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楽園のカンヴァス
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楽園のカンヴァスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全423件 401~420 21/22ページ
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絵画作品を愛する私にとって、小さなエピソードがさりげなくちりばめられていたりして、なかなか質の高い小説だと思いました。なにより、アンリ・ルソーの絵画制作に対する情熱が描かれていて、これはもちろん史実とは異なった作者の創作でもあろうが、人生を豊かに生きる力を再確認できたりして、単なる推理小説でなく、ちょっとした人生書だとも思いました。ルソーって好きではなかったのですが、もっとじっくり作品に向かいたいと思いました。 | ||||
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美術(アート)の世界を題材にした異色作。ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)には、アンリ・ルソーが画いた「夢」が所蔵されている。不思議な風、熟れた果実の香り、獣たちの遠吠え、名も知れぬ花々の花弁を揺らすミツバチの羽音。そして、赤いビロードの長椅子に横たわる裸身のヤドヴィガ。彼女は左手を突出し何かを指差しているかのよう。スイスのバーゼルにあるバイラー・コレクションにはこれと似た構図の作品(「夢をみた」)があるという。 そのオーナーである長老のバイラーは、その真贋を見極めてもらうために、MoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンとソルボンヌ大学でルソー研究で博士学位を26歳の若さで取得したオリエ・ハヤカワ(早川織絵)に鑑定を依頼した。それはただの鑑定依頼ではなかった。アンリ・ルソーについて書かれた古書(7章から成る物語)を一週間、二人がかわるがわるに読み込み、7日目に講評し、説得的な解釈を述べたほうに、取り扱い権利(ハンドリング・ライト)を与えるという。この権利を獲得すれば、コレクションにあるルソーの「夢をみた」をいかように処分してもいいと言うのだ。ふたりは互いに牽制しあいながら、この「競技」にはまっていく。 アンリ・ルソーはしがない税関吏であったが、50歳を過ぎる頃から奇妙な画を書き始めた。日曜画家と呼ばれ、その構図は嘲笑の的となった。くわえて、この画家のことはあまりわかっていない。何百点もあるはずの画は散逸している。古書にはその画家のこと、「夢をみた」の下絵にピカソの「青の時代」の大作があるかもしれないという秘密が書かれていた。確かに笑われ者だったルソーを評価したのはピカソであり、交友関係もあり、ルソーの画に出会わなければあのピカソはいなかったといわれている。ティムの背後にはMOMAが、そして織絵の背後にはテート・ギャラリーがひかえ、その絵をねらっている。古書を読み解くうちに、ルソーの人となり、また彼が恋い焦がれたヤドヴィガ、そしてその夫のことがわかり、またピカソ、アポリネール、ローランサンとの関係もあぶりださていく。このあと、ますます面白くなって一気に結末へ。 最後の場面はちょっとウルウルくる。この小説を読んで、知識としてルソーのこと、彼の画がシュールレアリズムの登場に果たした役割、キュレーターの仕事の内容なども理解できた。著者の才能に乾杯。 | ||||
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ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)には、アンリ・ルソーが画いた「夢」が所蔵されている。不思議な風、熟れた果実の香り、獣たちの遠吠え、名も知れぬ花々の花弁を揺らすミツバチの羽音。そして、赤いビロードの長椅子に横たわる裸身のヤドヴィガ。彼女は左手を突出し何かを指差しているかのよう。スイスのバーゼルにあるバイラー・コレクションにはこれと似た構図の作品(「夢をみた」)があるという。 そのオーナーである長老のバイラーは、その真贋を見極めてもらうために、MoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンとソルボンヌ大学でルソー研究で博士学位を26歳の若さで取得したオリエ・ハヤカワ(早川織絵)に鑑定を依頼した。それはただの鑑定依頼ではなかった。