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獄門島



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獄門島の評価: 4.01/5点 レビュー 92件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.01pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全67件 1~20 1/4ページ
No.67:
(5pt)

今回もまた、縦糸横糸、巧みに織り込んだ名ミステリの醍醐味、読み心地を堪能しました。

久しぶりの再読、いや、三読か四読になります。大まかな筋立ては分かっていても細かなところはおぼろに煙っているので、今回もまた、わくわく、ぞくぞくと楽しむことができました。

今回、あらためて「すげぇなあ」と感嘆したのは、犯行の奥に隠されていた大いなる企みの恐ろしさと、その企みに翻弄されるしかなかった人たちの運命の痛ましさでした。そして、西洋のミステリ作品のトリックを巧みに取り込み、そこに日本ならではの道具だてを盛り込んで生かした著者・横溝正史翁のお話づくりの職人芸、名人芸に、惚れ惚れするしかなかったです。

冒頭、金田一耕助が獄門島にやって来るシーンも印象的ですが、金田一が島を去るラストシーンがまた、なんとも言えぬ風情があっていいっすねぇ。長く澪(みお)引く余韻にため息をつきながら、本文庫の頁を閉じたのでした。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.66:
(5pt)

映画よりもストーリーがもっと複雑怪奇

映画よりもストーリーがもっと複雑怪奇。はるか昔読んだ事があったのだが、もう映画との違いをすっかり忘れていた。改めて読んでみると当時より面白かった。それだけ歳を取ったという事なのだろう。映画には出てくる、【坂口良子演じる"床屋の娘"】が本書では出てこないのも今回気付いた。ファンだっただけに残念である。映画やDVDしか観た事が無い人にはおすすめしたい。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.65:
(5pt)

ミステリの面白さをたっぷりと備えた素晴らしい作品

後世の推理作家に多大な影響を与え、日本ミステリの最高傑作とも称される横溝正史の長篇推理小説「獄門島」。昭和22年1月から翌年10月まで雑誌「宝石」に連載されたもので、名探偵・金田一耕助シリーズとしては2番目の作にあたる。時系列としては「百日紅の下にて」の直後ということになるが、執筆順は「本陣殺人事件」の次である。

昭和21年9月、金田一耕助は瀬戸内海に浮かぶ獄門島へ向かう。その島は古くから海賊の根拠地であり、江戸時代には流刑の場でもあった。金田一の胸中には復員船の中で死んでいった戦友・鬼頭千万太が遺した「おれがかえってやらないと、三人の妹たちが殺される……」という不吉な言葉が渦巻いていた。

獄門島に到着した金田一がもたらした千万太戦死の知らせは、島一番の網元である本鬼頭のみならず、島全体に大きな衝撃を与える。当主である父の与三松は気が触れた状態で座敷牢に幽閉されており、千万太は実質的な本鬼頭の跡継ぎだったからだ。

千万太には月代・雪枝・花子という3人の異母妹がいたが、みな父親同様に精神を病んでおり、彼女たちに鬼頭家の財産が渡るのは先代・嘉右衛門の望むところではなかった。そして間もなく、千万太が恐れていた三姉妹を巡る惨劇が現実のものとなるのであった……。

本作は横溝作品の中でも「見立て殺人」ものとして高い人気があり、作中に用いられた俳句を詠むと、美しくも残酷な殺人風景がまざまざと思い浮かぶ。用いられたのは江戸時代の俳聖・松尾芭蕉とその弟子・宝井其角の残した俳句。和歌の書かれた紙が貼ってある衝立や梅の古木、妖しげな祈祷所など印象的なものがたくさん出てくるが、特に千光寺の釣鐘を使った見立ては忘れられない。

鶯の身をさかさまに初音かな(宝井其角)
むざんやな冑の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
一つ家に遊女も寝たり萩と月(松尾芭蕉)

また、この作品は鬼頭早苗にほのかな恋心を抱く、若き金田一耕助の姿が描かれていることでも知られている。事件を解決した金田一は、東京へ出る気はないかと早苗を誘うのだが、その答えは「島で生まれたものは島で死ぬ。それがさだめられた掟なのです。でも……ありがとうございました。もうこれきりお眼にかかりません」という毅然としたものだった。

巧妙な伏線、奇抜なトリック、そして意外な犯人。「獄門島」はミステリの面白さをたっぷりと備えた素晴らしい作品だ。市川崑監督の映画で本作をご存じの方も多いかと思われるが、原作は犯人が異なるので、ぜひご一読いただきたいと思う。

