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華竜の宮
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華竜の宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 21~39 2/2ページ
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レビューの評価が高かったので、期待して購入しました。 読了後の感想は、「期待外れ」でした。 もちろん、駄作ではありません。 しかし、バックグラウンドにある科学的な考察が稚拙です。 例えば、プリュームテクトニクスは、プレートテクトニクスを、単に言葉で言い換えただけで、新しい発想は全く含まず、一部の科学者が、売名目的で主張していると思われている理論です。 こういう点は、もう少し勉強してから、ストーリーに取り込むべきでないでしょうか。 著者の想像する世界観などが素晴らしい分、科学的な考察の未熟さが目立ってしまいます。 まあ、SFだから、多少の科学理論の曲解は良いと判断したのでしょうか??? | ||||
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上田早百里という名前の作家については、今までまったく聞いたことがなかった。 私は、読み応えのある長編、それも大長編が好きで、二段組み588頁のこの作品は、たまたま手に取ってみたが、ヴォリューム的に申し分ないうえ、ぱらぱらとめくってみると地の文章と会話部分のバランスもよさそうなので読むことにした。大長編の場合、当たりだと良いが、外れだと、途中で読むのが苦痛になり、後はただ惰性だけで読み進めるはめに陥りかねない。ところが、このSF、読み終わってみると大当たり、正直、日本のSF界にこれだけの作品を書ける女性作家がいたことにちょっとした驚きを感じた。 物語は、海底の隆起現象によって海面が260メートルも上昇し、陸地のほとんどが水没した25世紀の世界では陸上民と海上民とが反目しあいながらも共生し、それなりの繁栄を謳歌している、しかし、新たに壊滅的な地球の危機が迫るなかで、日本政府の外交官・青澄や海上民の女長(オサ)ツキソメなどの主人公たちが、協力しあいながら未曽有の危機を乗り越えて人類を残そうとする必死の活躍を描く。冒頭からストーリーの展開にぐいぐい引き込まれ、興味が薄れることなく最後まで読み終えることが出来た。自身の命を賭けても信念を貫きとおすという、主要登場人物たちに共通した性格造形はやや類型的な傾向はあるものの、構想の雄大さといい、テンポの良いストーリー展開といい、魚舟や獣舟などのSF的なアイデアといい、読み物として素晴らしく、過度な情緒を排した平易な文章にも好感が持てる。 本編は一にSFの秀作というだけにとどまらず、全編、スリルと興奮に満ちた冒険小説としても出色の出来である。青澄やツキソメの活躍ばかりではなく、海上民でありながら、陸上政府の海上警備隊隊長を務め、ジレンマの果てに己の信念に殉じるタイフォンというキャラクターも忘れ難い。 ミステリーは好きでもSFはちょっとという読者もけっこういるなかで、この作品が純SFシリーズの一冊として刊行されたのは不利に働いたかもしれない。2011年度の日本SF大賞を受賞したものの、さらに“このミス”や週刊文春などの年間ベスト10上位にランクインされても何の不思議もない作品だと思うし、SFというジャンルを超えて、もっともっと幅広く読まれても良い一作だと思う。 | ||||
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久々にスケールの大きなSFに出会いました。今の世界から派生した独特な世界が面白いです。 | ||||
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主役をスイッチして続きが書けるような終わり方。あるといいな! | ||||
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私の読みたい物語とはちょっと違ったようです。人それぞれですので、気にしないで。私にはあまりにも異型の世界で興味を失いました。 | ||||
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上巻のレビューで、世界観に馴染めない、と書いたのですが、読み進めるにつれ引き込まれて行く自分を発見します。 単に慣れただけと言われればそうかも知れませんが、上巻の時にも書いたように、作者の技量にグイグイと引きづられていきます。 最近読んだ中ではイチ押し。 | ||||
