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(短編集)

閻魔堂沙羅の推理奇譚



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【この小説が収録されている参考書籍】
閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚の評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

閻魔堂沙羅の推理奇譚の感想


 自分を殺したのは誰だ? 死の直前の記憶から犯人を推理せよ、蘇りか地獄行きか閻魔大王の娘沙羅から課される推理ゲーム!

いいですね。 形式としては犯人当ての短編集ですがいい感じに伏線も張られてるし、死後の世界の経験によって主人公たちが明るい転機を迎えてくのもグッド。 設定は特殊だけどそれよりかはストーリの筆致が評価されたメフィスト賞としては珍しい作品ですね。

りーり
9EDFH0HC
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

閻魔堂沙羅の推理奇譚の感想

第55回メフィスト賞受賞作。
これは面白かった。閻魔様が出てくるプチ異世界もので現代テイスト。殺伐さは無し。続編やドラマ化しやすい作り。読後感もよい。
万人向けのミステリです。

表紙とあらすじからは予想できませんでしたが、本書は推理する事を楽しむ90年代の新本格ミステリを読んでいるような楽しさを感じました。プラス、現代風な味付けとなっており、ミステリ初心者には特におすすめです。

短編集であり、各物語はミステリの問題集のように楽しめます。
構成をざっくり言うと、
・各主人公のエピソード⇒ 死んでしまう⇒ 表紙の閻魔大王の娘登場⇒ 推理編⇒ 解答編⇒ 後日談。
という流れ。
よくある流れではありますが、この手順がしっかり仕分けされているのがポイント。

各主人公達は死んでしまうのですが、なぜ?誰に?と言った理由は、エピソード内に手がかりが用意されており、推理可能な内容となっています。
「読者への挑戦」は挿入されていませんが、それぐらいフェアな手がかりが提示されています。
各主人公達は、なんで死んでしまったのか訳が分からない。理由を教えて!と閻魔の娘に懇願しますが教えてくれません。手がかりはすべてそろっているから推理して当てたら願いを叶えてもいいよと情けをかけてくれます。主人公達と読者は同じ目線にあり、手がかりを推理して真相に迫る流れが楽しめました。探偵が唯一無二の完璧な解答を示すのではなく、素人推理で読者とシンクロしていく展開が巧いです。

登場する閻魔大王の娘の沙羅もよいキャラクターをしています。
冷徹で淡々と仕事をこなすキャラかと思わせておいて、ドジっ子で人情味を感じさせる可愛い個性があります。意味はちょっと違うけどツンデレ的。登場シーンのページ数は少ないのですが、非常に印象に残り魅力的でした。

敢えてマイナスになりそうな点を挙げるとすれば、手がかりが簡単すぎて結末が読める事と、骨太志向の方へは深みがない作品である事。レーベル然りライトミステリの分野です。ミステリ的な衝撃やトリックみたいなのは今後に期待です。本書は閻魔の娘との絡み、各主人公達の人情的なドラマに魅せられます。先に書いたドラマ化しやすそうな印象を受けたのはこの為です。

あと余談ですが、ゲーム『トリックロジック』を知っている方がいましたら、正にそれの小説版と言った感じです。
手がかりを読んで、推理して、閻魔様に生き返らせてもらう。好きなゲームなのですが、この楽しい要素に新たに触れる事ができた本書は大変好みでした。
サクッと読める本格ミステリが好きな方は是非どうぞです。続編も楽しみです。

egut
T4OQ1KM0

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