<登場人物>
鬼頭嘉右衛門 … 本鬼頭の先代。太閤と崇められていた。故人。
勝野 … 嘉右衛門の妾。
鬼頭与三松 … 本鬼頭の当主。精神を患い座敷牢に入っている。
お小夜 … 与三松が惚れて妾にした元旅回りの女役者。故人。
鬼頭千万太 … 与三松の息子。復員船で死んだ金田一の戦友。
鬼頭月代 … 与三松とお小夜の長女。千万太の異母妹。
鬼頭雪枝 … 与三松とお小夜の次女。千万太の異母妹。
鬼頭花子 … 与三松とお小夜の三女。千万太の異母妹。
鬼頭一 … 本鬼頭分家。両親は既に他界。近々復員との連絡有。
鬼頭早苗 … 一の妹。千万太の従妹。金田一が心を寄せる。
鬼頭儀兵衛 … 網元・分鬼頭の当主。本鬼頭と対立している。
鬼頭志保 … 儀兵衛の後妻。潰れた網元・巴屋の娘。
鵜飼章三 … 分鬼頭に居候する美しい男。復員軍人。
荒木真喜平 … 獄門島の村長。横に平たい感じの男。
村瀬幸庵 … 獄門島の漢方医。鶴のようにやせている。
了然 … 千光寺の和尚。島では網元の上に君臨する存在。
了沢 … 千光寺の典座。無愛想だがたいへん親切な若い僧。
竹蔵 … 潮つくりの名人。先代から本鬼頭に出入りしている。
清公 … 床屋の親方。金田一に獄門島のことを語る。
清水巡査 … 獄門島の駐在。無精ひげをはやした好人物。
磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。
金田一耕助 … 鬼頭千万太の死を伝えるため獄門島へ渡る探偵。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.64:
(4pt)

「推理小説の名探偵は無能だ」

という皮肉な言葉があるが、本作の金田一にはのけぞった。

鬼頭千万太「名探偵が戦友で幸運だった!これで安堵して逝ける」

花子「兄さま、お久しぶり!けらけら」

千万太「えっ?・・・・」

読み物としては面白いんだけどね。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.63:
(5pt)

何も殺さなくてもと思うが、閉鎖的な空間では何が起こってもおかしくない

今となっては、“家”の問題は薄らいでいると思うが、戦後はしかも島という独特の空間ではまだ江戸時代以前のような“家”は守るべき重要なものっだったのだろう。相次いで殺される本鬼頭家の三人娘(月雪花)。その殺害される理由が今では想像できないものだった。当時は殺人を犯す十分な理由だったのだろうが、島の呪縛に囚われた島民の行動が恐ろしい。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.62:
(5pt)

映画では伝わりにくい部分を細かく描写しており理解し易い

角川映画の素晴らしい出来を今更ながら再確認し、原作との違いを確認したく拝読。
やはり人物関係において若干の変更を確認しましたが、ストーリーの大きな矛盾にはなっておらず流石に作者がご存命だった当時の変更は実に巧く辻褄を合わせておられます。併せて、お亡くなりになった後の映像作品でかなりひどい変更の認められる作品もありそちらは別物と考えた方がよさそうです。

 多重に張られたトリックやミスリードも素晴らしいですし、この時代背景も時代的齟齬を絶妙に覆い隠すことに成功しています。ただ重版の時にスルーされたのか104p,14行の誤植は原作どうりなのかもしれませんがやや気になりました。

 今後、また映像化することが有ったとしてもトリックの”肝”の部分が現代解釈では規制に引っかかるというのは甚だ如何で、作者も墓石の影で嘆いていそうです。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.61:
(5pt)

情報の波

圧倒的な情報量で、文章の一文、一文に伏線が張られていて意味がある。それゆえ読者は気を緩めることなく読み進めなければならない。
金田一耕助の初登場作品の本陣殺人事件と違うところは、一部を除いて、金田一耕助の視点で物語が書かれていることである。
小説に天才的な人物が登場する場合、彼、彼女は、間に語り手や、主人公を挟んだ三人称として、物語に登場することが多い。羊たちの沈黙のレクター博士や、すべてはFになるの真賀田四季など。
その方が物語とともに彼ら自体が謎を孕み魅力的なものとして読者の興味を惹くからだろう。
また、天才の思考を一人称で書くことの難しさもあるのだろう。多くの場合、小説内の天才より作者が優れた頭脳の持ち主であることはないからだ。
だが、獄門島ではそれがなされており、事件に対する謎解きの思考を読者は金田一耕助とともに追うことができる。それによって読み手自身も巻き起こる事件を今まさに体験しているような臨場感をおぼえる。
謎と推理は波のように次々と寄せては引いていく。それでいながら、解決の章に至るまで事件の全容は読者に明かさせることはなく、タネもわからせない、その引き締まった構成を破綻なく書き切った技術に感服した。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.60:
(5pt)

