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失脚/巫女の死



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【この小説が収録されている参考書籍】
失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)

失脚/巫女の死の評価: 4.30/5点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(3pt)

チグハグな世界に対して「まだ可能な物語」

20世紀スイスの劇作家デュレンマット(1921-1990)による短編小説集。劇作家による小説らしく、いずれも読んでいると演劇を観ているような気分になる。

① 現代は、世界には不変的/普遍的な意味秩序が貫徹しているという前提が不可能となった時代である。
② つまり、世界から「もっともらしさ」が消失してしまった時代である。
③ そこにあるのは、各サークルがそれぞれの真善美を喚きあう胡散臭い喧騒だけである。
④ そして、「世界に真理はない」という言明自体が喧騒の一部としてしか成立し得ない。
⑤ よって現代は、世界に関して有意味な表現が可能なのかが常に問題となる時代である。

彼の不条理で奇妙な作風の背後には、こうした現代という時代への痛切な問題意識があったように思う。現代において「まだ可能な物語」とはいかなるものなのか、と。

□ 「トンネル」

① どうも何かが食い違っている気がする。
② つまり、世界は既に破綻をきたしているのかもしれない。
③ しかし、誰も世界の根源的なメカニズムを見通せない。
④ だから、何もなす術がない。
⑤ よって、誰もが世界の破綻を直視せず日常をそのまま継続しようとする。

ひとは日常という分厚い肉の内奥に押し込められて、世界の実相にまるで近づけなくなってしまったよう。
失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)より
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No.9:
(4pt)

面白いです。

特に「オイディプス王」との関連で「巫女の死」に興味があって購入しましたが、思っていたとおり「巫女の死」は面白かったです。「オイディプス王」が好きでしたらオススメです。
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No.8:
(5pt)

デュレンマットの書く喜劇は「悲劇ではないもの」〜解説より

劇作家として世に出、劇作家と小説家の二足のわらじを履いていたからなのだろう、収録された4作は、どれもきわめて舞台的な構成を持っている。そして、その内容は他の方のレビューに書いてあるとおり心理劇的要素が非常に濃い密室劇となっている。

4作品全体を覆っているのは喜劇性だ。
ただ、その喜劇性も、「故障」では人が潜在的に持っているはずの英雄願望に対する強烈な皮肉が、古代ギリシャ悲劇オイディプスを扱った「巫女の死」では、悲劇的であるはずの物語も見方を変えれば喜劇的であることが描かれているように、その根底にあるのは著者の(著者自身も含めた)人間に対する皮肉的な視線から生み出される救いのない喜劇性に思えてならなかった。

本書の解説は翻訳者の増元浩子氏自らが書いているが、内容も充実しており各作品の背景にあるもの等、より作品を深く知るための手助けとなるものだ。
ただ、そうはいってもやはり先入観なしで其々の作品を読んでから解説を読み、そして再読してみる方がいいように思う。

解説で増本氏は、デュレンマットの喜劇を「悲劇ではないもの」と定義している。
これを読んで、自分が作品を読みながら感じていたことを一言で表するとこうなんだな、と思わず頷いてしまった。

また、「トンネル」のラストが初版と改訂版(本作に収録されているのは改訂版)で異なり、改訂版では初版にあった短い一文が削られていることとその一文が紹介され、その一文が持つ意味が解説されている。

評者はこの紹介された一文を読むまでは、「トンネル」をいろいろな読み方が可能な不条理劇の一つと考えていたのだが、そうではなく、人間の信仰に対する強烈な皮肉、言い換えれば喜劇の名を借りた批判の意味を持つ作品であることを知り、非常に驚いた。
解説によるとデュレンマットの宗教に対する立ち位置はかなり複雑なようなので、削除にはかなり大きな心境の変化があったのかもしれない。
そうして再読してみると、「トンネル」がまったく別の作品のように思えてきたのと同時に戸惑いも覚えた。

評者にはこの一文があったほうがよいのかどうかは正直なところ解らない。
ただ、一方でこうも感じた。
この一文がないことによって読み手の想像力が膨らむし、もしかしたらそれがデュレンマットの狙いだったのかも知れないと。
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No.7:
(5pt)

