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妖異金瓶梅



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妖異金瓶梅の評価: 7.67/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(9pt)

奇書のさらにその先を行った奇書

『西遊記』『三国志』『水滸伝』とならんで中国の四大奇書に数えられる、『金瓶梅』の世界を舞台にした異色の本格ミステリ。
『金瓶梅』自体が『水滸伝』のスピンオフ作品という位置づけなので、ある意味この作品はスピンオフのスピンオフの位置づけでしょうか?

明の時代の中国。豪商にして大好色漢である西門慶は正妻に加え七人の妾、さらには侍女なども含め多くの美女を邸内に抱え、乱れに乱れた性生活を送る……という
登場人物含めここまでの設定、あらすじは原作の『金瓶梅』を完全になぞるものになりますが、そこに女の愛憎・嫉妬・情欲が絡み合った数多くの傷害・殺人事件が発生することで、連作短編形式の本格ミステリ小説の体を成していきます。
原作の『金瓶梅』がそうであるように、設定上必然的に性的な場面が非常に多く、官能小説的な面も多分に含まれるため、人によってはそこをご注意(ご期待)ください。

これ一冊で”歴史小説”にして”推理小説”にして”官能小説”という極めて異色、まさに奇書のさらにその先を行った奇書という感想ですが、作中の各章で起こる事件はアリバイ崩しやホワイダニットなどが主眼となった想像以上に「まっとうに」本格ミステリしている作品でした。

最初は人物の名前が当然のことながら皆中国名なことをはじめ、読みにくいという雰囲気だったのですが、すぐに慣れ、むしろ50年以上前に発表された小説とは思えない読みやすさでした。
『忍法帳シリーズ』もそうですが、本当に山田風太郎御大の作品は、まるで現代の作者がタイムスリップしているのではないかと思うぐらい今読んでも文章・感性ともに古臭さを感じません。
それどころか現在からさらに50年後の人間が読んだとして、今をときめく作家の作品はその時、古臭いと言われても、彼の作品はそう言われないのではないかと思ってしまいます。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:
(7pt)

不思議な国

中国の歴史の勉強になりました、

わたろう
0BCEGGR4
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

「妖異金瓶梅」の感想

ちょっとしたきっかけで、ふと「妖異金瓶梅」を思い出してしまいましたので、1984年に購入した本書を再読しました。
現在発売されている角川文庫版には、単行本未収録の異稿版「人魚灯篭」も含まれているようですが、私が所持している本には、残念ながら含まれておりませんでした。

さて、本書は、中国四大奇書の一つに数えられる「金瓶梅」(「水滸伝」のスピンオフ物語)の登場人物を使って書かれたミステリ(なので18禁)で、14編の連作短編です。
豪商・西門慶(せいもんけい)は世の乱れをよそに、その邸内に8人の愛妾を住まわせ、楽しい日々を過ごしていますが、その中で殺人事件が起きるという設定です。
探偵役には、西門慶の元悪友で、今は落ちぶれて太鼓持ちをして居ると言う応伯爵(おうはくしゃく)。
彼は事件の真相を見抜きますが、なぜか真犯人を告発しないで黙っていると言う、ちょっとユニークな探偵です。

第一話の「赤い靴」では、謎解きを中心に据えた普通のミステリだと思って読んでいましたが、第二話の「美女と美童」以降、ちょっと変わった形式になって行きます。
二話以降では、第一話からの話の流れで、読者には犯人だろうと思われる人物が予想できるように描かれていて、倒叙ミステリのような犯罪小説のような話でした。

初めて読んだ時は、あまりにも簡単な動機で殺人が行われてしまうし、その方法も中国の話には良く出てくるような残酷な様子なので、あまり気持ちよく読める作品ではありませんでした。
でも、今回読み返して見て、探偵役の応伯爵がちょっとユニークな人物だし、主人公の一人・潘金蓮(はんきんれん)と言う女性が、とても生き生きと描かれているので、(30年前と較べると、許容範囲が広くなっているのか)結構面白く読みました。

ただ「凍る歓喜仏」以降の4編は、それまでの短編とちょっと様子が違い、梁山泊のメンバーも登場し、西門慶の死をきっかけに、その愛妾たちも亡くなってしまい、崩壊していく様子が書かれています。ちょっとした長編を読んでいるような感じです。
今回、30年ぶりの再読ですが、今でも十分楽しめました。

トラ
WFY887SY

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