤ちゃんを捨てるというのは、良心の呵責があるだろう。いや、無いのかもしれない。でも、あると信じたい。

これが、「赤ちゃんポスト」となると話が変わってくる。
まず、赤ちゃんは人間という生命体であり、郵便物のような紙や物ではない。
しかし、メディアでの報道と赤ちゃんポストを設置した病院の説明などで、赤ちゃんを手放すという行為に罪の意識が和らいでしまう。

もしも、僕の前に笑いながら「数年前に赤ちゃんポストに赤ん坊を預けちゃった」なんていう女性が現れた、申し訳ない、罵声を浴びせてしまうだろう。

僕個人の話になるが、僕は未熟児で3日間以上、小さな箱みたいな医療機器の中に居たそうだ。
それが、原因なのかわからないが、小学校3年生くらいから、何かを壊したいという破壊衝動が起きるようになった。
それを花火で紛らわせたり、お人形さんごっごみたいなことをやり、和らげていた。
中学、高校と反抗期も無かった。

親族の間で「おとなしい子」というレッテルを貼られた。

でも、どうしてだろう、たまに何かを思いっきりぶっ壊したくなく。
破壊衝動を音楽で紛らわせるようになった。
いろんな音楽を聴くようになった。
この小説に乳児院に預けられて荒れていたキクとハシに「人間の心臓の音」を聴かせるという
描写が登場する。
僕もある時、非常に落ち着く音を見つけた。
ボールペンが紙をなぞる音。
一番僕が求めている音に近かったのは、アニメ 新世紀エヴァンゲリオンのエントリープラグ内の音だ。
エントリープラグというのはコックピットのようなところでLCLという液体で満たされている。LCLは液体だが、その中で呼吸が出来るのだ。
たぶん、母親の胎内を連想して作られたんだと思う。
そのエントリープラグ内では、ブーンブーンと低い音がうなっている。
この音を聞くと、僕は非常に落ち着く。

村上龍のこのコインロッカーベイビーズは僕のフラストレーションを緩和させてくれる素晴らしい作品です。
村上龍の小説には、おそらく村上龍自身の哲学というか、何かに対する怒りや疑問がこめられている。
この小説の中で、僕のお気に入りな文節を抜粋したいと思います。

 「立派な映画館で、アメリカに亡命したロシア人バレリーナの恋愛物語を見た。恋を選ぶ
  か、バレエと祖国を選ぶか、白鳥の湖を踊りながら主人公が悩む、バカな奴だとキクは思
  った。自分が最も欲しいものは何かわかっていない奴は、欲しいものを手に入れることが
  絶対にできない、キクはいつもそう考えている。」

 「「空車」ランプを点けて次々と通り過ぎるタクシーの群れ、キクにはわからない。
  どうして止まってくれないのだろうか、手を上げても素通りしてしまう、このキラキラす
  る街のルールは一体何なのだろうか。どうすれば他人とうまく付き合えるのだろうか、金
  でも暴力でもなさそうだ。キクが手を拡げて1台のタクシーを止めガラスを割るぞ、と脅
  しても運転手はニヤニヤ笑って首を振るだけだ。窓から金を見せて三倍払うと怒鳴っても
  ドアを開けてはくれない。キクは体中から力が失くなっていくのがわかった。ゆっくりと
  血を抜かれる気がした。こんな無力感は初めてだった。三十分経った頃やっと1台が止ま
  った。キクはこのキラキラする街のルールを一つ知った。それは待つことだ。騒がず叫ば
  ず暴力を振るわず走らず動き回らず、表情を変えずに、ただ待つのだ。自分のエネルギー
  が空になるまで待つことだ。」

