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ダークライン
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ダークラインの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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出版業界は厳しいなあ。こんなにいい本で作者にそこそこファンがついていても、翻訳小説は長生きしません。古書が安いうちに手に入ればラッキー。 内容のすばらしさについては池上冬樹の解説どおりです。「ボトムズ」の妹トムもよかったけど、本作の姉キャリーも生き生きしていて、ランズデールはこういうのを書かせると天下一品ですね。 | ||||
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とにかく、「探偵」が多すぎる。 13才のスタン、姉のキャリー、スタンの友人で父親に虐待されているリチャード。 この3人に任せておけば、青春小説としても味わい深く、面白かっただろうに。 そこへ、スタン一家が経営するドライブインシアターの映写技師・黒人の老人バスターがにわかに探偵として加わる。そう。にわかに。 飲んだくれで、気むずかしく、白人であるスタンとはろくに口もきかなかったバスター老人が突如として過去の殺人事件を掘り返し始めるのがなんとも唐突で、不自然に思える。バスターが若い頃にインディアン居留地で保安官を務めていたという経歴があるにしても。 次に、スタンが偶然発見した箱の中の手紙、日記が一通として引用されていない。単に、「こういうことが書いてある」と説明されるのみだ。 殺された少女達はどのような言葉で語っていたのか?なぜ、手紙や日記の一部でもいいから載せないのか? 過去の新聞記事についても同様で、なんとも工夫がないのだ。 犯人は、まあ、意外な人物といえるのかもしれないが、あまりの急転直下の結末についていけない。 また、いくら虐待されているとはいえ、子どもが親の首を鎌でちょん切るものだろうか? 「ボトムズ」でも、父親が息子に捜査の進展を過多に語るという興ざめを味わわされたが、本書もまた同じ問題をはらんでいる。 唯一良かったのは、これも「ボトムズ』同様、犬が死なないこと。 家族で経営するドライブインシアター、16才の美人の姉にいつも無知をバカにされている弟。地中から掘り出した箱の中の古い手紙ーーと面白い道具立てはそろっているのに残念。 最後のほうはとばし読みしてしまった。もうランズデールは読まない。 | ||||
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どうしても「ボトムズ」と比較されてしまいますが、これはこれで傑作だと思います。 ただミステリーが好きな方はあちら、もう少し押さえたもので例えばブラッドベリの「たんぽぽのお酒」 映画「ニューシネマ・パラダイス」「ヘルプ」などがお好きな方はこちら、と少々趣が異なるというだけだと思います。 時代も1930年代と50年代の差もありますしね。 「ボトムズ」にはなかった焼け落ちた御屋敷と缶に入った謎めいた手紙の束など、ゴシック風味があるのは私は 気に行っています。 あとは少年と姉との関係。 黒人を揶揄した劇を見に行き、家にいる家政婦に思いをはせ、心を通わせる姉弟。 その繊細な描写が好きでした。 あと本能で人権擁護をする母。そんな妻を芯から理解できないが深く愛する父。 「ボトムズ」でも描かれた夫婦関係も良いですね。 この父親像、学はないけどストリートワイズの持ち主で、どうしても育った環境の限界は感じますが 素敵なお父さんだな・・・と思います。 そしてランズデールでの犬。(笑) 読んでいる間、酷い事になりませんように、なりませんようにと祈るような気持ちでいましたが、さて。 アメリカにいくつかある少年のひと夏の経験を描いた傑作小説。 こちらも仲間入り。 そして犬好きの方にもお薦めしたい。(自分のうちの亡き犬を思って泣いた・・・・) あと昔の映画館の描写もいい。 登場人物のその後の描かれ方も(この方式、映画だと「アメリカン・グラフティ」が最初らしい。あれも見たくなりました。) こちらは爽やかです。 何度も読みかえしたくなるのはこちらに軍配があがるかなぁ・・・・ | ||||
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1958年 テキサス州東部。ドライブ・イン・シアターの経営者として越してきたミッチェル家の長男 スタンリーは、ある日、土に埋もれた金属の箱を見つける。中には二人の人物の手紙が入っていた。13年前、その二人のうち一人はベットに拘束されたまま焼死し、一人は時を同じくして首のない死体が発見されていたのだった。 ・・・ ビルディングス・ロマンは大好物なのだが、どうしても『ボトムズ』と比較してしまう。ミステリとして読むと、本作の方が弱く感じてしまうのだ。作家が同じ傾向の作品を書くのであれば、前作よりすばらしいものを期待するのが当然というものだろう。『ボトムズ』より前に読んでいれば、絶賛していたと思う。ミステリ要素を抜きにすると、面白いのは確かなので読んで損はしないのだけれど、しっくりしない気持ちが残る。残念。 ラストの定番、”あの人は今”のくだりは、やっぱり胸が熱くなってしまうがなぁ。 | ||||
