「あれの処理はまかせるよ」──言い遺して次期首相候補の秘書が死んだ。

高速料金所の職員、井川正治郎は高級車の運転席に元愛人の和子の姿を見た。

過去の徴兵検査で第二乙種不合格、そして三十二歳となった今、兵隊にとられることはないと確信していた山尾に、召集令状が届く。

新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。

昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。

名古屋のホテルと深大寺公園での医師連続殺人事件…薬品の闇取引きや診療拒否、荒廃した医療現場を衝く長篇推理。

古美術商『草美堂』の主人・高尾庄平は62歳。商売は順調で30歳も年下の野村和子を愛人にしていた。

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ―。

芦村節子は旅で訪れた奈良・唐招提寺の芳名帳に、外交官だった叔父・野上顕一郎の筆跡を見た。

R省の局長を父にもつ田沢輪香子は、旅で知り合った考古学好きの青年と深大寺で再会する。

大屋圭造は三流経済誌の記者。企業の提灯記事を書いては広告料を取る「トリ屋」である。

小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

大和大学助教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の帰途、入試問題草案を紛失した。

軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。

選挙に出馬する義弟の不透明な資金三千万円を持ち逃げした木谷省吾。

戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら数奇な運命をたどる。

大学で法制史を教える山根辰雄は、古書店で集めた本に、同じ蔵書印があることに気付く。

日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。

昭和8年。東京近郊の梅広町にある「月辰会研究所」から出てきたところを尋問された若い女官が自殺した。

松山地検庁舎の怪火で事務官が焼死、事故として処理された。

遠沢加須子は、夫の遺した中部光学というレンズ製造会社を諏訪で経営している。

松本清張原作の傑作映画と、解説本を組み合わせたシリーズの第7巻。

女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。

九州落ちして印刷屋に勤めた笹井は、計画遂行のため主人の妻滋子を籠絡し、さらに2号の藤子を誘惑。

白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。

若い芸術家の憧れの的である美貌の人妻・竜崎亜矢子。彼女は夫・重隆との愛なき結婚に苦しむ“名家の囚人”であった。

新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。

日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学会で変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。

浦島・羽衣伝説をめぐる取材旅行の先々で起る奇径な事件。民俗説話や古代史と今日的犯罪を結びつけた長篇推理。

神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。

夫を裏切り、妻を捨てた不倫の愛の逃避行―広漠たる砂漠に死を求めて彷徨う女と男の愛の無常を描く長篇。

北海道の北浦市市長春田は、陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。

会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。

銀行員安田信吾は行金五百万円を持ってキャバレーのホステスと共に逃走した。取引先の隠し預金を裏付ける極秘メモが決め手だ。

東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。

福岡市の香椎海岸で発見された男女の死体。汚職事件渦中の某省課長補佐と愛人の心中と誰もが思ったが…。

水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。

7500万円の横領金を資本に、銀座のママに転身したベテラン女子行員、原口元子。

霧のロンドン―。テムズ川にかかる橋に、イタリア最大の銀行頭取が吊るされた。

前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。

不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。

会社更生法という大企業優先の悪法を逆手にとり、擬装倒産で私腹を肥やす弱電器機の大手メーカー、イコマ電気社長。

二十年近く地道にある省の役人を勤めてきた川島留吉は、ふとしたきっかけで役人仲間と麻雀を始める。

前衛水墨画の旗手として、一躍脚光を浴びた久井ふみ子は、ライバル滝村可寿子を蹴落とし、画壇の頂点を目指す。

あと43分で日本が滅亡する！

新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。

割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。

東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。

古代史の造詣を巧みに駆使した表題作「火神被殺」、「神の里事件」。

設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。