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シューマンの指



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シューマンの指の評価: 3.74/5点 レビュー 110件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.74pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全110件 61~80 4/6ページ
No.50:
(2pt)

シューマン論

評判と、帯に書かれたあらすじに惹かれ読んでみました。
ミステリーを期待していたのですが、8割から9割が筆者のシューマン論といっても過言ではない内容でした。
特にクラシックに興味の無い私には良くわからない、かつ、苦痛以外の何者でもありませんでした。
一応最後まで読みましたが落ちは、はぁ?、なんだそれ。っといった感じでした。

ミステリーを期待すると、間違いなく裏切られます。これは、シューマン論にミステリー風味をつけただけの本です。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.49:
(5pt)

素敵・・

ぎゅっと詰まった端正な文章にうっとり。内容にも感激でした。矛盾に満ちた自分の青春を思い出しましたし、読後、ただでさえ冷たい手と足の指が凍えた感触がありました。野間文芸新人賞と芥川賞ダブル受賞された方だけのことはありますね。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.48:
(5pt)

素敵・・

ぎゅっと詰まった端正な文章にうっとり。内容にも感激でした。矛盾に満ちた自分の青春を思い出しましたし、読後、ただでさえ冷たい手と足の指が凍えた感触がありました。野間文芸新人賞と芥川賞ダブル受賞された方だけのことはありますね。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.47:
(4pt)

ミステリーとしては反則じゃないですか?

何かのテレビ番組で「絶対面白いから是非読んでください」と言っているのを聞き、音楽に興味もあるので買ってみました。確かに面白かったです。シューマン論の詳しいことは正直ちんぷんかんぷんですが、それでも十分楽しめました。文字による描写が自分の中で映像になる醍醐味、その場に漂う雰囲気を味わう楽しみを、存分に味わうことができました。ただ、ミステリーとして読むには、はっきり言って反則じゃないかなあと思いました。ラスト20ページは、半ば予測しながらもまさかその手は使わないだろうと思っていた、そのまさかでした。その分マイナスで★4つです。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.46:
(4pt)

ミステリーとしては反則じゃないですか?

何かのテレビ番組で「絶対面白いから是非読んでください」と言っているのを聞き、音楽に興味もあるので買ってみました。
確かに面白かったです。シューマン論の詳しいことは正直ちんぷんかんぷんですが、それでも十分楽しめました。文字による描写が自分の中で映像になる醍醐味、その場に漂う雰囲気を味わう楽しみを、存分に味わうことができました。
ただ、ミステリーとして読むには、はっきり言って反則じゃないかなあと思いました。ラスト20ページは、半ば予測しながらもまさかその手は使わないだろうと思っていた、そのまさかでした。その分マイナスで★4つです。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.45:
(5pt)

奥泉光の「幻想曲」

これは氏自身の「幻想曲」だ。かってこれほど美しい殺人シーンがあっただろうか(殺人自体ではない、念のため)。シューマンのそれの第3楽章の最後の消え入るような和音、そのとき起こる金切り声…。二転三転の結末とともに読後に漂う浮遊感。これはまさに挫折し、苦悩し、最後は狂気の彼方へ去ったシューマンの人生のような小説だ。青春小説、教養小説、どのような読み方も可能だが、極上のミステリーであることだけは間違いない。スカッとした本格派好みの人(小生もそうです)には不向きかもしれないが、ぜひ挑戦してみていただきたい。全ての読書人、音楽ファンにも味わっていただきたい。で、やっぱり原曲を聞かないでは、この味わいを楽しめないと思う。小生はポリーニの演奏をレコードで聴いていたのだが、彼の演奏は理知的過ぎてこの小説に今一合わない気がした。おすすめは最近発売されたばかりの原田英代のCD(ハイブリッドです)。ポリーニよりもかなりゆっくり弾いているのだが、これが実に繊細な演奏でこの小説にぴったりなのだ。ぜひ一聴を。そしてもう一度読み直してみて下さい。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.44:
(5pt)

奥泉光の「幻想曲」

これは氏自身の「幻想曲」だ。かってこれほど美しい殺人シーンがあっただろうか(殺人自体ではない、念のため)。シューマンのそれの第3楽章の最後の消え入るような和音、そのとき起こる金切り声…。二転三転の結末とともに読後に漂う浮遊感。これはまさに挫折し、苦悩し、最後は狂気の彼方へ去ったシューマンの人生のような小説だ。