  「キクの中で古い皮膚が剥がれ殻が割れて埋もれていた記憶が少しずつ姿を現した。
   夏の記憶だ。十七年前、コインロッカーの暑さと息苦しさに抗して爆発的に泣き出した
   赤ん坊の自分、その自分を支えていたもの、その時の自分に呼びかけていたものが徐徐
   に姿を現し始めた。どんな声に支えられて蘇生したのか、思い出した。殺せ、破壊せ
   よ、その声はそう言っていた。その声は眼下に広がるコンクリートの街と点になった人
   間と車の喘ぎに重なって響く。壊せ、殺せ、全てを破壊せよ、赤い汁を吐く硬い人形に
   なるつもりか、破壊を続けろ、街を廃墟に戻せ。」

若い人に是非、読んで欲しい小説です。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.47:
(3pt)

これを超えることはたぶんできない。

龍さんのその後の作家としての原点です。

これをモチーフにふくらませて何作も書いていますが、

これを超えることはおそらくできない。

これと、『69』を読めば龍さんは修了です。

これを超える一冊をオイラはいつか読みたい。
コインロッカー・ベイビーズ 下Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ 下より
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No.46:
(4pt)

廃頽した東京の甘くて苦い空気と大気。

最初の一行目から目を疑った。

鮮烈な書き出しと、

行変更が少ないのにサラサラと読みやすい文。

すべての情景が克明に浮かんでくる

村上龍はそんな書き方をする人なのだと思った。

コインロッカーに捨てられていた赤子・キクとハシ。

不安定な幼年期を催眠術治療を経て

無事双子として里子に出される前半部分。

そして、

行方不明になったハシを探しにキクが上京し、

再会し、東京を生きていく後半部分。

キクが出会うアネモネという少女の透明さが印象的。

鰐を飼っている美少女が住む擬似亜熱帯の空気は、きっと腐りかけた果物みたいに甘く芳しいことだろう。

ヘビーなのにさらっと読める本。

東京の腐敗した空気が懐かしくなります。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.45:
(4pt)

心臓の音に見えるは青い海。

東京というのは、

暴力的なエネルギーに満ち溢れていて

近代的なイメージの反面、

今にも崩れてしまうんじゃないかという危惧も抱かされる。

きっとそれは、

東京という場所に住んでいる人々の影響も大きいのだろうけど。

村上龍の初期作にして、

とてつもない問題的傑作。

彼が描く東京とそこに住む人々の情景は、

何とも現代的で脆くて尖ってて壊れやすい。

キクとハシの物語を軸に

美少女アネモネやその他大勢を巻き込んで

東京というとてつもない怪物にダチュラの砲弾をぶちこんでやる。

心臓の音が聞こえるかい?

僕らは<コインロッカー・ベイビーズ>だ。
コインロッカー・ベイビーズ 下Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ 下より
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No.44:
(5pt)

村上龍・コインロッカー

限りなく透明に近いブルー、海の向こうで戦争がはじまる、に続く作品です。

「海の向こう」のあとがきで外国人が龍に「大事なのは三作目」と語る場面があります。それもあってか、なくてか、「コインロッカー」は村上龍にとって重要な位置を占める作品でしょう。

「コインロッカー」が多くの読者の心を射止めるのは、わりに正直な作品だからでしょう。「コインロッカー」以後、村上龍は主題を裏に隠す方法をとっているように思えます。特に、「共生虫」、「イビサ」は難解であると思います。

 また、「コインロッカー」は村上龍自身の心情を描いていて、それ以降は現在、日本、あるいは世界の抱える「状況」について書かれているような印象を受ける。

 

 それにしても「コインロッカーベイビーズ」、泣ける。感動長編。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.43:
(4pt)

圧倒的なスピード感のみに踊らされてはいけない

この本は熱の感じられる疾走感が特長のように見えるが、村上龍ならではの「タメ」もしっかりと各地に配備されている。しっかりタメてから重要なメッセージを人物に語らせる。そこを見逃してしまっては単なるちょいグロSFになってしまうから要注意。

