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照柿
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照柿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.99pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全83件 41~60 3/5ページ
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熱処理工場で働く野田達夫。警視庁の、おなじみ合田刑事。 この二人の幼なじみが偶然、再会します。 二人は単なる幼なじみではなく、お互いがお互いに対して複雑な、というかある意味特別な感情を持っていた。そして再会も単なる再会ではなく、一人の女が間にいる、そんな再会。 野田達夫と合田刑事の視点で細かく細かく心理・情景描写がされます。 この小説では、熱処理の工程について細かく描写がされます。これでもかという描写。 話の流れが退屈なわけではないけど、それそのものより、描写される世界がすごい。 照柿色の電車、暑い夏、熱処理工場、照柿色の高炉、工場で発生するトラブル。それから幼なじみと一人の女のこと。次第に男は精神のバランスを崩していきます。 最後に、達夫は合田刑事に電話をかけ、そして合田刑事の後悔。ここはちょっと感動的です。 達夫の人物像や子供の頃の合田刑事との関係が後半でわかります。わかった上でいつかもう一度最初から読み直してみたいと思っています。特に達夫の見ている世界を。しかしもう一度読むのには気合もいるのですが…。 息抜きに読む本ではない。現実世界のほかにもうひとつ、読みかけの本の中に照柿の世界があり、その世界のイメージが頭の片隅にこびりついている、読んでいる間はずっとそんな感じでした。 | ||||
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熱処理工場で働く野田達夫。警視庁の、おなじみ合田刑事。 この二人の幼なじみが偶然、再会します。 二人は単なる幼なじみではなく、お互いがお互いに対して複雑な、というかある意味特別な感情を持っていた。そして再会も単なる再会ではなく、一人の女が間にいる、そんな再会。 野田達夫と合田刑事の視点で細かく細かく心理・情景描写がされます。 この小説では、熱処理の工程について細かく描写がされます。これでもかという描写。 話の流れが退屈なわけではないけど、それそのものより、描写される世界がすごい。 照柿色の電車、暑い夏、熱処理工場、照柿色の高炉、工場で発生するトラブル。それから幼なじみと一人の女のこと。次第に男は精神のバランスを崩していきます。 最後に、達夫は合田刑事に電話をかけ、そして合田刑事の後悔。ここはちょっと感動的です。 達夫の人物像や子供の頃の合田刑事との関係が後半でわかります。わかった上でいつかもう一度最初から読み直してみたいと思っています。特に達夫の見ている世界を。しかしもう一度読むのには気合もいるのですが…。 息抜きに読む本ではない。現実世界のほかにもうひとつ、読みかけの本の中に照柿の世界があり、その世界のイメージが頭の片隅にこびりついている、読み終えるまでの日々はずっとそんな感じでした。 | ||||
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文庫化に際し大幅な加筆修正がなされているのだが、単行本を読んだのがかなり以前であったので初読のつもりで読んだ。しかも、高村薫の作品は軽い気持ちで読むことができるような内容ではないばかりではなく、著者自身も読者に居住まいを正して読めと言っているような気がしてならないので、気合を入れて読んだ。 重苦しい。暗い。救いようがない。そんな言葉ばかりが浮かんでくる。硬質な文体と相俟ってその世界に引きずり込まれていく。ストーリーは覚えているはずなのに本を閉じることができずに、ほぼ徹夜で上下巻を読み終わってしまった。 高村薫は自身の作品をミステリーではないしそれを書いているつもりもないと語って(書いて?)いる。では、どのジャンルなのかと考えてみても思いつかない。純文学の色合いも濃いがストーリー物として読んでもイッキ読みが可能な作家だ。高村薫とはジャンル分けすることのできない孤高の存在なのかもしれない。 それにしても「照柿」というタイトルは素晴らしい。これは著者の造語ではなく日本の伝統色の名前だが、作品全編を通じる色彩と熱を見事に表している | ||||