封建的な島の殺人事件

復員船での友人の死。既に亡くなっている島の太閤の遺言。仲の悪い本家と分家の網元。美しいが尋常でない月雪花の三姉妹。和尚、村長、医者の三長老。獄門島での殺人事件が展開していきます。金田一探偵と磯川警部、島の駐在と六名の警官隊が活躍します。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.59:
(5pt)

濃い!

本陣殺人事件や悪魔の手毬唄、八つ墓村などと並ぶ横溝の名作です。
文庫本で購入しましたが、然程厚さが無い割に中身がめちゃくちゃ濃いですね。
当時の時代背景なくして語れない部分はあるものの、充分感情移入できたので大満足です。
東宝映画やTVドラマのDVDが市販されていますので、原作と比較してみるのも一興です。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.58:
(4pt)

きれいでした。

きれいでした。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.57:
(4pt)

世界観構築の巧妙さ

昭和二十一年。復員した金田一耕助が、帰国までに病没した男の頼みを受けて向かった戦友の故郷は、瀬戸内海は岡山・広島・香川の中間に浮かぶ獄門島。江戸時代には流刑場だった、断崖に取り巻かれるその島は、島民のことごとくが海賊と流人の子孫だという。遺族の鬼頭家は漁で生計を立てる獄門島を牛耳る綱元。耕助によって伝わる後継者の訃報に、島民たちは激しく動揺する。そして故人の通夜が取り行われるさなか、鬼頭家から千万太の妹の一人が姿を消していた。

『八つ墓村』につづいて、私にとって二作目の横溝作品です。海山の違いはあっても、いずれも隔絶された辺鄙な環境にある村を舞台にしています。両作品を読んで共通点として感じたのは、プロローグにおける舞台となる村の来歴の解説と、序盤での癖の多い村人たちの紹介の時点で、早くも箱庭的で閉塞感の強い独特の雰囲気に読者を引き込んでしまう工夫にあり、ミステリ作品以前に、キャラクターを含めた環境面の構築と導入が巧妙な作家だという印象を強く持ちました。

以降は、前述にも関連して作品の雰囲気を伝える目的と、本書内にミステリ小説ではお馴染みの登場人物一覧が存在しないこともあり、参考も兼ねた主な登場人物の紹介にあてます。
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【金田一耕助】…大陸、南方の従軍を経て復員。昭和十二年の本陣殺人事件により、名探偵としてすでに広く知られている。
【鬼頭千万太】…鬼頭家の跡取りだった故人。耕助と同じく従軍し、戦後の帰国前に病没。鬼頭家への伝令役を耕助に託すとともに、死の直前には不可解な言葉を残していた。
【鬼頭嘉右衛門】…故人。昨年、七十八で死亡。存命中は獄門島一の綱元である鬼頭家当主として、島一番の権力者だった。
【鬼頭与三松】…千万太たちの父親。精神を病んでおり、長く座敷牢に閉じ込められている。
【鬼頭三姉妹】…月代・雪枝・花子の三姉妹。千万太の腹違いの妹たち。十六~十八の年子。美しいが、不健全で病的な印象。
【お小夜】…故人。与三松の後妻で三姉妹の母。女優だった。
【鬼頭一】…鬼頭の分家の長男。千万太のいとこ。やはり従軍後に帰郷していなかったが、生存の報が伝わる。
【鬼頭早苗】…一の妹。美しく若い女性。嘉右衛門の亡きあと、当主不在の鬼頭家を切り盛りする。
【お勝】…亡くなった嘉右衛門の妾。五十過ぎ。
【竹蔵】…鬼頭家に仕える腕の良い漁師。
【了然】…寺の和尚。用事から島に帰る船内で耕助と出会う。千万太の遺言状の宛先の一人。
【了沢君】…了然和尚の弟子で、後継者候補。無口で無愛想だが親切。
【村瀬幸庵】…島の漢方医。千万太の遺言状の宛先の一人。
【荒木真喜平】…村長。千万太の遺言状の宛先の一人。
【儀兵衛】…鬼頭家に対立する"分鬼頭家"の当主。六十過ぎ。
【お志保】…妖艶な魅力をもつ、儀兵衛の妻。三十前。
【鵜飼章三】…美しい少年にも見える、青年。以前は兵士として島にいたが、いまは"分鬼頭家"の居候。三姉妹との噂がある。
【清公】…床屋。島外出身。
【清水】…好人物のお巡り。
【謎の男】…近海の海賊の一人が島に逃げ込んだという情報が清水によって伝わる。
【磯川警部】…本陣殺人事件で耕助とともに働いた男。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.56:
(4pt)

金田一耕助って本当に名探偵なのだろうか?