アンリ・ルソーについて書かれた古書(7章から成る物語)を一週間、二人がかわるがわるに読み込み、7日目に講評し、説得的な解釈を述べたほうに、取り扱い権利(ハンドリング・ライト)を与えるという。この権利を獲得すれば、コレクションにあるルソーの「夢をみた」をいかように処分してもいいと言うのだ。ふたりは互いに牽制しあいながら、この「競技」にはまっていく。 アンリ・ルソーはしがない税関吏であったが、50歳を過ぎる頃から奇妙な画を書き始めた。日曜画家と呼ばれ、その構図は嘲笑の的となった。くわえて、この画家のことはあまりわかっていない。何百点もあるはずの画は散逸している。古書にはその画家のこと、「夢をみた」の下絵にピカソの絵があるのではないかという秘密が書かれていた。確かに笑われ者だったルソーを評価したのはピカソであり、交友関係もあり、ルソーの画に出会わなければあのピカソはいなかったといわれている。ティムの背後にはMoMAが、そして織絵の背後にはテート・ギャラリーがひかえ、その絵をねらっている。 古書を読み解くうちに、ルソーの人となり、また彼が恋い焦がれたヤドヴィガ、そしてその夫のことがわかり、またピカソ、アポリネール、ローランサンとの関係もあぶりださていく。いよいよ、講評の当日。当初は冷たい関係にあったティムと織絵。ふたりは「競技」のなかで次第に相手を尊敬し、心惹かれていく。講評の場で、ティムは意外な結論を出す。驚く織絵。そして、分った意外な事実。 古書の物語の執筆者も明らかになる。これにもビックリ。ハンドリング・ライトは、予想外にもバイラーの孫娘に。「競技」は終わり、ティムはニューヨークに戻り、織絵とも長の別れに。この小説、最初は大原美術館の監視員(セキュリティ・スタッフ)であった早川織絵の家族と仕事関係者との日常の話からまり、大原美術館がMoMA の「夢」(アンリ・ルソー)を借り出す計画がきっかけとなり、織枝の訳ありの人生が見えてくる仕掛けになっている。 そして、終章ではMoMAとの交渉に立ち会う大原美術館の代表者のひとりとして織枝がニューヨークにとび、彼女は17年ぶりでティムと再会する。最後の場面はちょっとウルウルくる。この小説を読んで、知識としてルソーのこと、彼の画がとシュールレアリズムの登場に果たした役割、キュレーターの仕事の内容なども理解できた。著者の才能に乾杯。 | ||||
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話題作だからと手に取り読んでみたら、一気に作品に引き込まれてしまいました。 作中の中心人物たちが絵を愛してやまない姿がこの作品を清く美しくしているのだと思います。 久しぶりに読了後すぐに「もう一度読みたい!」と思いました。 ミステリーのジャンルに分けられているこの作品は、冒険(アドベンチャー)、ラブストーリー、あるいは美術史、どのコーナーに置かれていても良いと思います。 現在は、作中に出てくる絵画をネットで検索して見れる時代です。 気になる作品をパソコンの画面に映して読み進めると、また違った味わいがあります。 表紙の絵「夢」を描いたルソーだけでなく、きっと別の画家にもいろんな物語があって、美術館に展示されている様々な作品にはいろんな気持ちや想い、さらには人生そのものがこめられているんだろうなと、今までとはまったく違った視点で絵画を見れるようになったと思います。 週末に美術館に行ってみよう!っていう気にさせてくれます。 | ||||
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ルソーの絵が大好きだった私ですが、ルソーがどんな画家であったか知りませんでした。子供みたいな絵、遠近法も知らない日曜画家と嗤われていたこと、貧しくボンボンを売りながら、誠実に絵と向き合っていたこと、ヤドヴィガへの老画家の片思い、そんなルソーを若き天才ピカソが認めていたこと。 晩年の大作「夢」にはもうひとつの知られざる作品があった。その真・贋をめぐるミステリーを通じて、新しくルソーと知合えた気がしました。史実をもとに語られるもうひとつの「夢」はとても面白く、一気に読みました。 本棚で眠っていたルソーの画集を思わず開いて絵を鑑賞しつつ、楽しみました。キュレーターならではの造詣と愛情の深さが感じられ、ラストはいっそう興奮しました! | ||||
