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七つの時計
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七つの時計の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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〇電子書籍版発行……2012年5月25日 Kindleの「メモとハイライト」「栞」機能……×(本文のどこに入れても、「目次」と表記) Kindleの表紙……×(なぜか著者の肖像写真) Kindleのページ表記……〇(あり) 『チムニーズ荘の秘密』から数年後、持主のケイタラム卿は邸を鉄鋼王サー・オズワルド・クートに貸し出していたが、二年の借用期間が終了して、ケイタラム卿がチムニーズ荘に戻ってくる。主人公は彼の娘バンドル。前作でもチョイ役ながら登場して、元気のいいところを見せていたが、本作は主に彼女の冒険であるw 彼女は元気がいいだけでなく、運転がめっぽう荒い。 どれくらい荒いかというと、呑気なケイタラム卿が同乗しようとしないくらいであるw 当時の道の状態や接地性や制動力を想像すると、大層危険な運転をしている描写に感じたが、いや当時はエンジンも非力だから、描写ほどには速度は出ていないのかなとか、交通量が現代と全然違っていて、意外に危なくないのかななんて思いながら読んでいると、案の定突然道に出てきた人影を轢いてしまう……コラコラ。 それが撃たれたデヴァルーで、実際のところ彼女は撥ねていなかったのだが、突然の人影に対応できなかった事実は変わらない。まぁ当たり屋のように飛び出してきたのかもしれないがw いずれにせよ、それを切っ掛けにバンドルは事件に巻き込まれる――というか、自ら渦中に飛び込んでいく。 彼女の登場早々、レイディ・クートの手に負えなかったチムニーズ荘の庭師頭をあっさり意に添わせるシーンが傑作だ。 それにしても著者の冒険スリラーは緩いw いや、わたしはそれは特長であって、好きな点でもあるのだが、この手のジャンルに、ひりつく緊張感や苦味あるストーリー、情緒を揺さぶられる展開を期待する人にとっては、とてつもなくつまらなく感じてしまうかも。 前途ある若き青年が二人も殺されるのだが、――それが担当のキャラでもあるが――ケイタラム卿は最初に掲げたようにとぼけたコメントをするし、周囲の友人たちも、悲しがったり憤ったりする台詞はあるものの、極めてドライに――というか、怯えることなくユーモラスにわちゃわちゃ動いている。ましてや犯人サイドの感情のなさはむしろ怖ろしく感じたほどである。 話は変わるが、題名について。 原題がThe Seven Dials Mysteryだから、邦訳の『七つの時計』は間違いではないし、死んだジェリーの枕元には、なぜか一個減った7個の時計が並んでいたという謎がある。しかしこの「なぜか」に対する回答は吃驚するほどしょーもなかったw そもそも原題のSeven Dialsは、その名を冠した秘密結社の名称であって、作中ではセブン・ダイヤルズと訳されている。むだに7個の時計に注視してしまった……。 まぁ細かいことはさておき、本作には顔を覆って会合する秘密結社が登場する。しかし『ビッグ4』で感じたような不満はなかった。 秘密結社の扱いが両者で随分異なることもあるが、感想がこれほど違う根本の理由は、本書にエルキュール・ポワロが登場しないからである。ポワロもユーモラスな会話を多用するキャラなのだが、こと推理小説で、凶悪な犯人を糾弾する神の使いを演じる“全能の名探偵”に、容易く幼稚な陰謀論に与してもらうわけにはいかないからw もちろん作品内では、陰謀論ではなく驚くべき事実である……。 そんなこんなで、著者の冒険スリラーはこんなものと構えているので、個人的には本書を十分楽しんだ。 その割に★3つだけどw ところで英国の外交と言えば、多くの点で日本の外交より遥かに優秀、あるいは狡猾なのだが、本作に登場する外務次官や若き外交官たちに有能な気配はまったく見られないのがなんとも……。 それはある任務における装いだという描写もあったが、それにしても、「なにしろ十一時までには外務省に顔を出さなきゃいけませんから」(P.21)って、この勤務体系はひど過ぎない? こういった端々の描写は、すべてが事実でもなければ空想でもないように思うのだが、現実では どのあたりだったのだろう? | ||||
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アガサの活劇物は、あまり興味を引かないのだが、最後までしっかり読むと、意外に面白い読後感が出てくる。 | ||||
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