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世界観には未だに馴染めないのですが、作者の語り口が非常に好きです。 確固たる世界観があるゆえに、その世界に対する好き嫌いはある程度出てくると思います。 ストーリーテラーとしての作者の技量に完敗。 面白い読み物に仕上がっています。 | ||||
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比較的に評価が高かったので、期待して購入しました。 しかし、明らかに、私の期待にこたえられない内容でした。 ネタバレになるので詳細は書きませんが、他の上田作品に比べて、世界観の設定の奥行きの深さが感じられませんでした。 この作品は今一つでしたが、今後の作品には期待しています。 | ||||
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海面が数百メートル上昇し、疫病が蔓延り、生態系は根本的に破壊されと、人類に壊滅的被害を与えたリ・クリティシャス。 生き抜くために、人類は自らを遺伝子改造するという非常手段をも採用した。 絶望を乗り越え、文明も一進一退を繰り返しながら徐々に新たな世界に適応していった。 だが、それも新たなる異変が始まるまでの、ほんの休息に過ぎなかった。 …というプロローグで始まる、壮大なるコネ作りSF。 SFだけあってさすがにアクションシーンも出てきますが、むしろアクションシーン無くてもよかったんじゃね、という内容です。 圧倒的なスケールで延々交渉と根回しを行う素敵極まりない作品でした。 多くの要素を詰め込みすぎて散漫になってる部分があるというか、思いっきり伏線貼っておいて後日談でさらりと流して終わりみたいなものもありますが、総体的には非常に読み応えのある内容でした。 | ||||
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天変地異、遺伝子改造、人工知性…と、もはや異世界ともいえる未来の地球。 その盛りだくさんのアイデアを処理するのでいっぱいで、ストーリーに緊迫感が欠けている印象も。 特に、最後の語り手のくだりで、これまでの物語がするりとつかみどころがなくなった感覚がある。 そんな軽い読後感も悪くはなかったのは、私自身が、物語よりも、作者の作りだした新しい世界観を楽しませてもらったという感じが強いからだと思う。 作者は、短編集で補完的にこの世界観を使用しているが、願わくば宇宙に飛び立った「彼らの話」を読んでみたいものだ。 | ||||
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第32回日本SF大賞受賞作。近未来を舞台とした海洋SFを謳っているが ストーリーの骨子は、官僚たちのネゴシエーションという珍しい作品。 もちろんSF的設定や世界観、仮想生物たちの生き生きとした姿は それはそれで素晴らしく、脳内にリアルに立ち上がってくる。 しかし、最初から最後まで物語を引っ張っていくのは、 組織の末端で所属組織の論理や面子に縛られながらも、 自らの倫理にも誠実であらんとする官僚たちの姿勢である。 少年少女たちは、いつでも革命家のように潔く、 キャッチーでピュアな世直しに惹かれてしまうものだ。 しかし何時の世にもきちんとした次の世を作っていくのは 一見つまらなく、歯がゆい大人たちの、膨大な事務量に裏付けされた ネゴシエーションの積み上げなのである。 旧勢力との闘争と、早急な世直しとそのカタルシスで、 社会を語ってしまう愚に対し、本作は一見つまらない ネゴシエーションの場面を粛々と積み上げていくことにより、 リアリティある人間社会の描写に成功している。 それが本作を重みあるものにしていると信じている。 | ||||
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お恥ずかしい話、最初ミステリーと思って読み始めたのですが、私にとって久々のSF大作読破となりました。 全体的には面白かったとは思いますが、ボリュームがありすぎて読むのにちょっと疲れました。 ただし、途中でやめようと思わなかったのは、ひとえにストーリの面白さでしょう。 世界観にリアリティを持たせるため、科学的な描写が頻繁に出てきますが、その部分は斜め読みで印象にも余り残っていません。 科学的な描写が難しすぎて、その部分で挫折される方も多いのではないかと思います。 コアなSFファンには怒られるかもしれませんが、正直なところ科学的な描写はもっと簡単にしても良かったのでは? エピローグに関して、賛否両論が出そうな内容になっていますが、ストーリ全体の主人公を「マキ(ボク)」と考えれば、ひとつの完成形であると納得できます。 細かな点を指摘すれば色々ありますが、それを超えてぜひ多くの人に読破して頂きたい作品です。 みんなガンバレ!! | ||||