本書は、金田一耕助が獄門島へやってくるところから始まる。
金田一が獄門島へやってきた理由は、戦友の鬼頭千万太が臨終の際に
「三人の妹たちが殺される。俺の代わりに獄門島へ行ってくれ。妹たちを助けてくれ」
という遺言を残したからである。
戦友のその遺言を守るために金田一は獄門島へとやってきた。

しかしながら、金田一は無能であった・・・。
三人の妹たちの一人たりとも助けることができず三姉妹は全員惨殺。
しかも、3日連続で殺されるという始末。
おまけに、犯人は金田一に対してフェアプレーとして殺人方法に関する重大なヒントまで授けている。
それなのに、全くその謎に気づく事なく3人とも死亡。
金田一がやった事と言えば、全員死んだ後でようやく犯人に気づくという体たらく。

金田一耕助といえば、明智小五郎と並んで名探偵という評価が確立してしまっている。
しかし、そろそろ「名探偵」という肩書を彼から剥奪すべきではないだろうか?

おそらく、天国で戦友の鬼頭千万太は泣いている。
「金田一なんかに頼むんじゃなかった。明智小五郎に頼めば良かった・・・」と。
情けないぞ、金田一!

ま、金田一の無能ぶりは判明したが、娯楽小説としては面白かった。
色んな意味で突っ込みどころ満載。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.55:
(4pt)

良い

トリックも犯人も分かっていますが、面白かったです。
流石は横溝正史です。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.54:
(4pt)

裏テーマは「戦争の悲劇」

金田一耕助シリーズの中でもっとも本格色が強いとは言われるけれど、ぶっちゃけ本格として読んだら優れてるのは第一の殺人だけで、第二の殺人は後出しだらけでアンフェア、第三に関しては不可能犯罪。
横溝正史作品は推理小説ではなく、横溝小説と呼ぶほうが正しい。
舞台、歴史、設定、ビジュアル、雰囲気といった世界観や圧倒的なビジュアルがその最大の魅力。映画が売れたのもうなずける。なにより個人的には横溝正史の文章がたまらないので、昔の長編なんだがグイグイ読める。
面白かったーというより、読んでいて楽しい小説。決して本格ミステリとして読んではいけない。

真犯人の狂いっぷりや、オチの救えなさもいいのだが、なんといってもとある人物の味付けがたまらない。ネタバレになるので詳述は避けるが、謎のフェアプレー精神や外道すぎる発言など、もはやシリアスな笑い。

横溝正史の金田一耕助シリーズといえば、都会から隔絶した田舎、因習に満ちたドロドロのムラ社会といったテーマが一番に語られがちで、『獄門島』も一見その典型例のように見える。
でも本当は「戦争の悲劇」を描いているというのが秀逸。戦争という運命こそ、すべての悲劇を起こした真犯人なのである。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.53:
(5pt)

ありがとうございました!

ありがとうございました!
横溝正史自選集〈2〉獄門島Amazon書評・レビュー:横溝正史自選集〈2〉獄門島より
4882933136
No.52:
(4pt)

何か関係あるんだろうな・・・程度に思っていた部分が事件を紐解く鍵でした!

『八つ墓村』『犬神家の一族』を読み,そのあまりの面白さに横溝正史シリーズを読破しようと思い手にした,私の中でのシリーズ第3弾です.

正直な感想を述べさせていただくと,先に挙げさせていただいた2作品に比べると,殺人の背景にある人間ドラマも殺人のトリックも,甘い感じがしました.背景事由は最初から明らかなのは,そもそも本作品はそういうストーリー展開なので問題はありませんが,トリックはやや無理がある感じを受けてしまいました.なにより読んでいる途中で,トリックは解けないままでしたが,犯人の目星がついてしまいました.