「心理劇」の面白さ

デュレンマットと言うスイスの作家については全く知らなかったのですが、帯についていた「このミステリーがすごい!」の海外部門第5位に惹かれて、この本を手にしました。

読んでみて驚きました。
「トンネル」「失脚」「故障」「巫女の死」、どの一編をとっても素晴らしいの一言です。
特に気に入ったのが、「故障−まだ可能な物語」です。
そこで展開されるのは疑似裁判なのですが、その論理、迫力は読む者を圧倒します。
どちらに転ぶか解らない裁判の行方は、ミステリーとして堪らない楽しみがあります。
そして、それ以上に素晴らしいのは、そこで展開される「心理劇」の面白さです。

他の作品も読みたくなりました。
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No.6:
(4pt)

バランスオブゲーム

表題作「巫女の死」、すなわち新説(珍説?)『オイディプス』。
 ところでこの巫女、とんだ食わせ者、「彼女は自分の言葉を信じていなかった。彼女は
むしろ、自分の神託を信じている人々を嘲笑うつもりで神託を下していた。……彼女に
とって神託は、社会が求める戯言だった」。それに対して予言者による神託は「ある特定の
目的をもち、その背後には政治でないとすれば、腐敗が潜んでいた」。
 一方に、巫女に代表される「想像力でもって世界に打ち勝とうと」する者、「世界を怪物と
みなす者」、「世界がその不透明さとともに変わっていく」ものとみなす者があり、そして他方
予言者が象徴する「世界を理性に従わせようと」する者、「世界を秩序とみなす者」、「世界を
変革可能なものとみなす」者が横たわる――そんな相克をかの神話になぞらえる。

「失脚」はさながら「世界を理性に従わせようと」する社会、全体主義、共産主義の臭気に
満ちた寓話。ここにおいて各登場人物は名前を持つことがなく、それに代わりA,B,C…という
アルファベット記号と役職、そしていかにも類型的な性格や履歴とそれに見合ったあだ名が
割り振られるのみ。ある面、この図式こそが本作の象徴。硬直化した権力構造、システムの
統治者たるはずの要職にある者たちが皆、そのシステムに隷属してしまう奇怪を描く。
 誰が死のうと、生きようと、世界は何も変わらない。
 これは単に全体主義への揶揄に留まらず、およそ全ての社会なるもの、人格なるものが
すべからく内包してしまう、そんな慧眼を秘めた物語。

 例えばアステカ人にとって、生贄として脈打つ自らの心臓を神に捧ぐことは最高の栄誉。
 傍から見ればひどくグロテスクな光景。しかし、そうしたゲームにコミットする者から
してみれば、その昂奮を理解しない者の感情こそがいかにも不可思議でならない。
 自らに絶頂を担保するゲームが呈されているときに、プレイヤーはそのルールのために
命すらをも賭することに何の躊躇いの余地があるというのか。
 そんな世界の倫理、規範、あるいは真理なるものの非自明性を告発する「故障」。
「私は昔は裁判官だったんです。ツォルンさんは検事でクンマーさんは弁護士でした。
だから裁判ごっこをしようというわけです」。
 車の故障を機にたまたま一夜を過ごすことになった邸宅、とあるセールスマンが
被告人として加わることとなったささいなゲーム、「裁判ごっこ」、そのはずが……。
 恋愛禁止→違反→坊主、そんなカルト集団の時事ネタを少しだけ想起させるお話。

「何もしなくていいんです」。
 世界の根源的な操縦不可能性を描き出す「トンネル」。

 喜劇か、悲劇か、虚か、実か――そんな退屈な境界線を嘲笑い、そして後味はいずれを
取っても何やら拭い切れぬ陰影がつきまとう短編集。
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No.5:
(4pt)

つくづくデュレンマットには用心しなくてはならない。

300頁余りの文庫本で1,100円は少し高価いと思ったが、評判が良いので買った。4つの短編集である。

「トンネル」乗りなれた列車に乗った大学生は、いつものトンネルが長すぎることに気付くが、他の乗客は何も感じていない。不安になった彼は車掌長に会いに行くのだが・・・・。安部公房やつげ義春のシュールな世界を感じさせ、面白かった。これからこの短編集を読んでみようという意気込みができる。

「失脚」登場人物が無味乾燥のアルファベット表示なので読みにくく、肉付けをして理解をし易くする為にいちいち自分で、N = 郵政大臣、F = 重工業大臣・「渾名 靴みがき」、L = 運輸大臣・「記念碑」等々とメモ用紙に書いていかねばならず、これには困ったが、何気なしに紙の栞を見ると、「失脚」の登場人物が簡略に紹介されている。気付くのが遅かったが、この配慮は気に入った。