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19世紀半ば〜20世紀前半に活動した<日曜画家>、アンリ・ルソーの絵画の真贋を巡って織り成される、知的スリルに溢れた芸術ミステリー。本作は、美術にある程度関心のある読者を想定して書かれていると感じられる部分があり、美術好きでない方がいきなり読むとちょっとキョトンとしてしまうかもしれません。ピカソとルソーがある程度好きな方ならとても楽しく読めると思います(と、個人的には心配しましたが、普段美術に親しんでいないレヴュアーの方も意外と抵抗なく読んでおられるようで嬉しくなりました)。 原田マハさんの著作を読むのは本書が初めてでした。 文章において読みやすさと芸術性のバランス具合が上手い方だと感じましたし(ねっちり緻密というよりさらっとして生き生きとした文章を書かれる方ですね)、流石は元美術業界畑の方、美術館、展覧会の裏側事情が非常に細かく具体的に書かれている点もこの作品の大きな魅力になっていると思いました。ピカソやアポリネールら、ルソーが活動していた当時のフランス芸術家たちが何を探求していたのか等を知るための勉強にもなります。 しかし何より、著者の方のルソーに対する愛情と情熱が作品全体の皮膚の下で脈動しているのを大変に強く感じ、その深い思いに感動させられました。作品の主人公である2人のルソー研究者が持っているルソーへの熱い愛着は、マハさんの気持ちを代弁しているのでしょう。 ミステリーとして展開が全く予想外ということはないですが(紛らわしい疑似餌とかがないので伏線は分かりやすいと思います)、ラストはとても気が利いていて、細かいところまでよく練られているなあ!と気持ちよく満足させてもらえることと思います。 生意気にも描写のバランス面で気になる部分がなかった訳ではないのですが・・(女主人公の家族の描写なのですが、踏み込み具合が不自然に中途半端な気がしました。前半の紙幅をたっぷり割いた印象的な登場場面から期待する程、家族が後の物語の軸に絡んでこず、肩透かしを食らった気持ちになります。あれはもしや続編への伏線なのでしょうか?)もっと分厚くなってもいいから現在生きている人間達の思いなどを、じっくり書き込んで欲しかった! しかし最近読んだ日本人作家さんの本の中では、この作品が一番面白いと思いました。本作が直木賞を取ることを期待しています(以下後記・・受賞逃しましたね!残念!)。 | ||||
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推理小説的な展開があり面白いです。でも本質はルソーを愛する人達のお話です。本の表紙にあるルソーの「夢」を何度も見直しながら読み進めました。謎の古書ではピカソ、女神のモデルになった主婦ヤドヴィガ、その夫といった数少ないルソーの真の理解者の愛情を感じます。真贋鑑定に関わる登場人物たちのルソーの作品を残さなければならないという強いパッションが伝わってきます。ルソーが招待されたピカソたちの溜まり場「洗濯船」の宴会にタイムスリップしたくなりました。MOMAやバーゼルやパリやバルセロナにも行きたくなりました。ピカソの青の時代も見たくなりました。もし関連する絵を見る機会ができたら、往路でこの本もう一度読もうと思いました。劇画風でちょっと軽いので(そこが一気に読める利点でもあるのですが)、星4つとしました。でも、おすすめです。 | ||||
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旅先の恋を思い出させてくれる本です。 美術にめちゃくちゃ疎い私でも楽しめる本でした。 アンリ・ルソーの物語も良かった。 本の世界観も好きです。 でも、個人的には、全体を通して素晴らしい! と諸手を挙げて絶賛するほどではないと感じます。 おそらく、多くの読者とは違った感想になると思いますが、 私は物語の本題とは違う、最終章の恋の部分にやられました。 イーサン・ホークとジュリー・デルピーのBefore Sunriseを見終えて、 その後を想像するような異国でのわずかな恋。 織絵を待つティムに、私は3秒で感情移入してしまった。 ラストがとても、良かった。 それだけで★の数を一つ増やしてみました。 直木賞候補にも挙がったようですが、 個人的には★3つでもいいような気がします。 万人受けするか疑問が残る部分もありますし。 ただ、間違いなく、文庫になればオススメします。 | ||||
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「ダビンチ、上半期一位』のコピーが目に入り、手に取った。 美術ミステリーとカテゴラズしていいのかな。 この手の話は、初めてで新鮮。 話の中心人物である画家ルソーは知らなかったし、 美術にも詳しくはないけれど、 導入部分で引込まれ、 そのまま一気に読んでしまった。 どこまでが史実で、どこまでがフィクションが わからない。でも、わからないからこそ魅力的なのだと思う。 | ||||