とは言え,面白かったことに変わりはないです.「筆の冴え」という言葉がありますが,横溝正史先生の文章の流れは読者を魅了します.あらためてテレビで観るより原作を読む面白さを感じさせていただきました.
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.51:
(4pt)

もしも横溝氏が夫人の言葉を採用しなかったら(幻の悪のヒロイン志保のサルベージ)

日本の長編推理小説の最高作とも言われる「獄門島」を原文通りに読めるのはありがたいです。

内容についてですが、確かに舞台設定はすばらしいです。
ただ私は「獄門島」を初めて読んだ時(当時は角川文庫版でしたが)から、「犯人の動機が人工的で不自然」と感じていました。
鬼頭三姉妹はただ愚かなだけで極悪人というわけではないのですから、遺言だけでは(釣鐘が帰ってくるという偶然はあったにせよ)普通、殺すことまではできないと思います。
また動機の核心部分に何かロマンチシズムがあれば多少、不自然なところや矛盾があっても受け入れられるのですが、
その部分が「封建的な、あまりにも封建的な」ものだとちょっと夢がなさすぎるような気がします。

そこでそれについて以下に書いてみます。

もともと「獄門島」の犯人については横溝氏によると以下のような経緯がありました。

<引用開始>
◆初刊本「あとがき」
この小説もまだ犯人はきまっていなかったが、大体、人物の配置や事件が決まったところで、
女房に話をしたところが、彼女の曰く、で、犯人というのは-なのねと。
 私はそれを聞いて烈火の如く憤った。おまえは何という事をいうのであるか。
そんな犯人をこさえたら、それこそ鬼どもから罵詈雑言、ヒンシュク、糾弾の火の雨が降るであろう。
(中略)
そのうちに、しかし、待てよ、それ、ちと面白いではないか。
なるほど不自然は不自然だが、書きようによってはなんとかなるであろう。
第一こんな犯人を書いた探偵小説は、いままで1つもなかったようだ。
<引用終了>

では夫人は何と言ったのか?ですが、小林信彦編「横溝正史読本」の「横溝正史の秘密」「第二部 自作を語る」によると「一人ずつ犯人なのね」と言ったそうです。
つまり「三つの殺人ごとにそれぞれ犯人が異なる複数犯」ということです。

夫人に話した時点で犯人は決まっていなかったと言っても人物の配置や事件は大体決まっていたのですから、腹案はあったと想像します。
(おそらくいくつかの腹案があってどれにするか決めかねており、夫人の言ったことは自分のどの腹案とも一致していなかったのだと思います)
そこでもともとの横溝氏の腹案では誰が犯人であったのか?を考えてみると
まず「了然和尚の単独犯」という腹案があったと思いますが、それ以外に「志保か早苗を犯人にする」という腹案があったのではないかと想像します。
それは清公のセリフの中に

「もともとこの島の人間たちゃア、海賊の子孫と島流しにあった罪人とがなれあって出来たもンだというんですが、
あっしやそのうえにもうひとつ、平家のおちゅうどの血がまじってやアしねえかと思うンです。
それというのがあのお志保だ。ありゃァどう見たって、中国筋の人間じゃねえが、
ああいう化け物がひょいひょい現れるンだから、やっぱり先祖の血はあらそわれませんや。
(中略)
早苗さんだってそうだ。
(中略)
若いに似合わず気位のたかいところや、おっそろしく気の強いところが尋常じゃねえ。
そういっちゃ悪いが、早苗さんだってやっぱり化け物のひとりですぜ」

というものがあるのですが、横溝氏自身が化け物と規定しているのが志保と早苗だからです。

さらに志保については初登場した時に

「この女はあきらかに南国系ではない。
秋田とか越後とか、とにかく北国系の美人が、京の水で磨きに磨かれたというタイプである」

というふうに紹介されています。
横溝氏の小説は「八つ墓村」の津山事件や「悪魔が来たりて笛を吹く」の帝銀事件のように現実を元にしていることが多いので、瀬戸内海の島にまれに東北系の人間がいるというのも実際にあることなのだろうと思います。
これはおそらく瀬戸内海の島々は江戸時代から山形の酒田から新潟、福井、広島を経て大坂・江戸を結ぶ西廻り航路の途中にあったからではないかと思います。

以上の2つを考え合わせるともともとの横溝氏の腹案には「犯人は志保」というものがあったのではないかと想像します。
(横溝氏が犯人を了然和尚にするか志保にするか迷っていたところに夫人が「一人ずつ犯人なのね」(三つの殺人ごとにそれぞれ犯人が異なる複数犯)と言ったのではないでしょうか?)

以下、2つの腹案(の予想)について考えてみますと...

