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犬は勘定に入れません



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犬は勘定に入れませんの評価: 4.27/5点 レビュー 49件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.27pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 21~40 2/3ページ
No.22:
(4pt)

タイムトラベラー、ネッド・ヘンリーの時空を超えた大奮闘

’04年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第4位、「このミステリーがすごい!」海外編第9位。
また、ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ、各国のSF賞に輝いた、SFと本格ミステリーを融合させたタイムトラベル・ユーモア大作である。

2057年、オックスフォード大学の史学部大学院生の‘僕’ことネッドはコヴェントリー大聖堂再建計画のため、「主教の鳥株」という花瓶探しのため、20世紀と21世紀を行ったり来たりさせられていた。ついに過労で倒れた‘僕’は、休養という名目で1988年のヴィクトリア朝へと派遣される。しかし、‘僕’は、本人も知らぬ間に、時空連続体の存亡に関わる使命を負っていたのだった。
そこでのエキセントリックな登場人物たちや、犬、猫を含めたドタバタ喜劇的な行動が歴史に齟齬を起こしかねない状況にまで発展してゆき、何とか阻止しようと‘僕’の奮闘が始まる・・・。

本書の魅力は、恋あり、冒険あり、笑いあり、不可能状況あり、タイムパラドックスありのコメディと、コニー・ウィルスが紡ぎだす絶妙なストーリーテリングによって導かれる、SF的・ミステリー的な“辻褄合わせ”だと思う。

本書はSF仕立てでありながら、冒険小説でもあり、恋愛小説でもあり、歴史小説でもあり、また、じつによくできた本格ミステリーを彷彿とさせ、読者は知らず知らずのうちに‘僕’に感情移入して、思わず時を忘れて読みふけってしまう、抱腹絶倒のタイムトラベル・コメディである。

犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)Amazon書評・レビュー:犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)より
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No.21:
(5pt)

知的刺激の嵐

この本の全てをしゃぶりつくすにはどれだけの教養が必要なのでしょうか。

ストーリーの面白さは他の方々のご指摘通りで言うまでもありませんが、ありとあらゆる所に散りばめられた文学、歴史の知識のボリュームに圧倒されました。テニスンとかワーテルローの戦いとか、シェークスピアとかロンドン大空襲とか、ヘロドトスとかラテン語とか…もっと知っていたらもっともっと楽しめるはず。読みながらニンマリできる部分を一ヶ所でも増やしたい!つい、そんな気分にさせられました。

知的刺激で興奮したい時にぜひお薦めです。SFファン、ミステリーファンのみならず、英文学や歴史に詳しい方にもそれぞれの楽しみ方ができる内容の厚い作品だと思います。
犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎Amazon書評・レビュー:犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎より
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No.20:
(5pt)

翻訳本のほうがお薦め

皆さんがすでに書いているように、とにかく面白い。『ドゥームズデイ・ブック』のファンなら絶対に気に入ると思います。
 洋書と翻訳の両方を読んだのですが、これは翻訳のほうが断然いいです。面白さが2倍に感じられる。
犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎Amazon書評・レビュー:犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎より
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No.19:
(5pt)

ほんわかと突っ走る

タイムトラベルのしすぎで、アタマもカラダもフッラフラ。それでも任務は果たさなきゃ!好きなあの娘も助けなきゃ!
大好きなSFのひとつである『テクニカラー・タイムマシン』からも感じられるような、ある意味での「疾走感」というか「アタフタ感」があふれてます。
とにかく、登場人物が誰一人死なないことに感動しました(これも『テクニカラー・タイムマシン』と似てます)。ブルドッグのシリルの愛らしさにもココロときめきます。
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No.18:
(4pt)

なかなか面白い。

タイトルもさることながら、タイムトラベラーものが沢山書かれる中、独特な世界を見事に描ききっている。
主人公のネッドの頭の中の状態を読者も体験しながら
また癖のある登場人物たちがレイディ・シュラプネルのわがままに振り回され
ドタバタと動き回り、読者も一緒になってドタバタしながら読み進め、
最終的にはうまくまとまる感じがなんとも愉快です。
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No.17:
(5pt)

レイディ・シュラプネルは何者?!