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これまで、あまり見られなかった絵画をめぐる本格的 なミステリー。アンリ・ルソーの隠れた名作をめぐって、 ルソー研究の第一人者である男女2名がスリリングな 対決をし、その末に絵の所有者も加わって思わぬ結末 に至ります。 作者自身は「頭の中で画家たちと対話しながら、フィ クションという縦糸と史実という横糸を一枚の絵に織り 上げるように書きました。」(『朝日新聞』2012/04/13 夕刊)と述べています。読者は、20世紀初頭のヨーロッ パ絵画史についての蘊蓄を存分に楽しみ、そしてまた 絵画取引の舞台裏のおぞましさに肝を冷やすことにな るでしょう。 「かつて美術の世界に携わっていた著者の本領が存 分に発揮された渾身の作」(『読売新聞』2012/02/17) という評価は、文句なしに当たっています。最後に極上 のカタルシスが待っています! | ||||
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TVのインタヴューで、ダビンチ・コードに影響を受けたと作者が語っていた。 そうかな、と思わせられる。 美術ミステリーというくくりで紹介されている。 表紙にあるように、アンリ・ルソー の 『夢』 にまつわるストーリーだ。 個人的には、ルソーの絵画は、実物を見ても、あまり心を動かされることはなかった。 が、他にはない雰囲気を感じさせてくれる。 ピカソに影響を与えていたなんて、とびっくりだ。 美術関連の物語にはお決まりの、贋作か否かがやはり大きなカギになってくる。 贋作か、真作か。 ルソーの最晩年のころの物語と、それを読みながら謎を解くふたりのルソー研究者。 途中、入りにくいところもあったが、それは、史実ならちゃんと理解しなくてはという こちらの気負いかもしれない。 単純に、そうだったのか、結果はどうなるのだろうか、と読み進んでいくとおもしろいのかも。 ダビンチ・コードよりはるかによみやすい。 ルソーやピカソの絵を調べたくなる。 ちょっと、通、っぽくさせてくれる本だった。 | ||||
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ピカソは知っていたが、アンリルソーは知らなかった。 竹橋、国立近代美術館にアンリルソーの絵画があるが、 読み終わると、思わず絵を見に行きたくなり自転車に乗ってふらっとみてきた。 創作における生みの苦しみ。交差する時代。 一読に値する構成作品である。 お勧めします。 | ||||
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絵画にもルソーにも興味はなかったのですが、絵画に込められた情熱、 研究者、学芸員の愛情などが、びしびし伝わってきました。 舞台がバーゼルに移ってからの第3章以降は、 バイラーの目的、「物語」がどのような経緯で書かれたかなどの謎に ひかれ、とてもリーダビリティがありました。 20世紀の始めのパリのアートな雰囲気と、 そこに思いを馳せながらのバイラー宅での行き詰まる対決には 心地よい緊張感を味わえて、堪能できました。 ただしミステリーとしての要素は弱かった気が。 でも、面白かったです。 | ||||
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ルソーの生涯と彼の作品について書かれた本なのですが、絵画にこれまで興味を持てなかった方もすぐに引き込まれていく作品だと思います。 最期まで情熱を絵に捧げ自分を貫き通した男、そしてその画家ルソーに見せられた2人の研究者の信念が美しく書かれています。 読み終える頃には物語の中に入ってしまい、感動して涙がとまりませんでした。 先ほど読み終えましたが、また最初から読もうと思います。 | ||||
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読み出してすぐ、「ゴッホ殺人事件」や「写楽殺人事件」を思い出した。 この作品の一番素晴らしいところは、 実は「殺人事件」にしなかったことかもしれない。 誰も殺されず、自殺もしない。 良かった。 もちろん、美術作品、美術館、美術にかかわる人々の 裏話みたいなものもたくさんつまっていて、読んでいて楽しい。 全体的に人間関係は、けっこう安易に設定されていて、 運命のめぐり合いがからみあっている(笑) 話の流れの都合で人物たちのキャラがけっこう変わる。 でも、ストーリーとして面白かったから良いか。 でも、83年当時、そんなにルソーの評価はまだ低かったのだろうか? それが一番引っかかった。 小中学校の美術の教科書にもルソー作品は載っていたし、 「戦争」なんて子供心にも記憶に残るインパクトがある絵だった。 また、80年代の中ごろには、 図書館で「ルソーの本が読みたい」と言ったら 美術全集のアンリ・ルソーが出されてきた記憶がある。 1980年には日本では世界美術全集にアンリ・ルソーを入れているのだ。 実はそのとき、ベルばらを読んで感激した私は ジャン・ジャック・ルソーの本をさがしに行ったので、 個人的体験かもしれないが、 「ルソーの本」と言ったら哲学書じゃなくて美術書なのか、と 驚いたのを強烈に覚えている。 なので、1983年の主人公たちが語るルソーの 「低すぎる」評価が、なんだか違和感がある。 コレが73年とかならギリギリわかるのだが。 | ||||