①「了然和尚の単独犯」の場合

★嘉右衛門が鬼頭三姉妹の見立て殺人を依頼するのは了然和尚だけになり、「三人もの人間が遺言で三姉妹を殺すことに同意する」という動機の不自然さは軽減されます。
 ただし読者にとって犯人の予想は現状より容易になってしまうかもしれません。

★アイディアの元になったと思われるヴァン・ダインの「僧正殺人事件」と凶器が類似していることになります。

★全体の流れは現状とそれほど変わらないと思います。
 (ただし各建物への各人物の出入りの順番は変更が必要になるかもしれません)

★第二、第三の殺人を了然和尚が行うことになります。
 特に第三の殺人の関係から復員服の男を岩陰から了然和尚が殺す部分はなくなると思われます。
 (高齢の了然和尚が岩陰から復員服の男を殺すのは不自然ですからここはないほうが良いかもしれません...)

②「志保が犯人」の場合

★志保が犯人となれば「八つ墓村」で辰也の前に現れた美也子のように志保は魅力的な女性として金田一の前に現れることになると思うので「怪しい人物がやはり犯人だった」ということになるという心配はありません。
また志保は本鬼頭、分鬼頭につぐ、つぶれてしまった第三の網元、巴家の出身なので、それから来るうらみも十分ですし、現在は分鬼頭の儀兵衛の妻におさまっているものの、本当は一(ひとし)が好きだったという話もあることですから、一(ひとし)に本鬼頭を継がせるために三姉妹を殺していったとしたら動機も十分です。
(「八つ墓村」と動機が似てしまいますが志保は美也子の原型ということなのだと思います。
 獄門島での志保の立ち位置と八つ墓村での美也子の立ち位置は類似していますね)

★「獄門島」の見立て殺人は第一と第二の殺人でだいぶ腕力が必要になることから男性の共犯者が必要になります。
そこで志保の共犯者の候補として考えられるのは鵜飼章三、了然和尚、潮つくりの竹蔵の三人ですが、私は一(ひとし)が実は生きていたということにするのが面白いと思います。
一(ひとし)も三姉妹が殺されることを予感していたので、こっそり帰って来たところ志保の犯罪を目撃してしまい、愛する志保の疑いをそらすために腕力のいる見立てをしたとか...
(「犬神家の一族」の見立てに似てしまいますが...でも「犬神家の一族」と「獄門島」は話の構造が似ていますね)

★復員服の男は最初の腹案では一(ひとし)だったのではないでしょうか?
 (例えば「犬神家の一族」の本物の佐清のように...)

★現状の小説中の志保というキャラクターは最初、主要人物の一人として登場するのに、第2の殺人の釣鐘を見てとりみだしてからは全くのその他大勢の一人になってしまいます。このあたりが最初の腹案から変更された痕跡のように私には思えます。

★「犯人は志保」とすると全体の流れは現状とかなり変わると思われますので以下にその一例(真相)を書いてみます(あくまで一読者の想像です)。

・嘉右衛門が鬼頭三姉妹の見立て殺人を考え、それについて了然和尚、千万太、一(ひとし)に話す。

・千万太と一(ひとし)は二人とも戦争から生きて帰ろうと誓い合う。

・志保は現在は分鬼頭の儀兵衛の妻におさまっているものの、本当は一(ひとし)を愛していた。
 そして一(ひとし)も実は志保を愛していた。
 一(ひとし)は志保にも嘉右衛門の見立て殺人計画について話していた。

・嘉右衛門が死に際に「千万太が死に一(ひとし)が生き残った場合は三姉妹を殺す」ように了然和尚に頼む。

・千万太は金田一に「三姉妹を頼む」と言い残して復員船の中で死ぬ。

・一(ひとし)も千万太の死を知り、自分が帰ると三姉妹が殺される可能性があることから、故郷に帰ったものの、本鬼頭の本宅には戻れずにいた。

・了然和尚は三姉妹を殺すにしのびず、月代に養子を取って本鬼頭を継がせることで対応しようと決める。

・志保は長年の本鬼頭に対する恨みをはらすためと一(ひとし)に本鬼頭を継がせるために三姉妹を殺していく。

・一(ひとし)は志保が花子を地神様の祠で殺すのを影から見てしまったが、「これは死んだ嘉右衛門が志保に乗り移って殺しているのではないか」と思い、また志保の本鬼頭に対する恨みを良く知っていたことから、「もしも志保が三姉妹を殺してしまったら自分が本鬼頭を継ごう」と覚悟を決める。
 またいずれ嘉右衛門の見立て殺人の構想は知られるようになるだろうと思って、見立て殺人の構想を知っていた者に疑いを向けさせるためと、腕力のいる見立ては女性にはできないだろうと思わせ志保から疑いをそらすために三姉妹の死体に見立てをほどこしていく。

