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獄門島



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獄門島の評価: 4.01/5点 レビュー 92件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.01pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全67件 21~40 2/4ページ
No.47:
(5pt)

危険。

映画版の獄門島が大好きでしたが、視聴するたびに怪異現象が起こるので暫く見ていませんでした。でもつい一週間前にDVDを棚の一番奥から引き出して手元に置いていたのに何処かへいってしまった。
では小説を読もうということで集中して一日中読んで読了したら精神状態が不安定になってしまった。自分は精神力が強いと自負していましたが、ああ、この閉塞感・はっきりとしないぼんやりとした不安、逃れられない睡眠への恐怖。この精神状態が3日間続き現在では元に戻れましたが、あぁ、レビューを書いていると辛くなってくる、この辺で。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.46:
(5pt)

ほとんど無駄なくコンパクトに構成された見立て殺人の本格ミステリ

おお、これは見立て殺人ではないか! 横溝正史はヴァン・ダインの「僧正殺人事件」やクリスティの「そして誰もいなくなった」に触発されて、純日本風舞台で本作を書いたようだが、個人的にすぐ想起したのはFOGのゲーム「MISSINGPARTS sideA  the TANTEI stories」で最高傑作と評されている第三話だった。まあ「ミッシングパーツ」なんて普通の人は知らないだろうけど。
 戦地から復員する金田一が復員船の中で病死した男に手紙を託されて獄門島へやって来る。が、その男が最期にうなされるように、自分が帰らなければ3人の妹達が殺される、などと言っており、早くもミステリモード全開。そしてその言葉通り、三姉妹が次々に殺されてしまうのだが、それが芭蕉の俳句に見立てた殺害と言う、見事な見立て殺人。
 初めの殺害現場を見た和尚さんが「気ちがいじゃが仕方ない」と謎の言葉をつぶやくが、これも含めて冒頭からビッシリと張り巡らされた伏線の密度が凄い。今さら再読する時間はさすがにないが、ほとんど無駄なくコンパクトに構成された見立て殺人の本格ミステリと言う印象。横溝正史の最高傑作と言う評価をされる一方で、有名作ゆえに酷評も多く受けている様子。「つまらない」とする評は、大きく分けて次の2点らしい。①金田一が無能で、むざむざ三姉妹を殺させてしまっている。②殺人の動機が弱く納得し難い。
 こんな批判は結局本格ミステリと言うものがわかっていないのだと思う。社会派ミステリならいざ知らず、本格ミステリは謎解きを楽しむパズルなのだ。本書では「見立て殺人」と言う大きなテーマをいかに巧みに小説として組み立てるかが問題なのであって、名探偵が阻止してしまったら、せっかくの「見立て殺人」と言う趣向が成立しないではないか。さらに「見立て殺人」などと言う殺害方法は普通あり得ないわけであって、そこをいかにもっともらしく粉飾するか、と言うのが問題なのだ。そうゆう観点で読めば、この小説の構成の巧みさや随所に張り巡らされた伏線の見事さに感心しこそすれ、下らないケチを付ける気にはならないだろう。
 「獄門島」というタイトルが一番怖いくらいで、横溝正史作品で思い浮かべるおどろおどろしさはほとんど感じられない。金田一を初め登場人物がみな魅力的で、真面目一徹な島の警察官が金田一を怪しんで座敷牢に閉じ込めてしまい、その夜殺人が行われてしまったエピソードなど、ほとんど笑い話である。繰り返すが「本格ミステリ」=「パズル小説」だと思って読めば、現代でも十分通用する傑作と思う。くれぐれも余計な邪念を持って読まないことだ。海外のミステリではマザーグースの見立てだったのを、芭蕉の俳句でやってのけた、記念碑的作品。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.45:
(5pt)

「きちがいじゃがしかたがない」ってセリフ今じゃ禁句扱いなのね。変な世の中。

最近立て続けにTVで獄門島を観ることができた。映画とドラマ二本で三つの違う結末の獄門島だった。
どの作品が最も原作に近いのだろうか気になった。何十年前か、以前にも買って読んだはずなのに原作の結末を覚えていなかったとは。新鮮な気持ちで再読です。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.44:
(4pt)

ミステリー代表作品!