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二段組みで600ページ近くの本なので、読むのは大変でしたが、大満足でした。 高校の地学の授業で学んだことをはるかに超えた部分が多く、こうした現象の理論を完全に理解するのは難しいのですが、それだけスケールの大きな物語になっています。その意味では、小松左京の「日本沈没」を凌駕しています。 物語としてもしっかりしていて、青澄公使、その補助をする人工知性体マキ、オサ・ツキソメ、そしてタイフォンと、登場人物が非常に魅力的で良く書かれています。それだけに、作品の中に入り込めます。 更には、人間の本性の問題や、自然の中における人間の傲慢さなど、テーマ的にも盛り沢山です。 従って、読む人の関心がどこにあるかによって、感じるところが違うかも知れません。 久しぶりに満足のゆく素晴らしい作品でした。 | ||||
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「与えられた命を生き抜く」ことの大切さが伝わってきました。 でも、それ以上、この本についてさらさらとレビューを書ける 言語能力が私には無いのがとても悲しいです。 能力を獲得したら、またアクセスして書き直したい。 上田先生ありがとうございました。 | ||||
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SFネタはこれでもかと詰め込まれ満腹感は十分。どうしても日本沈没と重なってしまうがネタのスケールはこちらが上。なのに小松左京のあの感動垂れ流に遠く及ばないのはなぜか。人物の陰影が奇妙までに薄く感じられる。平たんとは言わないが、悪人が悪人として描けない。悲劇が残酷さを強調しながら涙するシーンにならない。ここは筆力の差で今後うまくなるのだろうか。 あとSFとしての構想ではネタは圧倒的なスケールだし長編何冊分も詰まっていることは認める。これだけの世界観を持ちながら、この作品のテーマに選んだ時代と舞台が小さすぎるような。もっと面白い舞台を選べたようなきがしてならない。 このSFが読みたいで最後の一言が許せないと言っていた書評があった。書評だけ読むと何をいっているのがわからなかった。、最後まで読んでこの言葉に会った時、自分も猛烈な違和感を覚えた。この言葉のために書くならドキュメンタリーで良い(それにしても事件への焦点がうまく合っていない気がするが)が、人物のドラマを書こうとするSFなら哲学が必要で、そこまで踏み込むことから逃げているように思えて仕方がない。振り返って魅力的な人物が多数出てきたようなのに、ドラマとしての陰影が薄い原因もそのあたりにありそう。 詰め込まれたネタが多いだけに、解決していない先送りのネタが多いので(メインのツキソメの生い立ちとか謎のまま)、ぜひこの舞台で次の作品を期待したい。そのなかで前期の違和感が変わるかどうか読ませてもらいたい。 | ||||
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地球上の多くの陸地が水没した後に迫り来る試練と、それに立ち向かう外交官、そしてそれらの最期を描いた作品。 様々なSF要素てんこ盛りである本作、一見するとやり尽くされた感のある設定や要素だが、最新の科学をベースにしていたり、著者らしいものがあったりして飽きずに一気に読めた。 作者後書きに「同世界観の違う話を書きたい」とあるように、この作品から様々な作品が生まれてくるような気がする。 それだけ、いろんなものが入っていた。海洋SFの大作であり傑作です。 | ||||
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天変地異により、陸の大部分が海に沈んだ数百年後の地球が舞台です。 人類は生き延びる為、人類の持つ科学力のほぼ全てを投入してその世界に適応してます。 物語は陸上人(今の人類とほぼ同じ)と、海上人(海で生活する為に、より適応化された 人類)を軸に、個々人の思惑(希望や生への執着)に、国々の政策(この世界では、程度の 差はあるが連合国家を形成している)が、重層的に絡んできます。 物語の後半ではタイトル(或る出来事の言い換えなのです)に沿った、或る災渦が再度 地球に、人類に襲いかかります。そこで人類が取った行動は…ネタバレになるのは詳細は 省きますが、ここには作者の生命観や死生観が表れているような気がします。 一言で記すと人類は「神」になってしまったのです。この「神」になる行為、そして なった後…そこにはエゴが満載です。人は生き延びる為にはどこまで冷徹・非情になれるのかと。 それを唯々諾々と受け入れるのでなく、自分の信念の元に立ち向かう主人公の姿。この対比が 本作の一番の読みどころでは?と思う次第です。 人が神になった世界には希望があるのか、それとも絶望が待っているのか?2段組586pの 大物ですが、それに見合う満足感を得られる一冊です。 | ||||