・第1の殺人では、志保が鵜飼章三に手紙を書かせて三姉妹の一人を地神様の祠に呼び出す。
 志保は鵜飼章三と同じ着物を着て(鵜飼は華奢な体形のため夜、遠くからでは区別がつかないのであった。
 またもしもの時は鵜飼を自殺にみせかけて殺し、罪を着せるつもりだった)祠まで行き、花子を殺した。
 今夜は祠に泊まろうと思ってやって来た一(ひとし)は偶然、志保が花子を殺すところを見てしまう。
 一(ひとし)は志保がいなくなってから花子の死体を千光寺まで背負って行き梅の木につるすが、逃げるところを了然和尚に見られてしまう。
 了然和尚は花子の死体を見て「キがちがっているが...是非もない」とつぶやく。
 志保はあとで自分が祠で殺した花子が千光寺の梅の木につるされていたことを知って驚き、もしや一(ひとし)が...と思う。そして第2の殺人を釣鐘の近くで行うことに決める。
 一(ひとし)は第2の見立てのために本鬼頭の蔵から芝居用の釣鐘を持ち出すが後ろ姿を早苗に見られてしまう。

・第2の殺人では、志保が鵜飼に手紙を書かせて天狗の鼻まで雪枝をおびき寄せる。
 そして自分は鵜飼と同じ着物を着て天狗の鼻まで行き、雪枝を殺してしまう。
 志保の動向に注意していた一(ひとし)は影から見ていたが、芝居用の釣鐘と棒を使って見立てをし、志保のアリバイを確保する。
 志保はあとで自分が殺した雪枝が釣鐘の下にいたことを知って驚き、やはり一(ひとし)が...と思う。

・第3の殺人では、本鬼頭に来ていた志保が祈祷所に忍び込んで月代を殺す。
 嘉右衛門の見立て殺人計画について知っていた志保は死体の上に萩の花をまき散らした。

・警察は「犯人は復員服の男」と判断し、一(ひとし)は山狩りで追いつめられて射殺されそうになるが、金田一が「一(ひとし)は犯人ではない」と言って救う。
 一(ひとし)は「自分が犯人だ」と言い張る。

・了然和尚は「嘉右衛門の見立て殺人の計画」について金田一と磯川警部に話す。

・三姉妹を殺して本鬼頭へのうらみをはらし、分家の一(ひとし)が本鬼頭を継ぐことを知った志保は一(ひとし)の疑いをはらすために「自分が犯人だ」と告白し、自殺する。

・一(ひとし)は妹の早苗に「刑務所から帰って来たら自分が本鬼頭を継ぐ。それまで本鬼頭を守っていて欲しい」と言う。

※「八つ墓村」の美也子にならって志保に男装させてみました。

※見立てを一(ひとし)と志保の以心伝心でやることにしたのでそこにやや無理があったかもしれません。
 鵜飼章三が見立てをやることにすればそこは解決しますが、ロマンチシズムは後退するかもしれません。

もしも横溝氏が夫人の言葉を採用せず、また「犯人は志保」という腹案で「獄門島」を完成していたら「八つ墓村」や「犬神家の一族」の要素の入った「獄門島」になったかもしれないとも思います。
(と言うよりも「獄門島」で当初想定していた犯人を変更したために使わなかったアイディアをこれらの作品で使ったということではないでしょうか?「獄門島」の連載が終了した翌年から「八つ墓村」が、翌々年から「犬神家の一族」の連載が開始していますし...)

以上の通り、本当は「八つ墓村」の美也子の先駆けとなったかもしれない幻の悪のヒロイン、志保をサルベージしてみたのですが、いかがでしょうか?
(私は志保のファンなので、横溝氏が夫人の言葉を採用せずに志保を犯人として
「獄門島」を執筆してくれていたら良かったのに...と思っています)

さて「獄門島」はこれまで何度も映像化されており、私は金田一役の俳優の名前で言うと「片岡千恵蔵版」以外はすべて観ています。
私が観た中の志保役で誰が良かったか考えてみると片岡鶴太郎版の二宮さよ子がベストで、横溝正史シリーズの古谷一行版の浜木綿子が次点となります。

実は市川崑監督の石坂浩二版「獄門島」では犯人を部分的に変更しています(志保への変更ではありませんが)。
もしも犯人の変更が許されるなら犯人を志保に変更した「獄門島」の映像化も私は観てみたいです。
横溝正史自選集〈2〉獄門島Amazon書評・レビュー:横溝正史自選集〈2〉獄門島より
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No.50:
(4pt)

舞台の雰囲気と物語の構成はさすがだが

見立て殺人の理由が分からない。金田一がいなかったら、誰も見立て殺人だって気付かないんじゃないか。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.49:
(4pt)

日本古典長篇本格探偵小説の傑作!!!