ミステリーマニアなら、一度は読んでおきたい本です。
時代を超えても、名著は衰えずといった感じです。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.43:
(4pt)

関係ない人が爆弾のスイッチを入れて、その結末は。

日本人作家によるミステリのベスト1と評される作品です。
この作品のユニークさは、戦後の世相とか
旧弊な村落共同体とか、その因習とか、犯罪を計画したものの執念とか
封建的な島の事情とかトリックの巧妙さとか犯人の意外性など言われますが、
いちばん恐ろしいのは、作品の舞台となる小共同体とは無縁な来訪者によって
「時限爆弾」のスイッチが入ってしまうことです。
その「時限爆弾」に関しては、スイッチを入れた当の本人はいっさい関知していないし、
「時限爆弾」の効果についてもまったく一切関知しないということでしょう。
何がいいたいかというと、この作品はフィクションですが、
まったく関係のない他人やその地に縁の薄かった人間が山間僻地などに来訪することで
この作品のような事件(見立てるなどはないとは思いますが)は現代の現実でも起こりうるということです。
読み終えてぞっとするのはそこですね。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.42:
(5pt)

何度も何度も読んでしまいます

みなさんコメントされているようにY先生の代表作。関東平野から出たことの無い小生からすると瀬戸内の島の風情が感じられる、その雰囲気を楽しむだけでも読んでいて時間を忘れてしまいます。映像化されていますがやはり原作が一番かと思います!

やはり脳内BGMは市川作品のサントラ(田辺信一)ですね!
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.41:
(5pt)

瑕疵があるとすれば・・・

名探偵、みんなを集めてさてといい・・・の場面がないということです。
名探偵が終盤に関係者を一堂に集めて真犯人を論破する場面です。
それがないとダメというわけではないのですが、推理小説の醍醐味だと思うのです。

総じて金田一の長編に真犯人を面と向かって論破するシーンは少ないです。
獄門島は名探偵が真犯人の前で謎解きをする場面はあるのですが、弱いですね。

推理小説の最高傑作といわれる本作ですが、本作の注目点はは港町、島の空気感だと思います。
舞台となる孤島を実に魅力的に描写しています。
販促的には怨念だとか因習だとかといった禍々しさを業界は前面に出していると思いますが、実際の獄門島はおどろおどろしくないのです。
おっとりとした田舎の開けっぴろげの開放感があり、怪奇探偵小説ではありません。
怪奇探偵小説の闇を本格推理小説の世界の住人金田一が理知の光で照らし出してしまうのです。

カツカレーにエビフライも乗せちゃおうか。この茶目っ気が本作に最高傑作の栄誉を与えているのでしょう。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.40:
(5pt)

封建的な…あまりにも封建的な…

発端の怪奇性、中盤のサスペンス、精巧なトリック、犯人と動機の意外性と、バランス良く構成されていて、横溝正史の作品ではトップクラスの完成度だと思う。金田一耕助は本陣殺人事件で見せた颯爽とした、才気走った人物としてではなく、くたびれた中年男として描かれている。本陣では、大横溝も金田一のキャラクター造形に迷ったと思われるが、本作からはファンに馴染み深いキャラクターとして定着している。動機については懐疑的な読者も多いようだが、現代人の感覚からとしては当然のこと。横溝ワールドにドップリ浸かって、当然が当然ではなくなるくらい感情移入できれば、本作を楽しめている証拠です。「娘は三人死ななければならなかった」と結論づける金田一に対して、最後に投下された過酷な真実はかなり驚いた。最後の仏教的な無常感は物語に独特の余韻を残して、事件は終了する。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.39:
(4pt)
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

本のカバーの絵は嫌いですが。。。

犯人が1人でないというところに 意外性が ありました。 きれいな 頭の悪い 3姉妹が殺される。 その殺され方が 絵画的ですね。 私は 映画は 見てないですが、映像にしたら きれいだろうと思います。 歴代 いろんな女優さんが その3姉妹や金田一耕助を演じてますが どの作品が 原作のイメージに近いのでしょう。。。気になります。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.38:
(5pt)

さすが横溝正史!!