青春小説、教養小説、どのような読み方も可能だが、極上のミステリーであることだけは間違いない。スカッとした本格派好みの人(小生もそうです)には不向きかもしれないが、ぜひ挑戦してみていただきたい。全ての読書人、音楽ファンにも味わっていただきたい。

で、やっぱり原曲を聞かないでは、この味わいを楽しめないと思う。小生はポリーニの演奏をレコードで聴いていたのだが、彼の演奏は理知的過ぎてこの小説に今一合わない気がした。おすすめは最近発売されたばかりの原田英代のCD(ハイブリッドです)。ポリーニよりもかなりゆっくり弾いているのだが、これが実に繊細な演奏でこの小説にぴったりなのだ。ぜひ一聴を。そしてもう一度読み直してみて下さい。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.43:
(5pt)

素晴らしいの一言

クラシックに詳しくない私でも一気に読んでしまいました。最後の手紙に感動しました。それまでもある程度分かっていた事がはっきりと解決されていて見事です。一読をお勧めします。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.42:
(5pt)

素晴らしいの一言

クラシックに詳しくない私でも一気に読んでしまいました。
最後の手紙に感動しました。
それまでもある程度分かっていた事がはっきりと解決されていて見事です。
一読をお勧めします。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.41:
(4pt)

作者のプラトン的シューマン論あるいは文学論   しかし、え?あれ・・・

音楽はすでに「在る」。 「彼」の中には広がっている無限に存在する音楽。ほんのわずかに地表に現れた地層のような断片を作曲家が見つけ出したにすぎない。しかし、演奏すればそれは途端に崩れる。人の手による完璧な演奏などないのだ。しかし・・・シューマンの狂気を暗示しながら、これってミステリーなんだよなぁ。といったいいつ何が起こったことが、冒頭の「指」にまつわる話に結び付くのだろうか、と訝しく読み進めました。そして起こった30年前の事件の思い出。誰もいないはずの学校の音楽室。絶えず繰り返すシューマンの調べ。作者はシューマンを愛しているのだろうなぁ、と。私は単純なのか、最後に「え?」と3回ドキッとしました。しかし映像化には反対。映像にしたら、それこそ「完璧なものなどない」と思います。楽譜を読み進めながら心に響く音楽を楽しむがごとく、(まぁそんなことできるのは限られた人でしょう、と反発すら感じますが)今こそ純粋に読書を、文字を追うことで、そのあり得ない世界を味わう恍惚を大切にしたいなぁ、と思います。私はピアノを弾くことができませんが、幸い日本語はできるのです。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.40:
(4pt)

作者のプラトン的シューマン論あるいは文学論   しかし、え?あれ・・・

音楽はすでに「在る」。 「彼」の中には広がっている
無限に存在する音楽。ほんのわずかに地表に現れた地層のような断片を作曲家が見つけ出したにすぎない。しかし、演奏すればそれは途端に崩れる。人の手による完璧な演奏などないのだ。
しかし・・・

シューマンの狂気を暗示しながら、これってミステリーなんだよなぁ。といったいいつ何が起こったことが、冒頭の「指」にまつわる話に結び付くのだろうか、と訝しく読み進めました。
そして起こった30年前の事件の思い出。誰もいないはずの学校の音楽室。
絶えず繰り返すシューマンの調べ。

作者はシューマンを愛しているのだろうなぁ、と。

私は単純なのか、最後に「え?」と3回ドキッとしました。

しかし映像化には反対。映像にしたら、それこそ「完璧なものなどない」と思います。

楽譜を読み進めながら心に響く音楽を楽しむがごとく、
(まぁそんなことできるのは限られた人でしょう、と反発すら感じますが)
今こそ純粋に読書を、
文字を追うことで、そのあり得ない世界を味わう恍惚を大切にしたいなぁ、と思います。

私はピアノを弾くことができませんが、幸い日本語はできるのです。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.39:
(3pt)

