「神隠し――と云うより天狗攫いね。高尾山だし」 聞き終えた敦子は先ずそう云った。

昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。

人に見えないものが視える。闇の中に、他人の恐怖が悔恨が苦痛が悲哀が―視えてしまう。

「死にたいん―です」「なら死ねよ」。娘を亡くし、妻だった人に去られ、十五年勤めた会社を解雇された。

明治三十年代初頭。古今東西の書物が集う書舗に導かれる、一人の若き女性。

明治二十年代の半ば。雑木林と荒れ地ばかりの東京の外れで日々無為に過ごしていた高遠は、異様な書舗と巡りあう。

昭和29年春から夏にかけて続く怪事件。 「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。

「妖怪」はいずこより来るのか…。

「推理はしないんです。彼は」。

「あなた―妖怪お好きですか」。その男は真顔で尋ねる。

調査も捜査も推理もしない、天下無敵の薔薇十字探偵、榎木津礼二郎。

江戸川、大磯で発見された毒殺死体。二つの事件に繋がりはないのか。

孤高の検事の気概と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー! 検事・佐方貞人は、亡くなった実業家の書斎から高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男の裁判を担当していた。

バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。

「おお!そこに人殺しが居る!」探偵・榎木津礼一郎は、その場に歩み入るなりそう叫んだ―。

家裁調査官の武藤は貧乏くじを引くタイプらしい。無免許事故を起こした19歳は、近親者が昔、死亡事故に遭っていたと判明。

この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。

いまや誰もが知っている“妖怪”。

怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。

庭に咲く艶々とした椿の花とは対照に、暗い座敷に座る小山内君は痩せ細り、土気色の顔をしている。

僕たちは双子で、僕たちは不運で、 だけど僕たちは、手強い 双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語 常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。

この現実は、すべて虚構だ。価値観を揺るがす連作奇譚集! 元デザイナーで小説家の「僕」は、知人友人からよく相談を受ける。

「判決は、全員死刑。命をもって罪を償ってもらいます」 伊勢湾に浮かぶ、通称「海賊島」に招かれた10名の男女。

「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。

『黒面の狐』事件後、海運の要から戦後復興の礎となろうと灯台守になった物理波矢多は、二十年の時をまたぐ怪奇事件に巻き込まれる。

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな―二つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。

殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。

少女たちを襲った悍ましい事件から三箇月。来生律子の許を訪れた作倉雛子は、小壜に入った“毒”を托し姿を消した。

見知らぬ部屋で目覚めた作家が発見したバラバラ死体。トリッキーな密室殺人の謎を描く「だらしない男の密室」。

益子徳一、七十二歳、独身。定年後の人生を慎ましく過ごす独居老人の大真面目で可笑しくて少しだけせつない日常。

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。

忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。

初読はミステリ、二度目はホラー。この島の謎に、あなたもきっと囚われる。

夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。

理由あって上方から江戸へ流れてきた双六売りの又市は、根岸の損料屋「ゑんま屋」の手伝いをすることに。

直木賞受賞作がついに文庫で登場 京極夏彦の直木賞受賞作。ラストに訪れる仕掛けが読者の胸を打つ感動作。

押し売り作家、夢の印税生活、書評の世界、ラノベ編集者、文学賞選考会、生涯初版作家の最期…。

無類の不思議話好きの山岡百介は、殺しても殺しても生き返るという極悪人の噂を聞く。

ピアニストの道を挫折した高校生の岬は、司法試験をトップの成績で合格して司法修生となった。

近未来。牧野葉月は閉じた世界に生きていた。

高千穂の夜神楽の真っ只中で男性の首なし死体が発見された。一方宇佐神宮では御霊水の井戸に禍々しいものが……。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

鋭敏な推理力を持つ引退した俳優ドルリー・レーンは、ニューヨークの路面電車で起きた殺人事件への捜査協力を依頼される。

「あなたに、悪夢を」 ――火村英生シリーズ、最新長編登場! 「俺が撃つのは、人間だけだ」 彼は、犯罪を「狩る」男。

死んだ女のことを教えてくれないか。三箇月前、自宅マンションで何者かによって殺された鹿島亜佐美。

SNS炎上、対人トラブル――あらゆる争いは言葉の行き違いから起きています。

ごめんくださいまし──。宝永七年の初夏、下野北見藩・元作事方組頭の家に声が響いた。

敗戦に志を折られた物理波矢多は、九州で炭坑夫となる道を選ぶ。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

舞台は明治30年代後半。

あと二日で、四人死ぬ―― ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ待望の第二弾! その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。

「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」。大手新聞社の社会部記者の許に届いた一通の手紙。

他人の家とは何かが「ズレて」いる――。

本格ミステリの魅力的な要素のひとつ、密室トリック。

幽晦との境界が、破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。