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特に、絵画ファンには、とてもおもしろい本だと思います。私は、ルソーもピカソも好きですが、大天才のピカソが、何故ルソーから大きな影響を受けたとされているのか疑問でした。しかし、この本を読み、糸口を見出した思いがします。読みながら、ある人物についての描写が、他とは違うことが気になっていましたが、最後に、謎解きがまっていました。 | ||||
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近代美術の愛好者にはエンターテーメントたっぷりの、満足度の高い作品。舞台が日本、米国、イギリス、スイス、世紀末のパリへと移り、映像化にぴったり。映画を見てるよう!是非とも映画化して欲しい。 | ||||
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稀代のコレクターが愛蔵している一点の絵画。これは幻の名作か、それとも贋作か。 絵画の真贋を問うというシンプルなミステリー軸に、この絵画、あるいはルソーという画家に強い思い入れのある人々の情熱が交錯し、最後まで目を離せない展開。絵画を全く解さないわたしにとっても、ルソーの「夢」が特別なものになってしまうくらい、おいしげる植物の息苦しくなるほど活き活きとした匂いや、野生の動物のひそやかな息づかいをずっと感じながら読んでいた。 読み終わっても、まだ気持ちを絵の前に置いてきてしまったような感覚。しばらく他の本を読めないかも。素晴らしい! | ||||
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絵は、もちろん大好き。美術館目的で旅行を組むこともあるぐらい。美術史も目を通すけれど、画家の生きた生活までは、踏み込めていなかった。この作品は、美術館の運営、絵画コレクターの心理、ルソーの生涯をめぐる物語を描きながら、それを巧みにミステリーにしあげている。ルソーといえば、正田美智子さん(現皇后陛下の結婚前)が、その作品について、素晴らしい感想文を書いていた。こんな風に、ルソーが読めるのかと、その着眼点、表現力のうまさに驚いた。それで、ルソーという画家が、強く印象に残った。この本は、ミステリーのできそのものよりも、ルソーの生きた時代、ルソーの得体のしれない魅力、素晴らしい作品をまえに動く人間模様が楽しい。美術を楽しむ新しい側面を発見した気分である。 | ||||
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美術ミステリーとして話題の小説です。MoMA(ニューヨーク近代美術館)が所蔵するアンリ・ルソーの「夢」と同じ構図の絵画の真贋鑑定をMoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンと日本人研究者、早川織江の2人が競うのがこの小説のあらましです。 ルソーの晩年を描いた古文書を2人が読み作品の真贋を判定して、勝ったほうにその作品が渡るというゲームです。これを仕掛けるのはその作品を所有する財団の代表者のバイエラーですが、この意図がよく理解できません。ルソーを偏愛する人物が、自分は真作だと信じているにも関わらず、研究者に真贋を判定させて、なおかつその権利を譲ることがありうるのでしょうか。古文書を読むだけの真贋判定や突然に現れるバイエラーの孫娘、織江が未婚の母となるいきさつなど強引な展開にも首をかしげました。 ミステリーならばそのあたりの必然性や整合性は緻密に書き込んで欲しいものです。しかし、大学で美術史を専攻し、キュレーターの職歴をもつ作者が自ら愛するアンリ・ルソーへのオマージュをミステリーの形式をとって捧げたと解釈するならば、私の評価は変わってきます。 税関吏から画家を志し、貧しいなかで絵筆をとり、世間に認められることなくパリの屋根裏部屋で死んでいったアンリ・ルソーへのあふれるばかりの愛情が全編に漂っています。印象派やピカソ、クリムトなどの巨匠の陰に隠れがちなルソーの再評価を作者は熱っぽく訴えているようです。作者の情熱に押されて、私は読了後すぐにルソーの画集をAmazonに発注していました。 | ||||
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