学生の頃、横溝正史や江戸川乱歩等の推理小説、 怪奇小説等も読んでいました。
横溝作品は、「見立て殺人」ものが多いですが、特におもしろいと思います。
いろいろ伏線があり、さすが本格推理と言う感じです。
久しぶりに電子書籍で読み直しましたが、新鮮な気分で読めました。
さすが横溝正史の作品、おもしろいですね。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.37:
(5pt)

当時の風景が浮かんでくるように美しく恐ろしい推理小説。

子供の頃に見た映画「犬神家の一族」でトラウマになるほど怖い思いをして以来、原作は読んだことはこれまで無かった。
電子書籍がフェアで安くなっていたので何気なく買ってみたらこれが面白い!
本作は金田一が戦争から復員して友人の死を知らせに行った島で起きた陰惨な連続殺人に巻き込まれるストーリー。 映画もよかったが、登場人物それぞれの細かな心情を知るには文章の方がよいと思う。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.36:
(5pt)

エンターテイメントのお手本

古い作品であるが、古さをまったく感じさせない。人物のキャラクターも魅力的だし、構成がとってもうまく、どんどん読めてしまう。
戦後の独特の時代背景もさらりと絡めてあるので、変な軽さがない。
ぐしゃぐしゃと頭をかき、華麗に推理する金田一耕介がもちろん主役だが、むしろその他の人々の個性豊かさが小説を豊かにしている気がする。

横溝正史は古典と呼ぶにはあまりにも、現代的なエンターテイメントであった。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.35:
(5pt)

キンドル版について

キンドル版について気づいたことです。Nexus7で読んだのですが目次のハイパーリンクの反応が悪い。ふつうにタッチしただけではだめで、文字を一番大きくして、指先でポンとたたく様にタッチすると反応します。この辺は直してほしい。あと、前から言われてるようにキンドルに本に対応するページ数を載せてほしい。友人と語る場合、何ページ目もどこの部分とかと情報を交換できなくて困る。キンドル位置45342とかわかりにく。

安かったので買ったが、キンドル版はどんなに綺麗に読んでも中古本を売れないので、もっと安くするべきだ。

作品については、傑作だと思うが、ひとつの大きな欠点は横溝さん、空間の配置を文で書くのが下手。寺と本鬼頭と分鬼頭家の方向感覚や距離感が非常にわかりにくく、いらいらした。何度読んでも把握が不可能。地図をつけるべきだった。あとはすばらしかった。金田一少年の事件簿の一番大きな欠点、「なんでそんな面倒な複雑なトリックを使うのか?もっと簡単な方法があるだろ」というつっこみに、完璧に答えてくれるほとんど唯一のすばらしい解答編で大満足。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.34:
(4pt)

八つ墓村の方が私はおもしろかった。解決するものの爽快感はない。

金田一幸助は若いころにすべて読んだものの、引っ越しですべて手放してしまっていた。ひさしぶりに、Kindleで八つ墓村をよんで、冒険活劇という感じで、爽快感もあり、あっという間によみきってしまった。そこで、獄門島も昔面白かったという印象があったので購入し、読み返してみた。結論から言うと、金田一ものはいつもそうだが、事件がすべて終わってから解説し、なにもそこにいたのに事件は防げなかったというストーリー。しかも、なんともいえないやるせなさ(なぜかをいうとネタバレなのでいえないが)。。。

今度は犬神家を久しぶりに読んでみようかな。。。

謎としては、良いので初めて読む人は読んでみるとよいかも。星4つはすこしおまけ気味。謎としては星4つにしたのだが、本当は、3.5くらい。Kindleなのだからもっと割り引いてほしいなあ。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.33:
(5pt)

傑作!でもベストワン?

