■スポンサードリンク


繊細な真実



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
繊細な真実 (Hayakawa novels)
繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)

繊細な真実の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

正義が犯罪になる恐怖

スパイ小説界のレジェンド、ジョン・ル・カレの23作目の長編小説。2013年発表なので御年83歳での作品だが、まだまだ現役バリバリの密度の高いエンターテイメントである。
英領ジブラルタルで行われた極秘のテロリスト捕獲作戦に駆り出された引退間近の外務省職員ポール(偽名)は、現場での強引な作戦行動に疑問を感じるものの、「作戦は成功だった」と告げられ任務を解かれた。3年後、引退して妻の故郷で平穏に暮らし始めていたポールは、極秘作戦の現場指揮官だったジェブと再会し、恐るべき事実を告げられる。真相を探るため、ポールは手始めに当時の担当大臣の秘書官トビーに連絡を取ることにした。一方、若くて意欲的な外交官として活躍中だったトビーは、当時、大臣の不審な行動に疑問を抱き、違法な方法で情報を集めていた。ポールとトビー、二人の疑問が重なり合って、ジブラルタル作戦の真実が暴かれようとする・・・。
本作も、個人と組織、国家の軋轢をテーマに、キリキリと締め上げるようなサスペンスが展開される。ことに、「国益」を盾に公務員の守秘義務を厳密に適用して口封じをはかる法務官僚の不気味さは、「特定秘密保護法」が成立してしまった日本でも現実感ありありで、官憲がその気になれば「どんな正義でも犯罪として葬ることが出来る」恐さを実感させる。
ジョン・ル・カレは永遠に枯れないことを実感させる良質なエンターテイメントで、多くの方にオススメです。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!