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繊細な真実



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【この小説が収録されている参考書籍】
繊細な真実 (Hayakawa novels)
繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)

繊細な真実の評価: 3.29/5点 レビュー 14件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

81歳にしてこの創作能力に瞠目。

評者は、『地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録』(2016年)を、昨年5月に読んだが、本書『繊細な真実』は未読だったので入手して読むことにした。
 1931年10月生まれのル・カレは、81歳で本書『繊細な真実』(2013年)を書いている。
 冷戦後、スパイ小説は絶滅したかに思えたが、ル・カレは、見事にその壁を乗り越えて視野を広く持ちグローバル世界を捉えながら思考を巡らし創作意欲を失なわず見事に傑作をものにしている。
 世界の紛争も企業が請け負ういびつな現実世界をテーマにして、みずみずしい文章で登場人物を描写するこの才能は、いったいどこから生まれてくるのだろうかと不思議である。
 この歳にしてこのような傑作を書ききることができる稀有な作家であろうと瞠目しながら本書『繊細な真実』を読み終えた。
繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.13:
(4pt)

ヘラクレスの柱

カバーの写真は、地中海に突き出た半島の先端にあるジブラルタルの岩山、ヘラクレスの柱である。ここはスペインとイギリスの領土問題の地である。
誰かの書評で読むことになった本書は、独特の言い回しで、斜め上からの視線が必要な文体だった。冗長ともとれる前半部分が、後半になって集約して展開される。特に最後は急展開で引き込まれた。
健全な市民世界の上に初めて健全な資本主義が存在すると思う。国家は両者の健全性を保つべき存在であるはずだ。
「ナイロビの蜂」もジョンルカレの作品とはしらなかった。ある方の勧めで観たその作品にも国家を超えて圃場を探す利益組織の暗躍があった。しかし、その組織が昔はアジアを植民地化(圃場化)していった英国そのものであったというのも皮肉だろう。
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No.12:
(1pt)

カスタマー

最近のル・カレの作品は、面白くない。スマイリーを主人公にした物語では、文章は読みづらくても、結末まで読んでみて、よかったと思われる作品があったが、この作品も誰よりも狙われた男と同様に結末がつまらない。
この繊細な真実も、主人公が気になっていることをだらだらと伸ばしただけで、結末まで来ています。結末の詳細は伏せますが、マスコミにリークすれば済むことを、もっと読者がル・カレに期待するような結末にしてほしかった。
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No.11:
(1pt)

翻訳がおかしい

なんというか、ビジネスメールの文章を延々と読んでいる感じがして、物語の持つ面白みがゼロでした。
あまりにも読み進まない、読むのが苦痛のため、原書の方で再トライします。
この翻訳レベルで、この値段は高すぎる。
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No.10:
(5pt)

グローバリゼーションのもたらした国民国家の変質。この悲劇は他人事ではない。

海峡を制するイギリス領ジブラルタルで決行されたある秘密作戦。突如参加を命じられた外務・英連邦省職員「ポール」は作戦の成功を聞かされ、栄誉を得て帰還する。作戦の存在そのものが国の秘密事項とされた。
一方、若いキャリア外交官トビーは、大臣を操り作戦を企画・主導したアメリカ民間軍事会社の影に気づき、職務規定に反しある行動に出る。
3年の後に作戦の真の結果と、それがもたらした悲劇を知らされた「彼」とトビーは、果敢に真実に近づこうとするが……。

・立ちはだかるは機密の壁。なによりグローバリゼーションのもたらした国民国家の変質、すなわち、国民よりも多国籍企業に奉仕する民主主義政府の姿は不気味ですらある。
・他人事ではない。2014年より施行された秘密保護法により、この日本においても外務・防衛に関する「繊細な真実」は分厚いカーテンの向こうに隔離され、「主権」を有するはずの国民から、知る権利は剥奪されたのだ。。。
・民主主義の敵。真山仁さんによる文庫版の解説は、グローバリゼーションと並ぶ、もう一つの内なる敵の存在に気付かせてくれた。

ラスト付近の、黙って涙を呑む「彼」の描写には、思わず涙した。
一個人が国家の巨大な壁に対峙するには勇気だけでは不足。高尚な正義を貫くためには、人生のすべてを闇の中へ投げ出す覚悟が必要ってことか。
繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV)より
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No.9:
(5pt)

骨太の描写力と、力強い構成力がすごい

部屋に近づいてくる足音を描写する。「ひとりは力強くゆっくりとした音、もうひとりは軽くはねるような音。」(90頁)。これだけで、二人がどんな人か見当がつくではないか。
黒幕が主人公に話す場面があるが(189頁)、重い責任と権力を持つ思慮深い人の話しぶりを騙るありさまがいきいきと伝わってくる。
たった数行の描写で人物を語り尽くす筆力に驚く。

