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夜啼きの森



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【この小説が収録されている参考書籍】
夜啼きの森
夜啼きの森 (角川ホラー文庫)

夜啼きの森の評価: 3.50/5点 レビュー 22件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

岩井 志麻子と言う女

どろどろでいい。すごくいい。お友達になりたい。またこの人の作品を読んでみたい。
夜啼きの森 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:夜啼きの森 (角川ホラー文庫)より
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No.8:
(5pt)

夏になると必ず読みたくなる本です。
読んでいて訳がわからなくなったりはするけれどそれはそれでまたページを戻ったりと自分なりに楽しめます。
何より描写の丁寧さか読み進めていくにあたって物語の中に迷いこんだかのような錯覚が…
夜啼きの森Amazon書評・レビュー:夜啼きの森より
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No.7:
(4pt)

岡山の貧を描く岩井

岩井は岡山の「貧」を「これでもか」というくらい描く。「ぼっけえきょうてえ」や「岡山女」もそうだが、岩井の年代でなぜこんなに「おばあさんの時代の岡山の貧」を知っているのか不思議だ。

というのも私は岡山出身の両親を持つが、「岡山の貧」など全く感じたことがなかったからだ。私の知っている「岡山」とは、気候がよくて、食うに困らなくて、人はみなバカなぐらいゆるい、時間の流れがおそーいところ。

ところが、岩井の描くおばあさんの時代の岡山は、全然違った。

貧乏なのだ。

それも、「おしん」とか「赤貧当たり前で娘を売っていた東北のイメージ」に負けずとも劣らない貧しさだ。

例えば、私の母方の祖母は、明治生まれだったが、女子師範を出て一時教職に就いていた。その祖母の若い頃というのが、ちょうどこの物語の時代であろう。祖母がこの物語に登場するなら、「とうてい手の届かない憧れの師範出身」ということになるではないか。女性の名前とて、ひいばあさんまで遡らないとカタカナやひらがなの名前が出てこない。なんだなんだ、この私の知る岡山との違いは。

どうもこれは地域性ということが大きいようなのだ。だいたい、父母の育った中南部では雪が降らない。気候が温暖で、作物もよくとれる。大和朝廷の時代から、「吉備」地方は、その余力を子弟の教育に振り向けてきたため、多くの役人を朝廷に送り込んでいた。と、司馬遼太郎も言っている。よって、岡山は教育県と言われ、私の近親者とて、大した家でなくともなぜだかみな高学歴。子供が5人いれば、男も女もみな大学へやる。…という私の認識は、岩井との出会いによって打ち砕かれ、「海側のやつらばかり得をしやがって」という山側の農民の怨嗟の声に度肝を抜かれたのだった。そんなことだったとは。思わず謝りたくなってしまうのだった。ごめんなさい。山側じゃないやつの子孫で。得したやつの末裔で。…というほどすさまじい「岡山の貧」を描いた傑作。
夜啼きの森 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:夜啼きの森 (角川ホラー文庫)より
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No.6:
(5pt)

答え合わせのおもしろさあり

本作は長く世界記録であった短時間同一犯人による大量殺人事件を題材にした伝奇ホラー「小説」である。プラスの材料としては、惨劇の舞台となった農村が著者の得意分野である岡山弁が使える場所であったこと、著者の敬愛する松本清張もまたモデルとなった事件を、こちらはドキュメンタリーとして扱っていること、マイナスの材料はモデルの事件の形を尊重したため、いつものホラー小説世界とやはり多少の味わいの違いがあることだ。
しかし、事実を極力いじらず、記録に残らぬ部分に目に見えぬ恐怖をたっぷりと塗り込めて奇怪な全体像を再生してみせたやり方は「実話に材を取る小説」という形式である以上、バランス的に正解だ。
ただの悲しく怖い小説として読んでもちろんかまわないのだろうが、前述の松本清張の「闇に駆ける猟銃」、また物語の導入に本事件を埋め込んだ横溝正史の「八つ墓村」、事件そのものの詳細な記録として筑波昭の「津山三十人殺し」などへ伝奇から事実へと辿って読むのもおもしろいだろう。本書と実際の事件、その差異の中に著者の才能を再確認することができるだろう。
夜啼きの森 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:夜啼きの森 (角川ホラー文庫)より
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No.5:
(5pt)