主人公の大学生・ネッドが最初、タイムトラベルのやり過ぎでタイムラグにかかっている場面からはじまるので、最初迷宮に迷ったように話がつかめませんが、ネットの頭のなかが正常に戻ってくると同時に、だんだんと彼の状況とストーリーが掴めてきます。
 問題が蜘蛛の巣状にひろがっていき、どうやっても収拾がつかないどろうとしか思えないのに、それがひとつの物語に収まっていくさまには感動しました。読み終わったあと、作者でもないのに妙な達成感がありました。

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No.16:
(4pt)

大森望訳

ユーモアミステリSFみたいな感じか。たしかに読んでいて面白いし、話の構成もしっかりしている。
 だが、ただでさえ長い翻訳物の上に、五百ページを越える。正直長すぎると思った。
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No.15:
(4pt)

Say something

物語のいたるところに伏線があり、読者は最後まで気が抜けない。決して読みやすい本ではないが、面白い。前作「航路」はいただけなかったが、傑作「ドゥームズデイ・ブック」のウィリスが戻ってきた、と言える。しかも「ドゥームズデイ...」とは全く対照的であり、これだけ長い小説で主要な登場人物が誰一人死なない。そういう意味で近年まれな小説といえるかもしれない。...私は推薦する Giorgio Kostantinos--The Quest.
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No.14:
(5pt)

久々のSFで大当たり。

19世紀と近未来のイギリスを舞台にした、タイムスリップもの。
時空を超えた伏線がきちんと機能しているし、恋愛小説としても、コメディーとしても成功している。主人公2人だけでなく、脇を固めるキャラクター、動物、小道具が重要な役割を果たしながら、計画的に、個性的に物語に絡んでくる。他の方のレビューにもあるがオチもまさにSF的。
ドロシー・L・セイヤーズ『学寮祭の夜』とロバート・A・ハインライン『夏への扉』が好きな方には、特にお勧めの1冊。
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No.13:
(4pt)

私もビクトリア朝にタイムトラベルしたいものです

タイムトラベル、タイムパラドックスドタバタ劇。非常に愛すべき個性豊かな面々がそれぞれの思惑で右往左往します。その中で、世界を改変しないように主人公達は努力するのですが……。
 ジェーン・オースティンの世界とSFをこんなに楽しくドッキングさせるのは作者ならでは。特にブルドックのシリルと猫のプリンセス・アージュマンドの描写が可愛いので、動物好きにもお奨め。ビクトリア朝の有能な執事には憧れますねえ。
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No.12:
(5pt)

何度読んでも面白い

溺れている猫を偶然助けてしまったことから始まる物語は、冒頭ののんびりしたボートによる川下りから一転して、タイムトラベルものなので必然的に、時間と空間を飛び回りながら慌ただしく、長大な物語をものともせず、結末へと転がり込んでいきます。
 愛くるしいブルドッグは残念ながら何もしゃべりません。  偶然と思っていたことのすべてが偶然ではなく、たとえ5分のずれでも歴史的必然であったことがラストで証されます。長大な物語はすべて丹念に織り込まれたタペストリーでした。何枚ものタペストリーが重ね合わされているのに、すべてが一本の糸でそれこそ時空を超えて繋がっていたのです。その構成の見事さはまさに脱帽です。そこまで作者の罠にはまっていたとは読み終えるまで気が付きませんでした。
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No.11:
(4pt)