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同じ日の読売新聞の書評欄に載っていた、乾ルカ『蜜姫村』と一緒に購入。出来は雲泥の差。フィクション、特に現実から離れた設定の物語は周到に読者にウソを吐き通して、そこにいかに心情的なリアリティを立ち昇らせるか、それが肝になってくると思う。そこを全くやり切れていないのが『蜜姫村』、見事にやりきっているのがこの作品。両極端の作品なのに書評ではどちらも高評価なのは何なんだろう。 プロローグで舞台の設定が周到になされて物語が滑り出す。映画『ウォーターワールド』の様な世界だが温暖化のみで説明されるのでなく、地殻変動を原因とする「地球惑星科学」的なアプローチで語られる。 物語も単純な善玉対悪玉的な設定ではなく、陸上民 対 海上民、国家連合間の対立、組織上部 対 現場など周到に絡み合った舞台が用意されている。 物語を面白く展開している要素のひとつとして「アシスタント知性体」が人間の思考/行動を補助する設定がある。モノローグになるところが、主人公「青澄(あおずみ)」と彼のアシスタント知性体「ミキ」との会話で構成されることになる。むしろ「僕」という一人称を使うこのアシスタント「ミキ」、彼の方が主人公かもしれない。 他の登場人物との交わりも当然本人同士/アシスタント知性体同士との二層構造に。この設定が物語の展開のなかで非常に効いてくる。分量の多いこの本を一気に読ませるテクニックとしても見事に効果を発揮していると思う。 壮大な物語を通して考えさせられるのは、人類にとっての正義について。マイケル・サンデルのハーバード白熱教室の例題で出てきそうなテーマ。(偶然か意図的か挟み込まれた新刊案内のチラシにこの本の宣伝が載っていたり・・) 差し詰め人類が置かれた状況から逃れるために「功利主義」的な考え方で「幸福の最大化」を選択し続けた末の世界がこの物語の舞台ともいえる。青澄は彼の「美徳」を貫くため心身をすり減らしていく。そして「美徳」を貫いた結果が果たして正義であるのか青澄は常に懊悩する。 「美徳」がシンプルに美徳で終わるとは限らない現実世界でも起こる状況を、フィクションの世界にリアリティをもって立ち上げることに作者は成功している。見事にウソで読者を酔わせてくれる。SFの醍醐味だと思う。 作者はこの舞台を利用してまた物語を書く意思がある様子。複数の物語を紡ぎ出しても磨り減らない壮大で強固な世界を作者は用意出来たと思う。次回作が早く読みたい。オススメです。 | ||||
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地球上では過去に少なくとも三度生物の大絶滅が起きていると言われるが、そのうちの一回は、巨大なホットプルームによる環境変化だったらしい。このこととは直接関係しないが、地質学の有力学説を基盤に、ホットプルームの活性化により、地球温暖化など比ではないほどの海面上昇が起きた未来を描く。 短編「魚船・獣船」で描かれた世界を、大ボリュームで描き込んだ。海洋民の女性オサ・ツキソメと、日本外洋公館の公使・青澄およびその補助AIが主な視点人物となる。 海洋民と地上民それぞれの生活を異世界描写として描きながら、両者の紛争が物語の主軸となる。時には海洋活劇として、時には政治ドラマとしてまた時には電脳空間の駆け引きとして…。 また、謎に満ちた存在としてツキソメ自身の出自も重要な要素となる。たくさんのアイデアがちりばめられた贅沢な未来異世界の物語だ。いくつか謎は残っている。 例えば加速的に変異する獣船とアカシデウニの毒との共通点は、一度ほのめかされたままその後言及がない。だが、あとがきによれば作者はまだまだ書きたいそうだ。獣船の生態研究や、獣船駆除に従事する者達の物語、ムツメクラゲ誕生の忌まわしい過去や、魚船の遺伝子デザイン秘話など、まだまだ読みたいエピソードが多い。 でもひとまず、たっぷり読んで満足。 最後に示された死生観・人類観は、これまで読んだことのない新しいものだった。賛否両論起きそうな新見解だ。 | ||||
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