映画化するといいかも

クラシック音楽について詳しいわけでもなく、普通のミステリー好きが読んだ感想です。 ミステリーとしては、「そりゃないでしょう。最後の最後に出てくる妹の手紙はあんまりでしょう。後出しじゃんけんですよ。反則!!」ということになります。 ただし、シューマンのピアノについてはどうしても聞きたくなり、思わずCDを借りてきて聞いてしまいました。遠い記憶の中で「トロイメライ」という曲名と、鳴っている音楽が一致して心が豊かになりました。主人公の「音楽は演奏されていなくても、そこにある」というのは、「頭の中である時ぐるぐるエンドレスで思い出される、あの感覚なのかなぁ。」(違うのかもしれないけれど) いずれにしても、音楽を音でなく文字で表現することは、えらく大変なことだと感じました。もしかしたら映画化すると音も入って、もっと素敵になるのではないでしょうか。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.38:
(3pt)

映画化するといいかも

クラシック音楽について詳しいわけでもなく、普通のミステリー好きが読んだ感想です。
 ミステリーとしては、「そりゃないでしょう。最後の最後に出てくる妹の手紙はあんまりでしょう。後出しじゃんけんですよ。反則!!」ということになります。
 ただし、シューマンのピアノについてはどうしても聞きたくなり、思わずCDを借りてきて聞いてしまいました。遠い記憶の中で「トロイメライ」という曲名と、鳴っている音楽が一致して心が豊かになりました。主人公の「音楽は演奏されていなくても、そこにある」というのは、「頭の中である時ぐるぐるエンドレスで思い出される、あの感覚なのかなぁ。」(違うのかもしれないけれど)
 いずれにしても、音楽を音でなく文字で表現することは、えらく大変なことだと感じました。もしかしたら映画化すると音も入って、もっと素敵になるのではないでしょうか。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.37:
(2pt)

シューマン中心?

クラシック音楽も好きで、シューマンも好きで、ミステリーも好きなので、期待大で読んだのですが、意外と肩透かしでした。シューマンへの思いや曲のいろいろな見解が物語り調に書かれている本という感じ。ミステリーとしては、起きた事件についての記述があまりに薄く、ワクワクやドキドキが全く感じられなかった。冒頭から、「指」「あの事件」というように引っ張った割には、「あれ、なんだ」という結末で、尻つぼみでした。ただ、ピアノの表現や音楽の解説、シューマンの勉強には、役立つ本です。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.36:
(2pt)

シューマン中心?

クラシック音楽も好きで、シューマンも好きで、ミステリーも好きなので、期待大で読んだのですが、意外と肩透かしでした。シューマンへの思いや曲のいろいろな見解が物語り調に書かれている本という感じ。
ミステリーとしては、起きた事件についての記述があまりに薄く、ワクワクやドキドキが全く感じられなかった。
冒頭から、「指」「あの事件」というように引っ張った割には、「あれ、なんだ」という結末で、尻つぼみでした。
ただ、ピアノの表現や音楽の解説、シューマンの勉強には、役立つ本です。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.35:
(4pt)

音楽というもの。

何気なく、本屋の平積みで、クラシックがテーマのミステリーも、たまにはいいかな、と思い、読んでみた。結果、「音楽とミステリーの融合」という陳腐な言葉で表現するにはもったいない出来栄えであった。シューマンのくだりは、やや冗長気味で、途中で萎える読者もいそうだが、これをじっくりと読み切ることで、後半の展開が重く響いてくる。どんでん返しのプロットも、よくある〇重〇格ものであるのだが、「出だしの鹿くんの手紙」「幻想曲の夜」「演奏会の打ち上げ」「末松佳美の立ち位置」等、各シーンの臨場感や意味合いの表現が、他者にはない慧眼から書かれたものであると感心する。そして、学生時代に気軽にバンドを組んで、一体感・達成感で満足していた拙私なんかには計り知れない「音楽」と向き合う、「音楽家」の心底に鋭く切り込んだ表現には唸り、「音楽家」とは、重厚な哲学者に似た、雲上の迷い人なんだなとも感じた。「音にしなくても音楽はそこにある」「音楽が、帰ってきていた」「僕が悪魔に差し出した報酬」そのまま、受け入れるのも、話のキモから言って、無理はあるのだが、なんとなく、そんなものなのかもしれないと思ってしまう。「鹿くんの手紙」をじっくり読み返すと、「永峰まさと」「僕らの永峰修人」と書いてある。作者はフェアであったし、気付かない読者もいけないのだが、「僕らの」という表現、鹿くんは「修人」を知っていたのか、それともこの手紙も主人公の・・・なのか?どんでん返しの詰め込み感が世話しないのと、このあたりの消化不良で、★4にした。作者の、ストレートな、テーマありきでない、ミステリーも読んでみたい。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446
No.34:
(4pt)

