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(短編集)
今昔続百鬼 雲
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今昔続百鬼 雲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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不細工、非常識、無神経、無責任、無節操、無反省な悪性の妖怪オタク・多々良勝五郎が主人公、物好きな常識人の「僕」が介添え役の中編4本。まったく感情移入できない、腹立たしい主人公であり、「僕」の性格も弱く、人物設定は失敗だと思う。物語も大したことはなく、困った人に周囲が振り回されるだけの茶番劇といってよい。唯一溜飲が下がるのは書き下ろしの「古庫裏婆」。京極堂の、桁違いの凄さが実感できる。 これも喜劇のひとつの形ではあろうが、私の好みではない。また、文体も吟味が足らず、さすがの作者も筆力に驕ったと思しい。駄作は言い過ぎにしても、凡作、と言わざるを得ない。 | ||||
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これは妖怪伝承を解釈することに人生を捧げる馬鹿の物語である。 ただ、何と言うかこのシリーズの致命的な弱点は、主役の「引き」の弱さだと思う。多々良センセイは「世紀の変人、奇人」という設定であるが、榎木津や木場修やらと並べてみるとどうにも(益田じゃないが)馬鹿がぬるい。 確かにめちゃくちゃ妖怪好きでわがままで自分勝手で傍若無人な人ではあるが、他の大馬鹿に比べると見劣りしてしまう点が痛い。「妖怪好き」を除けば、その辺にいる困った人である。おまけに多々良センセイにしろ相棒の沼上にしろ、榎木津のような存在自体の華やかさがないので全体に話が地味な印象になる。 どうにも切ない話が多いのだけれど。センセイは主役のくせに話から浮いてるし。 なによりも。 せっかく「黒衣の男」を友情出演させたが、空回りに終わっている。 京極堂シリーズを「暗い、重い」という声が多いが、例えば『絡新婦の理』の序幕にして終幕、桜の下で演じられた黒衣の男と「蜘蛛」との対話、また異教の学び舎にて美貌の堕天使を追い詰める場面の幻惑的な美しさを見ただろうか。 「雲」での黒衣の男は、文字数制限でもあるのかと訝しく思うほど一方的に(自分が知っていることを)しゃべりたてるだけで、憑き物落し(今回は憑ける方)の凄みや京極堂の姿や動きの美しさが、さっぱり伝わらない。 確かに、サイコロ型のノベルズというのもいかがなものかと思うので、あまりページ数を使えなかったのかとは思うが、いかにも書き飛ばしぽい。榎木津よりも誰よりも、京極堂の美しさにまいっている私としてはやや残念な登場だった。 | ||||
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