「故障 ---まだ可能な物語」車の故障で、とある村に宿泊することになった営業マンは、老人からゲームに参加して欲しいと頼まれる。宿泊費はいらないと云われたので気軽に参加したのだが、そのゲームは奇妙なものだった。シチュエーションの良さが読み手を引っ張る。ラストがどうなるかと期待したが、そう来ましたかと膝をたたいた。

「巫女の死」ギリシャ神話に素養がなく、50名余りの名前が小説の梗概を読んでいるような中で書かれているので、その関係性を整理するのが大変だった。二度読んで、何とか話の流れは掴んだが、奥深いものがまだまだ有るようで、つくづくデュレンマットには用心しなくてはならない。
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No.4:
(4pt)

戦慄すべき恐怖劇を敢えて黒い笑いのトーンで描く不気味で不条理な物語世界です。

20世紀半ばに活躍したスイスの作家デュレンマットの奇妙な味の中短編4編を収めた傑作選集です。本書に収められた作品群には極めて深刻な戦慄すべき恐怖劇が描かれているのですが、意外にも主要な登場人物達は狼狽する事無く泰然とした態度で落ち着き払っておりまして、そこに著者は明るい笑いではなく暗く重苦しい黒い笑いを忍ばせて人間が生来持っている性を滑稽に皮肉って見せます。読後はパッと晴れやかな気持ちになる事はなくどうしても遣り切れない重苦しさが残りますが、単純ではなく複雑な思いを心に感じさせてくれる芸達者な玄人好みの渋い作風と言えましょう。
『トンネル』24歳の太った男がいつも利用しているチューリヒ行きの列車に乗り込むのだが、やがてトンネルに入ったまま一向に出口に辿り着かない事に気づく。これはまさに昔楽しんで見た特撮怪奇SFドラマ「ウルトラQ」の世界その物だなと思いました。結末は残念ながら闇の中ですが、でも主人公の青年がじたばたしても仕方ないなと悟って覚悟を決めた後の落ち着き具合を見るとまだ大丈夫に思えて来ますね。『失脚』旧ソ連をモデルにしたアルファベットで表される政治局メンバーが繰り広げる会議での恐怖の群像劇。電話の呼び出しを罠だと思い込みそれが粛清に導かれる道だと信じて頑なに会議室から出ようとせず遂に失禁してしまう男の姿は確かに滑稽なのですが、でも彼の必死さを考えると笑うに笑えませんよね。他にも権力者が裸の少女達をろうあ者の前で楽器演奏させる無意味で残酷な冗談はあまりにもえげつなさ過ぎますよね。『故障−まだ可能な物語』自動車が故障した為に45歳の男が三人の老人達が暮らす家に一晩泊めてもらう事になるが、その夜彼は三人から裁判ゲームに誘われるのだった。この物語が真に恐ろしいのは老人達から殺人者の濡れ衣を着せられた男が怒りも否定もせずに素直に罪を受け入れるという不自然な成り行きになりながらも結局は悲劇を招いてしまう運命の皮肉でしょう。『巫女の死』ギリシア悲劇を材に取り、デルポイの女司祭が「オイディプス王」の物語に果たした役割を解き明かす偶然の皮肉を盛り込んだミステリアスな寓話風物語です。
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No.3:
(4pt)

「新しい作家の発見」という意味で非常に成功している企画

「トンネル」、「失脚」、「故障」、「巫女の死」の4つの中・短編を収めた作品。訳者(ハシャギ過ぎの感がある)によれば作者デュレンマットの紹介という意味合いも濃い様である。作者は劇作家としての実績・名声も高い由で、本書中の各編も(風刺喜劇)舞台劇として成立する程の視覚的要素の強さが感じられた。