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文庫化に際し大幅な加筆修正がなされているのだが、単行本を読んだのがかなり以前であったので初読のつもりで読んだ。しかも、高村薫の作品は軽い気持ちで読むことができるような内容ではないばかりではなく、著者自身も読者に居住まいを正して読めと言っているような気がしてならないので、気合を入れて読んだ。 重苦しい。暗い。救いようがない。そんな言葉ばかりが浮かんでくる。硬質な文体と相俟ってその世界に引きずり込まれていく。ストーリーは覚えているはずなのに本を閉じることができずに、ほぼ徹夜で上下巻を読み終わってしまった。 高村薫は自身の作品をミステリーではないしそれを書いているつもりもないと語って(書いて?)いる。では、どのジャンルなのかと考えてみても思いつかない。純文学の色合いも濃いがストーリー物として読んでもイッキ読みが可能な作家だ。高村薫とはジャンル分けすることのできない孤高の存在なのかもしれない。 それにしても「照柿」というタイトルは素晴らしい。これは著者の造語ではなく日本の伝統色の名前だが、作品全編を通じる色彩と熱を見事に表している | ||||
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「マースクの山」に続いて刑事の合田雄一郎が主人公。前作のように楽しめるサスペンスであると同時に、合田刑事の私情、内面も入り混じり文学的要素がますます濃くなっている。情景描写は相変わらず豊か。ちょっと長いかなと思わないでもないです。 | ||||
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「マースクの山」に続いて刑事の合田雄一郎が主人公。前作のように楽しめるサスペンスであると同時に、合田刑事の私情、内面も入り混じり文学的要素がますます濃くなっている。情景描写は相変わらず豊か。ちょっと長いかなと思わないでもないです。 | ||||
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「マースクの山」に続いて刑事の合田雄一郎が主人公。前作のように楽しめるサスペンスであると同時に、合田刑事の私情、内面も入り混じり文学的要素がますます濃くなっている。情景描写は相変わらず豊か。ちょっと長いかなと思わないでもないです。 | ||||
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全く異なる家庭環境ながら幼少の頃を一緒に過ごした二人が主人公です。 優等生として育ち刑事をしている合田雄一郎、荒れた少年期を経て工場の熱処理工程で働く野田達夫。 合田雄一郎がひょんなことで出くわした電車への飛び込み事故をきっかけに、18年振りに再開した合田雄一郎と野田達夫、そこに絡む佐野美保子。 全編を通じて一貫しているのが猛暑とそれを表現する「照柿」色。 こんな筈じゃなかったと思いながら悶々とする毎日を過ごす二人の心理が細かに描写されています。 猛暑の中、ただでさえ日常にうんざりしている人は、何処にでもいます。 著者の描写力にすっかり飲み込まれ、ほんの小さなきっかけが、人を狂気に駆り立てる様子に、途轍もない恐怖を感じました。 きっと、自分は大丈夫だろうかと思いながら、読み進める読者も少なくないでしょう。 優れた作品ではありますが、気楽に読書を楽しみたい人には勧められない作品です。 | ||||
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全く異なる家庭環境ながら幼少の頃を一緒に過ごした二人が主人公です。 優等生として育ち刑事をしている合田雄一郎、荒れた少年期を経て工場の熱処理工程で働く野田達夫。 合田雄一郎がひょんなことで出くわした電車への飛び込み事故をきっかけに、18年振りに再開した合田雄一郎と野田達夫、そこに絡む佐野美保子。 全編を通じて一貫しているのが猛暑とそれを表現する「照柿」色。 こんな筈じゃなかったと思いながら悶々とする毎日を過ごす二人の心理が細かに描写されています。 猛暑の中、ただでさえ日常にうんざりしている人は、何処にでもいます。 著者の描写力にすっかり飲み込まれ、ほんの小さなきっかけが、人を狂気に駆り立てる様子に、途轍もない恐怖を感じました。 きっと、自分は大丈夫だろうかと思いながら、読み進める読者も少なくないでしょう。 優れた作品ではありますが、気楽に読書を楽しみたい人には勧められない作品です。 | ||||
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「マークスの山」の会田刑事 再登場。 評価は分かれるのかな? マークスの山でも、そうでしたが、刑事物として読むと、真夏の暑さそのままの、ジリジリ、ドロドロ感に辟易してしまうかもしれませんし、派手さもありません。 しかし、刑事物の枠を越えた、骨太な人間ドラマであることは間違いありません。 | ||||
