殺人展示室
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
殺人展示室の評価:
8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
殺人展示室の総合評価:
8.00/10点 レビュー 6件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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と、いう道具立てがこの小説の本筋なのだが、この作品で何作目かのジェイムズ作品読書体験となる筆者は、当初から感じていた感想がますます強化されてきた。
P・D・ジェイムズは、ミステリ小説としてではなく、普通小説として読んだ方がわかりやすい。
それぐらいミステリ以外の人間観察(イギリス式ユーモアをまぶしてあります)、自然描写、心理分析が展開される。
「アガサ・クリスティを継ぐイギリスミステリの新・女王!」という宣伝惹句がなければ筆者、ジェイムズを読むことはなかったので、ミステリは必要不可欠の要素だが、これまたじつは女王様にとんでもないことをいう様だが、ジェイムズはあまりミステリとしては巧緻ではないと思う。
詭弁…推理小説最後の10ページ
と、筒井康隆「乱調文学大辞典」にある。
これほど忠実に筒井式を踏襲するわけではないにしろ、ジェイムズのミステリは、ダルグリッシュの直観で行間を読み、文脈を見出して犯罪の真相を読む体のストーリーが多い。
緻密な時刻表的プログラムを作る著者だったら、もっと厳密な犯行をさせるだろうし、ジェイムズ本人ですら、その行間の読み方によってはまったく違う犯罪と犯人を構築できたのではないか、というスキマというか解釈の余地があるのではなかろうか。
もちろん白痴を誇る筆者、ふんふんなるほどと唸りながら「詭弁」に引き込まれるのであるが、もしかしたら厳密なミステリファンであったら一番大事にするであろうその謎解きは、ジェイムズにおいてはその犯人の背後に潜む背景の書き込みの前には「まあ、ミステリですので犯人と謎は必要ですわよね」的に表面的に操作されてしまいそうな感じがある。
そのけしからぬ印象を強化するのは(ミステリ部分にはまったく関係しませんが)登場人物の一人が主催する大人のいけない交際クラブで、ジェイムズ作品にはこうした婚姻外の乱交的関係が(全作品ではないが)頻発する。
濃厚、かつしっかりと個人の快楽を充実させる肉体関係が人生では重要、いや不可欠、と考えていたのではないか、と思わせるほどのもので、P・D・ジェイムズにおけるセックスの位置づけ、というものは誰か定義解明した論客はいらっしゃらないだろうか?
そうした関係性もまた英国式の皮肉と観察をもって詳細に記述されるのだが、この肉食的なセックス観念は普通小説としてもかなり異質なものである。
それはそれとして楽しめましたので(念のため…大人向けの官能小説的な内容は一切ありません。ジェイムズが問題にするのはそうした関係がもたらす人生の多様性にあり、行為の描写は全くありませんのでご安心ください。或いはそうしたご関心をお持ちの向きは、そちらを専門に管轄する作品をお求めください)ますます普通のイギリスの現代小説を読む、とまあこういう感じで通読しました。
内容は、結末で我らが主人公アダム・ダルグリッシュに熱愛スクープ!?の気配があり、作品の中身で取り上げられていた交際クラブとまことに対照的で、ジェイムズはその対比をするためにこの展開を持ってきたのかしら、と思うとイギリス式のユーモアはいよよ冴えわたるような気がするのであるが…(読みすぎかしら)
そういう意味でも、面白かったです。
普通の小説として楽しみましたが、小説そのものとしては大傑作「死の味」にはとても及ばず、なので普通小説としても、ミステリとしても、そんなにも突出していたか・・と言われるとイマイチかなあ?でしたので★は三つに致します。もちろん読んで面白かったですけれども。