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【エラリー・クイーン】
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エジプト十字架の謎の評価:
5.50/10点 レビュー 6件。 B ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点5.50pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Tの悲劇?
国名シリーズ5作目でシリーズ中最高傑作と名高い本書。その導入部はエラリーが父親の出張旅行に同行している最中に出くわす猟奇的な殺人事件というショッキングな幕開けだ。しかも今回クイーンは云わば「動のクイーン」と称せるほど、クイーンが動く。物語の舞台が変る。最後の犯人の追跡行はアメリカ東部の主要都市を車、飛行機を駆使して不眠不休の如く、続けられる。また今までのシリーズのように、事件をしっかり調査して、並べられた証拠・事実をじっくり吟味する趣向と違い、犯人と目される人物の名前は出ており、それが起こす殺人を如何に未然に防ぎ、犯人を捕らえるかという、特殊な設定になっている。今回のテーマは「見立て殺人」ということになるだろうか。T型の十字架に磔にされた首のないT型の死体。しかも場所はT字路もしくは頭文字“T”のトーテムポール。おまけに殺害現場にはどちらとも大きく「T」の殴り書きが。云わば『Tの悲劇』とも副題がつきそうな内容だが、物語半ばで明かされるTの真相は意外にも呆気ない。その真相が得られるまでエラリーはT十字架、ギリシア正教で使われていたギリシア十字架の前に存在していたタウ十字架、すなわちそれは昔エジプト十字架と呼ばれていたという知識を披露し、事件の裏に宗教的な匂いを感じる。これはヤードリー教授に勘違いを指摘されてしまうのだが、これがちょうど物語の半分辺りの2章の終わりで覆されるのが個人的には惜しいと思った。しかしこの“T”の意匠については解決編で別の解答が得られるが、よくありがちな真相、つまり私が想像していたものであったのが残念。さて今回の読者への挑戦状はかなり後の方に出てくる。残り50ページ足らずのところで挿入される。しかし前述の通り、今回は犯人が解っているため、今回は読者への挑戦状はないかと思っていたので、正直びっくりした。実は私は2章が終わった段階である人物を犯人と目していた。その直感的な指摘は、その時点で物語を読み返すと確かに事件の時期とその人物の行動・そして身体的特徴が一致したこともあり、かなりの自信があったのだが、挑戦状を待たずして、その人物が犯人でない事が解ったことも、今回は挑戦状はないのでは?と思った次第だ。で、結果はというと今回も敗北。これは素直に認めざるを得ない。なにしろあれだけ明確にあの人物が犯人であるという証拠を見せつけられたからには、ぐうの音も出ない。天晴れ、クイーン!である。が、しかしそれでも私は解決編を読んでも残る疑問はあると苦言を呈したい。まず第一になぜトマス・ブラッドは犯人とチェッカーをやるために、家族のみならず、執事ら使用人らも含めて人払いしたのか?もう1つはスティヴン・メガラの殺害について、桟橋にあったボートを盗んで犯行に及んだ事までは解っているが、どうやってその桟橋まで犯人は侵入できたのか?まだ警察はブラッドウッド界隈を見張っており、メガラが犯人をおびき寄せるべく、警察に警護を解くようにいった事実は、この犯人は知りようがないではないか。つまりこの犯人はそれまでブラッドウッドのどこに潜んでいたのかが全然解らない。今回の犯人は犯行現場からかなり遠方にいたはずである。どうやってメガラ周囲の動向が知りえたのか、全く不明だ。中にスパイがいた、もしくは定期的に連絡を取っていたという記述は一切なかった。他にも何か据わりの悪さを感じるところがあるが、主に上の2点が非常に気になった。今回の国名シリーズは今までの国名シリーズと違い、非常に表題に挙げられた国を意識した作品になっている。今までは舞台となった場所にその国名が関せられただけで、国名シリーズといいながら、その国ならではの特徴があったとは決して云いがたい。しかし今回はエジプトに関する叙述が横溢している。発端のエジプト十字架に関する考察から、古代エジプトの文化・風習など、それらが物語に一種オカルト風の味付けをしていることが本書の最大の特徴だといえるだろう。 ▼以下、ネタバレ感想