音楽というもの。

何気なく、本屋の平積みで、クラシックが
テーマのミステリーも、たまには
いいかな、と思い、読んでみた。

結果、「音楽とミステリーの融合」という陳腐な言葉
で表現するにはもったいない出来栄えであった。

シューマンのくだりは、やや冗長気味で、
途中で萎える読者もいそうだが、これをじっくりと
読み切ることで、後半の展開が重く響いてくる。

どんでん返しのプロットも、よくある〇重〇格もの
であるのだが、「出だしの鹿くんの手紙」「幻想曲の夜」
「演奏会の打ち上げ」「末松佳美の立ち位置」等、
各シーンの臨場感や意味合いの表現が、他者にはない
慧眼から書かれたものであると感心する。

そして、学生時代に気軽にバンドを組んで、一体感・
達成感で満足していた拙私なんかには計り知れない
「音楽」と向き合う、「音楽家」の心底に鋭く
切り込んだ表現には唸り、「音楽家」とは、重厚な
哲学者に似た、雲上の迷い人なんだなとも感じた。

「音にしなくても音楽はそこにある」
「音楽が、帰ってきていた」
「僕が悪魔に差し出した報酬」

そのまま、受け入れるのも、話のキモから言って、
無理はあるのだが、なんとなく、そんなものなの
かもしれないと思ってしまう。

「鹿くんの手紙」をじっくり読み返すと、
「永峰まさと」「僕らの永峰修人」と書いてある。

作者はフェアであったし、気付かない読者も
いけないのだが、「僕らの」という表現、
鹿くんは「修人」を知っていたのか、それとも
この手紙も主人公の・・・なのか?

どんでん返しの詰め込み感が世話しないのと、
このあたりの消化不良で、★4にした。

作者の、ストレートな、テーマありきでない、
ミステリーも読んでみたい。
シューマンの指 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (講談社文庫)より
4062773856
No.33:
(4pt)

中盤以降は面白いが、クラシックの過剰なうんちくと、ラスト10ページは余分だったか

私は、先日放送されたNHK教育テレビ「N響アワー」の「シューマン生誕200年特集」のゲストに奥泉光がゲスト出演していた際に、話題の小説として紹介されて初めてこの作品を知ったのだが、クラシック・ファンであるとともにミステリ・ファンでもある私としては、買わないわけにはいかないと思い、早速、注文して、読んでみることにした。 この作品は、「指を切断したはずのピアニスト永嶺修人が、なぜ、コンサートでピアノを弾いていたのか?果たして、彼の指は、本当に再生したのか?」というミステリアスな謎が、冒頭でいきなり提示されるという、魅力的な出だしから始まる。 ところが、その後の前半は、ミステリはどこかに置いて、かなり専門性の高い、完全なクラシック小説の趣きを呈してしまっているのだ。特に、頻繁に、何度も繰り返されるシューマン論や「ピアノ協奏曲」を始めとした精緻な楽曲分析などのうんちくの数々は、私のような一般のクラシック・ファンからしてみれば、CDのライナーノーツを読めば十分なのであり、少々、うんざりさせられたことは、告白せねばならない。 しかし、女子高生殺害事件が起きる中盤以降からは、ミステリ小説らしくなってきて、ミステリ・ファンも面白く読めるようになってくるし、この本の売りであるラスト20ページに待ち受ける真相を読むと、この本が正真正銘のミステリ小説であったと納得できるのだ。ただ、私は、ラスト10ページは余分だったと思う。現代ミステリのトリックは、ほとんどがオリジナルの変形なのだが、特にラスト10ページからのトリックは、使い方を誤ると、「何でもあり」の安直なミステリになりかねない際どさがあるのだ。実際、私は、このトリックを知った後に、改めて全体を読み直してみたのだが、やはり、一言でいって書き過ぎで、かなり無理があり、アンフェアといわれてもしょうがないと思う。ラスト10ページがなくても、ミステリとして、十分、意外性はあったにもかかわらず、どんでん返しにどんでん返しを重ねる欲を張ったがゆえに、かえって、ミステリとしての完成度を落としてしまったのではないだろうか。 
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4062163446
No.32:
(4pt)