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「マークスの山」の会田刑事 再登場。 評価は分かれるのかな? マークスの山でも、そうでしたが、刑事物として読むと、真夏の暑さそのままの、ジリジリ、ドロドロ感に辟易してしまうかもしれませんし、派手さもありません。 しかし、刑事物の枠を越えた、骨太な人間ドラマであることは間違いありません。 | ||||
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現代版「罪と罰」のフレーズに惹かれて読み始めたのだが、私の中では高村薫はドストエフスキーを超えた。私が現代日本社会に生きる人間だから共感しやすいというのもある。しかしそれ以上に、作家高村薫の描写力はロシアの文豪をしのぐほど圧倒的なのである。まず達夫の勤める熱処理工場での描写。単に精緻であるだけでなく、大型炉の発する熱と醸し出される陰鬱な空気が肌で感じられるのだ。また再開した達夫と雄一郎が飲み交わす場面。達夫は幼少期にふすまの隙間から父の座敷を覗き込むのだが、そのとき見えた光景を回想する。朽ちてゆく食物の発する鮮やかな色彩の描写とその様をとらえる高村薫の洞察力に鳥肌が立った。また彼女の人間への視線も有無を言わさぬものがある。ラスコーリニコフは思想上の理由で不条理殺人を犯したが、同じ不条理でも達夫のそれには納得させられてしまった。突如変調をきたした炉、女を自殺へと追いやった父への屈折した思い、葡萄色の目をした美保子への情欲、自分とは別次元にいる雄一郎への嫉妬、追い込まれるかのように不眠不休を続ける精神と肉体、そしてキュビズム、キュビズム・・・・突然の出来事ではなかった。それは少しずつ狂い始めていたのである。雄一郎と達夫の歪んだ過去が明らかになる場面も、それだからこそ感慨を催す電話ボックスの場面も圧巻。そして何よりも膨大な下調べを毎回断行し、一度世に出した本であっても推敲を重ね、小説と真摯に向き合う高村薫に、ただただ平伏すばかりである。 | ||||
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現代版「罪と罰」のフレーズに惹かれて読み始めたのだが、私の中では高村薫はドストエフスキーを超えた。私が現代日本社会に生きる人間だから共感しやすいというのもある。しかしそれ以上に、作家高村薫の描写力はロシアの文豪をしのぐほど圧倒的なのである。まず達夫の勤める熱処理工場での描写。単に精緻であるだけでなく、大型炉の発する熱と醸し出される陰鬱な空気が肌で感じられるのだ。また再開した達夫と雄一郎が飲み交わす場面。達夫は幼少期にふすまの隙間から父の座敷を覗き込むのだが、そのとき見えた光景を回想する。朽ちてゆく食物の発する鮮やかな色彩の描写とその様をとらえる高村薫の洞察力に鳥肌が立った。また彼女の人間への視線も有無を言わさぬものがある。ラスコーリニコフは思想上の理由で不条理殺人を犯したが、同じ不条理でも達夫のそれには納得させられてしまった。突如変調をきたした炉、女を自殺へと追いやった父への屈折した思い、葡萄色の目をした美保子への情欲、自分とは別次元にいる雄一郎への嫉妬、追い込まれるかのように不眠不休を続ける精神と肉体、そしてキュビズム、キュビズム・・・・突然の出来事ではなかった。それは少しずつ狂い始めていたのである。雄一郎と達夫の歪んだ過去が明らかになる場面も、それだからこそ感慨を催す電話ボックスの場面も圧巻。そして何よりも膨大な下調べを毎回断行し、一度世に出した本であっても推敲を重ね、小説と真摯に向き合う高村薫に、ただただ平伏すばかりである。 | ||||
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文庫化にはいつも大幅改稿する高村先生、今度の照柿も事前にハードカバーを読み直してから挑みました。 書き直し部分は思ったより(失礼)多くなかったものの、何故ここを書き直したか?などと検討しながら読むのもまた一興。もちろん何度読んでも読みごたえ十分の力作であり、男の仕事と女に対するどろどろとした情念をよくもここまで深く描いたな、といつも感心してしまう。書いたのが昔なので古臭さは否めないが、それでも十分楽しめると思います。 | ||||
