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繚乱



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【この小説が収録されている参考書籍】
繚乱
繚乱 (角川文庫)

繚乱の評価: 4.35/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.35pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 21~23 2/2ページ
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No.3:
(5pt)

黒川博行、真骨頂

黒川博行「繚乱」

「悪果」の続編。
情婦と東京に逃げた元マル暴刑事・堀内のところに、やはり浮気相手に刺されてマル暴刑事を退職し
今は競売物件の査定をしている伊達が仕事ついでに遊びに来る。
競売物件に占有している極道達を追い払うのが本当の仕事なので
面白そうと堀内も一緒に大阪に行き、競売のいざこざに巻き込まれていく。

「疫病神」シリーズのように、企業と極道が入り乱れ様々な形で関わっているのを
主人公の二人が走り回って解き明かしていく
極道相手の容赦ない暴力と、ち密な推理力のギャップにどんどん引き込まれます
それにあいまって、関西弁の掛け合いは下手な漫才より面白く
結構シリアスな場面なのに何故か笑いがこみあげてくることもしばしば
これこそ黒川の真骨頂です。

警察をやめた堀内と伊達。
この二人の腐れっぷりが見事です。
桜の代紋という足かせが無くなったおかげで、掟破りに暴れまわります。
極道相手に敵なしの強さ。気分がすっきりします。
そして、極道より腐っているこの二人の結末は無残なもの。
私が黒川博行が好きな理由がそこで、だれも得をしないで終わることが多い
「悪果」も堀内が堕ちに堕ちた形で終わっていて、それがとても納得出来たのですが
この「繚乱」も前作に負けず劣らず堕ちています。

久々の極道警察小説。思いっきり堪能しました。
繚乱 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:繚乱 (角川文庫)より
4041039983
No.2:
(5pt)

浪速ピカレスク!面白さと怖さで読ませる。

かつて、伊達と堀内は大阪府警今里署のマル暴担当でコンビを組んだことがあったが、度を超えた仕事ぶりで組織に適応できなく、ともに署を追われた。ある日、上京してヒモ暮らしをしていた堀本を訪ねた伊達は、競売物件専門不動産会社の嘱託調査員として組まないかと話を持ちかけた。経歴を買われて雇われ、一癖ある案件や極道案件を専門に調査することになる。コンビ復活の初仕事は、総額20億円超の遊技場(パチンコ店)の物件である。が、債権者は各業界にわたり、いつもと様子が異なり極道ばかりでなく現職時代警視正という大物警察OBまでが関与している、この先、どんな連中ができよるか予想もつかない・・・キナ臭い物件であった。現職の警察官から情報を入手、関係者からの徹底した聞き込みなどから調査報告書をかきあげる。2人はそこから金の匂いを嗅ぎ取る。ワルの2人が、獲物を金の匂いを放っておけるわけがなく、強引な手口で大金を強奪することになる。その状況や極道による報復の凄まじさは直接読んでご体験ください。ラストまで一気読み。
浪速ピカレスク!面白さと怖さで読ませます。
繚乱 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:繚乱 (角川文庫)より
4041039983
No.1:
(4pt)

ウンザリするほどの警察の腐敗

黒川博行『繚乱』は不祥事で大坂府警を退職した元警察官(暴力団対策の刑事)を主人公とした小説である。競売屋の調査員になり、倒産寸前のパチンコ屋を食い物にする悪に迫る。

『繚乱』にはウンザリするほどの警察の腐敗、個人情報濫用、業者の癒着が登場する。敵対者側の警察OBは上から下まで悪が揃っている。小物は小物なりに卑劣な悪である。それは現実の警察を下敷きにしたものでリアリティがある。警察を取り巻く闇の深さが理解できる小説である。

主人公も正義ではない。警察の人脈を利用して警察の保有する個人情報を入手し、自分達の調査に役立てる。個人情報不正利用に対して主人公には罪悪感は皆無である。この種の犯罪も現実に起きている。警察不祥事では不祥事そのものの悪質さに加えて警察の隠蔽体質も問題になる。警察組織は仲間内でかばいあい、臭いものに蓋をする。

警察内の監察組織も本来の目的を果たしていない。時の上層部が都合の悪い相手の弱みを握り、相手を失脚させるために機能しているだけである。閉鎖的な組織内の人脈が腐敗の温床であり、外部の人間を入れなければ警察改革は不可能であると再認識させられる。

『繚乱』の特徴は勧善懲悪ではないことである。主人公が悪でも勧善懲悪的なカタルシスとは両立する。純粋には正義とは言えない立場の主人公が巨悪を滅ぼすという筋書きもあるためである(林田力「『白竜LEGEND』第16巻、医療過誤追及でカタルシス」リアルライブ2011年2月 12日)。巨悪を滅ぼすためには主人公側も悪事に手を染める必要があるとの考えも一理ある。しかし、『繚乱』は異なる。小悪が巨悪から掠めとる程度である。そこに警察物のリアリズムがある。

正義ではない主人公を描いた『繚乱』にとってラストは印象的である。因果応報の世界観を実現した。ここでは名前も紹介されないヤクザが重要な役割を果たす。このヤクザの行動は全体的な利害関係からは無意味な行動である。しかし、ヤクザ個人の意地を通した行動である。警察の腐敗を見せつけられた後であるために名もないヤクザの行動に一種の爽快感があり、悲劇的な結末にも妙な納得感がある。(林田力)
繚乱Amazon書評・レビュー:繚乱より
4620107816

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