中盤以降は面白いが、クラシックの過剰なうんちくと、ラスト10ページは余分だったか

私は、先日放送されたNHK教育テレビ「N響アワー」の「シューマン生誕200年特集」に奥泉光がゲスト出演していた際に、話題の小説として紹介されて初めてこの作品を知ったのだが、クラシック・ファンであるとともにミステリ・ファンでもある私としては、買わないわけにはいかないと思い、早速、注文して、読んでみることにした。 

この作品は、「指を切断したはずのピアニスト永嶺修人が、なぜ、コンサートでピアノを弾いていたのか?果たして、彼の指は、本当に再生したのか?」というミステリアスな謎が、冒頭でいきなり提示されるという、魅力的な出だしから始まる。 

ところが、その後の前半は、ミステリはどこかに置いて、かなり専門性の高い、完全なクラシック小説の趣きを呈してしまっているのだ。特に、頻繁に、何度も繰り返されるシューマン論や「ピアノ協奏曲」を始めとした精緻な楽曲分析などのうんちくの数々は、私のような一般のクラシック・ファンからしてみれば、CDのライナーノーツを読めば十分なのであり、少々、うんざりさせられたことは、告白せねばならない。 

しかし、女子高生殺害事件が起きる中盤以降からは、ミステリ小説らしくなってきて、ミステリ・ファンも面白く読めるようになってくるし、この本の売りであるラスト20ページに待ち受ける真相を読むと、この本が正真正銘のミステリ小説であったと納得できるのだ。

ただ、私は、ラスト10ページは余分だったと思う。現代ミステリのトリックは、ほとんどがオリジナルの変形なのだが、特にラスト10ページからのトリックは、使い方を誤ると、「何でもあり」の安直なミステリになりかねない際どさがあるのだ。実際、私は、このトリックを知った後に、改めて全体を読み直してみたのだが、やはり、一言でいって書き過ぎで、かなり無理があり、アンフェアといわれてもしょうがないと思う。ラスト10ページがなくても、ミステリとして、十分、意外性はあったにもかかわらず、どんでん返しにどんでん返しを重ねる欲を張ったがゆえに、かえって、ミステリとしての完成度を落としてしまったのではないだろうか。
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No.31:
(3pt)

面白い小説であるけれど。。。

「シューマンの指」という作品名、音楽ミステリーといった評判から読んでみたけれど、正直賛否両論の1作でしょう。巷では、シューマン生誕200年ということですが、クラシックが好き、基礎知識を持っていない方がこの本を読むと、なかなか評価を得られる部分も少ないと思う。300数ページのボリュームで、中盤くらいは登場人物の紹介は当然ながら、クラシックピアニストが何たら、シューマンが何たらとミステリーというよりもクラシック音楽の評論もどきの部分は、意味が分からない?といった読者も多いと思う。リヒテル、グールドが何たらとか、マルタ・アルゲリッチをマルデ・アルゲリッチという登場人物のところは大笑いしたけれど、たまたまクラシック音楽を以前結構聞いていた私には、何とかついていけたけれど、正直専門的な音楽用語もあり、ついていくのがつらい人がほとんどと思う。音楽ミステリーといった異色のジャンル、しかも通常ピアニストならショパンか、ベートーヴェンと思うんですけれど、シューマンを題材にするところ、凝っているなーと関心もするんですけれど、大衆受けは難しいでしょう。NHKの週刊ブックレビューに取り上げられ、作品のインパクト、さすが芥川賞作家といった精緻な部分、作品の総合的な評価は決して低くないけれど、自分は結構楽しめたけれど、何でといった読者も少なくないと思う。でも作者の本作の意図は、決して大衆受けするような小説を書こうとは、たぶん思ってないんでしょうね。それが当たっていれば、十分うなずける一作であろうし、年末のミステリー評論で、評論家等がどのような評価をするのか、とても楽しみです。今回自分はアマゾンでは、点数は★三つとしたけれど、今のところ、これといった大本命がない今年の国内ミステリー界、「このミス」あたりでベストテンにもしはいれば、なかなかどうしてミステリー好きも冷静な評価で、感心するんですけれど。
シューマンの指 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:シューマンの指 (100周年書き下ろし)より
4062163446

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