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楽園(ラック・ヴィエン)



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【この小説が収録されている参考書籍】
楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)

楽園(ラック・ヴィエン)の評価: 3.31/5点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.31pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(5pt)

文体が凄い!!

まさに文学のために生まれてきた魔女だ。とにかく書く文書が魔物じみてい、気が付けばいっきに最後まで読んでいた。………日常ではない異常な設定にしなければ人間の成長が描けないものは筆力の衰えを呈す作品であって、自己弁護におわる作風が増えているのは現在の病理的な完結性の狭小加減を表しているのだとすれば唯ただ悲しいと、どこかの文学賞の評で読んだことがあるが、彼女の文体はそんな評を蹴り飛ばす。書いてあるものは異常でもなんでもない。魔の日常であり、成長するのは読み手の埋没加減で決まる。 善くも悪くも文学の神聖なる栄養と毒をあたえる。これを読めば岩井志麻子から抜けられなくなる。
楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)より
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No.4:
(5pt)

むせ返るような香り

歴史のあるアジアの庭園。
風もなく静かな晴れた日の午後、ただただむせ返るような魅力的な花の香りに体がすくんでしまう。
そんな小説でしょう。
人の道に外れたもう若くない女が、外国で愛欲におぼれる。
まあ、よくある話です。
よくある話なんですが、徹底的に無駄を省き、ベッドの中より風景描写の密度を濃くして、清冽さすら感じさせる研ぎ澄まされた美しい文章と描写に、気がついたら引き込まれてしまいます。
まさに、こういう官能小説を読みたかったんです。
好みは分かれるかもしれませんが、これはある意味岩井氏の新境地だと思います。
「チャイコイ」は、正直読んでるうちにぐったりしてしまって私には無理だったのですが、これは格段洗練された感じで、完成度が高くなっているように思います。
あまりこちらが好みではない方は、「チャイコイ」を読むといいのかもしれませんね。
小説としてはストーリーが一般的ですが、ずっと読みたかった作品はこういうものなんだろうな、ということで評価を高くしています。
他の方があうかどうかは、どうでしょうね?
楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)より
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No.3:
(5pt)

詩的極上ポルノ小説

一人でベトナム旅行に行った女性が、瞬時に恋をした美しいベトナム人男性と、ひたすら愛し合う場面が延々と続きます。セックス場面の具体的な描写が主な内容であると言う点で、これは間違いなくポルノ小説です。
 そして詩的で猥褻で美しい、上質な文学作品だと思います。 設定や結末のほとんど投げやりとも言えるような安易さは、この濃密で詩的な部分を引き立てると同時に、この小説を芸術臭くしない効果をあげているのではないでしょうか。特に結末は、「私は恋愛について思索していたのではなく、読書という娯楽を楽しんでいたのだ」と気づかせてくれて、なんと上等な娯楽だったことかと思い、これでたったの数百円かと思うと読後感が非常に良くなります。
 ポルノではないはずの小説で、「不自然に長く」「不必要に事細かい」だけのセックス場面を書いている男性作家の方々にぜひ読んでいただきたい作品です。
楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)より
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No.2:
(4pt)

女性の書いた官能小説

30歳の元アイドルが東京で男の愛人として生きているが現実を生きている思いがしない。ベトナムへ吸い寄せられるように行き、彼女をずっと待っていた彼と、こうなることを待っていた彼女は、性愛の虜となる。「床惚れ」こんな言葉があるらしく、この世の地獄で天国らしい。読んでいるうちに、なんで?と思うことは、読み進むにつれて解っていくが、そんなところではなく、岩井志麻子の土着性のある薄気味悪さを感じて欲しい。
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No.1:
(4pt)

究極の性愛ファンタジーホラー、そして二度読みが快楽になる本

舞台はベトナム。女は30過ぎの日本人、東京でオヤジに囲われる元アイドル。男は若いベトナム人、ホーチミンにいる。「官能的」というキャッチフレーズや、デュラス『愛人』のパロディを想わせる宣伝文句にそそられた。確かに、良かった。言葉の通じない若い男性の性的な魅力が余すところなく伝わってくる。清潔感あふれ、涼しげなまなざしを持ち、端正な口元でほほえむ「彼」が片言の言葉をかわしながら主人公とセックスする様子の、なんとみだらで魅惑的なことか。同時に、家庭や生産へと向かわないことを当初から運命づけられた性愛の、ある究極のあり方とその醍醐味が、見事に描かれてもいる。 話の展開の早さに、「おい、これは簡単すぎない?」とつっこみを入れながら読んだが、最後まで読ん!だ!!ときに、その考えが浅はかだったことに気づいた。さほど込み入った仕掛けのある筋ではない(むしろ恐ろしくシンプルな)ので、勘の良い読者の方なら、最初からある程度結末を予期しながら読めるかもしれない。しかし、そうでない読者だった私は、むしろその鈍感さ故に、読み終わった後、結末を暗示するべく埋め込まれ、慎ましやかに潜んでいた仕掛けの数々を辿り直すという快楽を味わった。薄い本ですぐ読めるので、旅に出る方、例えば夜間に飛ぶ飛行機の中などでの読書におすすめの本。ただし、性的描写が多いので、日本語を理解する方々の多い場所では読みづらいかもしれない。
楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:楽園(ラック・ヴィエン) (角川ホラー文庫)より
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