その島の名は…『獄門島』という。

  《あらすじ》

「………金田一君…
俺の代わりに……

獄門島へ行ってくれ………

俺が帰ってやらないと……三人の妹たちが殺される………」

終戦後、日本に向かう復員船の中で、こう言い残して死んだ青年・鬼頭千万太。
昭和二十一年九月上旬、
戦友だった金田一耕助は、千万太の遺言を伝える為、瀬戸内海の孤島に向かう。
その島は名は、『獄門島(ごくもんとう)』と呼ばれていた―………

金田一は、島の有力者である了然和尚、村長の荒木真喜平、医者の村瀬幸庵の三名に宛てた千万太の紹介状を携えていた。

船上で偶然出会った了然和尚に、金田一は、千万太の死を告げる。
和尚は、
「本家は死んで分家は助かる、是非もないことじゃ………」
と呟いた。

どうやら、分家の一(はじめ)は生還したようだった………。

鬼頭の本家に赴いた金田一を迎えたのは、
一の妹である早苗と
千万太の三人の妹・月代、雪枝、花子であった。

苦境の本家を切り盛りする早苗に恋情を覚える一方、
三姉妹の異様な雰囲気に胸騒ぎを覚える金田一であった……。

角川文庫

横溝正史 著

   《紹  介》

探偵小説のモチーフの一つに、
“見立て殺人”というのがあります。

古くは、ウ゛ァン・ダインの『僧正殺人事件』や、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』が古典的傑作です。

本作は、日本を代表する探偵小説作家・横溝正史が、
「日本でも、“見立て殺人”はやれないものか」の発想のもと創作されました。
また、横溝正史特有の“血族のしがらみ”も本作の特色として、大きく顕れています。

血族の因習と怨念に縛られたお馴染みの
“横溝ワールド”を是非ともご堪能ください。

名探偵が活躍する、推理を基調とした本格探偵小説が読みたい、という方に、本作品を強く推薦いたします。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.48:
(4pt)

「見立て殺人」に挑戦した古典本格探偵小説。

その島の名は…『獄門島』という。

  《あらすじ》

「………金田一君…
俺の代わりに……

獄門島へ行ってくれ………

俺が帰ってやらないと……三人の妹たちが殺される………」

終戦後、日本に向かう復員船の中で、こう言い残して死んだ青年・鬼頭千万太。
昭和二十一年九月上旬、
戦友だった金田一耕助は、千万太の遺言を伝える為、瀬戸内海の孤島に向かう。
その島は名は、『獄門島(ごくもんとう)』と呼ばれていた―………

金田一は、島の有力者である了然和尚、村長の荒木真喜平、医者の村瀬幸庵の三名に宛てた千万太の紹介状を携えていた。

船上で偶然出会った了然和尚に、金田一は、千万太の死を告げる。
和尚は、
「本家は死んで分家は助かる、是非もないことじゃ………」
と呟いた。

どうやら、分家の一(はじめ)は生還したようだった………。

鬼頭の本家に赴いた金田一を迎えたのは、
一の妹である早苗と
千万太の三人の妹・月代、雪枝、花子であった。

苦境の本家を切り盛りする早苗に恋情を覚える一方、
三姉妹の異様な雰囲気に胸騒ぎを覚える金田一であった……。

 

横溝正史 著

   《紹  介》

探偵小説のモチーフの一つに、
“見立て殺人”というのがあります。

古くは、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』や、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』が古典的傑作です。

本作は、日本を代表する探偵小説作家・横溝正史先生が、
「日本でも、“見立て殺人”はやれないものか」の発想のもと創作されました。
また、横溝正史特有の“血族のしがらみ”も本作の特色として、大きく顕れています。

血族の因習と怨念に縛られたお馴染みの
“横溝ワールド”を是非ともご堪能ください。

名探偵が活躍する、推理を基調とした本格探偵小説が読みたい、という方に、本作品を強く推薦いたします。
横溝正史自選集〈2〉獄門島Amazon書評・レビュー:横溝正史自選集〈2〉獄門島より
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