目立った業績のない外交官が閣外大臣に呼ばれ、或る秘密作戦に参画することを命じられる。作戦はあっけなく大成功だと告げられる。しかし3年後に、実際に行われていたことを知り、衝撃を受ける。
内部告発者になろうとしたときから、身の周りに不穏な出来事が起こるようになり、別の秘密を知るもう一人の主人公と共に、命が狙われていることが明らかになる。

筋が動きはじめるや、パズルの駒がはまっていくように段階的に謎の全体像が姿を現してくると共に、出来事がじわじわと緊迫の度を増し、予想もしなかった恐るべき戦いへと駆け上がっていく。
簡潔な文体にして、状況を一言の記述で捕捉し、読む者を作中の怒涛の中へ引き込んでいく、骨太の筆力に感嘆した。
『繊細な真実』という題名が、後半で効いてくる。物語の展開も、最後の頁まで一分の隙もない。

ジョン・ル・カレ『繊細な真実』
加賀山卓朗訳
早川書房
2014年11月25日 初版発行
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4152095032
No.8:
(3pt)

Rascal

はっきり言って、初期のル・カレの作品から見れば凡作。ストリー的も、個人の描き方もイマイチである。
東西冷戦期に比べれば迫力のあるスパイ小説はむつかしいだろうけど、リトルドラマーガールのようなル・カレならではの小説はもう期待できないのだろう。
なお、ル・カレ本人に政治的な意図があるかは何とも知りようがないが、翻訳者が日本のぬるーい状況とイギリスの防諜政策を絡めて、日本の政治を批判するのは筋違いである。
ちなみに評者は村上 博基さんの訳の方が好きである。
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4152095032
No.7:
(1pt)

訳文が日本語になっていない。

訳文が日本語としてこなれておらず、読み続ける気力が無くなってしまった。
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No.6:
(3pt)

最近のル・カレ

最近のル・カレはこの路線です。スマイリー三部作の頃の重みはありません。しかし、ユーモアのセンス・人間に対する愛着がじんわりにじみ出ているのは、ル・カレの年齢のなせる業でしょうか。
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No.5:
(4pt)

名作

本作は米英がテロ容疑者を違法に誘拐し、尋問を加える、いわゆる囚人特例引き渡しがテーマになっているが、ル・カレお得意のスパイものというわけではない。
登場するのは主に外交官、特殊部隊、民間軍事会社であるが、いずれも秘密と背中合わせの人々。
スパイを出さないところがむしろリアリティを醸し出す。
囚人特例引き渡しとそれをめぐる民間軍事会社の暗躍については、下手な解説本や専門書を読むよりは、はるかに詳細に、かつ滑らかに描かれている。

 本作品の主人公、トビーやクリスピンはまさに今のイギリスの若いエリートを体現したような人物だ。
向上心が強く、自らの知性と情報(インテリジェンス)によって真実に迫っていく。
このタイプの人物はル・カレ作品では珍しいが、それが物語に躍動感を与える。
それに対するキットやジャイルズといった登場人物はまさに古きイギリスのエリート達だ。
思慮深くなかなか行動には移さない。

 本作ではこのような新旧のイギリスのエリートの世代間ギャップも描かれており、とても面白い。
ただ惜しむらくは最後に日本の特定秘密保護法を揶揄した余計な解説が書かれていることだろう。
本作はあくまでも違法な囚人特例引き渡しがテーマであり、機密保護法はあまり関係がないのではないか。
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No.4:
(3pt)

繊細な真実

前作「誰よりも狙われた男」に続いて購入、
フォーサイス、デイルブラウンとか系の
「ハイテク冒険スパイアクション」を期待して読み進めて
も特に盛り上がるとこもないし・・・、
 2作とも読み終わって、私も「だからどうしたの?」って感じです(笑
イギリス政府が秘密作戦でミスなんて
アフガン・イラクではごく普通に起きてると思いますが
 
 ル・カレの世界を
堪能できないのは
まだまだ私の修行不足なのでしょうか?
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No.3:
(1pt)

残念 !!