明らかに誰にでも勧めたい一冊ではないし、初対面で「この本が一番好きだ」という人とは仲良くなれなさそうな気もする。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.42:
(5pt)

「都市」と「破壊」

カバーデザインが秀逸です。

何処かしらの近代都市にも見えるし、自分が住んでいるごくありふれた町並みにも見えます。

そしてこの風景には、恐ろしい程に、「生命力の拠り所」が存在しません。

まるで「人間」自身が生み出した「システム」によって、「人間」自身が淘汰されてしまった地上最期の無機的な風景のようです。

このおびただしい建物の群れで埋め尽くされたカバーを見て、何かしらの「恐怖」と「嫌悪」を感じ取れる方は、この作品に価値を見出せるものと思います。

コインロッカーで遺棄された「キク」と「ハシ」、そして彼らに関わる「アネモネ」の怒り、苛立ちとは何なのでしょうか、システム化された真夏の都市の片隅で理不尽に閉じ込められ、「生と死の狭間」で 自らの「叫び」で「生還」を果たした「システム」に対する底知れぬ「呪詛」と「憤り」・・・。

この作品で表現される「システム」に対抗する「方法や手段」は、決して現実社会上では許されるものではないかも知れません。しかしそれでも私達がそのカタルシスに依存してしまう最大の「理由」は、著者の偽りの無い「危機感」が、恐いくらいに、シンプルに、生々しく、そしてストレートに我々に突き刺さって来るからに他ならないと思います。

「生命体」の持つ、何物にも縛られない「強さ」と「危うさ」、そして「悲しさ」・・・

「文字」だけでここまで「体感」させてくれる作品は、そうはありません。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
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No.41:
(3pt)

村上龍の原点

コインロッカーに捨てられたベイビー、キクとハシの軌跡を圧倒的なパワーで描きあげた作品。村上龍の後の作品(共生虫、愛と幻想のファシズム等)の原点になっている。

 この作品の特徴は、とにかくものすごい「パワー」ではないかと思う。作品にパワーを求める人にとっては、かけがえのない一冊になるかもしれない。しかし一方で、整合性や芸術性を求める人にとっては違和感があるかもしれない。そういった意味では好き嫌いのわかれる作品だと思う。村上龍初心者にお薦め。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.40:
(5pt)

村上龍の最高傑作

村上龍はデビュー作から、順番に読みましたが、最初の2作は特にいいとは思いませんでした。しかし、「コインロッカーベイビーズ」には衝撃を受けました。未だに、村上龍はこの作品を超える作品を書いていないと思います。(ただし、最近の長編で読んでいないものはあります)決して、他の作品が駄作というわけではありません。この作品が凄すぎるのです。
コインロッカー・ベイビーズ(上)Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ(上)より
4061168649
No.39:
(5pt)

今だからこそ読んで欲しい小説

キクとハシはどちらも能動的な存在で、自分の中の衝動などを満たす

ためには自分で動き、また世界とそれぞれの形で関わっていくのが

最近の小説によくある無気力的な人間像と一線を画しているように

思えます。

ラストはそれまでの緻密さに比べ、比喩的な印象を与えますが、それに

より作品が説得力を失うと言うことはなく、寧ろ強まっているように

思えます。

単行本のほうでは、あとがき(?)として村上龍氏の言葉が収録されて

いるのでそちらを読むと、より楽しめると思います。
コインロッカー・ベイビーズ 下Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ 下より
4061168681
No.38:
(5pt)

圧倒的なエンディング

一つのキーワードとともに紐解かれる生きていくことの意味。

早く結末が知りたくて、どんどん読んでしまいました。

ありえない境遇の主人公二人、なぜかかっこよくて自分自身に置き換えて読んでしまいました。

なぜか現実感を感じてしまう村上龍の描写能力に脱帽です。
コインロッカー・ベイビーズ 下Amazon書評・レビュー:コインロッカー・ベイビーズ 下より
4061168681

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