「トンネル」は日常の中の非日常を寓話的に描いた短編。名前も与えられない青年を主人公にした一種の不条理小説だが、1頁目から記述・設定が微妙にズレている点が可笑しい。「失脚」は架空(描写からして「旧**」を意識していると思うが)の革命独裁国家を舞台として、その政治局委員会の中で各々のメンバーが"失脚"を恐れて疑心暗鬼に苛む様を風刺的・戯画的に描いた中編。ルーティン的設定ではあるが緊迫感と滑稽感とのバランス感覚が優れている。本編でも登場人物には名前が与えられず、アルファベットあるいはニックネームで呼ばれる。このアルファベットが表す登場人物を説明した栞が付いているのは親切と言うべきか。「故障」は旅のセールスマンが車の"故障"のため偶々一泊した家で、模擬裁判の余興(?)に付き合う内に次第にそれがエスカレートして......という中編。表面的な面白さとは裏腹に人生の意義(人々の精神的"故障")を追求した深みのある作品に映った。結末の物足り無さ感は読者の精神的"故障"(一人よがり)を示唆したいとの作者の意図の反映かもしれない。「巫女の死」はオイディプスの悲劇を中心としたギリシャ神話を背景に、人間の妄信や唯物史観等を嘲笑した中編。最も劇作家らしい作品ではあるが、ギリシャ神話に疎い私の様な者にとってはテーマに比して道具立てが重過ぎる印象を受けた(夥しい訳注も目障り)。

光文社の本シリーズの基本コンセプトは「古典を新訳で」だと思うが、本作の場合は完全に「新しい作家の発見」だろう。その意味では非常に成功していると言って良いのではないか。作者はミステリーを得意としている由(上述の「失脚」、「故障」にもそれが窺える)なので、次は作者のミステリーを読んで見たいと思った。
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No.2:
(5pt)

日本でもっと読まれるべき文学作品。

評論家の佐々木敦氏が絶賛していたので、フリードリヒ・デュレンマットという名は聞いたこともなかったが購入。
結果から言って、今まで聞いたことがなかったことを深く恥じ入った。
ミステリー調だが、ミステリー的な仕掛けよりも、登場人物の不安や決意といった感情の流れを読みながら追体験できるような心理描写を高く評価したい。
大して厚みのない文庫で1000円という価格はやや釈然としないものがあるが、それだけの価値はある。
他にどんな作品があるのか調べたが、どれも入手困難なため、もっとの著者の翻訳をこのような文庫で発売してほしい。
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No.1:
(5pt)

F・デュレンマットの貴重な短編集です!!!

F・デュレンマット、1921〜1990年、スイスの作家ですが、使用している言語は独語です。劇作家として高名です。私が始めてデュレンマットの名を知ったのは、紀田さんの現代人の読書術(毎日新聞)を読んだときです。巻末に50冊の本が紹介されていて(殆どが未読の本でした)、その中に嫌疑、約束がありました。早速購入して読みました。ポケミスですからミステリという分類になるのでしょうか。本書にはこのデュレンマットの短編が4編収録されています。 
 トンネル:若い男は大学のゼミに出席する為、いつもの列車に乗り込みました。そして、列車はいつも通り短いトンネルに入りましたが、この日に限って、いつまで経ってもトンネルを抜け出す気配がありません。車掌を伴い運転席にたどり着きましたが、運転席には誰もいません。列車は速度を増しながら、地球の中心に向かっているようです・・・何気ない日常が非日常にかわる恐怖がさりげなく描かれています。 失脚:某国の政治局が舞台、独裁者Aのもと、会議が始まりますが、核開発大臣が出席しないことから疑惑が広がり、政治局員は各々の思惑も絡まり、疑心暗鬼に陥ります。Aは政治局員がお互い争うのを利用して、暴力的独裁を維持してきましたが、Aが政治局員の解散を提案した事から、政治局員の矛先がAに向かい・・・政治局員をA,B、C・・・として一般性を持たせています。どこの国にも起こりそうな恐怖がさりげなく描かれています。 故障:車のトラブルでとある村に一泊する事になった営業マン、宿屋が満員の為、地元の老人の家に泊まることになり、食事、そして、模擬裁判に参加することになります。営業マンは当然被告の役です。何も悪い事はしていないという営業マンですが、酒が進むにつれて、つい口も軽やかになり・・・作者が劇作家だけあって、場面が目に浮かぶよう描かれています。この場面設定を少し変えるだけで、良質の連続TVドラマが出来そうです。 巫女の死:よく知られているオイディプスの悲劇を巫女を通して見た、作者の解釈によるもう一つのオイディプスの悲劇(喜劇?)です。良質の推理小説を読んでいるような感じがしました。
 アマゾンさんで調べると、判事と死刑執行人が暫く前に刊行されているようです。しかし、疑惑、約束は再版されていないようで、かなり高価な古書価格が付いていました。2作とも結構面白い作品なのに・・まあ、この版元は売れないものは直ぐに品切れ、絶版にする傾向があるようですが!デュレンマット、面白い作品もありますから、もう少し評価されてもいいように思います。光文社さん貴重な短編集有難う御座いました!!
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