全く緩慢で退屈。三分の二まで我慢して読んだのですが後半は飛ばし読みでした。
読後の感想は 「だからどうしたの?」
前作も同様でした。もう無理ですね。
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No.2:
(5pt)

ぜひ映画化してほしい

昨年末、早川ノベルズから「誰よりも狙われた男 」(映画化)が出たばかりだが、ここ数年矢継ぎ早にル・カレの作品が翻訳出版されているのでファンとしては嬉しい限りである。
 最近の彼の特徴として、一般人に近い主人公が諜報戦に巻き込まれ各国の思惑に翻弄される展開が多い。本作も筋金入りのスパイは脇役で、我々読者に近い立場の登場人物が自分の生活を脅かされ、人生観を揺さぶられつつ正義を貫こうとする姿が痛々しくも読み手の心をつかんで離さない。
 本作では、彼には珍しく第1章の息をつかせぬ軍事作戦の場面からはじまり、全編サスペンスの要素がふんだんに盛り込まれていて、短いながら読み応えは十分にある。さらに、昔の彼の作品によく見られたスパイのメンターが物語の鍵を握っている。
 今回の標的は、9.11以後アメリカやイギリスが対テロ戦争の名の下に行ってきた非人間的な秘密作戦だけでなく、新しい傭兵組織でもある民間軍事会社である。要人警護や施設警備にとどまらず、軍事教育などの軍事的サービスを行う一企業であり、国が関与できないテロ対策や戦闘活動を請け負う彼らは、イラク戦争やシリアでも悪名をはせたことは記憶に新しい。
 本作ではあくまで架空の存在ではあるが、功名をはやる政治家と癒着し不必要な殺人を犯したことを隠蔽し、不正を公表しようとした登場人物達の行く手に立ちはだかる存在として描かれている。
 もう一つ恐ろしいのは、我が日本でも昨年末施行された「特定秘密保護法」のイギリス版に当たる公職守秘法が、物語のクライマックスで実にリアルの描かれていることだ。外務省の元同僚が、法を盾に主人公の知り得た国の不正の事実をもみ消そうと威圧する場面には、怒りとともに背筋が寒くなった!
 おそらくル・カレは現在の日本の政治家達の姿を見て「おまえ達もか」とあきれるとともに、日本国民にも賢くあれと願っているに違いない。
 ル・カレの作品はいつも、現実を見据えたほろ苦い寂寥感を味わうことが多いのだが、本作のラストに関しては希望を感じる。本作こそ映画化してほしい。そのエンディングにはデヴィッド・ボウイの「Hero」がふさわしい。
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4152095032
No.1:
(5pt)

頂点に近い作品を読める幸福感

「ルカレはこの分野における頂点に近い作品を書き続けている」とニューヨークタイムズは、この作品を評している。彼の最新三作である「誰よりも狙
われた男」「我らが背きし者」そしてこの「繊細な真実」を読んだ私もこの評価には全く異論はない。

「ワイルドライフ作戦」英国領ジブラルタルでテロリストを捕獲すべく英国特殊部隊が派遣される。英国外務省のベテラン職員キットも何故かこの作戦に参
加するように時の大臣クインより指示される。この作戦自身に疑義を抱く現地の指揮官ジェブ。彼の部隊はそれでも命令で、テロリストが潜むと
思われた建物に突入する。その3年後、この作戦における「貢献」を評価されたキットは予想もしない爵位を与えられ、田舎で優雅な引退生活
を送っている。そこに現れたジェブ。極貧の中精神も侵されたジェブは、キットにメモを渡し、この作戦において無垢な赤ん坊と母親が殺害された
と伝える。その罪の意識で人生を狂わされたジェブはキットと共に真実を明らかにしようと持ちかけ、キットもそれに乗る。キットが頼るのは、キットに
命令を下した大臣クインの秘書官をしていた若き外務省職員トビー・ベル。彼らの権力との無力な戦いが始まる。

「元来個人を守るべく出来たはずの体制や大義が個人を蹂躙して行くことへの大きな怒り」(訳者)が、ここ最近のルカレの作品の大きな
バックボーンになっていると思う。体制に対する無力な闘いに勝利はあるのか、ルカレは相変わらず、読者に対して諂うことをしない。いや、
それどころか無愛想で残酷でもある。はらはらしながらページをめくらせながら、ハッピーエンドを用意はしてくれない。だが、いつまでも心に
残る読後感を読者に与える。

ルカレの作品は、決して読み急いではならない。分かりづらく思えば、ページを戻ってもう一度読んで一言一句読み落とさないことが大事だと
いつも思う。すると最後に、ああ、この作品は本当に読んで良かったなと思わせてくれる。欧州では彼の作品は常にベストセラーになる(残念な
がら日本ではそうではないと思う)。それは欧州の読者がこの「20世紀後半の最も偉大な作家」が常に読者に読んだことを後悔させないこと
を、よく知っているからであろう。そして私もそれがよく分かっている一人だと自負している。
繊細な真実 (Hayakawa novels)Amazon書評・レビュー:繊細な真実 (Hayakawa novels)より
4152095032

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