ウィリスの世界は、はまるとおもろい

この作者の世界は、一種独特である。
 特徴は、「いやな登場人物の描写がすばらしく、非常にいやな感じを受けるところが迫真」というところに尽きるのではないだろうか。
 これはもちろん悪口ではなく、ほめ言葉である。
 なにしろ、SFの世界というのは、その性格上、どうしても脇役の登場人物の描写はおざなりになってしまって、物語の世界にのめりこむには情報不足・・・という状況に陥ることが、ままある。
 しかし、本作品をはじめとするウィリスの作品では、そんな心配はハナから無用。個性的でアクのある登場人物が生き生きと頭の中で跳梁跋扈して、うなされること確実。
 40歳を過ぎて、「もう徹夜なんてできねぇや」と信じていた私が、一睡もできずに朝を迎えてしまい、ついに最後まで一気に読破してしまったのだから、その威力はすごいとしか言えない。
 謎解きがメインの本書であるから、ネタバレはやめときましょう。
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No.10:
(5pt)

抱腹絶倒の歴史SF&ボーミーツガール小説

コニー・ウィリスは淡々としたシリアスSFと、笑いが止まらないコメディSFを巧みに書き分ける作家だけど、この「犬・勘定」は後者の方。「見張り」や「ドゥームズディブック」と同じオックスフォード周辺から物語は始まる。例によってダンワージー先生と秘書のフィンチが出てきて、主人公の史学生ネッド君は消えたビクトリア朝の花瓶を探しにタイムトラベルに出発する。「ボートの3人男」さながらにテムズ河ギャグをカマしつつ物語は進み、甘酸っぱい二組のボーイミーツガールストーリーに、ブルドックやら猫が絡み、読者は最後まで結末の読めないタイムトラベルの世界を堪能できる。落ち込んだりした時に読むと、きっとあなたも幸せになれる一冊、お勧めです!
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No.9:
(4pt)

ちょっと我慢しましょう

最初乗り切れるまでに時間がかかったので、星1つ減らしていますが、乗ってしまえば最後まで読みきるのは簡単です。タイムトラベルもので常に問題となるのが、タイムトラベルの結果どの程度過去の状況を変えてしまうのかどうかですが、この作品では、齟齬を起こさない程度の物品(生き物を含む)は通すことができるが、大規模な変化をもたらす物を持ってまたは身につけていてはタイムトラベルできない「ネット」という設定が非常によくできています。今回はあるものがその「ネット」を何故か通過してしまったことから始まるのですが、その展開があっちに転ぶかと思ったらいつのまにかこっちに、という具合がとても面白い。あとがきで訳に苦労したと書いてらっしゃいましたが、齟齬やカオス系など、翻訳者の方の言葉を選ぶセンスの良さもGOOD!バーバリーのコートって、この頃のものなんだ。。。なんてことも分かっちゃいます。
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No.8:
(5pt)

猫好きの方にもお勧めの一品

予備知識も何もなく読んだこの分厚い本を、まさか半日で読みきるとは思わなかったです。
 タイムトラベルなミステリーの冒険物。小難しそうに感じるでしょうが、これが以外や以外、面白いのです、文字通りに。思わず声を出して笑ったところが3ヶ所、ニヤついたところは数知れず。知的な刺激を絶えず脳に送り込んでるにも係わらず、楽しさ満載なのです。
 
 1940年、空襲の跡で「鳥株」を探している主人公、彼は実は2057年から送り込まれている。タイムトラベルは初めてじゃない。ここ最近は規定を大幅に超えた回数で過去に送り込まれている。すべては「鳥株」とよばれるヴィクトリア朝花瓶を探し出すため。
 だったはずなのに、ひょんなことからその時代より遥か昔のヴィクトリア朝に行って、歴史の流れを元にもとに戻すために四苦八苦する羽目に。消えた花瓶を見つけることはできるのか、手遅れにならないよう歴史のずれを直すことができるのか。 タイムラグではっきりしない頭・疲れきった体の主人公が、訳のわからないまま事件の渦中に巻き込まれていく姿を笑いながら読んでるうちに、話にはまりきってしまい読むのをやめられなくなります。
 最初とっつきにくいと思うかもしれませんが、第1章さえ乗り切れば大丈夫。2章の終わり頃には「やばっ、続き気になりすぎかも、はまるかも」との予感を覚え、4・5章でその予感が的中したことに気づくことと思われます。ご注意ください。
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No.7:
(4pt)

