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ライフボート



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【この小説が収録されている参考書籍】
ライフボート (集英社文庫)

ライフボートの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

定員オーバーの救命ボートで、何が起きた?

1914年の夏、大西洋上で爆発炎上した大型客船から下ろされた救命ボートには、乗客と船員を合わせて39名が乗っていた。大混乱の現場から離れ、沈没する船から逃れたボートだったが、用意された水や食糧は乏しく、さらに乗船可能な定員が実際には30名ほどだったことが判明する。定員オーバーの船は海が荒れればたちまち海水が浸入し、沈没する恐れがある。いつ来るのか分からない救助を待つには、「積み荷」を減らさなければならない・・・。積み荷を減らすための手段は? 減らす積み荷を誰が選別するのか? 極限状態に置かれた人間集団にとって、善と悪はどこで線引きされるのかという厳しい問いが投げかけられる。
物語は、主人公である22歳の女性・グレースが裁判のためにまとめた回想記として進められているが、実はグレースはボート内で起きた出来事について起訴されている立場であり、いわば被告人の弁明のための主観的な記述でしかない。従って読者は、書かれている内容を完全に信用することが難しく、常に緊張感をもって読まなくてはいけなくなる。
遭難サバイバル物語というより、「羅生門」などと同じ「薮の中の物語」と言えるだろう。作者はこれがデビュー作ということだが、じわじわとくるサスペンスの盛り上げ方をみると、かなりの技巧の持ち主である。
アン・ハサウェイ主演で映画化されるということで、これも楽しみだ。

iisan
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