「獄門島」は横溝作品では私も最も好きな作品で、4〜5回は読んでいる。
 確かに傑作だとは思うが、ミステリーのオールタイムベストテン投票などでよく日本のベストワンに選ばれているのは、私にはちょっと不思議。
 ストーリーも人物関係も複雑すぎて読んでいてよく分からなくなる(こともある)横溝長編の中では、この「獄門島」はシンプルで分かりやすい方だと思う。このとっつき易さと見立て殺人の面白さが人気の秘密なんだろうが。
 ただ史上ベストワンのミステリーかと言えば、私にはやや疑問。清張の「砂の器」のように映画化作品のせいで実体以上の評価をされる作品もあるが、「獄門島」は違う筈。昭和52年の東宝映画化作品は確かにいい映画だったが、映画「砂の器」ほどのインパクトはなかったと記憶する。あくまでも作品自体の評価でのベストワンなのだろう。
 この傑作に文句をつけているのではありません。ただ「獄門島」は一部の人々の間で「あれは面白いなぁ」と地味に話題にして盛り上がりたい。そんなキッチュな名作である方が似合っていると思うのです。

獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.32:
(4pt)

意外性なきミステリーの意外な第一位

映画化もされ知名度も高いこの作品は、発表後60年以上が経過しているにもかかわらず、週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト100」2013年度版の国内編第一位に選ばれ、またおよそ四半世紀前の1986年度版でもやはり第一位を記録している。不動の名作として君臨している本作が国内ミステリーに与えた影響は計り知れないだろうとは思うが、虚心坦懐にこの作品をミステリーとして評価した場合、果たして第一位に値するのかどうか、疑問の余地があると個人的には思う。少なくともこの作品を「日本一面白いミステリー」として薦める気にはなれない。
 獄門島。不吉な歴史に彩られたこの狭い島で、本鬼頭の跡取りである鬼頭千万太の復員船での病死が伝えられるやいなや、その三姉妹が俳句になぞらえて一人ずつ殺されてゆく。この状況設定にアガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』の影響をみるのはたやすいし、動機の弱さもしばしば指摘されるところであるが、それよりも何よりも「犯人の意外性」がほとんどないところが、この作品の最大の弱点ではないだろうか(『そして誰もいなくなった』にも同様のことが言える)。最初の殺人事件後にある人物がつぶやく一言がキーワードになっているのだが、だれもが怪しいと思う人物が結局犯人ではがっかりもする。さりとて殺害方法や動機に革新的な意外性があるわけでもない。
 むろん本作が駄作だとは言わない。面白いことは間違いないし、緻密な描写といい、入念なプロットといい、また映像化によってさらに引き立つ和風ホラーの雰囲気といい、典型的な横溝作品ではある(ちなみに1977年に公開された角川映画は犯人に若干の脚色があるもののほぼ原作に忠実な映像作品となっている)。圧倒的知名度を誇る本作を国内ミステリー第一位の座から引きずり下ろす作品が、今後登場することをひそかに期待したい。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.31:
(5pt)

横溝正史を読むなら、テキスト改悪のない正しい校訂の本を買おう

横溝正史や探偵小説に詳しい人には周知の事実なのだが、角川文庫のテキストは長年にわたって改竄された代物である。
『獄門島』でいうと黒背(緑304)時代の昭和51年発行21版以降おかしな改変をやり始め、『金田一耕助ファイル』となってからは解説もなくなり、
章立てに「プロローグ」「エピローグ」なんて元々なかった見出しを付けたり、語句変更をやらかしている。
『獄門島』を現行本で読むなら、あとで後悔しないためにも本書もしくは創元推理文庫『横溝正史集』で読もう。
くれぐれも、ネット(twitter)の角川文庫ゴリ推しなどには踊らされないように。