新しい書き方の小説だ

この作品では、「三十三人殺傷事件」の犯人である辰男の姿が、辰男の周囲の人物の目から間接的に描かれている。そのせいで、辰男自身のことを読者が正確に理解することはないが、そもそも、人間関係というのはそういうものである。主体となる人物を読者が客観的に評価できるという点で、新しい小説だと思う。
 ちなみに、私は辰男に少しばかり惚れてしまった。女たちの視点から見た厳しい評価の後でも、辰男のか弱く、狂気的で、艶めかしい姿には誘惑される。これを美と呼ぶかどうかは人それぞれだろうが、美少年・美青年が好きな方はぜひ一読して欲しい。
夜啼きの森 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:夜啼きの森 (角川ホラー文庫)より
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No.4:
(5pt)

鬼がきた

この事件の本は色々読んだことはあったが、この「夜啼きの森」では村人たちの5人のそれぞれの目線から辰男の人物像が見えてくる。そして村人たちはきょうてえことを辰男が近いうちにするだろうということもわかっていてその不安な心理も書かれていてとてもおもしろくてぞっとした。霊界の森という世界に、それぞれ住民たちの思いにスポットをあてていて今までの本になかった観点から読むことができてよかったと思う。
夜啼きの森Amazon書評・レビュー:夜啼きの森より
404873301X
No.3:
(5pt)

津山三十人殺し

軍国主義色濃い昭和初期、まだまだ土俗的な習慣の残る貧しい農村。
人々の楽しみといったらまぐわいと悪口をいうこと。ほとんどが縁続きの小さな村の中では噂はあっという間に広まり、窒息しそうな閉塞感が満ちている。
誰もがなにか起こらないかと思い、だれもがこの村に何かが起こることを期待している。
そこへ現れたのが辰男。頭はいいが怠け者。仕事をするでもなく家でぶらぶらしている。跡取りだからと祖母に甘やかされ、娯楽小説を読んで暮らしている。女と寝ることだけが自己存在の証しのよう。世間が悪い、運が悪いと周囲を恨み、その恨みが史上最大の殺人事件へと結実する。
辰男は21歳だったそうだが現在の少年犯罪に通じるものを感じた。
夜啼きの森Amazon書評・レビュー:夜啼きの森より
404873301X
No.2:
(5pt)

内なる鬼が育つ

岡山県の山村、極貧困で濃い血縁関係の村での怨みの成就が殺戮。横溝正史の八墓村でも取り上げられた津山事件を岩井志麻子が彼女らしく、辰夫の心情をこと細かく、時間の経緯とともに写し出している。幼い頃、大好きな姉とともに親戚に預けられ、姉が性的虐待をうけていても、見ていぬふりをする大人のあさましさを知り、貧しさから教育も受けさせてもらえず、潜病質から徴兵制からも落ち、疎外感、劣等感からだんだんと心の中の鬼が頭をもたげてくる。鬼が大きくなるにつれ、周りの人の心の中の鬼もこれに呼応するかのように、加担していく。楽しみは、交わることとでもいいたげに、夜這い、姦通が行なわれる。確かに日本の農村には、明治時代まで、今の倫理観では、推し量れない風習があったのは、確か??。今の私たちには、異常とも思える交わり方だが、時と所がかわれば、これも当たり前なのかもしれない。今の夫婦制度も未来永劫変わらないとは、いえないし、正しいものともいえないのだとも思ってしまう。
夜啼きの森Amazon書評・レビュー:夜啼きの森より
404873301X
No.1:
(4pt)

まるで自分がこの村の住人に・・・

読んですぐ、岩井ワールドに引き込まれてしまいました。 舞台となる村の住人全てが主人公ともいえるコノ作品は 読んでいるとまるで自分がこの村の住人になったような 気がしてきます。 主人公の辰男のなんという頭の良さ、 憎しみの力の大きさ・・・人間の闇の部分がさらされた 感じがしてゾっとしました。
夜啼きの森Amazon書評・レビュー:夜啼きの森より
404873301X

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