まあまあでした
国名シリーズでは面白い方ですかね。
国名シリーズ5作目でシリーズ中最高傑作と名高い本書。その導入部はエラリーが父親の出張旅行に同行している最中に出くわす猟奇的な殺人事件というショッキングな幕開けだ。
しかも今回クイーンは云わば「動のクイーン」と称せるほど、クイーンが動く。物語の舞台が変る。最後の犯人の追跡行はアメリカ東部の主要都市を車、飛行機を駆使して不眠不休の如く、続けられる。
また今までのシリーズのように、事件をしっかり調査して、並べられた証拠・事実をじっくり吟味する趣向と違い、犯人と目される人物の名前は出ており、それが起こす殺人を如何に未然に防ぎ、犯人を捕らえるかという、特殊な設定になっている。
今回のテーマは「見立て殺人」ということになるだろうか。T型の十字架に磔にされた首のないT型の死体。しかも場所はT字路もしくは頭文字“T”のトーテムポール。おまけに殺害現場にはどちらとも大きく「T」の殴り書きが。
云わば『Tの悲劇』とも副題がつきそうな内容だが、物語半ばで明かされるTの真相は意外にも呆気ない。その真相が得られるまでエラリーはT十字架、ギリシア正教で使われていたギリシア十字架の前に存在していたタウ十字架、すなわちそれは昔エジプト十字架と呼ばれていたという知識を披露し、事件の裏に宗教的な匂いを感じる。
これはヤードリー教授に勘違いを指摘されてしまうのだが、これがちょうど物語の半分辺りの2章の終わりで覆されるのが個人的には惜しいと思った。
しかしこの“T”の意匠については解決編で別の解答が得られるが、よくありがちな真相、つまり私が想像していたものであったのが残念。
さて今回の読者への挑戦状はかなり後の方に出てくる。残り50ページ足らずのところで挿入される。しかし前述の通り、今回は犯人が解っているため、今回は読者への挑戦状はないかと思っていたので、正直びっくりした。
実は私は2章が終わった段階である人物を犯人と目していた。その直感的な指摘は、その時点で物語を読み返すと確かに事件の時期とその人物の行動・そして身体的特徴が一致したこともあり、かなりの自信があったのだが、挑戦状を待たずして、その人物が犯人でない事が解ったことも、今回は挑戦状はないのでは?と思った次第だ。
で、結果はというと今回も敗北。これは素直に認めざるを得ない。なにしろあれだけ明確にあの人物が犯人であるという証拠を見せつけられたからには、ぐうの音も出ない。
天晴れ、クイーン!である。
が、しかしそれでも私は解決編を読んでも残る疑問はあると苦言を呈したい。
まず第一になぜトマス・ブラッドは犯人とチェッカーをやるために、家族のみならず、執事ら使用人らも含めて人払いしたのか?
もう1つはスティヴン・メガラの殺害について、桟橋にあったボートを盗んで犯行に及んだ事までは解っているが、どうやってその桟橋まで犯人は侵入できたのか?まだ警察はブラッドウッド界隈を見張っており、メガラが犯人をおびき寄せるべく、警察に警護を解くようにいった事実は、この犯人は知りようがないではないか。つまりこの犯人はそれまでブラッドウッドのどこに潜んでいたのかが全然解らない。
今回の犯人は犯行現場からかなり遠方にいたはずである。どうやってメガラ周囲の動向が知りえたのか、全く不明だ。中にスパイがいた、もしくは定期的に連絡を取っていたという記述は一切なかった。
他にも何か据わりの悪さを感じるところがあるが、主に上の2点が非常に気になった。
今回の国名シリーズは今までの国名シリーズと違い、非常に表題に挙げられた国を意識した作品になっている。今までは舞台となった場所にその国名が関せられただけで、国名シリーズといいながら、その国ならではの特徴があったとは決して云いがたい。
しかし今回はエジプトに関する叙述が横溢している。発端のエジプト十字架に関する考察から、古代エジプトの文化・風習など、それらが物語に一種オカルト風の味付けをしていることが本書の最大の特徴だといえるだろう。
▼以下、ネタバレ感想