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池上冬樹はこれがランズ様の最高傑作と言っているが、 私は『ボトムズ』 が最高傑作だと思う。 純文学が好きな人には『ダークライン』の方が受けると思うが、 『ダークライン』はミステリとしては切れ味が悪い。 サスペンスアクションとしても『凍てついた七月』 ほどのスピード感は無い。 『ダークライン』は文学として描写をじっくり楽しむ小説である。 1958年を舞台にした歴史文学として楽しむべき小説だろう。 女も子供も黒人も同性愛者も差別しない 主人公一家は魅力的であるが、 ミステリとして期待するとちょっと脱力する。 | ||||
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ジョー・R・ランズデールの、エドガー賞受賞作『ボトムズ』と相似形の関係にある作品。 ’03年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第20位にランクインしている。 50代後半の‘私’が、1958年の夏に体験した冒険譚を回想する物語である。 当時の‘私’は13才の少年で、テキサス東部の小さな町でドライヴ・イン・シアターを経営する家族や愛犬とともに、楽しく平穏な日々を送っていた。 そんな夏休みのある日、裏庭に埋められていた古い手紙と日記を発見する。そこには、10数年前に起きた、火災とふたりの少女が不審死を遂げた事件の謎を解く鍵が隠されていた。きわめて素直な子供らしい好奇心から‘私’は、16才の姉や、シアターの74才の黒人映写技師らとともに、両親には内緒で事件について調べはじめる。 真相究明の過程を軸に、姉から教えてもらう性についての知識、友人との夜の冒険・恐怖体験、意外に聡明だった老映写技師の言動、料理の腕が抜群の黒人メイドとの心の交流など、いつも愛犬をしたがえて行動したこのひと夏のエピソードの数々は、相当無垢だった‘私’にとって、大人への“濃い”体験となるのである。 本書はラストに至っても、ミステリーとして明確な真相は明らかにされていない。 むしろランズデールの意図は『ボトムズ』以上に文学的要素の強い、「少年小説」を描くことだったのかもしれない。 | ||||
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ちょっと恐ろしげな表紙と、帯の「少女の首なし死体」云々のキャッチから てっきりホラーサスペンス風味の小説と思い込んで買ってしまいました。 いつ恐ろしいシーンが始まるのだろうとジリジリしつつ3分の1ぐらい読んで、やっとそういう小説でないことに気が付きました。。。 期待と違ったせいで途中少し退屈し、その分星一つ減じましたが ノスタルジックで薫り高い物語と最初から知って読んだなら、迷いなく星5つ付けました。 1958年のテキサスの田舎町、まだ人種差別が色濃く残り、古き「良き」とばかりも言えないけれど、 それでもアメリカが今よりずっと輝いていた時代。 ふとしたことで昔起きた恐ろしい事件のことを知った13歳の無邪気な少年が、好奇心から事件の真相を追いかけるのですが・・・ それをきっかけに彼は、輝くように見えていたこの世の残酷な一面を知ってていきます。 成長する主人公の姿が瑞々しく、怖いというよりはどこか哀しく(特に後日談の最後にさりげなく語られるエピソードなど)、 なのに不思議と明るいストーリーです。 2度と無垢な子供時代に戻れないと自覚した、ほろ苦く切ない瞬間、 そんな記憶を持っている人には特にお勧めの1冊です。 | ||||
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マキャモンの「少年時代」を彷彿とさせる小説だが、そこまではいかないかな・・という感じを受ける。「性」について何も知らなかった少年が、わずかの期間に、「近親相姦」や「娼婦」を理解できるのだろうか、少年の家で働く2人男女の黒人が、あの時代にあれだけの影響を少年に与えられるものだろうか、そしてまた、殺人犯人とその動機の不自然さ、あいまいさなど、納得できない部分が残る。雰囲気はよく分かるのだが、結局何があったのかその部分が弱いように思う。 | ||||
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ランズデールの傑作『ボトムズ』の路線上に位置する少年小説である。過去を回想する形をとり、少年期の瑞々しい感受性で見た世の中のあり方を、土着的な神秘性とほろ苦いノスタルジーをまぶして描き出した、アメリカ大衆文学の王道である。真っ先に思い浮かぶのはスティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』だが、本作では、一夏の冒険のパートナーは、同じ年頃の少年ではなく、思春期真っ只中の姉や、ずいぶん年の離れた映写技士、そしていつも主人公の傍らにいる忠実な犬ナブである。共に暮らす父母や黒人家政婦も重要な脇役だが、家族ドラマというよりも、主人公の少年の成長物語としての要素が強い。彼は、この夏の間に、これまでの人生のすべてを合わせたよりも多くの経験をするわけだが、安易に悲劇を煽り立てることなく、第三者的な視線で叙情豊かに描き出しているところがよい。我を忘れて遊びまわる少年の幸福感と、やがて知ることになる世の中の残酷さ、混沌とした社会のありようというものが浮かび上がってきて、時を忘れて没頭した。至福の読書体験を与えてくれる秀作である。ただ、大河的なスケール感や人種問題、家族関係の深い掘り下げは『ボトムズ』に軍配が上がる。本書は等身大の少年の冒険譚を慈しむ、こじんまりとした親しみやすさが魅力だろう。 | ||||
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