身をまかす心地良さ。

楽しめました。世界にどっぷりハマッてしまいました。予備知識にと「ボートの三人男」を読んでおいてよかったですね。あのおおらかで、牧歌的な世界と異常にエキセントリックな人たちの醸し出す雰囲気を大いに満喫しました。で、物語的には二つの大きな謎があるわけですが、その解決も見事に着地して(伏線的にも二重丸ですしね)タイムトラベルといえばつきもののタイムパラドックスをうまくからめて満足のいく大団円でした。そうかあ、こういう料理の仕方もあるのかと感心しました。でも、正直いって時空の齟齬の件に関しては、うまくいいくるめられたような気がしないでもないのですが。本書を読んでる間ほんとに安心しきって身をまかす心地良さが持続してました。とりあえず、ほんとにあるのなら一度、主教の鳥株をこの目で見てみたいものです(笑)。
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No.6:
(4pt)

これ、映画にならないかな。

ああ面白かった!
振り回され型の主人公と、狙った獲物は必ず手に入れるレイディ・シュラプネル。
ヴィクトリア朝のフリフリの衣装を想像しながら、大笑いで読みました。
読みながら人物やお屋敷、庭に川の様子など容易にイメージでき、まるで映画を見てるようでした。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズが好きな人は、この本も楽しめると思います。

カバー画がタイトルとぴったりです。
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No.5:
(5pt)

達成感と幸福感

土台はSFのタイムトラベルだが、作者が描きたかったのはやはり「人間」であろう。少々抜けてはいるが誠実な人柄の主人公をはじめ、共に川下りをする若者や教授の執事など、人間味あふれる描写が冴えている。全編にユーモア溢れる物語なのだが、使われている言葉の音感の面白さにも注目したい。最後まで姿を現さない”シュラプネル”なる人物と”司教の鳥株”なるものが、繰り返し出てきては頭の中にある種のリズムを作り出し、読者の気分をさらに盛り上げる。
見た目の分厚さに一度はひくが、読後の達成感と幸福感は「本を読む楽しみ」を思い出させてくれる。読んで損はない。
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4152085533
No.4:
(4pt)

ある意味、近年まれな小説

物語のいたるところに伏線があり、読者は最後まで気が抜けない。決して読みやすい本ではないが、面白い。前作「航路」はいただけなかったが、傑作「ドゥームズデイ・ブック」のウィリスが戻ってきた、と言える。しかも「ドゥームズデイ...」とは全く対照的であり、これだけ長い小説で主要な登場人物が誰一人死なない。そういう意味で近年まれな小説といえるかもしれない。
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4152085533
No.3:
(4pt)

読み応えあり

抱腹絶倒ユーモアSF.
ミステリでも歴史小説でもロマンチックコメディーでもあってかつきちんとSFになっていてタイムトラベルパラドックス物としても十分楽しめる.最後のどんでん返しもさりげなくおしゃれです.いろんな謎がちりばめられていて少しづつ手の内見せながら進んでいくのも読んでいて楽しい.ヴィクトリア朝の細部も丁寧に書き込まれていてそこもそそります.ネタバレになるのでストーリーはあまりかけませんが,21世紀の歴史学生がタイムトラベル中あるものを思わず持ち帰ってしまったことからそれを何とか修正しようとして巻き起こる抱腹絶倒のどたばた劇が話の縦筋,横筋は数々の謎とき(ネッドのミッションはなんだったのか?ミスターCは誰なのか,司教の鳥株はどこに?)と凝りに凝ったプロットの技巧です.数々の脇役のキャラが立っていてストーリーがぐいぐい進むところも秀逸.能天気なヴィクトリア時代の学生テレンス(誰かに似ていると思ったらマイフェアレディのフレディの役回りに近いなあ),迫力のレディシュラプネル,なかでも超人的な活躍を見せる執事がとくに素敵です.数々のパロディがたっぷり含まれていて「神は細部に宿る」とか「ミステリのお約束」とか随所ににんまりさせる仕掛けも十分です.2段組500ページを越える大作ですが一気に読めます.
犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎Amazon書評・レビュー:犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎より
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