本書には附録資料として「作者の言葉」「初刊本あとがき」「獄門島懐古」「特別座談会/父・横溝正史を語る その1」、加えて「獄門島要図」を収録。
「獄門島懐古」は絶版状態の『真説金田一耕助』収録のエッセイ。他の巻へも部分収録されているが、『真説』はこういう小出しではなく完全復刊するべきで、
巻末附録内容は単行本未収録エッセイや「特別座談会」のような新規の正史関係者インタビュー等で固めてほしかった。
ここがもっと強力な内容だったら『横溝正史自選集』はより注目されるのだが・・・。

『東西ベストミステリー100』(2012)で『獄門島』が国内一位になり、尻馬に乗って急遽角川文庫が大重版をかけるらしく、
カバーを「杉本一文」版と現行の「一文字」版のどちらがいいかとtwitterで角川の社長が言い出した。
それを見た人の多数が「杉本」版希望とリプライしたが、次の日には営業の人間が「一文字」版を強行したので結局「現行のままでいく」との社長の弁。
これじゃあ何のためにアンケートしたか意味ないよね。
社内のコンセンサスはとれていないし、ユーザーが何を望んでいるか全く理解できてないのだ。

カバーをコロコロ変えても肝心のテキストを正しく作れないようでは持っている価値はなし。
私はもう角川書店には何も期待していないし、これ以上横溝正史を汚さないでもらいたい。
横溝正史自選集〈2〉獄門島Amazon書評・レビュー:横溝正史自選集〈2〉獄門島より
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No.30:
(5pt)

金田一さんに思う

戦前までの地域社会は非常に単純な構造であったことが良くわかる。
物語はもちろん探偵もの。犯人を探し出し、事件を解決すればそれで終わり。

しかし、横溝作品はその当時の社会の様子。現代、とりわけ都市生活者にとって
想像だに出来ない社会のつながりを示してくれる。

戦前、戦中を通して作者が東京から地方へ移り住んだときの
印象、地方のいわゆる村社会の構造が、都市都では考えにくい程、閉鎖的で
完結したものであった事がすでに作者の心に深い印象を刻んだことが良くわかる。

そういう日で再読するのもまた、おもしろいと思う。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.29:
(5pt)

戦後ミステリー黎明期を代表する名作

巧妙な伏線、奇抜なトリック、そして意外な犯人。謎解きミステリーの面白さをたっぷりと備えながら、それが、独自の掟や習わしが国家の法よりも優先される特異な閉鎖社会と、そこでの人間関係の中で合理化され、豊かな物語性へと溶け込んでゆく。そこに繰り広げられるのは、あたかも錦絵を見るような絢爛華麗なミステリー絵巻である。これだけで充分秀作の栄誉を冠してもいいが、本作は、敗戦を背負った復員兵の金田一耕助に象徴される近代化と欧米化の波が、明治維新をも生き延びた日本独自の前近代的な村社会を解体してゆくという、終戦後の日本の社会変化を写した作品ともなっている。欧米ミステリーに肩を並べる水準の高さと、戦後の時代を作品の底に色濃く刻みこんでいるという二点において、横溝のこの『獄門島』は、坂口安吾の『不連続殺人事件』と双璧をなす、戦後の日本ミステリー黎明期にそびえ立つ巨峰であると考える。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.28:
(5pt)

妖しくも儚い事件

横溝作品の中でも最高傑作とも呼ばれる本作品ですが、確かに巧みなプロットがなされています。

古い因習が残る島において次々と起こる殺人事件…とここまではよくある筋書きです。
しかし、随所に散りばめられるヒントや事件の起きた経緯、動機についてはかなり練りこまれています。
一般的な殺人の動機(金欲、怨恨等)による殺人か、狂気による殺人かということで揺れ動く犯人像ですが、最後にはあっと驚かされることとなるでしょう。

殺人手法は、少々無理があるのではないかと思われる部分もなくはないのが正直なところですが、あくまでもフィクションとして楽しめる作品だと思います。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032

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