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旅のラゴス



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【この小説が収録されている参考書籍】
旅のラゴス
旅のラゴス (徳間文庫)
旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴスの評価: 3.95/5点 レビュー 264件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.95pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(3pt)

真面目な筒井康隆

僕が感じる筒井康隆という作家の面白いところは、「小説」という表現形式自体を自己言及的に壊しにかかるモダニスト的資質にある。(例えば、漫画のコマ割を採用した「上下左右」のような短編を思い出してほしい。)漫画で喩えると赤塚不二夫のような仕事を大衆小説の世界で行った人だと思うのだが、この小説ではそんな文章実験が抑えられ、物語世界の構築を正面から試みた作品である。

 「七瀬三部作」を挙げるまでもなく、B級ギャグに走らずにストーリー・テラーに徹したSF小説家としての彼はそれはそれで完成度の高いお話を書くのだが、古代ユーラシアを彷彿とさせる冒険物語を我々の時代の科学文明が滅んだ後の人類の物語として展開したこの小説の場合、まずその世界観のファンが多いように思う。(発表後20年以上が経った今では、ゲームや漫画の世界で散々使われたモチーフではあるのだが。)古代文明の知の集積を探して身につけ再生するのに人生の大半を捧げた主人公が、老境になって自分自身のために生を踏み出すラストシーンには共感する読者も多いだろう。旅の途中で奴隷になってから7年が経ったり、古代文明の書物を読むのに15年が経ったり、とあっさり膨大な時間がページをめくる中で経ってしまうあたりも「オディッセイア」等の古代の物語の時間感覚に近くて、近代小説のリアリズム描写に毒された我々には新鮮だ。

 僕の星付けが渋い理由は、近代小説以前の「物語」にあったような、もっと荒唐無稽な展開を個人的にはこの作家に勝手に期待していたからである。単体のSFファンタジー小説としての完成度については、他のレビュアーの方々の星付けを参照して頂ければと思う。

 なお、徳間版よりも新潮版の方が装丁の絵が良いので、ずっと本棚に置いておくつもりで入手するなら、新潮版をオススメする。
旅のラゴス (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:旅のラゴス (新潮文庫)より
4101171319
No.1:
(3pt)

人は誰でも旅人・・・

旅というのは、人生に役立つ何かを得ることができると同時に、何かを
捨てなければならないものでもある。いろいろな人たちとの出会いと別れ、
さまざまな体験を繰り返すラゴス。そんなラゴスの旅で特に印象に残ったのは、
ボロ村でのできごとだった。ドームの中でひたすら本を読むラゴス。そんな
彼にアドバイスを求める村人たち。ドームの中のラゴス自身は何も変わらない
のに、ドームの外の村は急速に変化していく。「人間とはこういうものなのだ。」
作者の声が聞こえてくるような気がした。
求めていたもの。30年たっても変わらず求めていたもの。それが分かったとき、
ラゴスは再び旅に出る。求めているものは得られたのだろうか?笑顔で旅を
終えることができますようにと、願わずにはいられない。人は誰でも、人生という
道を歩く旅人なのかもしれない。この作品を読んでそんなことを感じた。
旅のラゴス (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:旅のラゴス (新潮文庫)より
4101171319

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