吸血蛾
評判
吸血蛾の評価:
3.82/5点 レビュー 11件。 D ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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吸血蛾の評価:
3.82/5点 レビュー 11件。 D ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
『講談倶楽部』で連載されていた『幽霊男』が終了して三カ月後から、同雑誌に連載された作品。
というわけで、中島河太郎は「『幽霊男』『悪魔の寵児』【注1】などのように、もっともサスペンスの効果を強く表面に出した系列の作品である」(P.293)と最大限に好意的なコメントwをしているが、死体から切断した脚をアドバルーンにぶら下げて飛ばすわ、ストリップ劇場のダンスに合わせて躍らせるわ、被害者候補の一群は順序良く殺され、警察は警護もつけずに毎回歯噛みし……、
つまり通俗エログロ作品であるw
一応「犯人」をうまく隠せてはいるのだが、これも著者がしばしば自嘲するところのこねこねくちゃくちゃのパターンで、最後に気が変わって犯人を変更しても、ちょいちょい文章を修正すれば、ストーリーが成立する類であった。
ムッシューQの登場には、腰が折れそうになった……ww
獣の牙を持つ謎の襲撃者とくれば、アルセーヌ・ルパンと明智小五郎が、それぞれ『虎の牙』という同名の作品で対決したので、まずはそのオマージュと言うか、パクった印象が浮かぶが、著者が本書でチャレンジしたかったのは、ディクスン・カーばりのホラー味の醸成だろう。金田一耕助にはなかなかそぐわない最新のファッション業界が背景の作品だが、それ以上に、西洋狼男伝説を装飾に持ってきているのが特徴である。
その意味では、虎の牙ならぬ“『狼の牙』”とすべき作品ではあったが、あまりに芸がないと考えたのか、死体に残されたり、被害者のもとに事前に送られてきた蛾の標本を題名に取っている。
しかし、この思わせぶりの手掛かりに対して、(かなり怖れたとおりに)表面的な誘導の裏に隠された深い意味などまるでなかった。さすがに少々コケ脅しがすぎる。少なくとも題名を背負える重みくらいはないと……。
そして、ホラー味の醸成がうまくいったかと云えば、甚だビミョー、正直云えばうまくいってない。
冒頭に登場する妖しい人物=いの一番に殺されているといういつものセオリーは、そこに双子の人物入れ代わりを組み合わせる工夫はあるものの、狼男伝説に関しては結局置いてけ堀である。狂犬病に寄せるのかと思ったがそうでもない。獣のような鋭い牙に関しても、生まれつきそうだったというだけ。あれでは、普通の食生活が難しいだろう……。
西洋狼男伝説ではなく、せめて和風の狼憑きを背景にすれば著者の持ち味も出しやすかったように思うが、当時は固定のイメージを払拭させる方向に苦慮していたのかもしれない。
というわけで、あまりストーリーテリングに感想はない。
村越徹は今で云うオネエだが、作中一貫して変性男子と形容されている。夢枕獏の『蒼獣鬼』のキーパーソンの少年が、変性女子と呼ばれていたのを思い出した。現代では差別用語にされそうだが、調べてみると仏教用語のようで、変性男子/女子はへんじょうなんし/にょしと読むらしい。
ついでながら、本書のキーパーソンの名前が、中後期の明智小五郎の登場作品(つまり通俗もの)に登場する明智の妻と同じ「文代」なのは、何らかの意味があるのかないのか……w
【注1】 『悪魔の寵児』の連載は、『面白倶楽部』。