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文庫化にはいつも大幅改稿する高村先生、今度の照柿も事前にハードカバーを読み直してから挑みました。 書き直し部分は思ったより(失礼)多くなかったものの、何故ここを書き直したか?などと検討しながら読むのもまた一興。もちろん何度読んでも読みごたえ十分の力作であり、男の仕事と女に対するどろどろとした情念をよくもここまで深く描いたな、といつも感心してしまう。書いたのが昔なので古臭さは否めないが、それでも十分楽しめると思います。 | ||||
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良く取材も行われているようで力作なのだろうが、この作品は良くも悪くも読者を選ぶと思う。 個人的な感想でいえば、あまり好きな作風ではない。 なにより、ストーリーはそれほど複雑でもないが、描き方が暗く、重い。動機のはっきりしない殺人事件を描くためには、仕方の無いことかもしれないが、人間の描き方もネガティブな感情をこれでもかという感じで書いているので、逆に、その人物像が判りづらいような印象なのだ。 それがまた集中力を奪って行くので、読み終えるのにかなり苦痛を感じてしまった。 | ||||
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良く取材も行われているようで力作なのだろうが、この作品は良くも悪くも読者を選ぶと思う。 個人的な感想でいえば、あまり好きな作風ではない。 なにより、ストーリーはそれほど複雑でもないが、描き方が暗く、重い。動機のはっきりしない殺人事件を描くためには、仕方の無いことかもしれないが、人間の描き方もネガティブな感情をこれでもかという感じで書いているので、逆に、その人物像が判りづらいような印象なのだ。 それがまた集中力を奪って行くので、読み終えるのにかなり苦痛を感じてしまった。 | ||||
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10年以上前に単行本が出たとき読んだ作品ですが、今回例によって全面改稿ということなので再読しました。非行歴はあるものの社会人になってからは人並みに生きてきた野田達夫が殺人を犯すまでの過程と、達夫の幼なじみである合田雄一郎が達夫への嫉妬に駆られて刑事の道を踏み外していく様が、現在・過去、東京・大阪と舞台を変えながら丁寧に描かれていきます。達夫の狂気も雄一郎のエゴも、どうしてここまで書けるのかというくらい現実感があり、以前と変わらぬ迫力を感じました。大雨の中、達夫が公衆電話から雄一郎に電話をかけてくるラストシーンは感動的です。 | ||||
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10年以上前に単行本が出たとき読んだ作品ですが、今回例によって全面改稿ということなので再読しました。非行歴はあるものの社会人になってからは人並みに生きてきた野田達夫が殺人を犯すまでの過程と、達夫の幼なじみである合田雄一郎が達夫への嫉妬に駆られて刑事の道を踏み外していく様が、現在・過去、東京・大阪と舞台を変えながら丁寧に描かれていきます。達夫の狂気も雄一郎のエゴも、どうしてここまで書けるのかというくらい現実感があり、以前と変わらぬ迫力を感じました。大雨の中、達夫が公衆電話から雄一郎に電話をかけてくるラストシーンは感動的です。 | ||||
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おそらく万人が楽しめる小説ではないと思います。 描写も、ストーリーも、背景も、何もかもがドロリと濃密で、 文章から目が離せなくなるような引力があるわけではなく、どちらかといえば冗長な展開で 読み途中でも置いておけるのですが、 時間をおいて続きを読み出したときに、登場人物や背景や色や音や触感のようなものをすぐに思い出せるほど深い余韻が記憶にこびりつきます。 どこか達観した結末は腑に落ちるものの、登場人物には理解が及びきらず 読後感もあまりいいとはいえません。 そこも含めて濃厚な読み応えがあるとは思います。 あとがきでドストエフスキーに喩えられていましたので、サスペンスよりは人間の精神の彼岸に興味のある方(?)によりお勧めの作品だと思います。 工場の描写は下知識がなくとも想像するに足る描写がされていますので問題ないですが、 美術の知識が多少あった方がとっつきやすくなると思います。 ハードカバーの書評を読んで文庫化を待ちわびていたのですが 大幅加筆をする作家さんだったんですね・・・今度ハードカバーを別途読み直します。 文庫ではだいぶ描写を削いでいるらしいので、理解の及びきらなかった箇所が多少明らかになることを期待して。 | ||||
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